通学路における交通安全の確保の徹底について(周知)

5文科教第604号
令和5年6月28日
                                    

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
各指定都市市長
附属学校を置く各国公立大学長
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長  御中
 
 

文部科学省総合教育政策局長
藤江  陽子

 

通学路における交通安全の確保の徹底について(周知)
 
 

 令和3年6月28日に千葉県八街市において下校中の児童の列にトラックが衝突し、5名が死傷する痛ましい事故が発生してから、本日で2年が経過します。
 標記の件についてはこれまでも格段の御尽力を頂いているところですが、この事故を改めて振り返るとともに、事故からの教訓を踏まえ、重要な観点を以下のように示しますので、引き続き通学路の交通安全の確保への取組にお役立てください。
 

 

 
 

1.通学路の合同点検結果を踏まえた対策必要箇所への措置について
 令和3年6月の千葉県八街市の事故を受けて実施された合同点検結果を踏まえ、通学路の安全対策を進めていただいているところです。また、本年4月5日に開催された第4回交通安全対策に関する関係閣僚会議において、その進捗状況が報告され、内閣総理大臣からは「暫定的な安全対策の実施を含め、目標期間の令和5年度末までに、通学路合同点検対象の全国76,404箇所すべてにおいて安全対策を講じることを目指して、取り組むこと」との発言があったところです。令和4年12月末時点の実施状況によると、全体で 76,404 箇所の対策必要箇所のうち、61,637 箇所(約80.7%)について対策が講じられました。なお、教育委員会・学校の対策必要箇所については、40,568 箇所のうち、39,589 箇所(約 97.6%)について対策が講じられました(別添1)。今後実施する予定の対策については、今年度末までにおおむね完了できるよう引き続き可能な箇所から速やかに実施していただくようお願いします。
 通学路をめぐる環境は、各地域の事情に応じて変化していくことが考えられますので、その安全確保の在り方についても今後、不断に見直していくことが重要です。また、各地域における関係機関の連携による継続的な取組が重要です。今後、対策未了箇所への安全対策においても最善の対応が取れるよう、警察、道路管理者との更なる連携・協力をお願いします(別添2:暫定的な安全対策の検討等に係る関係省庁の連携、配慮について(依頼))。
 なお、道路管理者が担当する対策必要箇所のうち、安全対策の完了までに時間を要する箇所について、国土交通省から道路管理者に対して、暫定的な安全対策の内容及び対策必要箇所の進捗状況の公表事例が共有された旨、参考としてお知らせします(別添3:通学路における暫定的な安全対策(即効性の高い対策)事例及び対策必要箇所の進捗状況の公表事例について(共有))。今後、対策未了箇所については、道路管理者や警察等の関係機関と連携・協力し、暫定的な安全対策を含めた対策の検討を行うようお願いします。
 
 
2.各地域における関係機関等との連携による継続的な通学路の安全確保について
通学路の交通安全の確保については、「通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進について」(平成25年12月6日25ス学健第21号)に基づき、各市区町村単位での通学路の交通安全の確保に向けた推進体制(以下、「推進体制」という。)の構築をはじめ、各地域における関係機関の連携による継続的な取組が推進されるよう、お願いしているところです。
 従来から、推進体制の構成は、通学路における安全対策の関係機関となる、教育委員会、学校、PTA、警察、道路管理者を含めることを基本とし、必要に応じて自治体代表者や学識経験者等を加えることとしてお示ししているところです。さらに、登下校の見守りをはじめとする児童生徒等を取り巻く学校安全上の課題に対して、学校と教職員がその全てを担うことは困難です。特に、平素からの学校と家庭・地域との連携・協働の推進が不可欠です。このため、例えば、地域学校安全委員会や学校警察連絡協議会等の設置・活用や、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)や地域学校協働活動などの学校と地域の連携・協働の仕組みを活用することにより、地域の関係者との情報共有や意見交換の日常的な実施や、地域ぐるみによる交通安全の取組の推進をお願いします。
 これらについて、文部科学省では毎年度、学校を核とした地域力強化プランにおいて、「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」(令和5年度予算額3億3,800万円)を実施し、スクールガード・リーダーの育成やその活動の支援、スクールガード養成講習会の開催に係る経費の補助を、また、「地域と学校の連携・協働体制構築事業」(令和5年度予算額約70億6,600万円)を実施し、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進する自治体の取組に係る経費の補助を行っているところです(補助率:国1/3、都道府県1/3、市町村1/3、(都道府県等が直接実施する場合、都道府県等2/3))。今後もこれらの事業を御活用いただき、通学路の安全確保の推進をお願いします。
 このほか、通学路における交通安全の確保に向けて地域住民等の協力を得るためにも、推進体制の構成及び基本的方針(通学路交通安全プログラム)の内容、合同点検によって抽出した対策必要箇所(対策箇所図及び対策一覧表)等について、適切に情報発信することが極めて重要であることから、これらの情報をホームページ等により公表するよう改めてお願いします。
 
 
3.地域の実情に合わせた児童生徒の通学手段の検討
 現在、我が国では人口減少が進む中、各地で地域生活圏の在り方が変化しており、児童生徒の通学をめぐる事情も年々変わってきているところです。こうした状況を踏まえ、通学路の設定だけでなく通学手段の在り方も含め、各地域の実情に合わせて通学時における児童生徒の安全について定期的に検討いただくことが重要です。
 特に近年、人口減少・過疎化により各地で学校の統廃合が進んでおり、令和3年度現在(速報値)、全国の公立小学校のうち17.0%、中学校のうち16.8%において児童生徒の通学のためにスクールバスが導入されています。この導入率は毎年度少しずつ上昇しており、学校の統廃合に伴う導入に加え、通学路の安全確保の手段の一つとしてスクールバスを導入する事例も見られるところです。
 なお、学校の統廃合により遠距離通学となった児童生徒の通学条件の緩和を図るため、スクールバスの購入等の経費について補助を行っています。また、市町村が運行するスクールバスの維持運営費については、地方財政措置が講じられています。
 この他、スクールバスの活用事例を以下のとおり掲載していますので導入検討に当たってはご参照ください。

(参考)「国内におけるスクールバス活用状況等調査報告」 文部科学省

以上のことについて、各都道府県・指定都市教育委員会及び各都道府県知事・指定都市市長におかれては域内の市区町村教育委員会、所管又は所轄の学校及び学校法人等に対し、附属学校を置く国公立大学法人におかれては管下の学校に対し、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体におかれては所轄の学校に対し、周知方よろしくお取り計らい願います。
 

 

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課

安全教育推進室 交通安全・防犯教育係
電話番号:03-5253-4111(内線2695)

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(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)