2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会(第3回)

1.日時

平成28年3月25日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

スタンダード会議室 虎ノ門ヒルズFRONT店 3階中ホール

3.議事

(1)関係者からのヒアリング

・NHK制作局 青少年・教育番組部 熊野御堂委員代理
・ソフトバンク株式会社 加藤委員
・信州大学 東原義訓教授
・総務省

(2)株式会社富士通総研 委託調査研究報告
(3)中間取りまとめ(案)について
(4)その他

4.配布資料

5.議事概要

(1)座長挨拶

(2)堂故政務官挨拶

 本日もお忙しい中、ありがとうございます。
 年度末に掛けての会議が2月、3月と続きまして、本当に皆さん方に大変申し訳ないなと思いながら、しかし、できるだけ早く中間取りまとめをして政府としての方向を出したいという思いで作業しております。委員の先生方にはお含みいただきまして、どうぞよろしくお願いいたします。

(3) 関係者からのヒアリング(NHK制作局 青少年・教育番組部 熊埜御堂委員代理、ソフトバンク株式会社 加藤委員)

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 よろしくお願いします。NHKの制作局青少年・教育番組部の熊埜御堂が委員をやらせていただいておりまして、本日、体調不良で大変申し訳ないんですけれども、私、田中が代理でお話をさせていただきます。
 我々は、NHK for Schoolというウェブサイトを通じて、NHKの教育コンテンツを学校現場にお届けするということをかねてから行っております。これの概要をかいつまんで御紹介させていただこうと思います。
 このサイトは、「NHK for School」というので検索していただくとヒットしますので、是非、後でネットで御覧いただければと思いますが、基本的には、NHKが、学校向け、主に小中学校の学習に資するようにということで作っている番組を丸ごと、そのまま放送が終わったと同時に配信をさせていただいているという動画配信サイトになっています。サイトの設計は御覧のようになっておりまして、一番上の方には、ちょっと小さくて見にくいんですけれども、「やさしいニュース」、これはもともと外国人の方向けに、日本語の学習になるようにということでNHKの報道局で作ってきておりますものを応用しまして、子供でも簡単にルビ付きで読んでいただけるようなニュースを見られるようなものがあったり、あるいは「ランキング」、動画のアクセス数で、今、一番見られているものが何かというので、必ずその時期に学習されているものが上がってくるんですけれども、そういったものがあったり、特集記事とか、この「ひめクリップ」と申しますのは、これは3月24日、きのうのバージョンのキャプチャーを入れているんですけれども、その日その日の出来事、きょうは何の日というような新聞なんかでもよくありますが、これに対応した動画をクリックすると見ていただけるというようなサービスだったりというようなことをやっております。
 何といっても、このサイトのメーンのコンテンツは、この下の方にずらっと、非常に小さいんですけれども、四角1つ1つが1番組ということになっておりまして、70シリーズぐらいの番組をそのまま放送直後から配信をしております。動画の数にしますと、番組の数で2,000本ぐらいの動画が今すぐに見られるような状態になっております。ただ、番組というのは、10分とか15分という尺になっておりまして、それなりに、授業の中での時間を占有するものですから、もっと短い動画、例えば、実験のこのシーンだけを見たいとか、生き物の生態のこの部分だけを見たいといったものを短く切り出して、30秒から2分程度にしたクリップというふうに呼んでおりますが、そういうものも御用意しています。これが、大体6,000本ぐらい常に見られる状態になっております。
 それで、それぞれの番組の中に入っていただくとどういうふうになっているかというのがこのページでございます。大きく番組の再生ウインドウがありまして、ここで最新回の番組を見ることができます。過去のものももちろん見ることができる。
 この番組を見ていただくときに、学校の先生から常に御注文がありますのは、やっぱり、必要なところを必要な状態で見せたい。例えば、番組の解答の部分は見せないで、一番最初の問い掛けの部分だけを見せたいというような御要望をたくさん頂くものですから、10分の番組を細かくチャプターに分けまして、チャプターを選択できる機能というのを付けています。さらに、このシーンだけを見せたいという先生方もいらっしゃって、それに向けて、何時何分のところから再生して何秒のところまで再生するといったような再生時間を設定する機能も設けています。さらに、この番組を見たときに、関連してこういう動画を見るといいよというような関連動画の表示ということもやっております。こういった機能を備えているサイトです。
 それで、特に学校の利用ということに関して申しますと、非常に利用の高い部分というのが、実は、学習指導要領、若しくは教科書から指定の必要な動画を取り出すという検索を備えておりまして、これが非常にたくさん利用されております。今のところ、配信をしている番組については、こちらが小学校の1年生から中学校3年生まで、理科・社会から道徳とか、算数、体育といったような様々な分野について、基本的には学習指導要領の項目を取り出しまして、こういう形で、これは小学校社会の5年の最初のところを表示していますけれども、その項目に対して、どの動画が実際に配信されているかということが調べられるようになっています。これで、例えば、小学校社会5年の日本の国土の自然と環境という、小学校社会5年の1という指導要領のところをクリックしていただきますと、このような形で検索が回りまして、番組であれば8件の番組が存在します。それから、クリップであれば57件、クリップはかなり分量が多いものですからたくさんヒットします。それから、それ以外に、例えば、学習に役立つ子供さんに見せる資料であったり、あるいは先生方が子供に配るワークシートみたいなものも教材として御用意していますので、そういったものもヒットして選んでいただくことができるというようなものを用意しております。
 これをもう少し進めまして、さらに使いやすくということで、教科書の目次から探すというものも整備しております。教科書の目次については、それぞれの教科書社会さんから有償で御提供いただきまして、それを我々の方で入力をして、そこからそれぞれの動画をヒットさせるというようなやり方をしております。
 実は、これらのことは全部裏側で動画に対するメタデータというのを付与していて、それとこういった指導要領であるとか、教科書の目次というものを結び付けることで実現しているのですけれども、現在はこれを全て人力でやっております。動画の数が増えてきますと、なかなか将来的にはこれを人力でやっていくのは現実的な問題ではないと思っておりまして、我々としては、かねてから是非実現していただきたいと思っていることの1つに、例えば、指導要領が印刷物ではなく、デジタルデータとして提供されるべきではないか、あるいは教科書の目次に関しては、本文といわず、目次の部分だけでも、例えば、オープンデータとして皆さんで活用していただくというような考え方はないものだろうか、そういうことができると、例えば、NHKの素材と教科書、あるいは指導要領というものを自由に行き来して、デジタル的に利用するということが増えてくるのではないかと思っております。ただ、現状としては、そういったことを人力でやってるということになります。
 では、このサイトが実際どのように利用されているかというアクセス数についてお話しします。これは、NHK for Schoolのページビューの推移を見ていただいていますが、一番下の黄色い線が一昨年です。それから、グレーの線が昨年になりまして、青い線が今年になります。大体、50%、50%ぐらいの段階で増えておりまして、実は、これ、4月から3月までとっていますと、学校での利用が圧倒的に多いので、夏休みの時期にがくんと減るとか、そういったような季節的な変化ももちろんあるんですけれども、とにかく全体の総量としては、アクセス数は非常に順調に伸びているというのが我々の実感です。
 これはユーザー数になりますけれども、ユーザー数の方も、おととし、去年から比べて、今年は格段に増えています。これは、やっぱり、学校での利用が進んでいるということもありますし、デバイスの数が増えているということが非常に大きいのではないかと考えています。
 その中で何が一番利用されているかといいますと、最初に申し上げたように、ワークシートとか、学校で使っていただく授業用の資料みたいなものもたくさん御提供しているのですけれども、圧倒的に伸びているのが動画の再生回数でありまして、これは2014年から15年に掛けての変化を示していますが、動画の再生回数に関しては1.2倍以上という形で伸びを示しておりまして、これを見ても映像教材の利用というのが、これからICTの中ではかなり可能性があるのだろうと理解しております。

【清水座長】
 恐れ入りますが、あと1分でお願いします。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 ありがとうございます。
 この後、実際、どういうような番組を作っているかということで、体育、図工、音楽、それから、例えば、今、指導要領にない番組、プログラミングといった番組も始めました。その中で、一番、我々、力を入れておりますのは、オープンエンド型という番組の作り方です。特に、例えば、下の方で、「考えるカラス」という番組がありますが、これは、結論とか解答を示さない形の番組というのを作っておりまして、こういう番組を作っていくと、実際の授業の中で、「考えるカラス」は理科の番組なんですが、理科の実験としてやって、解答までいかなかった部分を子供たちが実際に授業の中で取り組んで、それで、自分なりの解答を見つけ出していこうというような自発的な学びにつながるということもありまして、こういったようなことをやっています。
 全体の構造としては、NHK、学校の先生たちと一緒にそういう知見を高めながらやっていく教育放送企画検討会議という仕組みを作りまして、先生方の意見を集約するというような形でやらせていただいております。
 将来に向けましては、先ほど申し上げましたメタデータをもっと構造化して自動でひも付けるようにしようとか、あるいはこういった形で、これは実はもう4月の下旬にリリース予定で、iPhoneアプリ、タブレットアプリというようなことも御用意をして、どんどん自由に使っていただけるようにという環境整備を進めてまいろうとしておるところでございます。
 以上です。ありがとうございました。

【清水座長】
 田中代理、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、ソフトバンクとベネッセが出資しておられますClassi社の取組につきまして、ソフトバンクの加藤委員に御説明をお願いします。よろしくお願いします。10分でよろしくお願いします。

