平成19・20年度JSLカリキュラム実践支援事業実施報告書【ワークショップ】
実施団体名 【大阪市教育委員会】
名称 | 大阪市カリキュラム研修会 |
研修目的 | 日本語指導が必要な児童生徒数は増加する傾向にある。児童生徒が学校での学習や生活に円滑に適応できるようにするため,日本語の初期指導から教科学習につながる段階での学校における支援のあり方や授業づくりについて,基礎的な知識を深めるとともに,指導力の向上をめざす。 |
受講対象 受講者数 |
大阪府内で受講を希望する教員 各回とも約40名 |
開催期日 | 平成19年8月10日〜平成21年2月10日(計10日間) |
実施内容 及び講師 |
1 カリキュラム 〜基本的な考え方と実践例〜(講義) 【1】カリキュラムの基本的な考え方 【2】カリキュラムの実践事例 【3】カリキュラムの授業づくり 講師:東京学芸大学教育学部准教授 斉藤 ひろみ 2 カリキュラム指導案作成(ワークショップ) 【1】カリキュラム指導案作成の留意点 【2】指導案作成 【3】ワークシート作成 講師:神戸市立本山第二小学校教諭 村山 勇 3 「教科学習の理解をすすめるリライト教材とは?」(講義) 【1】国語文学教材の読解を支援するためのリライト文とイラスト 【2】教材作成・事業の方針 【3】授業の実施方法 【4】教材作成の事例 講師:神戸市立本山第二小学校教諭 村山 勇 4 「日本語指導を必要とする子どもに在籍学級で支援できること」(講演) 【1】母語・継承語・民族語について 【2】母語と第二言語の関係 【3】在籍校でできること 講師:トロント大学東アジア研究科名誉教授 中島 和子 5 「授業で使えるリライト教材づくり」(ワークショップ) 【1】国語文学教材の読解を支援するためのリライト文とイラストの作成 【2】まとめ 講師:神戸市立本山第二小学校教諭 村山 勇 6(1) 「帰国・来日した子どもたちの瞳が輝くために 〜よりよい授業実践をめざして〜」(講演) 【1】教科学習支援のすすめ方について 【2】子どもたちのネットワークづくりの支援について 【3】多文化協働教育について 【4】リライト教材について (2) 「多文化協働の授業づくりにチャレンジしよう!」(ワークショップ) 【1】多文化協働教育の指導案作成 【2】リライト教材の作成 講師:静岡大学教育学部講師 矢崎 満夫 7 「リライト教材をもとにした指導案づくり」(講義) 【1】リライト教材作成の留意点 【2】リライト教材をもとにした指導案作成への指導と授業実践例への評価 講師:就実大学非常勤講師(元岡山大学教育学部准教授) 光元 聰江 8 「リライト教材とは?〜その作り方と活用について〜」(講義) 【1】リライト教材・音読譜について 【2】リライト教材の位置付け 【3】リライト教材の活用 講師:就実大学非常勤講師(元岡山大学教育学部准教授) 光元 聰江 9 「授業で使えるリライト教材づくり」(ワークショップ) 【1】リライト教材作成の留意点 【2】小中学校国語科教科書の教材をもとにしたリライト教材の作成 講師:就実大学非常勤講師(元岡山大学教育学部准教授) 光元 聰江 10「多文化共生と日本語教育(仮題)」(講演) 講師:法政大学キャリアデザイン学部教授 山田 泉 →2月実施 |
ワークショップを行う上で工夫した点や留意点 | 【1】本市の「日本語・適応指導教室」(以下,「センター校」という)担当者を中心に,カリキュラム研究委員会を構成しその調査研究にあたった。そして,研修会でのワークショップの際,コーディネーターとして位置付き,研修会の講師と連携して参加者の学習をリードした。 【2】研修会でのワークショップの際,校種別に班編成をした。それにより,具体的な子どもの姿を共有しながら教材や指導案の作成において共通理解を図った。また,各校での実践に向け,協力し連携していく関係づくりを図った。 【3】ワークショップにより作成された教材や指導案を,可能な限りそのデータ化を図った。それらを参加者が共有し,各校での活用や実践につなげられるようにした。 |
成果 | 【1】本市のセンター校担当者を中心にカリキュラムの研究委員として位置づけ,各地での研修会に積極的に参加して調査や研究を進めた。それにより,センター校での教科学習につながる日本語指導について研究を深めることができた。また,在籍校での学習につなげるための連携のあり方についても研究を進め,カリキュラムについての知識を深めるとともに,その実践に向けた動きをつくることができた。 【2】カリキュラムの研究を進める中で,とりわけ教科学習支援の方法としてリライト教材の研究を進めた。その中で,小中学校の国語科教科書の教材について,児童生徒の日本語習得レベルに応じたリライト教材を作成し,センター校や在籍校での実践につなげた。 【3】研修会の実施により,日本語指導を必要とする児童生徒への支援のあり方について理解を深めた。また,ワークショップを行うことで,教材や指導案の作成について協働しながら,その実践力や指導力の向上につなげることができた。 |
課題 | 【1】センター校での日本語指導について,教科学習に対応できる日本語能力の育成を目指す指導方法や内容の研究をさらに深める。また,在籍校での教科学習支援のあり方についても研究を進めていく。 【2】リライト教材をはじめとする教材やそれをもとにした指導案の充実と整備を進める。また,授業実践例を積み上げるとともに,継続的な実践を行い,その効果などについて検証を進め,教材や指導案のさらなる工夫と改善に努める。 |
総合教育政策局国際教育課
-- 登録:平成22年01月 --