1 |
制度の概要 |
|
(1) |
基本的な考え方 |
|
この制度は、大垣市の教育改革を推進するため設置した大垣市教育懇話会「校区の弾力化に関する特別委員会」において検討され、下記の基本的な考え方を基にした弾力的な運用である。 |
|
学校教育は家庭・地域の教育力との一体化が不可欠である。特色ある学校づくりや学校の活性化を図ることを目的に次の各項を基本とする。 |
「現行の通学区域制度は維持する」
「地域の実情に配慮する」
「公平な運用をする」
「学校規模の適正化に配慮する」 |
|
|
(2) |
基準 |
|
幹線道路網の整備や宅地造成などにより、現行の通学校より条件がよい学校が生じたり、1小学校から複数の中学校に分かれて通学するなど、既存の通学区域の弊害が生じてきている。そのため、各校の地域の実情を考慮し、教育委員会においてあらかじめ調整区域を定め、定められた複数の許可校が選択できるようにするものである。 |
|
 |
調整区域について |
|
・ |
1小学校から複数の中学校に分かれて進学する地域 |
・ |
通学距離が指定学校より他の学校の方が近くにある地域 |
・ |
自治会活動と校区が異なる地域 |
これらの区域に住所を有し、地域やPTAの総意等がある場合は検討し、調整区域として設定し弾力化を検討する。 |
 |
この制度は、大垣市立小中学校の通学区域を定める規則の一部を改正し、平成12年11月1日から実施されている。 |
|
(3) |
大垣市立安井小学校における中学校通学区域の弾力化 |
|
安井小学校は、もとより3中学校(小学校の北に位置する東中学校、西に位置する南中学校、南に位置する江並中学校)へ分かれて進学していた学校であり、幹線道路の整備等による状況の変化や、地域やPTAの要望があって調整区域に設定した区域である。
小学校は約700人規模の学校であり、進学時に上記の3校を選択できることとした。経過は以下のとおりである。 |
|
 |
平成12年度入学者対象に第1回目の試行を実施した。
安井小学校区において東中学校と江並中学校に指定されている地域の児童を対象に2校の選択を行った。(東中指定校区の児童は東中学校または南中学校、江並中学校指定校区の児童は江並中学校または南中学校) |
 |
平成13年度入学者からは、安井小学校卒業生は東中学校、南中学校、江並中学校の3校から自由選択ができるようにした。 |
|
|
2 |
事務の流れ-大垣市立安井小学校の例- |
|
時期 |
内容 |
場所 |
担当 |
10月初旬 |
教育委員会事務局と安井小学校との打ち合わせ |
安井小学校 |
市教委担当 |
10月中旬 |
小学校と3中学校の打ち合わせ |
安井小学校 |
関係学校と市教委担当 |
11月中旬 |
保護者と児童への説明会(注)
※3中学校の紹介 |
安井小学校 |
関係学校と市教委担当 |
11月下旬 |
3中学校の参観(授業及び部活動等) |
3中学校 |
3中学校 |
12月初旬 |
申請書の提出(安井小学校へ)1週間以内 |
安井小学校 |
安井小学校 |
12月中旬 |
変更期間(変更申請書提出)1週間以内 |
安井小学校 |
安井小学校 |
12月末日 |
進学先名簿一覧表作成 |
|
安井小学校 |
1月初旬 |
中学校入学説明会案内送付
入学通知書送付 |
|
3中学校市教委 |
2月初旬 |
中学校入学説明会 |
|
3中学校 |
|
|
(注) |
説明会(11月中旬)の内容と流れ |
|
校長挨拶-教育委員会から弾力化についての説明-3中学校の学校説明(プレゼンテーション)-申請までの手続き説明-質疑応答 |
|
3 |
実績と傾向 |
|
(1) |
実績-大垣市立安井小学校の例- |
|
入学年度 |
12年度 |
13年度 |
14年度 |
15年度 |
16年度 |
17年度 |
本来の指定校とは別の学校を選んだ児童数/対象児童数 |
22人/96人 |
34人/104人 |
42人/92人 |
31人/96人 |
42人/98人 |
52人/120人 |
児童数の割合 |
22.9パーセント |
32.7パーセント |
45.7パーセント |
32.3パーセント |
42.9パーセント |
43.3パーセント |
|
(2) |
選択の傾向 |
|
「家が近いから選択をする」という理由がもっとも多く、次いで先輩の進学先や兄弟関係の進学先など周りの友人関係等で選択することが多い。親子で十分相談はするが、最終的には児童が決定しているようである。他の理由として、学校の印象や部活動を選択の理由にする児童もいる。事後のアンケートでは、ほとんどの生徒が今の学校を選択してよかったと満足している。 |
|
4 |
評価等 |
|
選択経験のある保護者は、95パーセントが自由選択制にはおおむね賛成している。教育活動の内容や部活動などによって選択できることや、通学の安全や利便を考慮できること、そして、人間関係を考慮できることはメリットであると考えられる。
学校と地域活動等との関わりの重要性を大切にすることや、登下校の安全性、選択する時期と期間の短さや中学校側の学級数の大きな増減(学級編制)に関わる影響等については、今後も継続して検討し調整していく必要がある。 |