【加藤委員】
 よろしくお願いいたします。ソフトバンク株式会社の加藤と申します。
 私の方からは、大きく5つ、ソフトバンクのベネッセさんとも一緒にやっていますけれども、教育に関してICTを活用している全体概要ですが、大きな変化が起こっているというパラダイムの変化とサービスの内容を2つ、プロダクトについてもお伝えして、一番わくわくしているのは、学びの進化が起こっているというところ、最後は成果がどのようになっているかと、5点についてお伝えしたいと思います。
 御案内のとおりですけれども、日本が置かれている環境の中で、やっぱり、人口の減少といった大きな構造変化があるということ、それから、グローバル化がより進んでいるという変化、ICT、情報の革命ですね、その中でもビッグデータと呼ばれるスマートフォンを中心に様々なデータがたくさん集まるようになってきています。この活用が見えてきている。もう1つは、IoTに代表されるようなロボットだとか、モノがインターネットにつながり始めると。大きな変化が3つあると思いますし、これは、パラダイムという我々がよって立つ土台が変わっていくような大きな大きな構造的な変化じゃないかと。一方で、これの波の捉え方によっては実は差が広がってしまう。これをどのように捉えるかによって5年後、10年後の姿は大きく変わっていくのではないかとも思います。よって、今、ここにいらっしゃる皆様方も含めて、我々、1人1人の仕事に関しても、生活に関しても付加価値を上げるだとか、多様化というのをどのように受け止めるのかと、生産性1人当たりをどう向上するのか、こういったところにICTも含めて、様々な課題と解決策を模索しているところだろうと思います。
 こういう背景を踏まえまして、Classiという会社で、教育の中心はどこなんだというところで、シンプルに子供が一番たくさんの時間を使っている学校を中心に据えました。こちらで、65年以上学校様に対して指導力向上の御支援をしているベネッセ様と35年間ITをずっとやってきたソフトバンクが組んで、Classに私が見えるようにだとか、innovation、informationというiを足してClassiという会社を2014年に設立しております。ちょうど2年が終わろうとしているところです。
 主に何をやっているかというところですけれども、クラウドとスマートデバイスを活用させていただいて、学習の御支援をすると。少し特徴的なのは、真ん中に小さくありますけれども、校務支援という機能も合わせて御用意しております。
 お客様としては、まず最初に先生がいらっしゃる。先生を経由してお子さん、生徒にもサービスをお届けする。
 先生の課題はたくさんありますが、大きく3つ、日常的な業務、これを効率化したいという点と、生徒に関する、子供に関する情報を一見的に集約したい、そして、子供の多層化、二極化の課題に対して、個別にしっかりとした指導をしていきたい。ただ、下段にありますとおり、本質的には、先生は、生徒に向かう時間をもっと増やしたいんだと、このように言われます。現実的に先生が見えている課題以外に、様々な外のいろんなプレッシャーがあるのがまた学校現場なんだろうと思います。どんどんプレッシャーが大きくなっていると。そういう中でClassiという会社を作って、大きく3つの先生方のお困り事を少しでも御支援するサービスを作っております。
 学習系授業の御支援をするようなサービスの固まりと、先生とお子さん若しくは先生と保護者の方々がコミュニケーションが闊達にできるような部分、それぞれの上でいろんなアクティビティーが行われますが、それが生徒カルテという生徒単位のページに全て情報が集約されるという、大きくこの3つで構成されています。先生の視点で申し上げますと、たくさんの時間は授業を実行するところに使われていますが、さらに授業の準備といった先生が日常的に行われている様々な業務に寄り添うような形でサービスのカバレッジ範囲を定義しながら、最終的には生徒カルテで、お子様の情報集約を実現していっております。
 デバイスの観点では、基本的には今お持ちのものをそのまま使っていただけるようにということで、職員室の中のほぼ100%あるパソコンと中高生が御自分で持たれているスマートフォン、こういったところをそのまま活用できるようなサービス設計にしてあります。もちろん、タブレットを購入されたりする形で御利用いただくケースも徐々に増えてきております。学校の中の先生と、学校の中では禁止されているスマートフォンですから、家庭の中でスマートフォンを使って、先生と子供がつながっていると。
 最近はこのような写真の中で、これは授業の中で、授業の中でタブレットがあることはもう珍しくなくなりましたけれども、最近はスマートフォン等を活用して、様々なアクティブ・ラーニング型の授業がなされているという事例も出てきました。本当に混在してきています。
 2年が終わろうとしてますけれども、2015年度は中高を中心として、1,000校の学校様に御利用いただいております。
 e-Learning大賞等少し褒めていただいたりもしました。
 こちらが、我々がこの会社を作って一番実現していきたいというところです。会社の理念にもありますが、学びの形を少しでも進化させていきたい、進化するお手伝いをしていきたい。御案内のとおりかと思いますけれども、学校の教育を前提にしたときに、21世紀型スキルとか能力というお話がありますが、それにあえて対比して、現状のことを20世紀型というふうに仮置きさせていただきますと、学校の中で6時限目、7時限目まで使って一生懸命教えられている今の状態に対して、その上に新しいグローバル化の流れを踏まえて21世紀型スキルが来ます。これ以上時間を増やすことは物理的に不可能だと思いますので、そういった新しいスキルが押し込まれるような形になる。一部は押し出されるような形になるのではないかなと。ただし、学校の中で教えることが限界がある、時間的な制約です。ですから、学校外の家庭といったところに押し出されていくのではなかろうかと。21世紀型スキルというのは、1人では学ばずにみんなで学ぶことが大切だと言われますので、やはり、学校で学ぶことにとっても整合性があるのだろうと。逆に、1人で学べることはより効率的に学ぶと、こういったところが私どもが見たときのアクティブ・ラーニングとアダプティブの技術、若しくは期待値との関係性、これが学校を中心としたときは、相関関係、因果関係を持って動いているんじゃないか、そして、学校と家庭、学校外、こういったところでも一連の学びが実行されています。ゆえに、その間をしっかりと取り持てるような場が必要なのではないか。この点においてのみだけICTが必要になるのではないかと思って事業をやっております。
 少し違う絵になりますけれども、アクティブ・ラーニングとアダプティブラーニングが学校の中でそれぞれ一斉学習から協働学習まで、それから授業を中心とした学びの前後で復習・予習というもの、こういったところが関連性を持って動く。特に、アクティブ・ラーニングの中では、ITの活用場面というのはとても少ないと思っていますが、授業と授業の間をつなぐプロジェクト型学習、こういったものに関しましては、授業でフェース・ツー・フェースで会った後に、やはり、小さなタスクを持って、子供さん、先生、有識者とつながって、いろいろなタスクを実行する。このときにおいて、赤の波線のところは、ITのツールも活用できればいいのではないかと思っております。
 最後、成果になりますけれども……。

【清水座長】
 恐れ入りますが、あと1分ぐらいでお願いします。

【加藤委員】
 はい。様々な学習のシーンだけではなくて、部活動だとか学校行事、登下校に関して様々な子供さんの学校での生活シーンの中で、いろんな形でサービスが使われていっております。
 特に学習に関しましては、家庭学習を自らが学習時間調査ということで先生やられますけれども、子供さんたちが自分で入力して、自分の学習の分布だとか推移が見れるようになる。これによって、週に1時間以上勉強時間が伸びている。若しくは、物理的な問題の配信を1人1人に寄り添った形でやることで、模擬試験のテスト結果にもプラスに働いている。特にこのアダプティブのところでは、KNEWTONさんと一緒に実証実験もやっておりまして、一番最初には、先生は全員に同じ問題を出して、その点数の結果によって、もうそこからは1人1人に寄り添った違う問題が5択で出てくるといったところも実行しています。
 こういうエンジンも必要なんですけれども、やはり、圧倒的に良質でたくさんあるコンテンツ、こういったものもないと1人1人の学習には寄り添えない、こういったところも大切にしながら、これが私どもの会社の理念なんですけれども、子供の無限の可能性にしっかりフォーカスをして、学びの形を少しでも御支援していきたいと。かなり、日本の教育現場、学校現場は変わってきているなと。ただし、ITで大きく変わるということではなくて、ふだんから先生がしっかりと授業中心でやられていることに少しでも寄り添って、先生のお役立ちになりながら子供1人1人に寄り添う、このような主従の関係でいくと、従のポジションでしっかりと事業をしていると、こういったところが1つ重要な今後の方向性ではないかと思っております。
 以上になります。

(4)質疑応答1.

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、熊埜御堂委員代理と加藤委員への御質問がありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 私から加藤委員に質問させていただきたいのですが、非常にすばらしい取組と関心を持ちました。学校が利用する場合、あるいは個人が利用する場合の利用料金というのは、大体どのぐらいの感じでやられているのでしょうか。

【加藤委員】
 利用料金ですか。

【清水座長】
 はい。

【加藤委員】
 こちらは、月額換算で月に300円を、生徒様です。

【清水座長】
 1人当たり。

【加藤委員】
 はい、1人当たりです。先生方は、無償で使っていただいております。

【清水座長】
 ありがとうございます。すばらしい。

【加藤委員】
 これを実現するときに、やっぱり、価格のことがとても大切だということでかなり協議をしまして、やはり、クラウドを使わせていただくということで、かなり損益分岐の限界まで下げることが実現できていますので、逆にいうと、学校ごとのカスタマイズを実現しようとするととても無理なんですが、クラウドでやればもっともっと下げられるのではないかという実感も持っています。

【清水座長】
 ありがとうございました。また、後ほどいろいろ教えていただきたいと思います。
 ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。

【稲垣座長代理】
 NHKの方の話で1つお伺いさせていただきたいのですが、今回、こういった形でたくさんの番組が出ていて、動画アクセスもかなり伸びているわけですけれども、実際、これが、指導者用のデジタル教科書もかなり全国的には普及してきているわけですが、そういったものが普及しているところでは、例えば、資料性が高いようなNHKさんの動画コンテンツは使われていないであるとか、あるいは逆にNHKのコンテンツがあってデジタルがあると奏上効果で伸びているとか、そういったような市販のものとのすみ分けとか、共存関係というのはどんなふうになっているのかというようなデータをお持ちでしたら是非教えてください。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 今のところ、デジタル教科書とのすみ分けでどういうふうになっているかというデータは、NHKの方では残念ながら持ち合わせておりません。これから研究課題としては非常に重要だろうなと思いまして、幾つかの教科書会社の方々と御相談をしながら研究を進めていきたいと思っているところです。

【清水座長】
 ありがとうございました。ほかございますでしょうか。ありがとうございました。

(5) 関係者からのヒアリング(信州大学 東原義訓教授、総務省)

【清水座長】それでは、次に、平山小学校などで先導的な取組をされておられます信州大学の東原教授にお願いしたいと思いますが、先ほど伺ったら、プレゼンは60分の内容だとおっしゃられたんですが、10分でお願いします。

