2.就学校の指定変更[保護者が共働きであるための指定校変更]

(10)留守家庭を理由とする指定変更(山形県米沢市)

1   指定校変更の許可理由等
   本市における通学区域の弾力的運用については、「米沢市立小学校・中学校通学区域等に関する規則」第5条の特に必要と認める場合として、次の基準により行っている。
 
第5条(学区指定の変更)
   委員会が特に必要と認めた場合は、前各条の規定にかかわらず、通学区域外の学校を指定することができる。
 
1  留守家庭
   両親共働き又は母(父)子家庭で日中留守になる家庭の場合(預け先の地区にある学校に限り許可)
2  転居予定
   住宅新築、購入等により1年以内に転居予定の場合
3  身体的理由
   身体虚弱、心身障害等の理由により、就学校への就学が困難で、保護者からの希望があった場合
4  最終学年
   最終学年で現在の学校で卒業を希望する場合
5  学校不適応
   児童・生徒が対人関係等の事情で、他の学校への就学を希望している場合
6  その他
   上記以外に特別な事情がある場合
許可の期限は、毎年3月31日までとし、引き続き学区外通学を希望する場合は、再度申請をしてもらっている。
   学区外通学許可については、「学区外通学許可申請書」と「在籍校長の意見書(未就学児の場合は不要)」の書類審査をして受理し、内部決裁によって許可決定となる。その許可については、前記基準の15に該当している場合は原則として認め、それ以外の場合は内部検討して問題がなければ許可する。
 今回の留守家庭による事例(前記1該当)では、保護者の職業上等の理由により、児童生徒が下校後、面倒を見る家族が誰もいない場合、その時間帯に保護者の実家あるいは学童保育へ預け、後で保護者が迎えに行くというものである。
 特に低学年児童は帰宅後寂しい思いをさせないようにすることと、寒冷地であるため冬の暖房機による火の管理や見知らぬ人の訪問の対応などを考えて、安全で安心できる場所である親の実家あるいは学童保育のある学区の学校について認めている。

2   事情等
   留守家庭のため指定変更する事例としても、様々なケースがあるので、その中でも代表的な事例を3つほどあげさせていただく。
 
【事例1】 親の実家のある校区の学校への指定変更
  *S小学校へ学区外通学。2学年。指定校はR小学校。
   両親共に働いており、また祖母が高齢で通院治療のため、日中自宅は留守になる。R小学校区内は学童保育がないため、1学年より母方の実家のあるS小学校への通学を希望し、保護者から学区外通学許可の申請がなされた。書類審査のうえ、児童の下校後の安全確保の面や、実家までの送迎は保護者が責任を持って行うとのことから学区外通学を許可した。
 なお、2学年進級時も継続してS小学校への学区外通学許可申請が出されたため同様に許可した。
【事例2】 学童保育がある学校への指定変更(原則的な例として、指定校区に学童保育がない場合)
  *M小学校へ学区外通学。3学年。指定校はS小学校。
   母子家庭で、母が会社に勤めている。勤務時間が8時から4時半までである。母方の祖父母と同居しているが、各自仕事を持っているので自宅は留守になる。本来通学すべき学校区域には学童保育がないので、S小学校の校区と隣接し、自宅からも近いM小学校区の学童保育へ入れたいので、M小学校への通学許可を希望している。通学方法は、通学班の集合場所まで母が送る。
 M小学校長による意見書も同様の内容であり、M小学校への通学は家庭環境上、やむを得ないものと判断し、申請を認めた。
【事例3】 学童保育がある学校への指定変更(特例として、指定校区に学童保育がある場合)
  *H小学校へ学区外通学。就学児。指定校はS小学校。
   本市では、学童保育に預けた場合について、原則として指定校区に学童保育がない場合に限り、学区外通学を認めている。しかし、この事例では、指定校のS小学校区内にも学童保育があるが、学区外通学許可を認めた特別な場合の事例である。
 両親が共稼ぎのため、日中は留守家庭になる。共に不規則勤務のため、勤務の合い間を見つけての迎えになる。また、父親が眼の疾病で、次回の自動車運転免許証の更新が可能かどうか、はっきりしない状況にあり、更新できない場合は徒歩で迎えに行くことになる。これらの理由により、迎えに行きやすく、両親の勤務先近くのH小学校区の学童保育を強く希望している。そして、学童保育へは親が責任を持って迎えに行くとのことである。
 これは、両親の不規則な時差勤務、その他の事情を考慮すると、両親の勤務先に近いH小学校区の学童保育に入ってもらい、H小学校へ通学させた方が児童の安全面や両親の負担軽減を考えた場合、妥当であると判断し許可した。
 また、学区外通学について保護者が町内会の方と話をした結果、理解も得ているので、様々な地域とのかかわり合いについても問題はないものと思われる。

3   実績と傾向
   平成17年度中(平成17年11月24日現在)に就学校の変更を行った事例は、小学校134件、中学校63件あり、合わせて197件となっており、そのうち、留守家庭により親の実家又は学童保育がある学区の学校を希望する指定変更は、80件(内訳:小学校70件・中学校10件)で、全体の約41パーセントを占めている。
 また、平成10年度からの許可件数全体の推移は、増加傾向にあり、昨年度は平成15年度比が約7パーセントの減となったが、今年度の前年同期を見ると横ばい状態である。
 年々増加していたのが、やや減少となったのは、少子化による児童生徒数の減少などが影響しているのではないかと思われる。

4   制度の周知方法
   学区外通学は、やむを得ない事情により認めているという関係上、広報誌による周知は現在していないが、申請書の用紙は各小中学校にも置いてある。また、年度毎の更新のため、指定変更が必要な場合には2月頃に、申請書を提出するよう学校を通して保護者に確認を依頼している。

  <指定変更手続きの流れ>
 

本事例の問い合わせ
米沢市教育委員会 学校教育課
電話 0238-22-5111


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-- 登録:平成21年以前 --