2.社会奉仕体験 23.群馬県甘楽町立第二中学校

命の大切さを意識する生徒の育成−豊かな体験活動と道徳の授業との関連を図って−

【活動のポイント】

 命の大切さを学ばせる体験活動に着目し、それらの活動に取り組ませる過程や体験と関連を図った道徳の授業を通して、体験における「命に対する気付き」を内面化・実践化させ、命の大切さをより意識する感覚の育成を目指す。

【活動の内容(対象:1年生)】

 高齢者のデイサービス、給食、幼稚園、保育園、読み聞かせ、福祉作業所の6つのテーマごとの部会を設定し、生徒は活動内容を理解した上で部会を選択する。事前に、活動の精神を知るため、調べ学習を行ったり、疑似体験等を通して対象者の身体の様子を理解したりし、活動への意欲を持たせる。実際の活動は、町ボランティア協議会の方や、ボランティア各部会に指導していただく。

○デイサービス

 実際のデイサービスでは、高齢者の生活の補助や、着替えの手伝い、レクリエーションなどをさせていただき、高齢者の手の温かさから、命の大切さを感じることができた。

○幼稚園・保育園

 プールでの交流や食事の準備・片付け、歯磨き指導など、先生の手伝いを行った。先生達が子ども達から目を離さずに見守っていることが、命を大切にすることにつながっていると感じた。
 その他給食部会では一人暮らしの高齢者用のお弁当作りと配達、読み聞かせ部会では図書館や学童保育所での絵本の読み聞かせ、福祉作業所部会では知的障害者と作業に取り組んだ。
 活動後は「命の大切さの気付き」や「よりよい生き方」をワークシートに記録し、学年発表会で各自の考えや想いを共有させたり、毎年10月に学校行事として町の文化会館で行われる学習発表会で、保護者や地域の方々に体験活動で学んだことを報告したりして、「命の大切さ」を更に実感させた。
 体験活動で学んだ「気付き」を内面化・実践化させるために、道徳の時間の内容において、体験活動と関連の深い内容項目に重点を置き、充実を図った。1年生においては、高齢者との交流や奉仕活動で学んだ「生きる喜び」、人から必要とされることの喜びを命の大切さと関連づけて道徳の時間に活用する資料を選定した。

【体験活動の支援体制】

 校医、PTA会長、保育園園長、幼稚園主任教諭、町社会福祉協議会デイサービス主任、地域包括支援センター主任マネージャー、町ボランティア協議会会長、町老人クラブ会長等で学校支援委員会を構成し、体験活動が円滑に運べるよう支援協力体制をとっている。専門的なアドバイスをいただくとともに、体験活動の受け入れ先としても趣旨を理解していただき、充実した体験活動を実施できた。

【体験活動の成果と課題】

1成果

  • 事前と事後のアンケート結果において「命について深く考えた」、「死に対する恐怖心が増した」と回答する生徒が増加したことから、命の大切さをより実感できたと考える。
  • 体験活動後の道徳の授業内において、多様な視点で価値を深めるとともに、「命を大切にしよう」とする個人の心の変容が明らかになり、学級全体としての高まりも見られた。

2課題

  • 「命の大切さを意識する生徒」の育成については、幼児・高齢者・障害者など活動の対象者への関心のみにとどまる傾向が見られたので、引き続き、より幅広く自他を尊重する心を育成していく必要がある。

-- 登録:平成21年以前 --