【東原教授】
 初めまして、信州大学の東原と申します。よろしくお願いいたします。
 前半部分はできるだけ省略いたしまして、後半部分に、どちらかというと、この場で皆様に私が考えていることを聞いてみていただきたいというところに時間を使わせていただきたいと思います。
 自立・協働・創造というのは、第2期教育振興基本計画以来のキーワードでございますけれども、私どもがやっておりますシステムは、これの自立の部分に主に関わるのはインタラクティブスタディ、協働の部分に関わるのはスタディノートというような位置づけで仕事をしておりまして、下の方に年表を書かせていただきましたが、私が大学院生の頃の1978年からこの仕事に私は着手したことになります。1978年には、前々回でしょうか、つくば市の市長様からお話があったと思いますけれども、その基になるようなシステムづくりとか教材開発等々をやってまいりました。ここでのキーワードは、個別学習と協働学習と探究学習の3つを同時にやっていくというようなことで、成果は、古い本でございますけれども、この中にそのフィロソフィー等々を書かせていただいております。
 きょうお話ししたいことのポイントは、個に応じた学習というのがこれからの学びの1つとして重視されているかと思うんですけれども、個に応じた学習イコール個別学習ではないのではないかということをお伝えしたいと思っておりまして、そのコンセプトというのは、詳しくは時間がないですけれども、当時から個別学習と協働学習を一緒にやるというようなことを我々はずっとやってきて、やはり、それが大切だというふうに思っていて、今までいうアクティブ・ラーニングのようなことをコンピューターも使いながらやってきた経験から、現在、次のようなことを考えているというようなことを話させていただこうというわけです。
 よく問われるのですが、個に応じた教育、その中の特に習得型のものをやりますと、簡単に学習の成績といいますか、それは上がりますというデータは、これは出そうと思ったらすぐ出てしまうようなものですけれども、狙っているのはこれだけではないということで、何を狙っているかということなので、改めて、個に応じるというのは、私どもからすると、個に応じるということは、個がやりたいことをやるという、基本的にはそういうことだと思うんですけれども、それが放任でもなく、それからその個に合わせ過ぎた迎合でもなくて、個が自立して協働するための後押しをするようなことを最適にするというような意味合いで、個に応じるということを考えてきたんだなということを、改めて、今回、このチャンスを頂きまして、自分の頭の中を整理していたら、これが頭に浮かんできた。きょうの結論はこれでございます。
 もうちょっとその内容を話させていただきますと、個に応じるといっても、様々な目的があるわけで、個性豊かで自立した個を育てるということから始まって、いろんな段階があって、最終的にはこれらを合わせて他者と協働して問題解決するための基礎ができると、それをよりよくするために、個に応じない学習をしていくよりは、個に応じた学習をした方がよりいいでしょうという、この幾つかの観点の違いがあるのではないかということで少し整理してみました。
 この辺はほとんど今回初めて考えて、まとめたものなので、誰かが認めているとか、どこかで発表して議論していただいたとか、そういうことではなくて、ここでの話題にしていただければということで、ちょっと大胆な試みをしていることになります。
 個に応じるために何に応じるかということですけれども、まずは本人の希望であろうというわけです。その次が習得状況、これが割と古い頃からやられていた内容だろうかと思うんですけれども、そのほか、特別な支援を要する子供さんには、それは応じない限りは学習が成立しませんので、特別支援の領域では個に応じることが当たり前のことである。さらには、協働的な問題解決にしましても、人によって問題のプロセスからアプローチの仕方が全然違うわけで、そうするといつもその個の合ったアプローチしていたらだめで、苦手なアプローチにも取り組めるようなことをやってあげるというのが、個に応じることになるかもしれないというような発想であります。
 個に応じるための方法として何が必要かということを、今までやっていることを振り返ってまとめてみますと、まずは何よりも個に応じるためには、個の違いというもの、個の違い、個の特性をいかにして検出するか。検出してそれを表現しないとだめなわけだったり、検出した結果を自動的に何かに反映しないとだめなので、その検出し、表現するという形にしたんですけれども、我々がやってきた古い時代のものですと、子供たちの入力、応答の記録をとって分析して可視化するとか、それから、その個に最も適したものを見つけるために、10問問題を解くのではなくて、できるだけ効率よく問題を求める、見つけるためには、1問目と2問目を問題変えていけばいいというような、そういう方法であるとか、いろんな方法を試みて、個の違いを検出し、表現し、生かすということをいろいろと試みてきました。
 違いが見つかった場合にどうするかという話が、これがまたたくさんあるわけで、決定するのが学習者本人なのか、指導者であるのかというようなこともございますし、それから、先ほどの前のプレゼンテーションにもございましたけれども、システムがリコメンドするのか、システムが決定してしまうのか、本人に選択の余地を持たせるのか、本人が意思決定するために必要な情報を提供するのか様々なやり方があるわけで、この辺はまだまだいろいろ研究もしていかなければいけないし、こういう全体像を見た上で、自分がもし関わるとしたらどのあたりをやっていけばいいかということを考えていくというのがいいのではないかというようなことを考えていたというわけです。
 過去のことでちょっと御紹介いたしますと、最近、アダプティブテストとか、そういう話が出てきているんですけれども、私が一番最初にそれに出会ったのは、ジーグラという人がルール・モデルというのを出していまして、それは、最小限の問題数でその個がどういう理解の仕方をしているかというのをつかむという手法でございます。これをコンピューターに実際に組み込んでつくばの学校でやっていたんですけれども、そうしますと、短い時間の中で、その個にぴったり合った理科の実験はどんな実験をしたらいいかということがコンピューターの方からリコメンドすることができるというようなことで仕事をしていた時代もございます。
 それから、個に応じる方法なんですけれども、応じ方もすごく様々でして、コンピューターの画面に出てきた課題に、子供が、もしうまく成功したときはどうするか、もしうまくいかなかったときにはどうするかといった、できなかった方に関して補充というようなことをするんですけれども、その補充のレベルも様々あって、詳しくはお伝えしませんけれども、沖縄県の総合教育センターと30年間ぐらいずっと一緒に仕事をさせていただいておりまして、2008年のときに沖縄県の総合教育センターがそれまでの成果を整理してみたらこんな感じになっていると。応じ方にもいろいろあって、これをマニュアルにして教材づくりが当時行われていたということになります。
 それから、特別支援のケースで、これは、今、ちょうど文部科学省の方からの委託事業をさせていただいているのですけれども、これは、インクルーシブ教育という時代になりまして、通常学級の中に特別な支援を要する子供さんがいるようになりましたから、昔、開発していた教材ではもう追い付かなくなったんです。それで、それに対応するためにどうしたかというと、教材をうんと細かく細かくぶった切って、そして、それを無学年制にして、これだと算数の例ですけど、算数の系統性ということを重んじた形をとって、自動的にコンピューターの方はその個の問題を診断して、これをやるのが一番いいのではないかということを見つけ出しつつ、昔ですと強引にあなたはこれをやりなさいというふうに自動的に画面が変わったんですけれども、今は、これをやりたいですか、それともこっちをやりたいですかということで、学習者に意思決定の場面も持たせながらやっているという例です。実際には、学年を超えてやったことによって、できなかった子供が、さらに、スモールステップの補充に入ることによって、どんなふうに理解を進めていって、最終的には、類似の問題もきちんと解けるようになったということが、学習の履歴を分析して先生にぽんと提供されますから、先生はあえて子供のできることを問題に出してあげて、できたねと褒めてあげるチャンスも得られるようになってきたというような事例でありまして、これはクラウドに載せていて、それこそ個人情報を載せない形で学習の記録だけが載っかっていて、みんなで解析しながら、ほかの先生の授業の様子も見ながら、どんなふうに使っていけばいいかということを今研究しているところで、来年までに全体をまとめて、どこでも使っていただけるようにしようというような準備を進めているところです。

【清水座長】
 恐れ入りますが、あと1分ぐらいでお願いします。

【東原教授】
 どのように個に応じるかという場合の、先ほどは、個別学習の話ですけれども、協働学習の場合の個に応じる応じ方に関してはまだまだこれからのテーマで、我々が試みているのでは、ボーノの6色ハット法というのが有名ですし、うちの大学の国語教育の藤森先生が作られているバタフライマップというのがありますけれども、ある立場に立たせて発言させるというような形をとると、自分に合った立場に立たせる場合と、逆の反対の立場に立たせて訓練していくといいますか、そういうようなことを今試みているところです。
 それからもう1つ、学習のプロセスを記録して、再現して、学習者自身に見てもらって、それぞれの個が何かを学ぶという、これも新しい形の個に応じるタイプではないかということで、今は対話しているところの発話記録から学習者がこれを再生して、自分のディスカッションの特徴をつかんで、そして、自分というスタイルを知った上で別のものに挑戦しようみたいなこともやり始めているところです。これが日野市で今中心でやっている内容になります。
 ここは省略しまして、最後は少し宣伝なんですけれども、一番最後のページは、今、私が申し上げてきたようなことを信州大学の教育学部では、もう少し積極的に研究しようということで、現在私が所属しておりますもともと教育工学センターであった教育実践総合センターというセンターがあるんですけれども、それを改組しまして、4月1日から次世代型学び研究開発センターというものを立ち上げて、プロジェクト型の研究をやっていこうという計画でおりますので、どうぞいろいろと教えていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【清水座長】
 東原先生、どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、オブザーバーで参加していただいております総務省から、総務省の取組につきまして、御説明をお願いします。

