2. 社会奉仕体験 21.山形県立北村山高等学校

「大空に千年桜の花が舞う」

【活動のポイント】

  • 社会貢献活動(ボランティア活動)の盛んな本校では、3年前から「千年桜計画」という独自のプロジェクト(「いのちの教育」の視点に立った広い意味の環境教育)をスタートさせている。
  • 今回、主に1年生を対象に、命の大切さを学ばせる体験活動を本校独自の「千年桜計画」に位置づけて実施することにより、生徒一人一人が「今ここに生かされてある」という認識を持てるようにする。
  • 命の大切さを学ばせる授業や課外活動、PTA活動等を実施し、その成果を公表するとともに、課題を明らかにし、改善する。

活動内容

1学校独自の地域貢献活動(ボランティア活動)を実施して、命の大切さを学ばせる。

  • 通学路・国道のゴミ拾い及び駅の清掃(1学年2回、2学年・3学年各1回)
  • 福祉施設の清掃や草むしり(3学年1回)
  • 尾花沢市立小中学校の花いっぱい運動の取組を踏まえ、本校でも通学路から昇降口までのアプローチにフラワーポットを置き、花を植栽して維持活動を行う。(春と秋は1学年全員、夏休み中は1学年の部活動の当番が交替で水掛けを行う。)

2地域と連携した活動を設定し、命の大切さを学ばせる。

  • 尾花沢市の「花の架け橋」(注1)活動に参加し、国道脇に花を植え、維持活動を行う(1~3学年各1回、生徒・教職員ボランティア数回)
    • (注1)国道13号線の花笠ドライブイン周辺の路側帯に花を植える運動。平成18年で5年目。毎年、6月中旬の日曜日の朝、たくさんの尾花沢市民が集まって花の植栽を行う。市が進めている「花いっぱい運動」の一環。
  • 尾花沢市の花笠祭りの翌日、地元の小中学校と共同で市内のゴミ拾いをする。(2学年1回)
  • 大石田町の「クリーンアップin最上川」に参加して、地元の小中学生と一緒に最上川の清掃活動を行う。(1学年秋1回、3学年春1回)
  • 尾花沢市及び大石田町の雪祭りにボランティアとして参加し、雪像作りや土台作りなどを行う。(1学年1回)

3各種団体等による体験活動を行って、命の大切さを学ばせる。

  • PTAの親子ボランティア活動(ゴミ拾い、カーブミラー磨きなど道路清掃、消防団分室の消防ポンプ小屋のペンキ塗りなど)を実施する。(夏休みに各地区PTA1回)
  • 本校のボランティアサークル(注2)による活動を実施する。(福祉施設訪問は週1回、清掃活動等は適宜)
    • (注2)「KVC(イコールKITAMURAYAMA VOLUNTEER CIRCLE)」といい、奉仕活動のみを行うサークル組織。
  • 部活動によるボランティア活動を実施する。(各部活動において長期休業中を中心に、清掃活動や除雪作業を行う)
  • 教職員による通学路等のゴミ拾いを行う。(2回)
  • 家庭クラブによる福祉施設訪問を行って、介護体験を行う。(2学年1回)

4教科等における取組により命の大切さを学ばせる体験活動を支援する。

  • 生物の授業では、普通のソメイヨシノと薬師桜のオシベの数を比較検討する授業を行って、生命の秘密について考えた。
  • 国語の授業では、桜を主題にした俳句を詠んだり、桜を題材にした和歌を鑑賞したりして、日本人の命に対する考え方を学んだ。
  • 生徒会行事の作文コンクールでは「命」を主題にしたものが第一席となるなど、考えの深まりが見られた。

5社会貢献活動強化週間(注3)を設けて、6日間毎日、一日一善をモットーに、地域社会や困っている人に無償で奉仕する活動を行う。(うち一日は生徒会主催ボランティアを実施した。)

