地域施設と複合した学校を、各施設の人の目で守る

15 福岡市立H小学校(福岡県)

幼稚園(手前)と小学校が運動場をはさんでお互いに見える

キーワード

  • 各施設が相互に向き合う建物配置
  • 出入口を監視できる管理諸室の配置
  • 定期的な点検・訓練の実施と評価
  • 各施設の職員及び地域との連携

基本方針と主な取組

各施設が相互に向き合う建物配置

 複合施設を構成する各建物をコの字型に配置し(写真2)、校地内への人の出入りが、小学校、公民館、幼稚園の職員の目に触れるようにしている。 これにより不審者の侵入の抑止を図っている。
 体育館や校舎の壁面に透明ガラスを多用して、周辺住民や通行人からの視線を確保している(写真3)。運動場は事務室、校長室、保健室、給食室から見渡せる(写真4)。
 また、教室とオープンスペースの一体化や各階への教師コーナーの配置など、建物内での視認性を確保している(写真5)。

出入口を監視できる管理諸室の配置

 事務室、校長室、TT教員室*、保健室を人の出入りする場所付近に配置している(写真6)。来校者は、受付後に許可カードを身につけることで不審者と区別している。
 *TT教員室:ティームティーチングのための教員の執務室

定期的な点検・訓練の実施と評価

 毎月の施設設備点検の際に防犯設備の点検も実施している。また、職員が不審者に扮し、実際に児童を避難させる防犯避難訓練を通じて、施設設備に不備がないか点検している。

各施設の職員及び地域との連携

 敷地内の幼稚園・公民館と連携して、小学校から死角になりやすい場所にも目が行き届くように注意しあっている(写真前頁上、写真7)。また地域で子どもたちを守るという基本方針の下、パトロールを定期的に実施している。

防犯対策に取り組むきっかけ

 学校への不審者侵入事件を契機に、防犯への教職員の意識を高め、地域に協力を求めてきた。その取組を活かして「人の目」による視認性と、領域性を確保した施設計画としている。

評価と今後の課題

 「人の目」で子どもたちを守るという基本的な考え方は、教職員、保護者たち、地域の人々に理解されている。
 今後の課題は、1施設設備について運用上で気付いた点の改善、2防犯避難訓練などによるソフト面の充実、3地域諸団体との更なる連携であると考えている。

  1. 配置概略図
    1.配置概略図
  2. 複合施設の建物に囲まれた運動場
    2.複合施設の建物に囲まれた運動場
  3. 大通りから半地下の体育館を通して運動場(右手奥)が見える
    3.大通りから半地下の体育館を通して運動場(右手奥)が見える
  4. 1階給食室からも運動場が見渡せる
    4.1階給食室からも運動場が見渡せる
  5. 教師コーナーから見た教室とオープンスペース
    5.教師コーナーから見た教室とオープンスペース
  6. 事務室では大通りからの来校者を確認できる
    6.事務室では大通りからの来校者を確認できる
  7. 公民館から向かいの小学校の様子が見える
    7.公民館から向かいの小学校の様子が見える

お問合せ先

文教施設企画部施設企画課

-- 登録:平成21年以前 --