2.命の大切さを学ばせる体験 36.長崎県立島原農業高等学校

動物を通して生命の大切さを学ばせる体験活動

【活動のポイント】

  • 農業科学科社会動物専攻の生徒たちの日頃の動物学習に関する成果の発表として、小学生が動物について学習するための出前事業を実施し、交流活動を通して、「生命の尊さ」や「優しい心」を持たせる。
  • ニワトリの孵化から解体実習までの一連の流れから、生命は何かということを体験的に学ぶ。
  • 動物を介して、人と人とのコミュニケーションを図り、世代を超えた交流ができるようにさせる。

【活動内容(対象:農業科学科社会動物専攻生)】

○出前授業

  • 小学校と高校の職員間の事前の打ち合わせで、1生命感(ぬくもり・優しさ)の教育、2動物の観察・発表、3異年齢交流という3つの目的を決定した上で、高校生に、小学生の年齢に応じた説明方法を考えさせる。
  • 生徒一人一人が、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ハムスター、ウサギ、ニワトリなど担当動物を決定し、その動物について学習させるとともに、生命誕生の瞬間や生命の死には極力生徒を立ち合わせることとした。
  • 学習の成果の発表として、生徒一人ずつが先生役となり、小学生の動物についての疑問や質問に応えつつ、グループで学習し、動物のことについて知るための手助けをする。
  • 各学校に動物を連れて行き、生徒が動物について説明した後、エサやり体験などで動物とふれあってもらい、動物とふれあうことにより小学生がどのような表情を見せるか、生徒たちに観察させた。実際に自らが体験していることから話をすると、自分たちの言葉で訴えることができ、小学生にも届きやすかった。例えばブタの場合、生まれてくるところから出荷までを体験しているため、生から死までを具体的に話すことができ、話を聞いた小学生が、「豚肉ちゃんと食べよう」と涙ながらに訴える姿には、小学校の校長・担任、担当生徒・高校職員も驚いた。

○科目「農業科学基礎」での生命教育−孵化・飼育・解体・試食−

  • 一人一個に卵を渡し、入卵から孵化育成と記録を取った。中には、我が子のように卵を気にしている生徒もいた。解体実習では自ら育てたニワトリの頸部を切開し、死を迎えさせるという苦しくて辛い経験を通じて、生命とは何かを理解させる。
  • 育てたニワトリの解体・試食の終了時に感想文を書かせ、生命とは何かを考えさせるとともに、生命は尊いものであり、一度失われた命は戻ることはないということを説明した。
  • その他、社会動物部の部活動として、小学生にヒツジの毛刈りや搾乳体験など、動物飼育体験活動をしてもらう「島農アニマルキッズ」や、地域の方々に向けた「学校動物園」を開催している。

【体験活動の支援体制】

  • 社会教育主事、校長、教員、福祉施設スタッフ、農協、牧場経営者等からなる学校支援委員会によって生徒の体験活動を支援している。

【体験活動の成果と課題】

  • 生命について多くの生徒がふれあうことができ、生命は呼吸し、温かみがあり、心臓が動いていることがよく理解できた。
  • 高校時のみでなく小中学生時に、生命が生まれる瞬間に対面させたいと感じた。

-- 登録:平成21年以前 --