3.評価結果の政策への反映状況

1.実績評価結果の政策への反映状況

施策目標4−1 基礎研究の推進   【主管課】   研究振興局基礎基盤研究課
【関係課】 研究振興局学術研究助成課・学術機関課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−1)
 研究者の自由な発想に基づく基礎研究を幅広く、着実に、かつ持続的に推進し、人類の知的資産の拡充に貢献するとともに、世界最高水準の研究成果や、新たなブレークスルーをもたらす優れた研究成果を生み出す。
第2期科学技術基本計画の方針に沿って、基礎研究について一定の資源を確保する。
平成17年度までに、第2期科学技術基本計画の競争的資金の倍増を目指すとの方針に沿って、基礎研究を推進するための競争的資金(科学研究費補助金及び戦略的創造研究推進事業)の拡充に努める。
優れた研究成果が生み出され活用されるよう、間接経費の拡充等、競争的研究資金の制度改革を進める。
  • 大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的基礎研究の推進
  • 基礎研究を推進するための競争的資金(科学研究費補助金及び戦略的創造研究推進事業)
 大学・大学共同利用機関等における基礎研究関連予算(競争的資金は含まない)は着実に確保されており、第2期科学技術基本計画における「基礎研究について一定の資源の確保」の目標を達成していると言えるが、競争的資金の拡充については、平成17年度において、厳しい財政状況のもと、平成12年度比1.33倍の拡充となったものの、第2期科学技術基本計画中の倍増が達成できなかった。
 科学研究費補助金では、ピアレビューによる審査方法を「評価ルール」として、ホームページ等において公表するなど審査・評価における透明性を確保しており、また、プログラムオフィサーの充実や繰越明許費への登録、応募資格の見直し等の制度改革も着実に進められている。なお、間接経費については、平成13年度以降、順次導入を図ってきているが、全ての研究種目に導入されるには至っていない。
 戦略的創造研究推進事業では、30パーセントの間接経費やそれに準ずる研究環境経費の拡充に努めるとともに、研究評価においても、研究開発戦略センターが研究領域の事前評価等に加わることでより一層の透明性確保に努めている。
 以上を総合的に判断すると、一定の成果が上がっていると言えるが、一部については想定どおり達成できなかった。
 今後とも、競争的資金の倍増目標を目指しつつ、透明性の高い評価の実施、間接経費拡充といった制度改革に取り組む必要がある。
【概算要求】
○大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的基礎研究の推進を着実に推進するため、所要額を運営費交付金として計上。
○基礎研究を推進するための競争的資金(科学研究費補助金及び戦略的創造研究推進事業)として2,628億円を概算要求に盛り込んだ。現在の厳しい財政状況のもと、対前年度比25億円、1.0パーセント増を計上(平成19年度予算額:2,399億円)。
○科学研究費補助金では、科学技術基本計画の趣旨に則り、間接経費の拡充や若手研究者育成の充実等を図るため、2,106億円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:1,913億円)。
○科学技術振興機構が実施する戦略的創造研究推進事業では、間接経費の拡充を図り、522億円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:474億円)。

【制度改革】
○科学研究費補助金では、機関管理の徹底など、不正行為を防止するための経費管理・監査体制の強化や、繰越明許制度を活用し、科研費の効率的・弾力的使用を促進するなどの制度改革を行った。
○科学技術振興機構が実施する戦略的創造研究推進事業では、引き続き、研究評価においても、国内外の科学技術動向の調査・分析を行う研究開発戦略センターが研究領域の事前評価等に加わることで、より一層の透明性確保に努めた。また、平成19年度より評価体制の強化、現地調査を通じた研究課題の実施状況の実態把握の強化を図る。

施策目標4−2 ライフサイエンス分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究振興局ライフサイエンス課
【関係課】 研究振興局基礎基盤研究課・研究振興戦略官付

