2.就学校の指定変更[許可事由の見直し・拡大]

(17)学区外及び区域外就学事務取扱要綱に定める学区外就学許可事由の見直し(千葉県市原市)

1   見直しの概要
   個々の児童・生徒によりよい教育の場を提供するという観点から、近年進む家庭環境の複雑化や転校によるいじめ・不登校等への不安感などに配慮し、現行の通学区域制度を維持しつつ、個々の児童・生徒の具体的な事情に即した教育機会の平等性を図るため、平成12年に、市原市学区外及び区域外就学事務取扱要綱第4条に定める学区外(区域外)就学許可事由を、それまでの7項目から17項目へと拡充する改正を行った。
 特に転居による学区外就学許可対象学年範囲・許可期間を緩和し、児童・生徒の心情や学習の進捗状況、制服・学用品等の保護者の経済的負担を鑑みた内容へと改正した。

2   見直しの背景・内容
   それまでの要綱においては、転居に伴う学区外許可期間が小学校の場合は6年生のみ卒業まで、1~5年生については当該学期末までの許可期間であったが、保護者からは、区切りのいい学年初めから新しい学校へ転校したいという要望が多く、6年生とそれ以外の兄弟がいる場合兄弟間で許可期間が違ってしまうという問題等もあり、6年生以外の学年についても許可期間を最長で学年末まで延長することとした。
 なお、小学校のうち隣接する学区への転居の場合、距離的には現在通学している学校とさほど変わらない場合が多く、通学に支障のない範囲において、児童の友人関係などの心情を考慮し、許可期間を卒業まで延長することとした。
 また、中学校についても、3年生のみ卒業まで、1年生・2年生については当該学期末までの許可期間であったが、保護者から転校により新たに必要となる制服・通学カバン等経済的な負担や、受験・非行・いじめ等への不安感を抱きやすい年頃でもある生徒への環境の変化による影響を懸念し、全学年卒業までとした。
 
  転居理由による許可対象学年範囲・許可期間
((注)いずれも通学面に支障がない場合)
従前 改正後
小学校 卒業学年のみ学年末以外は学期末 全学年最長学年末まで隣接学区への転居の場合は卒業まで可 (注)
中学校 卒業学年のみ学年末以外は学期末 全学年卒業まで可 (注)

3   見直しの手続き
   市原市では、通学区域見直しの要望に対しては、地域との十分な協議をしながら、諮問機関「通学区域調整委員会」に諮り、学区の変更や、指定校変更ができる区域「許可学区」の指定を行うなどの対応を図っている。
 平成12年の許可項目の見直しに際しても、学識経験者・小中学校長・町会代表・PTA代表から構成される「通学区域調整委員会」に諮問し、より市原市の実情に即した中身となるよう、「通学区域制度の弾力的運用」について検討を行った。

4   見直しによるメリット・デメリット及び今後の課題
 
(メリット)
 保護者にとっては、生活スタイルに合わせた就学機会が増え、利便性が向上した。
 子どもにとっては、年度途中転校による「学習面の進捗状況の差・遠足運動会等学校行事への不参加・友人関係」という問題を受ける件数が減少した。
(デメリット)
 保護者からは、更なる自由度を増した「学区外就学許可基準」を要望する傾向が強くなった。(部活動理由・単純に通学距離を理由としたもの・在籍していた小学校区の中学校に行きたい・通っていた幼稚園の近くの小学校へ入学したい等)
 子どもにとっては、居住している地区の子供会などの地域コミュニティとのかかわりが薄れる傾向にある。
(今後の課題)
 更なる学区自由化の動きの中では、広域であり都市部と過疎部の両方を抱えているという市原市の地域性を十分考慮し、現行の通学区域制度は維持しながら、義務教育の根幹である「教育機会の均等」という視点に立った上で、「通学区域制度の弾力的運用」の範囲内において、子どもたち・保護者・地域の要望に応えていく必要があると考える。

5   拡充した学区外就学許可事由の内容
  (市原市教育委員会ホームページより)

 
《学区外(区域外)通学許可申請》
 市立小学校・中学校の学区については別表(小学校・中学校の通学区域一覧)に定めるとおりですが、特別な事情により学区以外の学校への通学を希望する場合には、学区外通学許可の申請が必要になります。
 学区外通学が許可となる理由は主に下記の表のとおりです。ただし、いずれも通学の安全上支障がないことが条件となります。
 また、理由によって提出する証明書類等が異なりますので、詳細については下記担当課までお問い合わせくださいください。
★申請受付・問合せ先学校教育課 0436-23-9848(直通)
許可できる理由 許可期間
1  小学校の学年途中に転居等した際に、現在の学校に引き続き通学する。 学年末まで
2  小学校の隣接する学区へ転居等した際に、現在の学校に引き続き通学する。 小学校卒業まで
3  中学校在籍途中に転居等した際に、現在の学校に引き続き通学する。 中学校卒業まで
4  公共事業による代替地に転居した際に、現在の学校に引き続き通学する。 卒業まで
5  転居予定先の学区の学校へ、転居する前から通学する。 転居完了まで
6  住居の改築などで、一時的に学区外に転居するが、現在の学校に引き続き通学する。 改築完了まで
7  共働き等しているため、学区外の学童保育を実施している学校に通学する。 当該年度末(毎年更新要)
8  共働き等しているため、学区外の預託する親戚等または勤務先のある学区の学校に通学する。 当該年度末(毎年更新要)
9  当表1~17に該当するいずれかの理由により兄弟姉妹が学区外の学校に通学している場合に、その兄弟姉妹と同じ学校に通学する。 当該兄弟姉妹の卒業まで
10  許可学区に指定された地区に居住している場合に、許可された学校に通学する。 卒業まで
11  事情により、現在の居住地に住民登録ができない場合に、実際に居住している学区の学校に通学する。 委員会の認める期間
12  特殊学級のある学校へ通学する。 卒業まで
13  心身に著しい疾患があり、転居等による転校に支障がある場合に現在の学校に引き続き通学する。 疾患が解消するまで
14  地理的条件により、指定された学校に通学するのが困難な場合に、平易に通学できる学校に通学する。(距離だけを理由にした申請には応じられない場合があります) 卒業まで
15  転居等により学区が変わったが、過去に長期欠席があるなど、性格・精神の状態から転校に支障があると認められる場合に、現在の学校に引き続き通学する。 必要な期間
16  いじめや、精神の状態による不登校などで、転校することによって改善がのぞめる場合に、学区外の学校に通学する。 必要な期間
17  その他教育委員会が特に必要と認める場合。 必要な期間
 なお、特に11~17の理由に該当する申請の場合は、必ず事前に学校教育課までご相談ください。

本事例の問い合わせ先
市原市教育委員会 学校教育課
電話 0436-23-9848


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