我が国における外国人の子供の就学促進等については、国際人権規約及び児童の権利に関する条約を踏まえ、各地方公共団体において取組が進められてきたところ。
しかし、我が国に在留する外国人は令和7年末時点で過去最高に達するとともに、外国人児童生徒も急激に増加し、文部科学省が実施する「外国人の子供の就学状況等調査」の令和7年度の結果では、約9千人の外国人の子供たちが不就学の可能性があるという結果が明らかとなっている。
こうした状況の中、我が国に居住する外国人の子供たちが、社会の一員として日本の将来を担う存在であることを前提に、日本における生活の基礎を身に付け、その能力を十分に発揮し未来を切り拓くことができるよう、就学機会の確保を全国的に推進することが必要である。同時に、このことは、日本人の子供たちにとっても多様な価値観や文化的背景への理解を深め、全ての子供の教育の質の確保につながる。
ついては、日本語教育の推進に関する法律(令和元年法律第48号)により策定された「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」(令和7年9月5日閣議決定)に基づき、外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等のために地方公共団体が講ずべき事項について、以下のとおり示す。
学齢(6~15歳)の外国人の子供の保護者については、学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条等による就学義務は課されておらず、学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)第1条に規定する学齢簿の編製については、外国人の子供は対象とならないものの、外国人の子供についても就学の機会を確保する観点から、市町村教育委員会においては以下の取組を推進する必要がある。
外国人の子供が就学の機会を逸することのないよう、教育委員会においては、市町村又は都道府県のホームページ等の利用、就学ガイダンスの開催等により、就学援助制度を含め、外国人の子供の就学についての広報・説明を行い、公立の義務教育諸学校への入学が可能であることを案内する必要がある。また、就学の案内を徹底するために、以下の取組が求められる。
不就学の外国人の子供を把握した場合は、就学につなげられるよう、教育委員会において支援を行うことが求められる。特に、プレスクール・プレクラスを開設し、初期の日本語指導や学校生活に必要な適応指導等を行うことは、学校生活に向けた準備や不安を解消する上でも効果的であり、積極的な取組を検討することが望ましい。また、不就学の子供やその保護者に対し、個別訪問等による就学の意識付けや、就学相談窓口の設置や個別相談の実施等による相談体制の構築等により、就学を促すことも重要である。
外国人の子供の就学促進や就学状況の確認のため、教育委員会においては、首長部局(住民基本台帳部局、国際交流部局、福祉部局、各種学校担当部局等)との連携を図ることが重要である。さらに、公共職業安定所(ハローワーク)や各地域の出入国在留管理局等との連携を図ることについても考慮すること。
また、地域の国際交流協会やNPO等の支援団体、外国人学校や日本語学校等の関係機関との連携も重要であり、日頃からこれらの機関との情報共有を図ることを通じて、連携体制を構築することが望ましい。
外国人の子供についても、市町村教育委員会においては、学校教育法施行令の規定に基づく就学校の指定及び変更に準じた取扱いを行うこと。特に、外国人の子供の居住地等の通学区域内における義務教育諸学校で、十分な受入れ体制が整備されておらず、他に受入れ体制が整備されている義務教育諸学校がある場合や、特定の義務教育諸学校に外国人の子供が集中し、受入れ体制が逼迫している場合などには、子供の通学の利便性や保護者の意向等に十分配慮したうえで、就学校を指定することが可能である。また、就学校の指定後においても、保護者から就学校変更の申立てがあり、地域の実情に応じてその変更が相当である場合等には、就学校の変更に関する制度と必要な手続きについて説明し、指定した就学校の変更を認めるなど、柔軟な対応を行うこと。
障害のある外国人の子供の就学先の決定に当たっては、市町村教育委員会において、日本国籍を有する子供と同様に、「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について」(平成25年10月4日付け25文科初第756号文部科学省初等中等教育局長通知)及び「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)を参考とし、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人や保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から判断すること。その際、言語、教育制度や文化的背景が異なることに留意し、本人や保護者に丁寧に説明し、十分な理解を得ることが必要であること。
なお、就学時に決定した「学びの場」は、固定したものではなく、それぞれの子供の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら、柔軟に変更できるようにすることが適当であること。
外国人の子供の受入れに際し、特に日本語能力の不足や、日本と外国とで学習内容・順序が異なること等により、相当学年への就学に必要な基礎条件を欠くなど、年齢相当学年の教育を受けることが適切でないと認められる場合には、学校において以下のような取扱いを講じることが可能であること。
なお、以下の取扱いに当たっては、言語、教育制度や文化的背景が異なることに留意し、本人や保護者に丁寧に説明し、十分な理解を得ることが必要であること。
幼稚園、保育所及び認定こども園(以下「幼児教育施設」という)においては、一人一人の実態に応じた指導の工夫を行うとともに、幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図ることが重要である。こうした観点から、幼児教育施設から小学校に対し、指導要録等を含めた情報の引継ぎを適切に行うことが求められる。小学校へ引き継ぐ情報としては、例えば、言語の発達に関する事項や習得状況、日本語の理解度に関する配慮事項、学校生活で必要な日本語に関する支援などが考えられる。なお、引き継ぐ内容や方法については、個人情報の適切な取扱いと保護に十分留意するとともに、小学校においては、引き継いだ情報を活用し、子供への理解を深めることが重要である。
外国人学校を退学するなどにより学習の機会を逸した外国人の子供については、本人や保護者が希望すれば、公立の義務教育諸学校への円滑な編入が行われるように措置すること。この際、学校生活を送るために必要な日本語能力が不十分である場合は、本人や保護者の希望に応じ、日本語学校やプレクラス、日本語教室等において受け入れるなどし、学校生活への円滑な適応につなげるための教育・支援等を実施するよう努めること。さらに、本人の日本語学校等への在籍期間や本人、保護者の希望を踏まえ、望ましい時期に学校に入学させるなど、適切に対応すること。
外国又は我が国において様々な事情から義務教育を修了しないまま学齢を経過した者については、市町村教育委員会の判断により、本人の学習歴や希望等を踏まえつつ、学校の収容能力や他の学齢生徒との関係等必要な配慮をした上で、公立の中学校での受入れが可能であること。また、夜間中学を設置している地方公共団体においては、夜間中学への入学が可能であることを案内すること。
外国人の子供が社会で自立していくためには、高等学校等における適切な教育機会の確保が求められる。このため、高等学校等への進学を促進する観点から、以下の取組を積極的に推進することが重要である。
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