大学改革GPナビ-Good Practice-(第53号)

平成19年10月

文部科学省高等教育局大学改革推進室からGPに関する情報等を随時お届けしています。
「GP」とは「優れた取組」を表す「Good Practice」の頭文字をとった通称です。

「特色ある大学教育支援プログラム」の通称を「特色GP」、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」の通称を「現代GP」と言っています。

ご登録いただいている各大学・短期大学・高等専門学校から学内の関係部署や希望者に転送する際は、お手数ですが担当の方は、転送メールであることを示した上で転送してください。

「大学改革GPナビ」の一般配信をご希望の方は以下のURLから申し込みをお願いします。
https://www.mext.go.jp/magazine/index.htm
(※メールマガジンの配信についてへリンク)

大学改革GPナビ編集部では、現在の大学改革の状況を広くご理解いただくことを目的として、全国各地でのイベント等に出向いてご説明に上がることも考えています。ご希望される大学がございましたら、編集部までご連絡ください。


INDEX

[平成20年度概算要求について-戦略的大学連携支援事業-]
[平成19年度特色GPフォーラム(札幌会場)の報告]
[GP選定取組の実施状況レポート(神奈川工科大学)]
[新企画 大学教育改革の今-現場レポート-(第2回)]
[編集後記-編集部(予算等全体調整担当)(大学改革推進室改革支援第1係長)樋口 徹]


●[平成20年度概算要求について-戦略的大学連携支援事業-]●

 本プログラムでは、国公私立の複数の大学等による「戦略的な連携」を積極的に進めることにより、各大学等の教育研究資源を大学間で有効活用し、地域の知の拠点としての機能を一層強化することを目的とした、大学間の連携強化による個性・特色ある取組を支援するために50億円を計上しています。
 戦略的な大学間連携をより組織的かつ実質的な取組となるよう、申請の際には事業目的等を達成するために、将来目標を含む具体的な「大学間連携戦略」を策定いただくことが必要条件となります。本プログラムの実施により、大学間連携戦略の連携による各大学等における教育研究資源の有効活用による教育研究環境等の充実・強化や、複数大学の共同による学位授与、共通・専門教育の先進的な教育プログラムの開発など、地域における高等教育機能の充実や特定分野における教育研究の高度化、学際的な教育研究などの展開が一層図られるものと考えています。


●[平成19年度特色GPフォーラム(札幌会場)の報告]●

 平成19年10月19日(金曜日)に今年度最初の特色GPフォーラムが札幌において開催されました。(当日の様子(※フォーラムの開催へリンク)
 ポスターセッションによる選定取組の紹介、シンポジウム形式による選定事例報告、事例報告者と審査部会委員によるパネルディスカッション等が執り行なわれ、活発な意見交換の場となりました。
 パネルディスカッションにおいては、審査部会委員から、審査の方法、申請書作成の際の留意点、審査を終えての感想等が発表されました。委員の先生方からは、「特色GPの取組により、多くの大学が教育の質的改善を推進していることから、国公私を通じた支援は今後も継続すべき」、「GP事業の実施に当たっては学生の就職先、OB・OG、保護者をはじめとする利害関係者からの継続的な評価が重要」とのご意見がありました。
 今後、11月8日(木曜日)には福岡、19日(月曜日)には大阪で、同様に特色GPフォーラムが開催されます。各回違った大学の取組紹介や、実際に審査を行った委員が参加してのパネルディスカッションなどが行われます。また、会場には文部科学省ブースを開設していますので、平成20年度概算要求のことやGP事業へのご質問、ご意見などをお寄せ下さい。
 フォーラムにご参加いただくことにより、大学教育改革の参考になる多くの情報を得ることができると思います。是非この機会をご利用いただき、お近くの会場に足をお運びください。

<今後の開催日程>
・福岡会場   平成19年11月8日(木曜日)10時30分~18時
アクロス福岡
・大阪会場 平成19年11月19日(月曜日)10時30分~18時
大阪国際交流センター

(平成19年度特色GPフォーラム(大阪、福岡)の受付はこちらから)
http://www.tokushoku-gp.jp/kouhyo/forum/index.html
(※特色ある大学教育支援プログラムホームページへリンク)


●[GP選定取組の実施状況レポート(神奈川工科大学)]●

 GP選定取組について、編集部が直接大学等に訪問し、取組内容などのお話を伺ってきました。
 今回は、神奈川工科大学の取組について紹介します。

神奈川工科大学
「地域と連携したIT実践教育の展開」
(平成17年度現代GP選定取組)