【総務省情報通信利用促進課長】
 総務省でございます。本日は、総務省における教育情報化政策ということで、今、総務省でどういう取組をしているのか、また、これからどういう取組をしようと思っているのかということについてお話をしたいと思います。
 先ほど来からアクティブとか、アダプティブという言葉が出てきておりますけれども、ICTは困難を抱える子供たち、あるいは先生方にとって、アシスティブなツールになるのではないかということで、アクティブ、アダプティブ、アシスティブ、こういう機能を発揮できるように、技術の面からサポートしていきたいと考えております。
 情報通信技術の中でも特に注目しておりますのがクラウドでございます。クラウドには、ここに書いてありますように、Savable、Secure、Scalable、Seamlessといろいろなメリットがあると考えております。こういうメリットが本当に学校にとって十分発揮できるのか、発揮し得るのかということを実証しようということで実証事業を今やっております。先導的教育システム実証事業ということで3年計画でやっておりまして、今年度が2年度目、来年度が最終年度ということでございまして、教育クラウドの標準化をしよう、そして、それをオープンにして普及していこう、そういう事業でございます。
 今、国内でフリースクール、あるいは公営の塾も含めてこういうところに参加していただいております。また、海外の日本人学校でも5校トライアルしていただいております。
 予算も限られていますので、非常にシンプルなシステムでやっておりますが、まず、スマートフォンですとか、OSを問わず、どういうデバイスでもシームレスに学校、家庭、地域等で使える。そして、いろいろなサービスを1回のログインで利用できるシングルサインオンですとか、SNSで教員と子供たち、保護者等が交流できる機能ですとか、あるいはブラウザーベースで動く多様なコンテンツをアップしております。そこから得られた利用ログを今後の学習、教育、あるいは学校経営、学級経営に有効活用していく、さらには全国の教員同士で自作の教材をアップしていただいて共有していくという機能を持っております。
 ポータル画面がこうなっているとか、あるいは学習ログの確認画面ですとか、画面をキャプチャーしたものは、時間の関係で省略させていただきます。
 アプリごとにもいろんなデータをとることができまして、例えば、習熟度マップ「BRIQ」という、今、実証研究中なんですけれども、これは算数のドリルのトップページです。5年生、4年生、3年生のドリルのトップページになっていまして、1つのブリック、マス目が1つの単元に対応しております。その1つのマス目には最大10問の問題が割り当てられていまして、正答率が上がれば上がるほど色が薄くなっていきます。全部マスターすれば真っ白になる、そういうビジュアルなグラフになっております。5年生の特定の単元がマスターしていけば、その前提になって、当然、4年生とか3年生のこの単元は理解できているであろうというところが合わせて色が薄くなっていくというものを実証しています。
 また、School Taktという協働学習ツールがあるんですけれども、そこの生徒同士のコミュニケーション機能というのがあるんですが、どの生徒がどの生徒に対してどれぐらいコメントしているのかという、コメントの量でそれぞれの関係が線で太くなっていくという機能がありますので、生徒同士の人間関係が一目瞭然になるということで、これは生徒指導にも活用できるのではないかと言われております。
 あと、教員の自作教材の共有画面というのはこういうふうになっていまして、公開範囲は、自分の学校の中だけ、あるいは自分の教育委員会の中だけ、あるいは全国、海外の日本人学校含めて全部公開という、3つのパターンで選択することが可能です。レイティング情報ということで星5つで評価するような、そういうところもついております。
 最近の動きですと、先生方と一緒に技術者が、こんなソフトがあったらいいなということで一緒に議論しながら、技術者が先生の夢や希望を叶えるということで、ハッカソン・アイデアソンというのが行われるようになってきているんですけれども、そこで、お互い作った教材をこのクラウド・プラットフォームに上げて共有していこうという動きも出てきておりまして、これは、次の日曜日にあるのですけれども、日本デジタル教科書学会が主催のICTを活用した教材作りアイデアソン、ここで評価が高かったものをクラウドに上げて共有していこうという話を聞いております。
 クラウド・プラットフォームの活用例を幾つか挙げておりますけれども、時間の関係で省略させていただいて、例えば、イスタンブールの日本人学校、御案内のとおりトルコは非常に治安が悪くなっておりまして、市内銃撃戦などの影響で6日間にわたって休校を余儀なくされた。そういう間の中でも緊急の連絡はクラウドのSNSを使いながら、またクラウド上のここの教材をやりましょうということで課題を与えながら、そして、児童生徒の学習状況を教員が自宅でリアルタイムに把握しながら指導を継続したと。中には一時帰国してしまう子供たちもいましたけれども、散り散りになった子供たちが、1人1台体制クラウド環境の中で、学校として教育活動を組織的に継続することができたということで、クラウドは学校の危機管理にも役に立つのではないかということは、実証校の中から上がってきております。
 さらに、クラウド・プラットフォームには、協働学習、個別学習、シミュレーション、動画クリップと4つのカテゴリーごとに複数のコンテンツプロバイダーからコンテンツの提供を頂いております。全部で13の事業者から供給を今いただいておるんですけれども、それぞれ自分に合った、学校に合ったものを選べる仕組みにしております。あと、SNSのところで、いいインターネット上の動画コンテンツなどがあれば、リンクを付けて子供たちに配って見させることができる、誰がいつ見たのかということをリアルタイムで把握することもできるということで、教材が無料のものも含めて無尽蔵にあるということでございます。
 コンテンツの利用状況なんですけれども、4月は利用もまだ学年当初で忙しかったということもあって少なかったんですけれども、だんだん増えていったと。2月は学年末でなかなか忙しいということでちょっと落ちています。1つの特徴は、最初は青のドリルが半分近くを占めていたということなんですけれども、だんだん慣れてくると、授業の中で協働学習アプリ、協働学習ツールを使うようになってきて、今はほぼ利用者が拮抗している。個別学習のドリルと協働学習のツールを授業の中で使う。だんだん習熟していけば、協働学習が使われるようになっていく。
 もう1つは、ダッシュボードということで、どの学校がどのコンテンツをどれぐらい使っているのかということが一目瞭然に把握できます。例えば、多摩市立の愛和小学校というところが一番コンテンツを総量としては使っている。どのコンテンツをどれぐらい使っているのかというのが分かりますので、これは、教育委員会とか、議会とか、首長にとっても、予算を使って投資をしたコンテンツがどれぐらい使われているのかというのが把握できるということ。紙の教材ですと、どれぐらい使っているのかというのは学校にアンケートでもとらない限り分からないんですけれども、そういうアンケートはなかなか今できにくくなっていますけれども、クラウドだとこういうことが簡単にできます。
 また、利用時間についても把握できます。児童生徒でいうと8時台が一番多いというのは、朝の学習の時間でドリルとかを使っているというのがある。でも、見てみると、8時とか9時とか10時とかにアクセスしている子供たちも結構いるということで、子供の家庭学習の時間がどうなっているのかということも可視化できる。教員がそれをチェックしてたり、自分でデジタル教材を作っているということなんですけれども、教員がどの時間にアクセスしているのかというのも分かる。少ないですけれども、1時とか、2時とか、3時とかにもアクセスがあるということも分かる。そういうデータも見ながら学校経営、学級経営してける、そういうデータがとれるということでございます。
 いろいろなメリットがあるこういうクラウド・プラットフォームを官民を挙げて広めていきたいということで、きょうは赤堀会長も来られていますけれども、ICT CONNECT 21という官民を挙げたオールジャパンのコンソーシアムがあります。そういうところと協力しながら、このシステムを標準化して普及させていきたいと考えております。
 最後に、総務省における今後の取組ということで、クラウドとネットワークとサポート体制という3つのキーワードで書いています。クラウドの方は、今のような学習系のシステムを標準化して普及していく。先ほどClassiさんのプレゼンありましたけれども、各社、そういうすばらしいサービスが出てきていますので、そういうところの連携・協調も促進しながら、クラウドで学習していく、学校で学習していく、家庭とシームレスにつなげていくということを広めていきたいと。
 もう1つ、次の課題は、校務系とセキュアーに情報連携していくということで、これはスマートスクール構想と合致すると思います。是非、総務省としてもスマートスクール構想の実現に協力させていただきたい。
 そして、クラウドを円滑に動かすためにはネットワーク周りをしっかりさせていかないといけないということで、基盤となる無線LAN等の整備の支援、これから、どう総務省としても御協力させていただけるのかということを今検討させていただいております。また、ネットワークに関する実践的なガイドということで、これは藤村委員が中心になられまして、APPLICさんの方で、今、本当に実践的なものを作ろうということで議論されています。その中に総務省も参画させていただいておりまして、一緒にものを作っていきたいと思っております。
 そして、サポート体制ということで、支える人、民間の支援人材をプールをして、希望に応じて学校に派遣できるように、来年度はプログラミング教育でそれを試行させていきたいと考えております。
 最後に、ICT、ネットワーク周りの整備も含めて加速するために、全国キャラバンなどをやってみてはどうかということでアイデアが出てきております。これは、富士通さんがアメリカのTech Shopという会社とやっているあれなんですけれども、トレーラーにパソコンとか3Dプリンターですとかものづくりのツールを入れて、移動的に学校に巡回して、先生方とか、子供たちにトライアルして、体験してもらうという、そういうキャラバンのようなものをTech Shopということでやっておられます。それに近いものができないかということで、今、検討をしているところでございます。
 最後、これは……。

【清水座長】
 恐れ入りますが時間ですので。

【総務省情報通信利用促進課長】
 時間があったら話をしようと思っていましたが、ちょっと御覧いただきながら、質疑をお願いします。

(6)質疑応答2.

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 東原先生と総務省の御説明につきまして、御質問ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 私から総務省に伺いたいのですが、配付資料の一番最後のページに少し御説明があったのですが、基盤となる無線LAN等の整備支援と書かれています。この懇談会では、子供たちに1人1台とか、タブレット、あるいはBYODでスマートフォンを使ってという、そういう議論をしているわけですけれども、それが無線できっちりつながるということが重要で、委員からの御発言では、そういう環境は国としてきっちりとやってほしいという御発言もあったんです。その点からすると、この項目が非常に関心が高いんですけれども、今後どのように総務省としては考えておられるかというのを教えていただければと思います。

【総務省情報通信利用促進課長】
 非常に御関心がある点だと思います。無線LAN等の整備については、文部科学省さんの方で、これを100%教室に入れるということで地方財政措置が講じられている、それとの関係を十分整理しないといけませんけれども、今、既存のものとしてあるのは、総務省の補助金としてあるのは、防災、災害時に避難所になるところについては、学校でもWi-Fiの整備、バックボーンも含めてできるということで、2分の1の補助金がございます。それを、避難所という限定したものからどれぐらい拡大できるのか、どれぐらい広く伸ばしていけるのか、私は、担当課長ですので、そこは総務省の中で要望させていただいております。応援いただければと思います。

【清水座長】
 ありがとうございました。ほかにございましたら。

【稲垣座長代理】
 東原先生にお伺いしたいんですけれども、先ほどお話しいただいた中で40年前からという話もありましたけれども、当時、やっぱり、個別学習だったりとか、そういった部分というのは、確かに、研究としてもたくさんやられていましたけれども、やっぱり、広がりという意味ではなかなか広がらないままだった部分もあると思うんです。それが、今、例えば、1人1台みたいな話であるとか、あるいはビッグデータみたいな話が出てきたときに、これからの展望として、当時のいろんな知見なんかも生かせるとは思うのですけれども、もっとこういうふうに変わってくるのではないかみたいなところの展望も少しお聞かせいただけるといいかなと思いました。よろしくお願いします。

【東原教授】
 ありがとうございます。そうですね、この場で言えることというとなかなか難しくて、またどこかという感じでしょうか。今はどちらかというと、恵まれた子供たちといいますか、チャンスに恵まれた子供たちがこの恩恵にねという感じになっているので、これをもう少し広げていくということの方が、現状においては大事ではないかなと思っていまして、なので、夢を語ったりするよりは、どちらかというと、いかにこれを多くの人に理解していただくかということが大事で、そのときには、余り難しい話はしてはいけないけれども、しかし、目指す方向というのはしっかりと示すといいますか、やってみて経験したものが、元は科研費ですから、示していく責任もあるのではないかなと思っているという、こういう答え方でごまかさせていただければと思います。済みません。

【清水座長】
 ありがとうございました。ほかございますか。どうもありがとうございました。
 第1回懇談会におきまして、教育の情報化に関する取組・意向等の実態調査を行うということを事務局から御説明いただいたところでありますが、本日は、その調査の委託を受けております富士通総研より報告をお願いします。

