2.命の大切さを学ばせる体験 35.長野県波田町立波田小学校

人や生き物に直に触れる活動の中で、「いのち」を感じ深める子どもの育成を目指して

【活動のポイント】

  • 地域の人々との交流や生き物と直に触れ合う体験等、子どもたちが「からだ」で「いのち」と向き合い、活動する中で、真の命の存在を実感し、受け継がれる命の不思議さや重さ、すばらしさに気づかせる。
  • 課題解決に迫るために、以下の5つの活動領域において体験活動を実施。
    • 1人と人との交流を通して「いのちの喜び」に触れる活動
    • 2動物飼育や植物栽培など生き物とのかかわりを通した「いのちの不思議さ」に触れる活動
    • 3いじめなど学級内の問題の解決を通した「いのちの大切さ」に触れる活動
    • 4校長講話により、一年を通して「いのちの輝かせ方」を追究する活動
    • 5道徳の資料などを通して「いのちの重さ」を考える活動

【活動内容(対象:1年生)】※2について

○朝顔の栽培を通した命にふれる活動

  • 朝顔の種に直接触れ合い、観察を行い、自分が考えた方法で撒いてみる。
    双葉の様子や本葉の成長など気が付いたことを観察カードに記入し、学習のまとめとして一年間の成長日記を絵巻物風に作成し、授業参観で保護者に発表する。
  • 朝顔を残すために、色水遊びやたたき染め、うちわ作りなどを行う。また、朝顔の命を残すために、根っこや種を残したり、リースを作って新たな命を吹き込んだりした。採取した種をお世話になった方々や新入生へのプレゼントにし、命のつながりについて考えさせた。

○鶏の飼育を通して命の大切さにふれる活動

  • 孵卵器を使って、卵を孵す温度・日数等の調査活動や卵の中の成長の様子の学習をしながら、ひよこを孵す活動を実施。何回かの失敗のあと、一羽が孵ったが、管理の不徹底から死なせてしまい、子どもたちは涙を流しながらひよことお別れをした。
  • 「今度はみんなで当番表を作ってしっかり世話をしよう」という子どもたちの思いから、再びひよこの飼育活動を始め、ひよこのぬくもりを通して、命への愛おしさを感じた。
  • 大きくなったひよこのための小屋作りや、餌やり・水かえ・清掃活動などを通して、命を育むための毎日続ける活動の大切さを実感し、責任感を身に付けた。

【体験活動の支援体制】

  • 重点研究部会を学年単位とし、日常の学習活動の中で子どもたちの意識や実態の変化を追っていく体制とした。また、子どもたちだけでは実施できない、大きな飼育小屋作りやベランダへの棚はりなどの活動は、参観日に保護者の方に手伝っていただくよう日程調整を行った。低学年においては、学習習慣支援教員との協力体制を整え、常に情報交換しながら支援していく。
  • 活動ごとに学習カードでの振り返りを行い、子どもが何に意欲を感じ、次への課題を持っているのかを丁寧に捉えるとともに、学習の終わりには子どもたち自身が、活動への思いや自分と友との関わりを振り返り、成長する自他を実感できるような支援を心がける。

【体験活動の成果と課題】

  • 植物や生き物の世話を通した体験活動では、子どもたちが「いのち」を世話し、預かる主体者としての意識が高まり、命の大切さや不思議さについて活動を通して実感できた。また、それぞれが自己を見つめ直すことができ、中には今までより登校時間が早くなるなど、学校へ来ることを楽しみにし、子ども自身が自分の命を輝かせる生活づくりにつながっている。
  • 飼育活動では予期せぬ課題(病気やけが、死など)が生じる。事前の準備計画を周到に行うことはもちろんであるが、突発的なトラブルにも対処できるよう、常に専門家との協力体制を整えていく必要がある。
    また、そうした事態に対する児童への向き合わせ方も大事に考えていく必要がある。

-- 登録:平成21年以前 --