文部科学省では,小・中・高等学校等の教員養成を目的とする国立の教員養成大学・学部の教員養成課程を卒業した者及び国私立の教職大学院を修了した者を対象として,同年9月末現在の就職状況について,毎年度,調査を行っています。
このたび,令和6年3月に卒業及び修了した者についての就職状況を以下のとおり取りまとめました。
(1)調査対象:国立の教員養成大学・学部(44大学)
国私立の教職大学院(54大学)
(2)調査項目:教員養成学部等及び教職大学院における教員就職状況等について
(令和6年9月30日時点)
(3)調査手法:文部科学省による定例調査
【 国立の教員養成大学・学部 】
全体の教員就職率(卒業者数から大学院等への進学者と保育士への就職者を除いた数を母数とした場合)は69.0%で,前年度の67.8%から増加
・卒業者数は10,959人で,前年度に比較して259人減少
・教員就職者数は6,807人で,前年度に比較して42人減少
・大学院等への進学者数と保育士への就職者数の合計は 1,091人で,前年度に比較して22人減少
国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)卒業者の教員就職状況
【 国私立の教職大学院 】
全体の教員就職率は87.8%で,前年度の90.4%から2.6ポイント減少
・現職教員学生を除く修了者数は1,212人で,前年度に比較して162人増加
・現職教員学生を除く修了者数のうち,教員就職者数は1,064人で,前年度に比較して155人増加
※「在外教育施設における教育の振興に関する法律」が施行されたこと等も踏まえ,在外教育施設のうち,文部科学大臣から,国内の小学校,中学校,若しくは高等学校と同等の教育課程を有する旨の認定をうけた「日本人学校」及び「私立在外教育施設」に採用された者を,「教員就職者」に含むこととしました。(在外教育施設への教員就職者数 学部:20名, 教職大学院:4名)
【 国立の教員養成大学・学部卒業者について 】
令和6年3月卒業者の教員就職率は,4年続けて増加しました。(参考1)
令和6年3月卒業者における教員就職率の増加は,10ポイント以上の増加があった大学を含む全体の半数以上の27大学で教員就職率が向上したことによるものです。(資料1)
教員就職率が増加した大学・学部においては,
・入試の見直しを含む,教職意欲の高い学生の確保,
・教育委員会・現職教員と連携した教職の魅力発信機会の充実,
・学校体験活動や教育実習へのフォロー体制の確保,
・教員採用試験対策や不合格者への面談等のフォローアップに係る指導体制・支援体制の強化
といった取り組みを実施していたとの報告がありました。
【 国私立の教職大学院修了者について 】
教員就職率は9割を超える高い水準を維持しています。実務家教員及び指導教員を中心として,早くから教員就職の担当部署と連携する等のキャリア支援,教員採用試験不合格者へのフォローアップ等組織的な取組が教員就職率の高水準に寄与していると考えられます。
なお,教職大学院には,教育行政職を対象としたコース等もあり,当該コースは教育長や教育行政幹部を養成することを目的としていることから,修了後に教師にならないため教員就職率は100%にはならない状況があります。また,教職大学院での学びを経て,大学教員,教育やICT分野の民間企業職員等,教育関連の職に就いている者も散見される状況です。
教員就職率については,直近10年程度減少し続けていたところ,令和3年度以降は,各教員養成大学・学部等における努力や取組により,増加傾向に転じました。
一方,昨今の教員採用試験の倍率低下や「教師不足」の状況を受け,国立の教員養成大学・学部への期待は非常に高まっています。
我が国の教員養成の中心的役割を果たすべき国立の教員養成大学・学部においては,引き続きその使命や目標に照らし教員養成に取組むとともに,成果が得られている大学を参考にする等,更なる教員養成の取組が求められます。
また,教員養成フラッグシップ大学による先導的な実践も参考に,教員養成大学・学部,教職大学院における教員養成の高度化・機能強化を推進していきます。
令和6年度より新規に始まった「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化」事業も活用し,引き続き教員就職率の向上を促すとともに,大学と教育委員会が連携・協働し,地域が求める質の高い教師の継続的・安定的な養成・確保を推進していきます。
総合教育政策局教育人材政策課教員養成企画室
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