(7)株式会社富士通総研 委託調査研究報告

【富士通総研】
 富士通総研経済研究所の蛯子です。
 本日、お手元に資料として、資料の5と6という形で、赤い表紙のものとグレーの表紙のものがあるかと思います。今回は赤い表紙のものを中心に御説明をさせていただきます。赤い表紙のものが新たに今回調査したもの、グレーのものが今までの調査の結果を今回の中間取りまとめの論点に沿って取りまとめたものという位置づけになります。
 こちら、あくまでも期間が短かったということもありまして、速報値という形になります。回答数をこちらの下に示しておりますが、739件と約4割程度となっております。調査の対象は都道府県、政令指定都市、市町村の教育委員会全ての悉皆調査になります。
 調査項目として、第1回の懇談会のときに御報告させていただきましたとおり、6個の項目を掲げております。今回はこれのうち、テキストベースのものを除いた1から5の部分について御説明をさせていただきます。
 まず、教育の情報化の推進に向けた組織体制になります。こちら、全般にわたってなんですけれども、回答に対して、ネガティブな要素の回答が多いものに関しては赤、ポジティブなものに関しては寒色系ということで青と緑という色を使っております。そして、注目していただきたいところに赤の枠囲いという形で取りまとめております。
 (3ページ)まず、左上になりますが、教育の情報化に関する業務推進の組織体制というところで、専任する課がない、必要に応じて割り当てているという割合が約3割ほどございます。そして、右になりますが、将来にわたって必要な人材を育成しているかという部分については、8割強が育成できていないという回答が得られております。
 そして、その下です。少し細かいですけれども、赤い棒グラフ、担当者不在としているものに関してなんですけれども、指導助言に関しては、ここに示しているとおり、3割から4割ぐらいの間で担当者がいないという回答が得られております。そして、ICT環境整備に関して、校務支援などのシステム企画に関して2割程度担当者がいない、そして、保守運用の企画・運営に関しても半分ぐらいが担当者がいないという回答結果が得られております。
 (5ページ)次に、教育の情報化に係るICT環境整備の状況と今後の意向になります。
 こちらに示していますとおり、上がコンピューター教室、下が普通教室の意向になります。それぞれ、現在ある設備に対して更新する意向もあるかということも含めて聞いております。これに対しまして、まず、コンピューター教室に関しましては、デスクトップ型のパソコンが導入されているケースが現在も多いかと思うんですが、これをそのまま更新しようという意向を示している団体が4割程度ございます。これ以上に多いのがタブレットPCということで、5割以上がそのような意向を持っております。
 そして、下が普通教室です。こちらに関しましても、やはり、タブレットPCがより多く6割程度、そして、無線LANに対しても6割弱程度更新したい、若しくは更新を検討しているという回答が得られております。
 (6ページ)続いて、普通教室におけるICT環境です。こちらは、電子黒板並びにプロジェクターなども含めた大型提示装置ということで回答をいただいております。こちら、全教室に整備すると回答している団体がどちらも約3割程度あります。一方、普通教室に整備する予定はないと示しているものが、これは赤のものですけれども、一、二%ということで非常に少ないということが特徴として上げられるかと思います。
 そして、タブレットPCの利用形態の考え、左下になります。こちら、段階がありますけれども、赤で囲ったところです。コンピューター教室とは別に、タブレットPCを1クラス分40台ほど整備して、必要なときに移動して利用するというパターン、そして、コンピューター教室にタブレットPCを整備して、これを移動するというパターン、こちらに関しては、大体7割ぐらいがこのような利用形態を想定しているという回答をしております。
 そして、右側にありますが、こちらはどのタイミングで整備を完了したいかということに関しては、平成30年度以降とする回答が6割ほどを占めております。
 (7ページ)続いて、同じく普通教室です。こちら、無線LANと1人1台のタブレットPCを整備した取組について検討しているかという問いですが、こちらに対しては、4割程度が検討していないと上げております。その理由として、肯定的、否定的とありますが、赤で示している否定的な部分に関しては、教育効果を示す根拠が少ない。なので、必要性を説明しにくいと回答しているものが4割程度。その下にあります「12」になりますが、実際に導入するときに支援してもらえる専門家がいないというところも3割程度の回答が得られております。
 (8ページ)次、個人所有のICT端末を持参して授業で利用する取組、いわゆるBYODに対する考えの問いになります。こちら、BYODといいましても、いろいろなパターンがあるかと思いますので、今回の調査に当たりましては、3つのパターンを想定して、それぞれに対しての意向を聞いております。
 まず、左側にあります1、2、3という形で示しておりますが、導入パターンとして、一番上が、教育委員会がICT端末のメーカー、機種名、これを具体的に規定してしまう、これを買いなさいという形で導入するパターンが1番目です。2番目が必要な仕様要件のみを示す。それに対して、この仕様を満たすものであれば何でもよいという形で保護者に購入を依頼するというパターンが2番目です。そして、3番目が、特段、ICTの仕様を定めず、インターネットに接続できるものというような形で、基本的な機能のみを提示するというものが3つ目のパターンになります。それぞれ、小学校、中学校、高等学校、特別支援がありますが、可能性なしとしているところが赤の部分になります。小学校、中学校ともに、1、2、3のパターンともに9割以上が、可能性がないとしております。一方、高等学校、特別支援学校に関しましては、それぞれ2割から3割程度が可能性ありという回答を得られております。
 (9ページ)それぞれに対しての理由です。小学校・中学校についてですけれども、否定的なものに関しましては、総じて高く出ているのですが、否定的なところの1番目、まず、保護者に購入を依頼することができないですとか、3つ目、セキュリティー上不安がある、5つ目、運用管理が煩雑になって学校でコントロールできないとか、その下にある様々なトラブルが発生する懸念があるといったことに対して、高い割合で否定的な理由として掲げております。
 (10ページ)次に、高等学校と特別支援学校です。こちらも同じものになるのですが、まず、肯定的なものです。肯定的な理由としては、2番目のものとして掲げているコストを削減できるという部分。そして、肯定的な最後の部分で、ふだん使いなれている端末なので学習がやりやすいのではないかというところが、ポジティブな理由として掲げられております。否定的な理由としては、小学校・中学校と同じような傾向が得られております。これは、高等学校・特別支援学校ともにほぼ同じ傾向が得られていると言えます。
 (12ページ)次に、ICTを活用した教育の取組状況になります。
 ICTを活用した教育の学習効果として期待するものということで、それぞれ5つほど掲げておりますが、こちら、期待している、やや期待しているというものに関しては、全ての項目において9割近くがそのような回答を得られております。
 次に、どのような取組を現在実践しているかという部分に関してですが、これは実践している順に並べておりますが、上の、例えば、調べ学習を行うとか、大型提示装置で教材を提示するというものに関しては、6割以上のところでほぼ全校で実施しているという回答が得られております。一方、下の2つになりますが、テレビ会議による他の学校との交流ですとか、ICT端末を持ち帰っての学習というものに関しては、赤が多いところが示すように、今のところは検討していないという回答が多いように見受けられます。
 (13ページ)次に、ICTを活用した教育をどの科目で実践しているかという部分です。こちら、小学校と中学校になりますが、国語、社会、算数・数学、理科という部分に関しては、8割以上が半数以上、半数程度の学校で実施しているという回答が得られております。

【清水座長】
 恐れ入りますが、あと1分ぐらいでお願いします。

【富士通総研】
 はい。高等学校に関しましては、それ以上に活用しているという結果が得られております。
 (17ページ)済みません。少し飛ばしまして、予算です。コスト削減に向けた取組という部分ですけれども、これは情報システム、特に校務支援システムが中心になるかと思うのですが、8割以上の項目、1と2という部分ですけれども、3と5の部分が6割程度ということで、コスト削減に向けた取組が余り実施できていないという状況が回答として得られております。
 (20ページ)最後に、学校の支援体制です。こちら、ICT支援員に対する配置予定ということで、ICT支援員の配置予定がないとしている回答が7割弱占めております。それぞれ、その下の教育委員会の実施体制においても、こちらは、ICTの教育の指導の支援なども含めたものですけれども、赤の検討していないという部分が多い傾向が見られます。
 私からは以上になります。

(8)中間まとめ案について

【清水座長】
 それでは、ただいま御説明いただきました中間取りまとめ(案)について討議をお願いしたいと思いますが、これまでの会議におきまして、福田委員より佐賀県の高等学校における家庭での情報端末購入の取組について御発言がございました。その参考資料として、参考資料1を配付しております。福田委員から何か補足がございましたらお願いします。

【福田委員】
 私の方から、参考資料1を御覧いただきたいと思います。佐賀県では、まず、下の方に1と書いておりますけれども、平成16年度に教師用の校務用のパソコンの整備を始めました。その後、平成20から3年間の実証を経まして、23年からいわゆる事業化をしてまいりまして、現在は導入期を終えて、これから発展期に入るという捉まえ方をしております。
 1枚めくっていただきまして、次に2ですけれども、これが、先ほど磯課長から説明がございました「どうやって情報端末を整備するか」という流れです。佐賀県では、資料にも書いておりますように、県立中学校、県立高校、特別支援学校を所管しておりますので、それぞれの学習指導要領の改訂時期を踏まえまして、端末の整備を進めてきたという状況でございます。
 その中で、下の方に書いてあります3番でございます。特に県立高校につきましては、保護者の方で個人用の端末を準備していただいておりますけれども、その進め方については、かなりいろいろな対応が必要でございました。
 まず、3番の上に書いています平成24年4月から約1年半掛けまして機種選定を行っております。機種選定につきましては、我々だけではなかなか知見がございませんでしたので、専門家の先生方にも入っていただいて行いました。併せまして、実機を実際購入いたしまして、県立高校5校で実際に使って、生徒の声、教師の声を吸い上げていっております。併せまして、機種決定後ですけれども、これが、多分、今後必要だと思うのが、実は、機種を設定した後について、例えば、それが全額負担していただけるものなのか、一部補助をする必要があるかということは、当然そのときの時代の流れ、また保護者負担軽減の観点から協議は必要です。ここについては、教育委員会だけでは対応ができませんので、首長部局、それから県議会との協議が必要でございました。併せまして、生徒・保護者の皆様に対しては、高等学校は契約事務を結びます。つまり、「うちの学校に来ればこういう制服ですよ」とか、「うちの学校で授業を受けるためにはこういう教科書が必要ですよ」というのを明示しまして、希望する学校を受験していただきます。そのため、佐賀県の場合には、県立入学試験の募集要項に明示をいたしまして、それを1つの契約事務という形で踏まえた上で御購入いただいている、または、自分の持っているものをその仕様に合ったものであれば持ち込んでいただいているという状況がございます。併せまして、現在、初中局で検討していただいています教科書につきましては、まだ紙の教科書が法的に義務付けられておりますので、教師が使うデジタル教材については県の方でそれを準備したという状況でございます。
 今後、ご検討いただく場合には、こういった契約事務の観点とか、保護者負担の軽減の観点とか、それから教材をどう位置づけるかという検討が必要であると思います。ここで基本にしたのは、高等学校は教科書、それから体操服、制服、鉛筆1本に至るまで全て個人購入していただいておりますので、そうした中でパソコンだけ県で準備するというのは、逆になかなか厳しいものがあるということで、佐賀県としては、学習の必要な道具であるということで持ち込んでいただいている。その代わり、これが原因で高校入試を断念することは絶対避けたかったものですから、いわゆる困窮家庭の支援等については、厚生労働省等にお願いいたしまして、かなり手厚く負担軽減に努めている状況でございます。
 では実際どうかというと、次のページの参考資料ですが、現在、高等学校では、各教師、各学校の状況に応じまして、朝のホームルームから自宅学習に至るまでいろんな形で使われているという状況にございます。ただし、これは使われている状況ということで、使うことをマストとしておりません。つまり、使うことが必要であれば使うという状況でございます。
 最後、それを継続するために何が必要かということでございますが、やはり、機械ですので、どうしてもメンテナンス、維持補修が必要です。ということで、県の方では専門集団によるいわゆるサポート体制ということで、委託企業における日々の危機管理、それから教材作成等についてもサポートをすることで継続している状況でございます。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。それでは、討論に入りたいと思いますが、今回初参加となります奈須委員から自己紹介も兼ねて、ごく簡単にお願いします。