  • (注3) 昨年度末の総括会議において「生徒の意欲を高めるためにボランティア活動のメニューを選択制にしてはどうか」という提案がなされた。それを受けて今年度は次の二つの取組を行った。
     第一に、学年ボランティア活動ではグループごとに活動を選択し、学年で調整した後で実施した。
     第二に、夏季休業の後に「社会貢献活動強化週間」(8月22日~8月28日)を設け、個人や部活動等によるボランティア活動を奨励したことである。この週間中は、学校は原則として休業日となり、その中で個人や部活動ごとの貢献活動を実施した。
     部での活動は、市の体育・文化施設等の清掃や公園・道路のゴミ拾い・清掃、学校で普段清掃しない箇所の清掃、などであり、個人での活動は、地域行事(夏祭り)等への参加や翌日の片付け、親子ボランティアへの参加、福祉施設への訪問などである。個人での活動については、毎日の活動の記録を提出することを義務付けるとともに、創造的に取り組んでいるよい事例であれば、生徒に紹介するなどして還元している。

体験活動の支援体制

 学校支援委員会は、地域企業の代表者や尾花沢市の中学校長、元補導官など総勢12名で構成(すべて学校外の関係者)。本研究を中心とした学校の取組について、広く意見を聴取した。

体験活動の成果と課題

1成果

  • 社会貢献活動強化週間では、200名を超す部活動の生徒が一斉に学校内外の施設15ヶ所に分かれて活動するという日もあり、日ごろ活用させてもらっている市体育館等を熱心に清掃した。「心が洗われる気がした」「感謝の気持ちを込めて掃除した」などが生徒の生の感想である。自己肯定感、有用感の高揚に大いに効果があった。
  • 「千年桜計画」を踏まえた、保健委員会のゴミ減量化運動や地域貢献活動が高く評価され、平成17年度は「環境やまがた大賞」を、18年度は時事通信社主催の「教育奨励賞努力賞」を受賞した。

2課題

  • 学校支援委員会から「学校がこんなに頑張っているのに、地域の人が手をこまねいていいものか」というありがたい声をいただいたので、今年度は地域の人と一緒に取り組める活動を計画したが、参加態勢ではまだまだ努力すべき点がある。
  • 社会貢献活動強化週間は、まだ緒に就いたばかりという感もあるが、ボランティア体験を自分のものとし、内面化させるために、次年度以降も継続を図っていきたい。

【全体の指導計画(1年生)】

学年等 体験活動の種類・内容 期間・日数
単位時間数
教育課程上の位置付け 活動の場所 活動対象 指導者
1学年 ゴミ拾い・清掃活動 4月25日 1日
3時間
総合的な学習の時間 通学路・国道・駅 全員 教員
1学年 花壇への花の植栽 6月23日 1日
3時間
総合的な学習の時間 校庭 全員 教員
1学年 花の水掛け 6月26日~ 13日
0.3時間(15分)
特別活動 校庭 全員 教員
1学年 フラワーポットへの花の植栽 7月12日 1日
3時間
総合的な学習の時間 校庭 全員 教員
1学年 花の水掛け 7月13日~ 7日
0.3時間(15分)
特別活動 校庭 全員 教員
1学年 花の水掛け 7月24日~ 19日
0.3時間(15分)
なし 校庭 各部活動当番 教員
1学年 花の水掛け 8月21日~ 35日
0.3時間(15分)
特別活動 校庭 全員 教員
1学年 ゴミ拾い・清掃活動
(「花の架け橋」ボランティア)
10月13日 1日
3時間
総合的な学習の時間 通学路・国道・駅 全員 教員
市職員
1学年 ゴミ拾い・清掃活動
(「最上川クリーンアップ作戦」ボランティア)
10月13日 1日
3時間
総合的な学習の時間 最上川 全員 教員
町職員
1学年 「千年桜計画」庭園整備 11月1日 1日
3時間
総合的な学習の時間 校庭 全員 教員
保護者
同窓会
1学年 雪祭り会場設営 2月9日 1日
6時間
総合的な学習の時間 尾花沢市文化体育施設 地元出身数十名 教員
市職員
1学年 雪灯篭製作 2月9日 1日
6時間
総合的な学習の時間 駅・大石田町道路 上記を除く全員 教員
町職員

-- 登録:平成21年以前 --