 この取組は地域社会における高齢者・障害者の抱える課題を解決する為に、大学と地域等が連携して課題を解決する活動の中で、学生にITの実践教育を行うというものです。具体的には、高齢者や障害者の方が安全安心して生活できる環境づくりのツールとしてITを活用した「地域情報マップ」の開発・運用を大学が地域の人々、地元IT企業、自治体と連携して行います。地域情報マップとは、駅周辺エリアでの道路の危険物や車椅子用トイレの場所などの福祉情報や商店や飲食店の情報など生活情報がネット上の地図に登録してあるものです。マップは、1年次の学生と障害者と地域ボランティアの方が協力して実際に街に出て調査をし、学生が個々にその情報をマップに登録し、更新されていきます。この活動を通じて学生は、IT教育のきっかけづくりや、障害者の気持ちや障害者の視点での街の状況を知る事で問題発見解決能力やコミュニケーション能力が養われ、高学年での利用者の立場に立ったシステムづくりの為の応用教育プログラムへと発展させていくことができます。
 地域の方、特に障害者の方も、自分達に関心を持ち、生活改善に必要な情報を提供してもらっているので、ITの利便性・重要性を感じ学生に大きな期待をもっているようです。今年で3年目の取組になり、大学から話を伺った帰りに駅前の様子をみてみると、マップに登録された放置自転車が少なくなるなど、取組が地域にも浸透してきていることがわかりました。地域情報マップを様々な人達に活用してもらいつつ、地域交流活動を通じたこの取組が、問題発見解決能力と豊かな人間性を持つ技術者育成に資することを期待しております。
(神奈川工科大学の取組についてはこちらから)
http://www.kmy.nw.kanagawa-it.ac.jp/gp/
(※神奈川工科大学の現代GPホームページへリンク)


●[新企画 大学教育改革の今-現場レポート-]●

 第50号でお知らせしました、新企画「大学教育改革の今-現場レポート-」について、各大学から投稿いただいたGP選定取組に関するレポートをお送りします。第2回目の今回は、大阪大学、県立広島大学の取組を紹介します。

(1) 大阪大学
「大学対抗交渉コンペティション」
(平成16年度特色GP選定取組)

 大学対抗交渉コンペティション(Intercollegiate Negotiation Compe-tition=INC)(略称「交渉コンペ」)は、大学、企業および法曹が協力して交渉や仲裁を学ぶ学生に他流試合の場を設けることにより、学習のインセンティブを高め、大学における交渉教育を促進しようという新しい試みである。
 平成18年12月の第5回大会では、14の大学とオーストラリアから、日本語チーム24、英語チーム14の計211名が出場し、60名を超す企業人、教員、弁護士、裁判官などを審査員として2日間にわたって対戦が行われた。学生アンケートでは、67パーセントが「とてもよかった」、31パーセントが「よかった」と回答している。また、審査員・教員の98パーセントが、交渉コンペは交渉教育に対するインセンティブを高めていると答えた。
 雑誌記事や教員報告会に寄せられた学生の声として、「本気で戦える場所があることで、チームワーク、リーダーシップ、役割分担、スケジュール管理の難しさと異文化コミュニケーションを学んだ。」、「机の前に座って教科書を読み、思考を深めることはもちろん重要だが、現実の世界では生身の人間が相手であることを忘れてはいけない。」などである。
 オーストラリアの教員は、「私のコーチとしての第一目的は、学生が実務的環境において法学及び日本語の知識を活用させる機会を得るということにあり、優勝することは想像していなかった。今回の優勝はこれまでの人生で最も衝撃的な出来事の一つだったかもしれない。」と感想を述べている。
 交渉コンペは法教育における産学官連携の新しい姿を示している。留学生や外国大学生を含む参加者の準備の周到さと熱心さと力量が審査員の熱意と呼応しあって、緊張感と一体感を生み出しているのである。また、企業や官庁や大学に就職したOBやOGが、若手審査員として交渉コンペに協力し、出身大学の指導をしている。大学と交渉コンペと社会との間によい循環が生まれているといえよう。
 今後とも、大学と社会を結ぶ実践教育の場として交渉コンペを発展させていきたい。
(大阪大学の取組についてはこちらから)
http://www.osipp.osaka-u.ac.jp/inc/index.html
(※大学対抗コンペティションホームページへリンク)

(2) 県立広島大学
「学生参加による世界遺産宮島の活性化」
(平成18年度現代GP選定取組)