【奈須委員】
 上智大学の奈須でございます。今回、初めてということで、済みません、2回失礼いたしました。
 心理学をベースに現場と連携して授業やカリキュラムの開発といったことに関わっております。その中でICTはとても可能性があるし、今後、必須になると考えておりましたので、とてもいい機会を与えていただいたなと思っております。
 この資料を拝見する中で、4点ほど授業づくりとか教師のことで気になることがありましたので、お話しさせていただきたいと思います。
 まず、6ページですけれども、ICT導入によって探究ということが推進されるということがあって、これは本当にICTの非常に大きな可能性だと思いますけれども、加えて、習得・活用といった従来型の指導についても、効率化ということがここでは明記されていますけれども、単に効率化するだけではなくて、効率化がもたらす学びの質の抜本的な転換ということがあるのではないかと思っていますし、それを目指してICTの活用を考えることが大事かなと思っています。
 例えば、作文というのがありますけれども、現状では子供たちは文の書き連ねであったり、あるいはそれを清書するというような作業をしていますけれども、もうそんなことは大人は誰もしていないわけで、そういうふうに国語の授業を変えていくということが大事で、そこにはやっぱりICTが必要かなと思っています。日常的な運用が大事かなと思っています。完全に道具にする。すると、子供たちは、文書を書くというのはむしろ推敲することであるということであるし、よい文というのはどういうものかという概念もしっかり定着するでしょう。あるいは、図表や写真等文字以外のデータも含めて文章産出をするということが最初から試みられるということになっていくでしょうし、あるいは推敲途上のデータを振り返って参照するというようなことを通して、自分が何を学び取ったかということでより明確な定着になるのではないかと。このように、従来型のものをICTに置き換えるのではなくて、ICTを入れることによって従来型の学びの質が変わる、しかも、それがもっと本来的な、本質的なものに変わるというところを探し出していくということが大事かなと思って期待をしております。
 次、9ページのところですけれども、ICTの効果をどう考えるかということで、学力、これはいわゆる個別的な知識、技能でしょうけれども、それだけではなくて、思考力や創造力、いわゆる汎用的認知スキル、コンピテンシーも入れていこうという話ですけど、今の議論でいくと、資質・能力の3本柱のもう1つ、学びに向かう力と言われているものですが、いわゆる非認知的能力についても評価指標とする可能性があるだろうし、ICTはそこに可能性があると思います。
 それから、3つ目ですけれども、10ページのところですが、不慣れな教員にも利用しやすいような魅力的で使いやすい教材と中長期的には教師の自立性、創造性ということを両立するという考え方がありますけれども、これはとても大事かなと思っております。
 それから、済みません、最後のところですけれども、13ページのところですが、授業中の記録が校務支援システムにつながるということ、これもとても新しいいい可能性だと思います。いわゆる、ポートフォリオ評価の考え方にもつながるし、その支援にもなると思います。メタ認知や学習の自己調整能力の向上につながるような契機かと思います。
 その中で、スマートスクールという構想が出ていますけれども、これは、ひょっとしたらかなり批判というか、議論になるかなと思います。つまり、データを一元管理してそれを学校経営に使うということですけれども、その経営ということが何を意味するかによっては、管理強化とか、特定の目標の偏重であるとか、カリキュラムの矮小化になるという可能性もあって、教師の自立性や創造性に対する脅威になるという御批判、誤解かもしれませんけれども、スマートスクールという構想を丁寧に議論して説明する必要があるだろうと。多様性をどう担保するかということが大事かなと思います。
 済みません。長くなりました。

【清水座長】
 ありがとうございました。それでは、御自由に御発言いただきたいと思いますが、加藤委員が早く帰られるという、それは正しいですか。ずっとおられますか。

【加藤委員】
 まだ大丈夫です。

【清水座長】
 大丈夫ですか。帰られる前に発言があったら先にと思ったんですが、よろしいですか。
 それでは、発言ある方は、挙手お願いいたします。西田委員。

【西田(光)委員】
 ありがとうございます。柏第二小学校の西田です。
 昨日、いただいた資料を読ませていただきまして、11ページのところで、きょうの御発表の中にもあったんですけれども、教材の共有・利用ということが書かれていますが、現在、学校では、学校放送等をデータベース化することはできません。著作権法の絡みだと思うのですけれども、そういったところの見直しも含めて取り組んでいく必要があるかと感じております。
 それから、原案の12ページのところで、統合型校務支援システムのところで、システム化の対象とする校務に係る業務プロセスのモデル化とあるのですが、これは、とりようによっては、一部を置き換えるというだけに捉えられがちかと思いますので、一部の置き換えではなくて、校務全体を見直していく必要があって、その中でシステム化の対象を絞り込むという、そういう方向が必要かなと思いました。
 それから、15ページのところで、学校運営・学校経営の改善については、現在、いろいろなモデル事業等では、これ、全体を取り上げているものは非常に少ないと思います。部分部分は取り上げておりますが、校務、情報活用能力、学習指導、この3つ全てを取り上げている学校運営・学校経営という事例がまだないかと思いますので、そういったものを作っていく必要があるかと思います。
 最後に、16ページのところで、ICT支援員のところですが、今、ICT支援員は身分が非常に不安定な方が多いということをよく聞きます。ICT支援員の身分の保障についても考えていく必要があるかなと思います。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかにございましたら。毛利委員代理。

【市原委員代理(毛利氏)】
 本日、つくば市長、市原健一がG7開催に向けた会議等ありまして、やむを得ず、欠席させていただいておりまして、代理で出させていただいておりますつくば市総合教育研究所の毛利と申します。
 市長より、発言の内容について預かってまいりましたので、御紹介させていただきたいと思います。
 17ページに関してなんですが、ICT環境整備には多額の予算が必要となるなど、今後の教育には、行政と教育委員会が連携して進める必要があると考えております。その実現のため、現在、全国8自治体の首長で進めております全国ICT教育首長協議会について御説明させていただきたいと思います。
 8自治体とは、昨年11月につくば市ICT教育全国首長サミットで登壇していただきました、品川郡山市長、西川荒川区長、市瀬喬木村長、倉田箕面市長、横尾多久市長、小松武雄市長、内山山江村長です。このメンバーで、現在、全国ICT教育首長協議会を設立に向け準備を進めております。
 この協議会は、自治体の首長だけでなく、ICT教育関連団体や企業にも御参加いただき、産官学で連携し、日本の教育水準向上を目指しております。これから導入を進める自治体の後押しや、現在、先進的に取り組んでいる自治体の表彰活動などを積極的に行っていきたいと考えております。そうした活動の場として、ICT教育全国首長サミットを開催したいと考えております。
 そこで、この協議会をさらに我が国のICT教育推進に役立たせるために、文部科学大臣政務官、堂故茂先生が主催するこの2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会において、その意義を位置づけていただければありがたいと考えておりますということで、是非、この17ページのところを実現させていただければと考えております。
 以上でございます。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。市長によろしくお伝えいただきたいと思います。
 ほかにございましたら、お願いします。はい、お願いします。

【熊埜御堂委員代理(田中氏)】
 NHKの田中でございます。議論の流れと少しずれるかもしれないんですけれども、この中間取りまとめを拝読して、子供がどう幸せになるのかということが余り書かれていないということに、非常に全体としての違和感というか、それでいいのかなという感じを抱きまして、我々、NHKは単純に番組を作っている人間なので、番組を持っていって、小学校で子供たちがわーっと盛り上がっておもしろいといってくれるとそれだけでハッピーみたいな、そんな単純な考え方をしている人間集団なんですけれども、結局のところは、情報化ということをやることによって、子供たちがどのように幸せになるのかということは、やっぱり、この提言の基本にあるべきではないかなと。
 一番最初のページを見ましても、子供たちにこういう能力が求められるという書き方になっていて、僕が小学生だったら、社会から何か能力を求められるのは嫌だなと、どっちかというと、小学校に行くのが楽しくなるということであってほしいなというふうに思います。アクティブ・ラーニングということがたくさん言われていて、その考え方からいうと、我々が現場を見ていて常にアクティブ・ラーニングがすごくうまくいっているなと思うシーンというのは、基本的に、要するに、子供が主役になる時代がやってきた。今までは、先生が主役で、学校の方が主役で、子供はそれに従うという状態だったのが、自分たちが主役になれるというときに、子供たちはすごく輝くんだなということをいつも目にしているという経験がありまして、そういったことを少しこの中に含ませることはできないものだろうかと思いました。済みません。よろしくお願いします。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかにございましたら、お願いします。新井委員、お願いします。

【新井委員】
 ざくっと読ませていただいたところ、おおむねのところは押さえられているのではないかと思うのですが、前半のところで1つ、1ページの下のところとか、4ページの下のところなんですが、情報を批判的に捉えるという表現を入れておいた方がいいのではないかと思います。特に、情報の懇談会ですので、これから情報がどんどんさらに増えていく中で、情報をとにかく批判的に捉えるということが問題発見の第一だと思いますので、そういう表現をあえて入れておいた方がいいのではないかと思います。特に、例えば、情報を受け止めるだけでなくみたいな表現があったのですが、それどころではこれからの世の中は足りないので、批判的に捉えるということが必要かなというのが1つです。
 それから、この立て付け全体を見ますと、3つ目の統合型の校務システムのところぐらいまでは、これから、とにかく普及を目指すということと、その次にスマートスクールが出ているのですが、このスマートスクールの位置づけについては、スマートスクールをどうしたいということでやるのかというところがまだちょっと不明確かと。つまり、次期普及モデルとしてスマートスクールを捉えているとか、実験でやっていますというのか、実験を実験で終わらせて、スマートスクールの目的はスマートスクールですというふうにならないような表現にすることが必要かなと思います。その点で、この後ワーキングもあるのでしょうけれども、スマートスクールで目指すアウトカムのKPIというのをワーキングではっきりするとか、何かそういうことがあって次期普及モデルを目指すのか、それとも何かを実証したいのか、その辺のところの狙いを明確にすべきかなというふうな印象を受けました。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 市川委員、お願いします。

