外国人の子供の就学の促進及び就学状況の把握等について(通知)


30文科教第582号 
平成31年3月15日 


各都道府県知事
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市市長           殿
各指定都市教育委員会教育長  

文部科学省総合教育政策局長
清水明


(印影印刷)



文部科学省初等中等教育局長
永山賀久


(印影印刷)



外国人の子供の就学の促進及び就学状況の把握等について(通知)


   我が国における外国人の子供の受入体制の整備及び就学後の教育の充実については、「外国人の子どもの就学機会の確保に当たっての留意点について」(平成24年7月5日付け24文科初第388号初等中等教育局長通知)等に基づき、これまでも各教育委員会及び学校において御尽力いただいているところです。
   政府では、今般、新たな在留資格である「特定技能1号」及び「特定技能2号」の創設(平成31年4月施行)を踏まえつつ、平成30年12月25日に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議了承)(以下「総合的対応策」という。)を取りまとめたところであり、外国人の子供の教育についても一層の充実を図ることとしています。
  こうした動きも踏まえ、貴職におかれては、下記の点に留意しつつ、外国人の子供の就学の促進等に関する取組の充実に一層努められるようお願いします。また、各都道府県及び都道府県教育委員会においては、域内の市町村及び市町村教育委員会に対して、この趣旨を徹底されるようお願いします。
 なお、追って各自治体における義務教育段階の外国人の子供の就学状況や就学促進の取組等に関する調査を各教育委員会に依頼する予定ですので、予め御承知おきいただくとともに、御協力いただきますようお願いします。



1外国人の子供の就学の促進及び就学状況の把握
(1)就学案内等の徹底
  学齢(6~15歳)の外国人の子供が就学の機会を逸することのないよう、教育委員会においては、市町村又は都道府県の広報誌やホームページ等の利用、説明会の開催等により、就学援助制度を含め、外国人の子供の就学についての広報・説明を行い、公立の義務教育諸学校への入学も可能であることを案内すること。
  また、保護者に対して、住民基本台帳の情報に基づいて、公立の義務教育諸学校への入学手続等を記載した就学案内を通知すること。 
  これらの情報提供等を行うに当たっては、文部科学省作成の「就学ガイドブック」等も参考としつつ、域内に居住する外国人が日常生活で使用する言語を用いることにも配慮すること。
  なお、政府の総合的対応策において、保育施設における受入れ支援に取り組むこととされているところ、幼児教育段階からの幼稚園・認定こども園等への就園についても、その後の義務教育諸学校への円滑な就学に資することに鑑み、外国人の子供の就園機会を確保する観点から、各幼稚園等に受入れ体制のある自治体においては、園児募集の状況や必要な手続等の情報について多言語化を行うなどの対応を行うことが望ましい。

(2)就学状況の把握
   外国人の子供の保護者については、学校教育法第16条等による就学義務は課されておらず、学校教育法施行令第1条に規定する学齢簿の編製については、外国人の子供は対象とならないものの、外国人の子供についても、就学の機会を確保する観点から、教育委員会においては、住民基本台帳等に基づいて学齢簿に準じるものを作成するなどして、就学に関する適切な情報の管理に努めること。
 その際、1(3)に示すように関係行政機関との連携も図りつつ、学校教育法第1条に定める学校のみならず、外国人学校等も含めた就学状況を把握したり、保護者からの相談に応じるなど、継続して就学の機会の確保に努めること。

(3)外国人関係行政機関との連携の促進
   外国人の子供の就学機会を確保する観点から、教育委員会においては、市町村の総合教育会議を活用することを始め、市町村の住民基本台帳担当部署や福祉担当部署、各種学校担当部署、多文化共生担当部署との連携を図りつつ、外国人の保護者に適切な情報提供を行い、就学機会の確保に努めること。さらに、公共職業安定所(ハローワーク)や、本年4月に設置される地方出入国在留管理局等との連携を図ることについても考慮すること。
 こうした連携の例としては、関係行政機関に対して、市町村教育委員会で就学案内を行っている旨の伝達や、就学ガイドブックの備付け、在留資格や居住地の確認等の協力を求めること等が考えられる。また、法務省の「外国人受入環境整備交付金」等により整備される在留外国人向けの一元的相談窓口において、子供の就学に関する情報提供・相談を行うことも考えられる。  

