規制改革の推進に関する第1次答申(抄)

平成13年12月11日
総合規制改革会議

4  教育

  【具体的施策】
(6)   初等中等教育における評価と選択の促進
   学校教育に対する社会的なニーズの多様化に対応し、画一的と批判される公立学校システムの多様化と質向上を推し進めるためには、公立学校間の特色が比較され、保護者や児童生徒によって学校が選ばれる環境を作り出すことも一つの重要な方法と考える。
 公立小中学校においては、各学校ごとに通学区域が定められているが近年、通学区域の弾力化を行い、保護者の選択により通学する学校を選ぶことができるようにする動きがみられる。
 一方、このように教育に対する選択の機会が拡大している中で、児童生徒や保護者の選択に際して適切な情報が提供されていないのではないかと考える。すなわち、学校を選択しようとする際には、当然ながら学校についての教育目標、特色に関する十分な情報が提供されている必要があり、適切な情報がない中で保護者間での評判や風評、あるいは学校施設の新しさなどで選択しているという実態は好ましくないであろう。

  学校選択制度の導入推進
  (ア)   保護者や児童生徒の希望に基づく就学校の指定の促進【平成14年度中に措置】
   保護者や児童生徒の希望に基づく就学校の選択を適切に促進する観点から、各市町村教育委員会の判断により学校選択制を導入できることを明確にし、さらに学校選択制を導入した市町村にあっては、あらかじめ選択できる学校の名称を保護者や児童生徒に示し、その中から就学する学校を選択するための手続等を明確にするような観点から、関係法令を見直すべきである。

 公立小中学校において、保護者や児童生徒が通学する学校を希望するという学校選択制については、これまでは、導入市町村は一部にとどまっていたが、近年その数が拡大しつつある。
 しかしながら、学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)第5条には、児童生徒の住所地の市町村教育委員会が就学すべき小学校又は中学校を指定するとされているだけで、学校選択制について規定した条文は存在せず、根拠が明確でないという意見も一部にある。
 もちろん、保護者や児童生徒が就学しようとする学校について特段の意思表示をしない場合や特定の学校に希望が集中する場合も考えられることから、学校選択制を採った市町村教育委員会においては、学校選択制の下で適切な学校運営ができるように、市町村教育委員会自らが指定したり、必要に応じて選択結果を調整することも必要であろう。
 なお、選択肢の提供の方針・方法や希望の結果として調整の必要が生じた場合の調整の方針・方法は、各市町村の事情を踏まえて決定されるべきであるが、それらについては明示的に情報開示を行うことが必要である。

(イ)   就学校の変更要件の明確化【平成14年度中に措置】
   学校選択制を導入していない市町村にあっても、指定された就学校の変更を保護者や児童生徒が希望する場合の要件や手続等について、各市町村において明確にするよう、関係法令を見直すべきである。

 学校教育法施行令第8条においては、当該市町村において学校選択制を採用していない場合も含めて、就学校の変更手続について定めているが「相当と認めた、とき」という漠然とした規定になっていることから、各市町村によってその判断がまちまちとなっている。また、同一の市町村内においても、認められたり認められなかったりする場合があると指摘する声も聴かれるなど、運用が不透明であるのではないかとも考える。
 このような状況を踏まえ、今後、学校選択制を導入する市町村が増加していくと予測される中、必要な手続の整備等を中心に関係法令の見直しを行うべきである。

前のページへ 次のページへ


 

-- 登録:平成21年以前 --