【市川委員】
 私も少し関連して、さっき、奈須委員がおっしゃったこととも非常に関係するんですが、これまでの議論とこのまとめを通じて、私もちょっと物足りないなと思うのは、ICTを導入したらどういう学びを子供たちがするのかという姿が見えにくい、そこのインパクトが少ないような気がするんです。やっぱり、書かれていることは、まずこういう能力が求められるという話、これは確かに求められるのかもしれない。それから、環境整備をしなくてはいけない、1人1台というのも盛んに出てくるんですが、1人1台というのは、やっぱり、ゴールではないわけで、例えば、1人1台持っている写真が出ても、これで導入がうまくいきましたではないですよね。それから、次に出てくるのが、1人1台持って、子供たちが生き生きと学んでいますという話。生き生きと学んでいても、生き生きと何を学んでいるのかが見えてこないとどうもインパクトがない。(改行)
 ですから、実際にそこで子供たちが学んでいる内容とか、あるいはいろんな作品であるとか、発表の姿であるとか、そういう何かアウトプットに当たるもの、この活動の姿が見えてくると、それだったらそういう教育がやりたいなと。でも、これをやるにはICTが不可欠だということで、学校の先生も保護者ももっと積極性が出てくるのではないかという気がいたしました。
 是非、先進的なところはもうかなり入っているわけですから、そういうところから出してほしいのは、むしろ、そういう子供の姿、特に習得・活用・探究を通じて、またアクティブ・ラーニングという中で子供たちがこんなふうな学び方をしている、これは、これまでのICTなしのときにはやっぱりできない学びであるというようなところをどんどん出していただけるといいと思いました。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 ほかにございましたら、お願いします。はい。

【稲垣座長代理】
 済みません。3点お話ししたいと思います。
 1つは、9ページ目、10ページ目あたりに出ているんですけれども、効果的に活用するという表現なんですが、これは、もちろん、これまでやってきたことですし、これからもICTはいろんな形で効果的に使っていく必要はあるんですが、例えば、1人1台の話であるとか、先ほど、奈須委員のお話の中にあったような、本当に子供たちが道具として使っていくということを考えると、それは恐らく、教師がICTを特別な道具だと思ってここで効果的に使うんだという話ではなくて、本当に学校の日常の中に、子供たちが使っていった結果として、いろんな新しい能力がついていったりとか、子供たちの成長の姿があるという話だと思うんです。そういうふうに考えていったときに、効果的な活用の仕方を探究していくだけではなくて、もう1つは、日常的な活用をしていった結果としてどういった変化があるのか、そこを見ていく必要があるのではないかと思っております。
 もう1つは、14ページのところで、地域ごとの環境面の差異があるところに関しては、ある意味、差異があることを認めつつやっていかざるを得ないという話があるんですけれども、これをある意味認めるというふうに言ってしまった途端に、結局、うちの自治体はもうここまでしかできないからこれでおしまいという、その議論の裏付けにしかならないと思うんです。やっぱり、最低限、ここまではやらなければいけないということは、例えば、学校の教室は、黒板であるとか、机、椅子というのが当たり前にあるように、何でそこに提示機器が当たり前にないんだろうという、その議論をいまだにしなければいけない状況というのは、何とかこういったところで解消していければいいのかなと願っております。
 もう1つは、最後、スマートスクールの話でいうと、先ほど、幾つか出ていた中でもあると思うんですが、どちらかというと、学校としてどう管理するか、マネジメントするかという視点が今大分強く出ているわけですが、そういう環境が整った結果の中で、子供たちがどういうふうに個性的に、多様的に学びをしていくのか、あるいは、そこで先生方がいろんな授業を展開していく、そういう、ある意味、学習者とか教師側の目線から見たときの多様性だったりとか、あるいは、ある意味、学習の個性化みたいなところ、そういったところに関しても少し触れていくことができるといいのかなと思っております。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。高井委員、お願いします。

【高井委員】
 この取りまとめの方を拝見させていただきまして、私としては、おおむね今までの議論いただいた内容が含まれているのではないかと思っております。
 個別にお話をさせていただきますと、今、課題になっているのは、多分、現場ではICTを利用することはやはり効果的であり、それは子供のために役に立つということは、既に皆さん十分知った上で、それから一歩踏み出すところに今ハードルがあるのではないのかなと感じているのですが、その意味合いでいきますと、4番の授業・学習面、校務両面のICT活用の中の14ページになりますけれども、地方自治体環境整備計画の策定支援と促進という中で、地方公共団体の規模や整備段階に応じたICT導入ガイドラインの作成について検討するというのは、大変いいテーマを入れていただいていると思っております。
 また、その下の中で、とりわけ中小地方公共団体において、情報システムに係る体制が脆弱であるため、国や都道府県における支援策について検討するという項目も入れていただいているのですが、実際、校務システム等は自治体規模に応じて、普及の差に大きなものがあると感じております。そういう中で、こういう支援策を具体的に記述していただいているというのは、大変いいことではないかと思います。
 あともう1点、最後になりますけれども、先ほど、毛利委員からもありましたけれども、17ページの今後の方針の中で、首長を中心としたICT教育推進組織の構築というテーマを上げていただいておりますけれども、もちろんイベントもこの中に含まれますけれども、ここで出す資料が、首長を中心としてしっかりと見ていただいて、それに向かって方向を示していただくという意味合いにおきましても、この項目を入れていただいたのは大変いいことではないかと思います。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。福田委員、お願いします。

【福田委員】
 福田でございます。これは、佐賀県の例もそうだったんですけれども、実は、こういうものを1つのベースにして、教育委員会事務局が予算確保するためには、例えば、県議会の議場で説明をするような必要がございます。そうすると、やはり、先ほどもご意見がありましたように、学びに向かう姿勢とか、子供たちがこれによって幸せになるというのを少し書いていただければ、それをひもときながら、例えば、議会で、「国もこういう視点を持っておりますよ」というのが言えるのですけれども、今の形でいくと、「国から示された目標によりますと」と言わざるを得ないものですから、例えば、佐賀県でいうと、これはある学校の事例ですが、朝登校しますと、自分のタブレットで健康管理チェックがぽぽっと出るんですけれども、そうすると、今まで把握が難しかった生徒の状況がが、朝飯を食べてきましたとか、きょうは体調が悪いですよということを教師がちょっとチェックをするだけでかなり教育効果が高まる。そういったことも含めて少し示して上げることでかなり違ってくると思いますので、少しお願いしたいと思います。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。

【関委員代理(小木曽氏)】
 新経済連盟の小木曽でございます。済みません、本日は、関がほかの会議に出ており、欠席をさせていただきまして、代理で出ております。
 拝見させていただいて、多方面にわたっていろいろな御検討をされて、おまとめをいただいて、本当にありがとうございます。
 きょうのほかの皆様のプレゼンとかも聞いて少し思ったところが、1つは、総務省様の資料4で20ページ、総務省の今後の主な取組の記述があり、人というところのサポート体制が書かれていますが、この点は確かに重要だと思っております。その意味で、16ページのところで、産学官連携の支援体制の構築というところで書かれているので、視点として、ここは非常に重要だなと思っております。総務省様、お書きになっていますように、民間支援人材の確保、供給というのを具体的に本当にどういうふうにできるのかというところを議論を深めていくべきかと思っております。
 また、きょうのソフトバンクの加藤様からのお話もありましたけれども、家庭教育と公教育とのうまい連動ということもあるので、それが、多分、全体的にその観点も踏まえられていると思いますけれども、そこの視点というのも非常に重要だと改めて再認識をしました。
 それから、地方公共団体、学校との連携のところで、あとは、強いて言えば、地方公共団体という言い方だと、どうしても、地方公共団体、行政の組織だけのようなイメージがあります。例えば、産学官連携の在り方として、地域社会という捉え方ももう1つあるのかなという気がしていまして、諸外国の例だと、例えば、地域社会で支えていくという発想自体もあるので、そこら辺も視野に入れていくとより議論が深まるかなという気がいたしました。
 以上でございます。

【清水座長】
 ありがとうございました。どうぞ、お願いします。

【小林委員】
 NECの小林です。1点だけ、ちょっと気がついた点を述べさせていただきます。
 富士通総研さんのアンケートの方で、コストに見合った教育効果、7ページのところで、やっぱり、予算要求が非常に難しいというような状況が多分あるのではないかと思います。統合型校務支援システムを入れた、あるいは教育支援システムを入れた結果の導入効果がやはり定量的に示すことが非常に難しいという状況がある中で、5ページのところで、エビデンスに基づいた学校経営の推進というのが基本的な考え方で出ておりますし、13ページ、この辺もエビデンスに基づく学級・学校経営が可能になる。学級・学校経営の見える化というのが課題だと思っていまして、この辺の具体的なゴール設定をどうやってやっていくか、税金を使って、タックスペイヤーとしての観点からは、投資対効果をどうやってここに定量的な数値として表示していくか、明示していくかということが重要になると思っています。是非この辺を今後の議論で詰めていければと思いました。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございます。
 ほか、はい、どうぞ。

【西田(文)委員】
 NTTラーニングシステムズの西田です。
 非常に多岐にわたる論点をコンパクトにまとめていただいたなということで、きのう拝読していて、非常に感動いたしておりました。
 1点だけ、15ページのあたりについて、一言だけコメントさせていただきたいと思います。実際、私どものNTTのグループでも、学校でのトライアルということで3年間ほど全国各地の学校さんとお付き合いを密にさせていただいたことがありますが、学校に対する支援体制というのを考えたときに、非常に、学校の立地条件が厳しいという現実に直面しておりました。ある島では、ICTに長けた人材自体が島の中に見つからないという状況すらございました。こういった恐らく公共機関の中でも最も満遍なく全国に散らばっている学校というものの支援体制を考えるときには、やはり、おもてなしという日本の文化を踏まえた共助という考え方は非常に重要だと思いますので、そういったところに関しても、学校の立地条件ですとか、遍在性のところをきちんと踏まえた議論を今後させていただきたいと思っております。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 ほかにございましたら、お願いします。

【藤村委員】
 鳴門教育大学大学院の藤村でございます。
 この短期間の中でここまでまとめていただいたこと、本当に私も感心しながら拝読いたしました。本当に、まとまるかどうかというのも強く問題意識を持っていたものですから、心から御礼申し上げます。
 まず、こういった中間取りまとめが出ていくときの、この資料の役割って何だろうということをいつも考えております。これを読んだ人たちが、これまで教育の情報化ビジョンとここが変わって進化したんだということが、端的に伝わっていただくと大変ありがたいなと思っている次第です。例えば、それは授業観、学習観が大きく進化してきたのに対応して、だから、こういうICTを活用すると、よりよい学びが実現するんだということが明確であったり、また、これまで学習系と校務系は全く切り離されて別々のものとして扱われていたけれども、それを結び付けることで、先生にとっても子供にとっても、そして、保護者、地域の方にとってもいいものができる、つまり、チーム学校がICTによってできて、子供たちを支えるものがスマートスクールという考え方によって可能になるのだとか、そういったものが明快に打ち出せると非常にいいのかなと思いました。
 ただし、今回は時間がありませんので、私はこれはこれで結構だと思っていまして、これを言うと次の宿題が増えるようで怖いのですが、次には、例えば、A4表裏ぐらいで、それをビジュアルに伝えていけるようなものができると非常にインパクトあるものになると思いまして、そういう説得心理学の知見なども入れた一面提示ではない、こういう点は気を付けなければいけない、だけど、こうやるとうまくいくというようなこともあればいいかなと思って拝読いたしました。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 加藤委員、お願いします。

