【基本情報】
番号 |
2020-05 |
不正行為の種別 |
捏造、不適切なオーサーシップ |
不正事案名 |
研究活動上の不正行為(捏造等)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
保存治療系歯学 |
調査委員会を設置した機関 |
大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
元講師、准教授、元教授、教授、元准教授、講師、助教、元非常勤教員4名、元大学院生、元専科専攻生 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
- |
告発受理日 |
(2017-08追加調査) |
本調査の期間 |
令和元年7月16日~令和2年3月24日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和2年4月7日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業・基盤的経費(私学助成) |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 平成29年度に行われた学術論文における不正行為に関する調査(2017-08)の結果、当該調査において不正行為(捏造、改ざん、不適切なオーサーシップ)が行われたと認定された学術論文以外の関連論文についても調査が必要とされた。そのため、論文20編を対象に追加調査を行った結果、論文20編全てにおいて捏造(特定不正行為)及び不適切なオーサーシップが行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 5名(内部委員2名、外部委員3名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:元講師、准教授、元教授、教授、元准教授、講師、助教、元非常勤教員4名、元大学院生、元専科専攻生 計13名 イ)対象論文:20編(海外の学術誌:2013年(1編)、2014年(5編)、2015年(5編)、2016年(3編)、2017年(2編)、日本の学術誌:2015年(3編)、2016年(1編)) 2)調査方法 ・対象論文の内容、図表の精査 ・調査対象者への書面調査、聞き取り調査 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 対象論文20編全てにおいて捏造(特定不正行為)及び不適切なオーサーシップが行われたと認定した。 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 (捏造)元講師1名 (不適切なオーサーシップ)元講師、准教授、元教授、教授、元准教授、講師、助教、元非常勤教員4名、元大学院生、元専科専攻生 計13名 3)「不正行為に関与していないものの、不正行為が行われた論文の内容について責任を負う者」として認定した者 (捏造)准教授、元教授、教授、元非常勤教員3名、元大学院生 計7名 (認定理由) 〇捏造 PCR画像の反転によって作成された可能性の高いウエスタンブロット画像や、実験結果を示す棒グラフで誤差を示すバーの多くが識別できないほど異常に短く実際の実験データを反映していない可能性が懸念されるものがあったが、20編の論文に掲載された研究成果を示す図表の全て(149図)について、それらの作成に必要とされるオリジナルデータ等の証拠が全く示されず、データの最終的な取り纏めを行った元講師による捏造を覆すに足る証拠が提示されることはなかった。このため、元講師による捏造(特定不正行為)を認定した。 〇不適切なオーサーシップ 著者になっている論文の内容を理解していない者や、実験に主体的に関わっておらず論文の執筆作業を行っていない者が論文の筆頭著者になっていたこと等が判明した。全調査対象者は、著者として論文に公表する内容について理解し正確性を担保する努力を怠っており、このことについて責任を免れない。このため、全調査対象者を不適切なオーサーシップに関与したと認定した。 〇不正行為に関与していないものの、不正行為が行われた論文の内容について責任を負う者 准教授は、10編の論文の責任著者であり、捏造が認定された元講師に対して指導的立場にあったが、実験データを全く確認することなく、元講師の作成した図表を基に論文執筆を進めた。元教授及び教授は、被認定論文に係る研究を主体的に進めた講座の主宰者であり、それぞれ6編、14編の論文の最終確認等を担当したが、個々の図の作成過程は把握していなかった。元非常勤教員3名及び元大学院生はそれぞれ論文1編の責任著者であり、当該論文の最終確認等も担当したが、オリジナルデータを確認し論文の内容の正確性を担保するという筆頭著者の責任を怠った。以上のことから、それぞれ「不正行為に関与していないものの、不正行為が行われた論文の内容について責任を負う者」として認定した。 (その他) 捏造への関与が認定された元講師が筆頭著者を務め、国外の他機関に属する研究者が責任著者となっている論文1編については、今後追加調査を実施する。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 不正行為を認定した論文は、科学研究費助成事業及び基盤的経費(私学助成)の成果であり、当該事業から以下の支出があった。 ・科学研究費助成事業 978,374円(英文校正料、別刷代、論文掲載料) |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ勧告等 不正行為が認定された論文20編の取下げを勧告した。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 〇教育研究活動の停止措置 准教授及び教授に対して、教育研究活動に関する一定期間の停止措置を行った。 〇学位の返上 不正行為が認定された論文を基盤論文として博士学位を取得した元非常勤教員2名の学位返上の申出を承認した。 〇学内処分 研究不正規程に則り、捏造及び不適切なオーサーシップに関与した被認定者に対する処分を学内懲罰委員会へ諮問した。 3.研究費の使用停止 准教授及び教授に対して、研究費の使用停止を命じた。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 ・対象論文はいずれも7名以上の著者によって執筆されているが、実際には、これらの論文に係る実験の遂行や図表の作成の全てを元講師が行い、図表に基づいて元講師と准教授が中心になって論文の執筆を進めた。この際、准教授はオリジナルデータ・実験ノート等を確認することなく作業を進め、発表データの正確性を担保するための努力を放棄した。 ・元講師及び准教授以外の著者は、オリジナルデータの取得から発表データ作成までの流れを把握しておらず、「学術論文の全著者は公表する内容に関し正確性を担保する責任がある。」という認識が不足していた。 ・元講師及び指導的立場にあった准教授にオーサーシップを含めた研究倫理に関する認識が欠如しており、これら指導者の下で研究に従事していた研究者も研究倫理に関する認識が不十分であった。 ・グリーンブックの通読後に理解度チェックリストを提出する研究倫理教育を開始していたが、大学の規程等について大学・学部・研究室レベルでの周知徹底が不十分であった。 2.再発防止策 〇研究室レベルでの再発防止策 ・実験条件等を正確に記録した実験ノートを作成し、オリジナルデータ等と共に保管すると同時に、それらを研究者間で確認する。 ・論文公表に当たって責任著者はもとより、全著者は公表するデータの基となるオリジナルデータ・実験ノート等を再度確認し、公表しようとする内容の正確性を担保し、学術研究成果の信頼性及び公正性を確保するよう努める。 ・論文公表に当たっては、正しいオーサーシップ(全著者が論文内容を理解していること、役割分担を明らかにすること、論文の最終確認をすること等)を尊重し実践する。 〇学部・大学における再発防止策 ・今回の不正行為の概要を周知するとともに、大学の行動規範を改めて周知徹底する。 ・オリジナルデータ・実験ノート等の保管、それらの研究者間での確認、正しいオーサーシップ等を含めた研究倫理の向上のための取り組みを推進する。 ・研究者を不正行為に追い込むような環境を学部内に形成しないよう努める一方で、研究活動上の不正行為に対しては厳正に対応する。 |
◆配分機関が行った措置 |
特定不正行為(捏造)が認定された論文は、科学研究費助成事業の成果として執筆された論文であり、かつ、科学研究費助成事業について捏造と直接的に因果関係が認められる経費の支出があった。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、経費の返還を求めるとともに、当該資金への申請及び参加資格の制限措置を以下のとおり講じた。 |
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