4.教育課程の実施と学習評価

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(1) 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善

② 言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力の育成のための活動の充実

 学習指導要領では、児童生徒の発達の段階を考慮し、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう、各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとされており、その充実を図ることが必要です。 [脚注1]

 言語能力・情報活用能力の育成のための活動について、学習指導要領においては以下のとおり示しています。 [脚注2]

 (略)言語能力の育成を図るため、各学校において必要な言語環境を整えるとともに、国語科を要としつつ各教科(・科目)等の特質に応じて、児童(生徒)の言語活動を充実すること。あわせて、(略)読書活動を充実すること。

 (略)情報活用能力の育成を図るため、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また、各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。(略)

 国内外の学力調査によれば、国内においては都道府県間の平均正答率の相対的な差が縮まってきており、学力の地域差の縮小が図られていること、数学や科学に関するリテラシーが引き続き世界トップレベルであることなどが明らかになっています。一方で、国際的な比較によれば、我が国の児童生徒は、複数の文書や資料から情報を読み取って、根拠を明確にして自分の考えを書くことや、テキスト(インターネット上にあるデジタルテキストや情報等を含む。)や資料自体の質や信ぴょう性を評価することなど、言語能力や情報活用能力に課題が見られます。 [脚注3]

 言語能力については、まず、教科学習の主たる教材である教科書を含む多様なテキスト及びグラフや図表等の各種資料を適切に読み取る力を、各教科等を通じて育成することが重要です。その際、教材自体についても、資料の内容を適切に読み取れるような工夫を施す必要があります。また、判断の根拠や理由を明確にしながら自分の考えを述べる力を身に付けさせることも必要ですが、そのためには、レポートや論文等の形式で課題を分析し、論理立てて主張をまとめることも重要です。

 コンピュータ等の情報手段を適切に用いて情報を得たり、情報を整理・比較したり、得られた情報を分かりやすく発信・伝達したりといったことができる力、このような学習活動を遂行する上で必要となる情報手段の基本的な操作の習得を含めた情報活用能力を育成することも重要です。

 各教科等におけるICT活用を充実させるためにも、とりわけ小学校学習指導要領の総則に規定されている「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」を確実に実施するとともに、各学校段階を通して、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることが必要です。

 問題発見・解決能力については、各教科等において、物事の中から問題を見いだし、その問題を定義し解決の方向性を決定し、解決方法を探して計画を立て、結果を予測しながら実行し、振り返って次の問題発見・解決につなげていく過程を重視した深い学びの実現を図ることを通じて、各教科等のそれぞれの分野における問題の発見・解決に必要な力を身に付けられるようにするとともに、総合的な学習(探究)の時間における横断的・総合的な探究課題や、特別活動における集団や自己の生活上の課題に取り組むことなどを通じて、各教科等で身に付けた力を統合的に活用できるようにすることが重要です。

 各学校においては、児童生徒や学校、地域の実態を適切に把握した上で、教育の目標を明確化し、教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成や、教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習の推進など、教科等間のつながりを意識して教育課程を編成・実施することが重要です。

脚注

  • [1]小学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第2の2の(1),中学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第2の2の(1),高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章第2款の2の(1)
  • [2]小学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第3の1の(2)及び(3),中学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第3の1の(2)及び(3),高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章第3款の1の(2)及び(3)
  • [3]教育課程部会における審議のまとめp.9