【加藤委員】
 加藤でございます。
 改めまして、本当にありがとうございます。皆様が言われているとおり、本当に多岐にわたる論点をこれだけまとめていただいたということで、私もすごく強く感銘を受けております。
 その中で、やはり、子供の視点がないというコメントもありましたけれども、ICT、ITは、私どもの経験からすると、本当にもう当たり前のものです。本当に、社会のインフラでもありますし、なくてはならないような空気のようなものになりつつあるのだろうと。その中でITができることというのは実はそんなに大きくない。もっというと、学校の現場で先生と生徒が生身の人間が一緒に生活している場では、そこまで大きな役割を果たさないのではないかなと思っています。ITができることというのは、やはり、今までやってきたことが簡単に安くできる、効率化できる、やろうと思っていたけどできなかった、例えば、個別指導で先生が120人向けに個別の宿題を作る、こんなことはできなかったわけです。こういったことができる。若しくは、最後は、見えなかったものが少し見えるようになるのだという見える化のポイント。総務省さんの資料の中にもありましたけれども、各学校でどのようにコンテンツが使われているかというグラフ、ああいうのを見るだけでも、少し今までと違う観点が示されるのではないかと思います。
 ITの使われ方というのはいろいろあると思いますけれども、余り主役になるものではないのだろうと。ただし、ITでしかできないことが先生、若しくは子供のお役立ちになるんだよというところは、ほかの委員の方も言われていたように、少しビジュアルも含めてお示しすると、確かに、こういうことができたら、今までできそうだったけどできなかったなというところがあってとてもいいのかなと思いました。
 最後の1点、コンテンツについてです。そういうコンテンツがたくさん増えるような座組を作っていかなければいけないというコメントだけはありますけれども、本当に、皆さん、是非、想像していただきたいのは、2020年から50年の議論だと思いますが、もちろん全員が1人1台デバイスを持っています、クラウドにもつながっています、1人1人に寄り添った様々な学びと可能性になる、圧倒的にコンテンツが必要になると思います。コンテンツがなければ、先ほど幾つか御意見がありましたけれども、子供が何を使ってどのように育っていくのかが見えない。でも、これを今の時点で描き切るのはとても難しいと思いますが、子供が、全て先生とつながっていて、自分の夢が見つけやすくなったときに、子供はどんどんもっと前に進むのだと思います。そのことをこの座組、若しくはシステムでしっかり支えられるように、こういうことがあったらいい、こういうのが欲しいといったときに、作れる人、実現する人につながればいいだろうと思います。こういう関係性がうまく構築できればとてもいいなというふうに改めて思いました。
 以上です。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 大川委員、お願いします。

【大川委員】
 すばらしくコンパクトにいろいろなことが入っておりまして、本当に感銘を受けております。先ほどから各委員からありましたように、一番初めの目指すものをもうちょっとポジティブな感じに変えられるといいかなと、田中さんもおっしゃっていましたけれども、こうなっちゃうからやらなきゃねというトーンではなくて、幸せに生きようとか、例えば、グローバルな情報社会で幸せに生き抜く市民を作ろうとか、もうちょっとポジティブな言い方を入れると、方向性はみんなが賛同できるものになると思います。
 それと、ICTの活用というところと学習指導要領の改訂というキーワードが出ていますけれども、このキーワードで誤解を受けないようにしたいなと思うのが、今、教えているものにICTをどう活用するかということを考えているのではなくて、先ほど、奈須委員がおっしゃっていたように、ICTがあったときに、何をどういうふうに学んでいくのかということが、今まで一生懸命いろいろやってきたことなので、それが、ICTの活用と改訂という言葉で誤解を受けないように、もう少し本質的に学びを変える、アクティブ・ラーニングという言葉でも書いてありますが、それが本当に理解できているのか、それを本当に、本質的な学びをICTがあったときに変えられるんだというイメージをもうちょっと強く言えるといいと思いました。その2点です。
 あと、新井委員からもありましたけれども、「情報」という言葉が余り出てこないんです。情報社会ということが多分キーワードだと思うので、情報社会で、例えば、ICTの活用を促進するのではなくて、情報社会での学びを促進するんだというような、ちょっと変えていくんだというのではなくて、抜本的に社会が変わっているんだということも含めていただければと思います。
 ありがとうございました。

【清水座長】
 ありがとうございました。
 まだあるかもしれませんが、この辺で、本日の御発言を終了させていただきます。多分、発言し切れなかった点が多々あると思います。恐れ入りますが、28日月曜日まで、ワーキングデーでいったら翌日になるのですが、休日が十分ありますので、28日までにお願いしたいと思います。
 私から事務局に質問させていただきたいのですが、中間まとめは今ここでまとめようとしていますが、2020年に向けて、あるいは2020年代に向けて、実際にやっていく行程表のスケジュール感というのもあると思うんですが、その点について御紹介いただければと思います。

【磯課長】
 それでは、お答えいたします。済みません、いろいろと、特にビジョン系のところについては、やはり、もともと御指摘を受けておりましたけれども、この部分、今後、肉付けしていくところもあるということで、後ほどワーキングで御説明しますけれども、そういったことをお願いするワーキングも作ろうかと思っていますし、まだ、この点については、しっかりと、今、できることも考えていきたいと思います。
 清水座長から御指摘いただいた点ですけれども、ただ、さはさりながら、1つの目標次期として、2つあると思っています。1つは、これの懇談会の要綱にも書いておりますけれども、第3期の教育振興基本計画というところ。ここは、新たな計画を立てていかないといけないということですので、例えば、ビジョンですとか、あるいは計画ですとかというところが、1つの目標年度になってくるだろうということです。
 あと、もう1つ、やはり、次の指導要領の改訂というところがございまして、新たな学びということで様々今そちらの方で議論をされておりますので、そこの、要するに、実施時期、2020年というところから段階的に始まっていくのかなというふうに思われますけれども、そういったところが1つの目標年度。実際に何を整理していくかということについては、そこが1つの目標ということになってくるのかと思います。そういった選定でまた行程を考えていきたいと思っています。

【清水座長】
 どうもありがとうございました。
 本日の貴重な御意見、それから月曜日までということでお願いしました御意見を踏まえまして、事務局と私でよく相談して、2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会の中間取りまとめをまとめさせていただきたいと考えております。その過程で、委員の先生方には改めて確認をいただくということになりますが、非常に短時間でまとめるという作業でございますので、是非とも御協力、御指導いただきたく思います。
 最後に、今後の懇談会についてですけれども、第1回の懇談会におきまして、事務局よりWGを設置するという説明がありました。このWGにつきまして、事務局より簡単に御説明いただきたいと思います。

【磯課長】
 それでは、説明いたします。資料、課題検討体制(素案)とあります。もともと、済みません、スマートスクール構想ワーキング、教育情報化加速化ワーキングと学校地域連携のワーキングを設けようとしていたのですけれども、やはり、きょうの御指摘でも、子供がどう変わるのか、あるいはそもそもICT活用教育のイメージ、あるいはそこに必要な教材とかというところがまだまだ足りない、コンテンツも足りないという議論がございまして、そこを受けるワーキングがなかったものですから、基本問題検討ワーキングというのを設けてはどうかということで御提案をさせていただいております。さらに、スマートスクール構想検討ワーキング、こちらは学習系、校務系の連携、あるいは校務系そもそもの課題、あるいはセキュリティーというところ、これを議論していただければと。教育情報化加速化検討ワーキングについては、授業系、システム、ネット、Wi-Fiもありますし、ネットワーク、あるいは端末といったところを御議論いただければと思っております。主査・副主査につきましては、御了解いただく形で御提案をさせていただいております。スケジュール的には、7月末を当初から予定をしていますので、そこに向けてということでございますが、懇談会の方でも、中間でその状況を確認していただくですとか、あるいは最終のところはもちろん懇談会の方で御承認をいただく必要がありますので、そのような形で取り進めてはどうかと考えております。
 以上でございます。

【清水座長】
 ただいまの御説明でWGにつきまして、御質問等ございましたらお願いします。はい、どうぞ。

【磯課長】
 ここにいらっしゃる委員の方々にもそれぞれまた御相談、参加のお願いをさせていただきます。済みません、最後、大事なことを言い忘れました。失礼いたしました。

【清水座長】
 委員が依頼されましたら、積極的によろしくお願いいたしたいと思います。この3つのWGは非常にうまく構成されていますので、この検討会のまとめがうまく進むと思っております。
 御質問はなしということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、そろそろ時間が迫ってまいりましたので、最後に、堂故大臣政務官より一言お願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(9)堂故政務官よりご挨拶

 委員の皆様方には、本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございます。しかも、時間のない中での中間取りまとめへ向けての、土日も頂いて、まとめてということで、清水座長、またよろしくお願いします。
 それを受けまして、4月から3つのワーキングでもっと深めて、最終的にはこの教育の情報化、加速化プランとして文部科学省として取りまとめをして、しっかりと方向付けしていきたいと思っております。
 きょうも、本当に熱心にお話を聞きながら、最近、衝撃的な話がありましたが、囲碁のイ・セドル、世界最高の頭脳がITに負けたという、ちょっとショックだったんです。
 一方では、私、この役目を頂いてから、あちこちの先進的な学校現場を見させていただいて、今までの学校現場になかったようなITを使ってアクティブ・ラーニングというか、1人1人が生き生きと勉学している、これもすばらしい、まさにITを使って、理と情のバランスをとってこの社会を乗り切っていかなければいけないのではないのかなと、その思いを強くしながらいるわけです。
 一方で、私、市長をして、また、国会議員をさせていただいていますが、まだまだ国会議員の中で、あるいは首長の中での、財政のこともありますけれども、理解が足りないなと、また、国会議員や首長を通じて国民の皆さんにもっと理解いただかなければいけないなと、そんな計画にさせていただけたらなと思っておりますので、7月の予算取りに向けて頑張らせていただきたいと思いますので、今後とも委員の先生方の御支援を心からお願い申し上げます。本当にありがとうございました。

(10)その他

【清水座長】
 大臣政務官、本当にありがとうございました。力強い我々が力を得るような御挨拶を頂きまして、やる気というか、意欲が高まったと思います。
 以上をもちまして、第3回の懇談会を終了させていただきたいと思います。本日は、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成28年04月 --