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制度の概要 |
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(1) |
実施の経緯 |
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本市では、平成9年1月27日付け文部省初等中等教育局長名の「通学区域の弾力的運用について(通知)」(文初小第78号)を受け、平成9年3月21日に教育局内に「規制緩和に伴う通学区域の調整検討委員会」を発足した。指定校変更要件13項目、隣接する学校を選択できる調整区域29か所などの運用を定めた「通学区域の弾力的運用について(通知)」を平成10年11月に発布し、弾力的運用を導入した。この結果、平成14年度には指定校変更・区域外就学許可人数が小学校では4.8パーセントに及んだ。
埼玉県では教育の在り方について意見・提言をいただく「彩の国教育改革会議」が平成12年12月に設置され、平成13年11月5日に学校選択制を含め6項目の提言を知事に提出した。
こうした背景のもとに、市長の施政方針の一つである「人づくりなくして郷土づくりなし」に基づき、教育改革に取組むことを平成13年度に決定した。
平成13年10月に教育長を委員長とする「川口市教育改革検討委員会」を発足、平成14年1月には市民等を委員とする「川口市教育改革プログラム検討会議」を設置した。学校選択制は、川口市教育改革プログラム検討会議において検討いただき、平成14年10月18日に、市内の小学校について平成17年度から、ブロック内と隣接校から選択できる方式を実施することが提案された。
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(2) |
趣旨 |
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通学区域の弾力的運用の中で区域外就学ニーズの高さが明らかになったことから、選択幅を一層拡大し保護者ニーズに応えることとした。また、学校が選ばれる立場に立つことにより切磋琢磨するとともに、学校自身が自己を客観的に見る視点をもち、地域に開かれた特色ある学校づくりを推進するものとした。
ブロック制は、小学校1年生が対象になることから通学の安全確保が重要であり、遠距離通学となることを避けたものである。また、児童期の成長には地域社会の役割が大きいことから、従来の地域性を損なわない範囲としたものである。
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(3) |
制度の枠組み |
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ア |
選択できる範囲 |
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本市は1町8村の昭和の合併により誕生したが、今日においても旧町村はコミュニティ単位として活用されている。この9つのコミュニティをベースに(最大規模のコミュニティを2分割)、10のブロックを設定した。また、隣接校の選択ニーズが高いことから、ブロックに隣接する小学校も選択できるものとした。 |
イ |
条件等 |
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平成17年度の新入生から実施する。 |
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転入生も転入の際選択することができる。 |
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基本学区は現状維持し、区域内の児童は全て基本学区の小学校で受け入れる。 |
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各学校の余裕教室の状況により、基本学区外からの受入れ定員を決定する。 |
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希望者が定員を超えた場合は、抽選により決定する。抽選に際して、兄・姉が当該校に在籍している場合には、抽選によらないで優先して入学できる。 |
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自転車通学は認めない。 |
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(4) |
受入れ枠 |
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平成18年度入学予定者の区域外受入れ枠は、市内48校のうち若干名が9校、受入れができない学校が2校、そのほかは概ね1学級程度(32名)可能とした。 |
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2 |
事務の流れ(平成18年度入学予定者の手続き等) |
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時期 |
内容 |
場所等 |
5月上旬 |
入学予定者の各家庭に学校選択制実施のお知らせ、学校公開の年間スケジュール表を郵送する |
市教育委員会 |
5月~ |
各小学校において学校公開、公開行事を実施 |
各小学校 |
10月中旬 |
入学予定者の各家庭に、お知らせ、小学校選択希望申請書、学校紹介冊子を郵送する(申請開始) |
市教育委員会 |
11月30日 |
希望申請の受付締切 |
市教育委員会 |
12月8日 |
希望申請受付結果の公表 |
各小中学校、公民館、支所ほか |
12月18日 |
公開抽選会 |
抽選対象校 |
12月19日~12月22日 |
抽選において選外となった児童に対し、新たな学校選択の受付を行う |
市教育委員会 |
1月下旬 |
入学通知書発送 |
市教育委員会 |
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3 |
実績と傾向 |
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年度 |
対象者数 |
私立等 |
基本学区希望者A |
基本学区外希望者B |
計A B |
学区外希望者の率 |
抽選校 |
17 |
4,747 |
82 |
4,256 |
409 |
4,665 |
8.77パーセント |
なし |
18 |
4,834 |
73 |
4,321 |
440 |
4,761 |
9.24パーセント |
1校 |
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4 |
評価等 |
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平成17年度入学者の保護者全員にアンケートを実施したところ、次のような結果となった。 |
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(1) |
学校選択制について |
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区分 |
選択制に賛成 |
従来どおりがよい |
どちらでもよい |
無回答 |
基本学区選択保護者 |
72.5パーセント |
9.2パーセント |
17.8パーセント |
0.5パーセント |
学区外選択保護者 |
81.7パーセント |
0.6パーセント |
8.7パーセント |
9.0パーセント |
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(2) |
選択理由(複数回答) |
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区分 |
1位 |
2位 |
3位 |
4位 |
5位 |
基本学区を選択した保護者 |
基本学区の小学校が一番近いから
64パーセント |
学区外を選ぶ大きな理由がない
50パーセント |
近所の友達が行くから
40パーセント |
兄姉が通っているから
37パーセント |
地元とのつながりを考えたから
21パーセント |
学区外を選択した保護者 |
自宅から近いから
51パーセント |
子どもの希望を尊重したから
30パーセント |
学校の教育活動に魅力を感じたから
22パーセント |
兄姉が通っているから
20パーセント |
近所の友達が選択したから
15パーセント |
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アンケートの結果、本市の学校選択制は保護者に評価されているものと考えている。しかし、「学校の教育活動に魅力を感じたから」が学区外を選択した保護者で22パーセントにとどまり、今後こうした点の改善が課題となる。 |