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平成19年度帰国・外国人児童生徒受入促進事業に係る報告書の概要 実施団体名【大阪府教育委員会】

平成19年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.研究事項(テーマ)

《大阪府》

  • 帰国・外国人児童生徒の受入体制の包括的な整備を行うための実践研究を行う
  • 就学支援に関する実践研究

《大阪市》

  • 帰国・来日等の児童生徒の日本語能力の育成をめざすとともに、母語の保持・伸長を図る支援体制のあり方を研究する。また、異なる文化をもつ児童生徒が互いのちがいを認め合い、ともに学び合うことのできる国際理解教育の深化・充実を図る
  • 外国人児童生徒の就学を支援するために、就学情報の伝え方や多言語による教育相談システムのあり方を実践研究する

《八尾市》

  • 帰国・外国人児童生徒への個々の多様な育ちを踏まえた指導方法を研究し、指導技術の向上や教材等の充実を図り、取り組みを共有するための研究体制を確立する

2.事業の実施体制(地域連絡協議会の構成員等)

《大阪府》

  • 「大阪府帰国・外国人児童生徒教育支援協議会」の設置
  • 「地域連絡会」の設置

《大阪市》

  • 「帰国・外国人児童生徒教育支援推進協議会」の設置

《八尾市》

  • 「地域連絡協議会」の設置

3.研究内容〈具体の取組内容〉

《大阪府》

  • 「大阪府帰国・外国人児童生徒教育支援協議会」において、大阪市・八尾市の実践研究を基に、府の総合的な支援体制・方策について協議し、外国人児童生徒教育を推進した
  • 「就学案内及び就学ハンドブックの発給状況の調査」の実施

《大阪市》

  • 教科学習へ対応した日本語指導について研究を深める
  • 母語保持・育成を図る指導法のあり方について研究する
  • 国際理解教育の深化・充実を図る
  • 帰国・来日等の児童生徒の進路を保障するためのネットワークを構築する
  • 帰国・来日等の児童生徒のよりよい支援方法について研究する

《八尾市》

  • 日本語の定着と確かな学力をつける
  • 生徒指導・進路指導充実を図る
  • 家庭・地域との連携を図る
  • 多様な生活背景の子どもたちへの支援方策を探る

4.成果と課題

《大阪府》

【成果】
  • 「第1回大阪府多文化共生・教育フォーラム」の開催
  • 大阪市と八尾市のセンター校における「通級指導方式」と「支援者巡回方式」の比較検証の実施
  • 「小学校入学準備ガイドブック」の活用促進
【課題】
  • 府内の傾向として、多言語、分散化の状況がある。府内各市町村教育委員会の課題意識と、対応に差が生じている
  • ホームページ等の従来からの情報提供の手段だけでは、事業成果が広がりにくい

《大阪市》

【成果】
  • センター校に通級することにより、系統立てた日本語指導を受けることができ、教科学習の理解を深めるための日本語の習得に効果的である
  • 母語支援教室が情報の発信・受信の場所となり居場所作りの役割を果たしている。また、学習意欲を高め、進路獲得への意欲につながっている
  • 日々のセンター校と在籍校の連携や「中高連絡会」を通じて、児童生徒の抱えている課題が明らかになり、小・中・高等学校そして関係諸機関が密な連携をとりながら、問題解決にあたることができた
【課題】
  • 学校生活への適応を図る初期指導の充実
  • 日本語習得と基礎学力の定着を図る指導方法・内容の研究
  • 自尊感情を高め、自信を持って生活できるよう、学校・地域・保護者・NPO等が協同した支援体制の構築
  • 外国籍住民が日本の教育制度や学習内容を理解し、子どもの教育を受ける権利を保障するための情報発信

《八尾市》

【成果】
  • 児童生徒支援加配教員並びに指導協力者を活用し、日本語習得レベルに合わせた多様な学習形態の確立がはかられた
  • 保護者は、在日期間が長くても、片言の日本語しか話せないことも多い。そのため、相談員を活用しそういった家庭との連携を図った
  • 日本語教室だよりの発行や民族クラブの充実がおこなわれた
  • なかまとともに活動し、ともに高まろうとする集団の育成が図られた
【課題】
  • 将来に渡って、確かな日本語力を付けていくことは、日本語指導の大きな目的の一つである。段階を追って指導していけば、ある程度文章の理解力は付けることができる。しかし、中途編入児童生徒の場合、時間的に余裕がなく、すぐに教科指導に入らざるを得ないケースもある。しかも、各教科の専門的な学習言語の理解や習得には時間を要する。教科指導担当者との連携、辞書の活用は言うまでもなく、さらに学習に対するモチベーション、自学自習力の育成、家庭学習の問題も含めて、多くの課題がある。

5.その他(今後の取組等)

《大阪府》

  • 1平成20年度についても本事業の研究成果をもとに帰国・外国人児童生徒教育の充実をめざすとともに、出された課題の解消に向けた取組を進める
  • 2多文化共生を進めるため、帰国・渡日児童生徒を中心に据えた学校・集団づくりについての取組を推進していきたい

《大阪市》

  • 1学校生活における精神面での支援や多言語による教育相談システムについての研究を進める
  • 2教育委員会・各学校・関係諸機関が連携を図り、有効なネットワークの構築に向けてさらに実践的研究を進める必要がある
  • 3日本語指導の中で教科学習を意識した指導をどのように展開すればよいかをさらに研究を進めていき、在籍校との連携を強化しながら、基礎学力の定着を図る学習指導法の研究を進める必要がある
  • 4母語支援教室の運営・指導方法やアイデンティティの確立を図る取り組みの実施方法について、さらに研究を進める必要がある

《八尾市》

  • 1現在おこなっている取り組みをより発展させるためにも日本語指導相談員の派遣を増やしていく
  • 2どの学校へ編入があったときでも対応できる教材の開発
  • 3保護者との関係において問題が生じたときだけでなく、日常的なつながりを持つ取り組みの強化

(初等中等教育局国際教育課)

-- 登録:平成21年以前 --