令和3年度全国学力・学習状況調査の調査結果に関する萩生田文部科学大臣コメント

令和3年8月31日


 本日、令和3年度全国学力・学習状況調査の調査結果を公表いたしました。

 2年ぶりとなった今回の調査は、新型コロナウイルス感染症の影響下での実施となりましたが、各教育委員会及び学校等におかれては、後日実施の仕組みも活用いただき、大きな混乱なく実施できたものと認識しております。感染症対策を徹底されながら、本調査の実施に御協力いただきましたことに、心より感謝申し上げます。

 今年度の教科調査は、国語、算数・数学について実施し、小学校については新学習指導要領が全面実施されてから初めての調査でした。
 教科調査結果を概観すると、改善の傾向が見られたものがある一方、依然として課題が認められるものがありました。具体的には、複数の文章や資料等を結び付けて必要な情報を見付けることや、日常の事象を表、式、グラフなどを用いて数学的に解釈したり説明したりすることなどに課題があることが明らかになっています。

 また、学校及び児童生徒への質問紙調査の結果からは、
①新学習指導要領に基づく主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に関する取組が引き続き進んでいること、
②ICTを活用した学習状況については、ICT機器の学習における活用が進みつつあるが、教職員と児童生徒がやりとりする場面ではまだ取組が十分ではないこと、一方で、児童生徒の学習におけるICT機器の活用への期待は非常に高いこと、
③新型コロナウイルス感染症の影響については、学校の臨時休業期間終了後の対応として、児童生徒の心身の状況や学習状況の把握、長期休業期間の短縮、補習の実施等、児童生徒の学びを保障するための懸命な取組が各学校等において行われていたこと、
④過年度と比較して、児童生徒の心理面に様々な変化が見られることや、特に校外における教員の研究会等への参加の機会や地域とのかかわりが減少していること
 などが明らかになっています。

 各教育委員会及び学校等におかれては、本調査結果を十分活用して、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立すること、また、学校における教育指導の充実や学習状況の改善に役立てていただくようお願いいたします。
 また、各教育委員会におかれては、首長部局等としっかりと連携を図り、児童生徒の学習環境の充実・支援に取り組んでいただくとともに、特に課題が見られる学校に対して、積極的に支援に努めていただくようお願いいたします。

 なお、調査結果の公表に関しては、教育委員会や学校が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすことが重要である一方、調査で測定できるのは学力の特定の一部分であること、また、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえ、序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響に十分配慮を行っていただくようお願いいたします。

 文部科学省としては、児童生徒の学力・学習状況の更なる向上・改善等を図るため、
①新学習指導要領の趣旨の周知・徹底や調査研究の実施、調査結果を受けた指導改善に資する情報提供、オンラインも活用した教職員研修の充実等、新学習指導要領の着実な実施
②1人1台端末の円滑な利活用の促進やGIGA StuDX推進チームによる情報発信、ICT環境の整備・活用に関する外部人材の活用等による支援、ICT活用に関する教員養成・研修の充実等、GIGAスクール構想の実現のためのハード・ソフト・人材一体となった学びの環境整備
③児童生徒の心のケアや感染予防対策を踏まえた職場見学、職場体験活動、地域との連携による多様な体験・交流活動の充実等、児童生徒の豊かな心をはぐくむための取組の推進
④小学校の教科担任制の推進や35人学級の計画的な整備、支援スタッフの充実等による働き方改革の推進等、新しい時代の学びに向けた教師等の指導体制の環境整備
等の取組を学校、教育委員会等の関係者と連携・協力して推進してまいります。

 最後に、新型コロナウイルス感染症の影響下において、児童生徒の学びのために日々最善を尽くされている教職員の皆様方に対し、改めて、心から敬意を表するとともに感謝申し上げます。文部科学省として、引き続き、学校や教育委員会等への支援を全力で行ってまいります。教職員の皆様方の御理解・御協力を心よりお願いいたします。
 

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