5.児童生徒の発達の支援

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(1) 発達の段階を踏まえた指導の充実

② 中学校

 中学校段階は小学校段階と比べ心身の発達上の変化が著しく、また、生徒の能力・適性、興味・関心等の多様化が一層進展するとともに、内面的な成熟へと進み、性的にも成熟し、知的な面では抽象的、論理的思考が発達するとともに社会性なども発達してきます。成長が著しい時期に当たるため、学年による生徒の発達の段階の差に留意する必要があります。一方、個々の生徒の発達の個人差も目立つ時期であり、自我意識が高まるとともに個性が多様化してくる時期でもあります。

 このように、発達の段階に応じて多様化する課題に対して、各中学校ではこれまでも生徒指導主事、進路指導主事等の校務分掌を担当する教員を中心に、生徒一人一人の発達をきめ細かに支える熱心な取組が展開されてきたところです。今後は、カリキュラム・マネジメントを軸としながら、各学校が直面する課題にどのように対応し、子供たちにどのような資質・能力を育むことを目指すのかを、学校の教育目標や育成を目指す資質・能力として明確にし、全ての教職員や地域が課題や目標を共有して対応していくことが重要になります。また、各学校が行う進路指導や生徒指導、学習指導等の意義を、子供たちの発達を支え、資質・能力を育成するという観点から捉え直すことにより、更なる効果的な取組の充実を図っていくことが求められます。 [脚注1]

 また、中学生の時期は、生徒自身の興味・関心に応じて、部活動などの教育課程外の学校教育活動や、地域の教育活動など、生徒による自主的・自発的な活動が多様化していく段階にあります。少子化や核家族化が進む中にあって、中学生が学校外の様々な活動に参加することは、ともすれば学校生活にとどまりがちな生徒の生活の場を地域社会に広げ、幅広い視野に立って自らのキャリア形成を考える機会となることも期待されます。

 このように、教育課程外の学校教育活動や地域主体の教育活動と、教育課程とを有機的に関連付けていくことは、生徒に多様な学びや経験の場を保障し、一人一人が多様な分野の学びや社会とのつながりを実感しながら、自分の興味・関心を深く追究する機会を実現し、人生を切り拓いていくために必要な資質・能力を身に付けていくことにつながります。そのためには、「社会に開かれた教育課程」の理念の下、学校と家庭、地域が、生徒にどのような資質・能力を育成することを目指すのかという教育目標を共有しながら、それぞれの役割を認識し、共有した目標に向かって、共に活動する協働関係を築いていくことが重要です。

脚注

  • [1]平成28年答申p.99