 選定から1年が経過し、活動も本格化してきた。プログラムは、(1)宮島を学術的に研究し、(2)その成果を授業に還元し、(3)地元と協力して学生の主体的な活動を促し、(4)教員と学生が宮島の新たな魅力を再発見し、国内外に広く発信することを柱としている。
 (1)研究面では、広島大学との共同調査を実施し、その成果を授業だけではなく、宮島での連続公開講座、公開シンポジウム「厳島信仰の広がり」、『中国新聞』「ひろしま歴史回廊」連載、などを通じて地域社会に広く還元している。
 (2)教育面では、学内教員による特別授業「厳島の歴史と文化」を前期に実施し、後期には外部講師による特別授業「宮島の過去・現在、そして未来」を開講する。厳島神社の桃花祭(4月)、管絃祭(7月)などにあわせたフィールドワークには毎回多数の学生が参加し、とくに「お島廻り」神事を追体験する宮島一周航海(9月)は好評であった。
 (3)地域社会との連携で特筆すべきは、地元の宮島中学校との連携が大きく前進したことである。教員や院生が中学校の宮島学講座の講師として授業を行ったり、学生と中学生が一緒に伝統芸能「宮島踊り」を練習したり、管絃祭の御座船を迎える「ちょうちん」を準備して観光客に配ったりした。
 また、特別授業で学んだ知識とGPで実施した英語観光ガイド養成講座で身につけた技術を駆使して、9月には宮島で外国人観光客のガイドを試みた。これにも中学生が同行し、質問に詰まった学生に中学生が答えを教え、学生がそれを英語に訳して説明するといった、微笑ましい光景も見られた。
 観光客からは「日本訪問で一番思い出深い経験になった」と喜ばれ、学生たちにも大いに励みとなった。今後は(4)の情報発信も強化したい。
(県立広島大学の取組についてはこちらから)
http://www.pu-hiroshima.ac.jp/investigation/mgp19/mgp19.html
(※県立広島大学ホームページへリンク)

 今後も、GPに選定された取組による活動内容や学生の声などを紹介していきたいと思います。選定校の皆様からの、たくさんの投稿をお待ちしております。
 投稿される場合は、こちらをご覧ください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/tokushoku/05060601/051.htm


●[編集後記-編集部(予算等全体調整担当)(大学改革推進室改革支援第1係長)樋口 徹]●

 大学改革GPナビをご愛読の皆さま、こんにちは。
 先日、今号の配信記事として取りあげた「特色GPフォーラム(札幌会場)」に行って参りました。
 当日は平成19年度選定の52大学によるポスターセッション、取組事例紹介、審査部会委員とのパネルディスカッションの実施と、私自身が初めてのフォーラム参加ということもあり、非常に為になる有意義な1日となりました。
 この4月から本職に就いて、今回初めて様々なGPに直接触れて素直に感じたこと。それは、選定されたGPは各大学の理念や目的をハッキリと映し出すものではないかということ。個性・特色ある優れた取組ですから当然かもしれませんが、実際に触れてみたことで私自身が一層強くそう感じました。また、地域における大学としての役割や存在が見えたように思えます。地域に開かれた大学づくり、とても魅力的に感じました。
 特色GPフォーラムは今回の札幌会場を皮切りに、福岡、大阪へ会場を移しフォーラムが開催されます。また、来年2月9日、10日には「大学教育改革プログラム合同フォーラム」がパシフィコ横浜で開催されます。
 各大学の選定取組や教育内容を知る絶好の機会として、大学関係者のみならず、高等学校関係者、企業関係者の皆さまも是非お近くの会場に足をお運び下さい。

 第50号でお知らせしました「大学教育改革の今-現場レポート-」の投稿について随時受け付けております。投稿を希望される場合は、第50号の要領に従い編集部(daikaika@mext.go.jp)までお寄せください。皆様からの積極的な投稿をお待ちしております。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/tokushoku/05060601/051.htm

 大学改革GPナビをご覧の皆様から大学改革GPナビに対する意見や要望などありましたら、編集部(daikaika@mext.go.jp)までお寄せください。今後の大学改革GPナビの参考にしてまいります。

 GPをはじめとする「国公私を通じた大学教育改革の支援」についての質問や提言などありましたら、daikaika@mext.go.jpまでメールを送信してください。
 お送りいただくメールの件名はセキュリティの関係上、必ず「大学改革GPナビ(件名)」の形式でお願いします。
 なお、ご質問等に関しては、個別にお答えしてまいりますが、皆さま方にご紹介することが適当と思われるものなどについては、ご質問をいただいた方に確認の上、大学改革GPナビ「GPに関するQ&A」などで回答する場合もあります。



このメールは送信専用メールアドレスから配信されています。
このままご返信いただいてもお答えできませんのでご了承ください。
新規登録・登録解除
https://www.mext.go.jp/magazine/index.htm
(※メールマガジンの配信についてへリンク)

大学改革GPナビ-Good Practice
編集長: 文部科学省高等教育局大学改革推進室長
発行: 文部科学省高等教育局大学改革推進室
〒100-8959 東京都千代田区丸の内2-5-1
03(5253)4111(内線:3319、3321)

大学教育の充実-Good Practice
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/gp.htm
大学改革GPナビ-Good Practice-バックナンバー
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/tokushoku/05060601.htm



大学教育改革プログラム合同フォーラム開催決定!
 平成20年2月9日(土曜日)、10日(日曜日)に「パシフィコ横浜」にて開催します。基調講演をはじめとして、各プログラムの分科会やポスターセッションなどの実施を予定しておりますので、是非多くの方にご参加いただければと考えています。
 合同フォーラムの詳細については、決定次第お知らせします。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/gp/kaisai/07102403.htm
(※フォーラムの開催へリンク)


 

-- 登録:平成21年以前 --