私立学校・学校法人の労務管理

 学校法人および私立学校の教職員については、公務員法制の公立学校と異なり、一般企業の従業員と同様、労働基準法をはじめとした労働関係法令が全面的に適用されます
 そのため、各学校法人および私立学校におかれましては、改めて、労働時間の客観的把握、36協定等必要な労使協定の締結、就業規則等の学内規程の整備及び当該規程に則った運用等、労働関係法令に基づいた適切な労務管理を行っていただくようお願いします。

働き方改革について

 労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する「働き方改革」を総合的に推進するため、 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)」が成立し、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、公正な待遇の確保等に関する措置が講じられています。  学校法人においても、引き続き、労働法制の遵守及び雇用する労働者への周知促進をお願いします。

ハラスメント防止対策について

 令和元年に、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)」が成立し、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設や、セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化等の措置が講じられました(令和2年6月1日施行)。

 ⑴ 国の施策にハラスメント対策を明記(労働施策総合推進法)  
  ▹ 国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)を明記。
  ▹ 職場における「パワーハラスメント」とは、職場において行われる、以下の要素を全て満たすものと定義。
  ・優越的な関係を背景とした言動であって、
  ・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  ・労働者の就業環境が害されるもの
 ⑵ パワーハラスメント防止対策の法制化(労働施策総合推進法)
  ▹ 事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設。あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備。
  ▹ パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備。
 ⑶ セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法)
  ▹ セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化。
  ▹ 労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止。
  ※パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を整備。

育児・介護休業について

令和3年に、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律(令和3年法律第58号)」が成立し、産後パパ育休制度の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの措置が講じられました(令和4年4月1日から段階的に施行)。

【改正内容】
 ⑴ 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化 【令和4年4月1日施行】
  育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置及び妊娠・出産の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務付け。
 ⑵ 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 【令和4年4月1日施行】
  有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件を廃止(労使協定を締結した場合には、引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外可能)。
 ⑶ 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設 【令和4年10月1日施行】 
  男性の育児休業取得促進のため、子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組み(産後パパ育休制度)を創設。
 ⑷ 育児休業の分割取得 【令和4年10月1日施行】
  育児休業((3)の休業を除く。)について、分割して2回まで取得することを可能とする。
 ⑸ 育児休業等の取得状況の公表の義務化 【令和5年4月1日施行】
  常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、育児休業等の取得状況を年1回公表することを義務付け。

女性活躍の推進について

令和元年に、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)」が成立し、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」が改正されました。令和4年4月1日に、その一部が施行予定であることも踏まえ、各学校法人におかれては、対応に遺漏なきようお願いします。

【改正内容】
 ⑴ 一般事業主行動計画に関する改正内容 【令和2年4月1日施行】
  常時雇用する労働者数301人以上の事業主は、令和2年4月1日以降が始期となる一般事業主行動計画を作成する際は、行動計画の策定届を、管轄の都道府県労働局まで届け出る必要があります。 
 ⑵ 女性活躍推進に関する情報公表の改正内容 【令和2年6月1日施行】
  常時雇用する労働者数301人以上の事業主は、令和2年6月1日以降、女性の活躍推進に関する情報公表項目について、厚生労働省令の定めに則って、情報公表する必要があります。
   ※情報公開に関する勧告に従わない場合には、法人名が公表される可能性があります。
 ⑶ 「プラチナえるぼし」認定の創設 【令和2年6月1日施行】
  女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主への認定である現行の「えるぼし認定」よりも水準の高い「プラチナえるぼし」認定が創設されました。
 ⑷ 一般事業主行動計画の策定・届出及び情報公表の義務対象の拡大 【令和4年4月1日施行】
  ⑴及び⑵の義務の対象が、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主から101人以上の事業主に拡大されます。
 常時雇用する労働者数101人以上300人以下の事業主は、施行日までに、行動計画の策定・届出及び情報公表のための準備を行ってください。

私立学校において児童生徒等にわいせつ行為を行った教員に対する厳正な対応について

児童生徒を守り育てる立場にある教師が、児童生徒に対してわいせつ行為等を行うようなことは、決してあってはならないことです。文部科学省では、児童生徒等にわいせつ行為を行った教員への厳正な対応について、様々な取組を実施しています。

〇官報情報検索ツールの利用促進 
 採用権者が教育職員免許法(昭和24年法律第147号)第2条第1項に規定する「教育職員」を採用(臨時的任用職員・会計年度任用職員である講師の登録を含む。)するに当たり、懲戒免職処分等を受けたことによって免許状が失効・取上げとなった事実の有無を確認する際の手段の一つとして、官報に公告された公開情報である免許状の失効・取上げ情報を簡便に確認することのできる検索ツール(官報情報検索ツール)を文部科学省より提供しています。

〇教育職員免許法に基づく私立学校における懲戒解雇の報告・通知の調査
 私立学校の教員に免許状の失効(禁錮以上の刑)・取上げ(懲戒解雇)の事由があるときは、学校法人から私立学校担当課(所轄庁)への報告と、所轄庁から免許管理者への通知が義務付けられています(教育職員免許法第14条・第14条の2)。
 文部科学省では、これらの教育職員免許法に基づく通知・報告義務の実績について、各都道府県私立学校主管部課に対し、調査を実施しています。

公益通報者保護制度について

 令和2年に、「公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第151号)」が成立し、「公益通報者保護法(平成16年法律第122号)」が改正されました。常時使用する労働者の数が301人以上の学校法人は、公益通報に対応するために必要な体制の整備等を行う必要があります(令和4年6月1日施行予定)。

【改正内容】
 ⑴ 公益通報の範囲の拡大
  ・公益通報の主体に、退職後1年以内の退職者及び法人の役員を追加。
  ・通報対象事実の範囲に、行政罰の対象となる法令違反行為を追加。
  ・通報先に、権限を有する行政機関が指定した者への通報を追加。
  ・保護の内容に、公益通報に伴う損害賠償責任の免除を追加。
 ⑵ 事業者のとるべき措置
 ▹公益通報を受け、調査、是正に必要な措置をとる業務(公益通報対応業務)に従事する者(公益通報対応業務従事者)の設置を義務付け。
  また、具体的な指針(公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年8月20日内閣府告示第118号))を策定。
 ▹公益通報に対応するために必要な体制の整備(既存の内部規程の評価・点検、幹部からの独立性の確保、匿名通報の仕組みの構築等)その他の必要な措置を講ずることを義務付け。
 ▹公益通報対応業務従事者等に対し、公益通報者を特定させる情報の守秘義務を罰則付きで規定。
 ⑶その他
 ▹上記の体制整備義務を果たさない場合の行政措置(助言・指導・勧告及び勧告に従わない場合の公表)の導入。
 ▹権限を有する行政機関における公益通報に適切に対応するために必要な体制の整備等の義務付け。

新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた私立学校における業務体制の確保について

その他、学校法人の労務管理に関連する情報

お問合せ先

高等教育局私学部私学行政課

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(高等教育局私学部私学行政課)