2学校への円滑な受入れ
(1)就学校の決定に伴う柔軟な対応
 外国人の子供についても、教育委員会においては、学校教育法施行令の規定に基づく就学校の指定及び変更に準じた取扱いを行うこと。特に、外国人の子供の居住地等の通学区域内の義務教育諸学校において受入れ体制が整備されていない場合には、地域の実情に応じ、受入れ体制が整備されている義務教育諸学校への通学を認めるなど、柔軟な対応を行うこと。

(2)障害のある外国人の子供の就学先の決定
   障害のある外国人の子供の就学先の決定に当たっては、教育委員会において、日本国籍を有する子供と同様に、「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について」(平成25年10月4日付け25文科初第756号文部科学省初等中等教育局長通知)及び「教育支援資料」(平成25年10月文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)を参考とし、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人や保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から判断すること。その際、言語、教育制度や文化的背景が異なることに留意し、本人や保護者に丁寧に説明し、十分な理解を得ることが必要であること。
 なお、就学時に決定した「学びの場」は、固定したものではなく、それぞれの子供の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら、柔軟に変更できるようにすることが適当であること。

(3)受入れ学年の決定等
   外国人の子供の受入れに際し、特に日本語でのコミュニケーション能力の欠如や、日本と外国とで学習内容・順序が異なること等により、相当学年への就学に必要な基礎条件を著しく欠くなど、ただちに年齢相当学年の教育を受けることが適切でないと認められるときは、一時的又は正式に下学年への入学を認める取扱いとすることが可能であることから、学校においては、外国人の子供の学力や日本語能力等を適宜判断し、必要に応じこのような取扱いを講じること。
   また、外国において我が国よりも義務教育期間が短いために9年間の義務教育を修了していない場合は、学齢期であれば、本人が希望すれば年齢相当の学年への編入学が可能であることについても留意すること。
   上記の取扱いに加え、進級及び卒業に当たり、保護者等から学習の遅れに対する不安により、進級時の補充指導や進級や卒業の留保に関する要望がある場合には、補充指導等の実施に関して柔軟に対応するとともに、校長の責任において進級や卒業を留保するなどの措置をとるなど、適切に対応する必要があること。
   上記の取扱いに当たっては、言語、教育制度や文化的背景が異なることに留意し、本人や保護者に丁寧に説明し、十分な理解を得ることが必要であること。

(4)学習の機会を逸した外国人の子供の学校への受入れ促進
 外国人学校を退学するなどにより学習の機会を逸した外国人の子供については、本人や保護者の希望に応じ、日本語教室等において受け入れるなどし、必要に応じて、学校生活への円滑な適応につなげるための教育・支援等を実施するよう努めること。さらに、本人の当該教室への在籍期間や本人、保護者の希望を踏まえ、望ましい時期に学校に入学させるなど、適切に対応すること。

(5)学齢を経過した外国人への配慮
   外国又は我が国において様々な事情から義務教育を修了しないまま学齢を経過した者については、各教育委員会の判断により、本人の学習歴や希望等を踏まえつつ、学校の収容能力や他の学齢生徒との関係等必要な配慮をした上で、公立の中学校での受け入れが可能であること。
 また、夜間中学を設置している自治体においては、夜間中学への入学が可能であることを案内すること。


【参考情報】
(1)外国人児童生徒受入れの手引き(※文部科学省HPへリンク)
   ※なお、本手引きは、今年度中に改訂・公表(文部科学省HPへの掲載)を予定しています。
(2)帰国・外国人児童生徒教育のための情報検索サイト「かすたねっと」(※文部科学省HPへリンク)
   ※多言語による文書や日本語指導、特別な配慮をした教科指導のための教材等、様々な資料の検索が可能。
(3)外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA(※文部科学省HPへリンク)
(4)外国人児童生徒のための就学ガイドブック(※文部科学省HPへリンク)

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-5253-4111(内線3276)、03-6734-3276

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