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−2)
 ライフサイエンス研究を戦略的・重点的に推進することにより、革新的な創薬・医療技術及び食料や環境問題への対応のための基盤技術を開発し、ゲノム情報を活用した創薬や個人にあった医療等を実現し、活力ある経済社会の創造に資する。
生命現象の解明に必要な基礎的知見の蓄積を図る。そのための手段として、転写調節領域を中心としたゲノム機能、遺伝子やタンパク質の相互作用等の集中的解析を行うとともに、これらのデータの活用により、各種疾患、生命現象システムの解明を行う。
画期的な創薬の実現に資する知見の蓄積、技術の開発を図る。そのための手段として、タンパク質の全基本構造の1/3(約3,000種)以上の構造及び機能を解析し、解析結果の特許化を行う。
ライフサイエンス研究に必要不可欠な研究基盤を整備する。そのための手段として、ライフサイエンス研究の基盤となる生物遺伝資源(バイオリソース)及びそのゲノム情報について、戦略的に開発・収集・保存・提供を行う体制の確立等を行う。
先進的医療の実現に資する知見の蓄積、技術の開発を図る。そのための手段として、(1)対象とする疾患について30万人規模のサンプル及び臨床情報を収集するとともに、SNP(一塩基多型)の解析を実施し、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療の実現に資するための基盤の整備、(2)世界に先駆けて再生医療の実現のために必要な幹細胞利用技術等の確立及びその実用化、及び(3)がんに関してこれまで得られた基礎研究の成果を実用化につなげる研究を推進し、新しいがん治療法の開発につながる成果の創出等を行う。
社会の安全・安心の確保に必要な知見の蓄積、人材の養成等を図る。そのための手段として、新興・再興感染症に関する国内外の研究体制を確立し、感染症に関する基礎的知見の蓄積を図る。また、研究情報や成果等を統一データベース化し、新興・再興感染症の国内外での発生時に迅速に対応できる基盤を充実する。
生物学、医学等と数学や化学、情報学等を融合し、新たな医療技術や診断技術等の実現に資する知見の蓄積、技術の開発、またそれに必要な基盤の整備を図る。そのための手段として、(1)高齢者が健康で幸福な生き方を実現できることを目標に、がんなどをごく初期の段階で発見、早期治療を可能とするレーザー技術、分子バイオ技術、ポジトロンCT(PET)などの光技術を融合した診断・検診技術等の開発、(2)実際の生体や細胞を用いて実施している薬剤応答解析等を先端生命情報技術等によってシュミレーションするプログラムの開発、及び(3)ポストゲノム時代における生命の統合的理解のため、分子イメージング技術を確立し、分子動態・薬物動態の研究を行うことにより、創薬のプロセス改革のための技術開発を行うとともに、疾患の早期診断法・治療法の確立等を行う。
国家的・社会的要請の高い脳、ゲノム、免疫・アレルギー研究やバイオインフォマティクス研究等の分野において、基礎的・先導的な研究を推進。そのための手段の一つとして、独立行政法人等において目標・計画に従い基礎的・先導的な研究を推進。
  • 転写開始点情報
  • タンパク質構造解析数
  • サンプル数(疾患症例数)
 平成17年度においては、1生命現象の解明に必要なゲノム機能解析の推進、2タンパク質の機能・構造解析、3戦略的な生物遺伝資源の収集・保存・提供体制の整備、4先端的医療の実現に資する知見の蓄積・技術の開発、融合研究による新たな医療技術や診断技術等の実現に資する知見の蓄積・技術の開発等を着実に実施しており、各達成目標の達成度合いが概ね順調であったことからも、基本目標の達成度合いについては概ね順調に進捗していると判断する。
 ゲノム機能解析については動的ネットワークの解明を目指す。タンパク質の機能・構造解析については、重要なタンパク質を選定し研究を推進する。生物遺伝資源の整備については、世界最高水準を目指し、保存技術開発やゲノム情報の整備も行う。
 先端的医療の実現に資する知見の蓄積・技術の開発、融合研究による新たな医療技術や診断技術等の実現に資する知見の蓄積・技術の開発等については、ライフサイエンス委員会における中間評価の結果をふまえ、着実に実施する。
【事業の推進】
○ゲノム機能解析の研究では平成18年度はゲノム機能情報の集中的解析について引き続き解析を進めるとともに、縦軸研究機関ではゲノム機能情報の解析で得られた成果を活用した個別生命機能の解析を推進した。加えて、プロジェクト内の研究の推進及び一層の連携を図った。平成19年度は、横軸研究と縦軸研究の連携による研究をより強化するとともに、本プロジェクトで得られた成果を活用し、「動的ネットワークの解析技術開発」を行う。

【概算要求】
○事業を着実に実施するため、3,348百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:2,301百万円)

【事業の推進】
○タンパク質の機能・構造解析の研究では、タンパク質の構造解析による成果の特許化だけにとどまらず、構造解析結果の創薬等への産業応用を追求するために、疾患や食品・環境分野に関連した重要なタンパク質を選定し、その構造・機能解析に取り組んでいる。構造解析の進捗状況等をとりまとめ成果を外部に発信するために、データベースを構築し稼動させた。

【事業の推進】
○生物遺伝資源の収集等の体制整備では、平成14年度から開始したナショナルバイオリソースプロジェクトは、平成18年度に終了する。

【概算要求】
○第3期科学技術基本計画に挙げられている「2010年までに世界最高水準の知的基盤の整備・活用」を目指すために、平成19年度から23年度の5年計画とする「ナショナルバイオリソースプロジェクト」として2,132百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:1,776百万円)

【研究業務改善】
○「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト」においては、平成17年度に実施されたライフサイエンス委員会における中間評価も踏まえ、外部研究者や産業界のサンプル利用促進とともにサンプル等の収集・保管管理臨床情報の入力作業等を着実に実施する。
 また、SNP解析・疾患関連遺伝子研究等については着実に進捗管理を行い、重点化等を図ることにより成果に結びつける。

【事業の推進】
○平成17年度に実施されたライフサイエンス委員会における中間評価を踏まえ、研究者支援に資するための研究用幹細胞バンクの活用を加速するため提供範囲の拡大、提供する幹細胞リソース種の拡大を行った。
 また、動物モデルで得られた操作技術等のヒト細胞における検証及び幹細胞を用いた治療法の開発等においても中間評価を踏まえ、一部の課題を中止するなど効率化を図った。

【概算要求】
○事業を着実に実施するため、1,122百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:970百万円)

施策目標4−3 情報通信分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究振興局情報課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−3)
 先端的な情報科学技術の研究開発及び研究開発に関する情報化を推進する。
大学等における情報通信技術のうち、実用化が期待できる技術(モバイル、光、デバイス)等について重点投資を行い、プロジェクト研究として推進し、プロジェクト研究成果の実用化・企業化を目指す。
先端的研究機関を最速10Gbps(ギガビットパーセカンド)の回線で接続するスーパーSINETのノード(接続拠点)数を平成15年度までに28機関において整備し、さらに順次拡充して、観測実験・シミュレーション等で大容量のデータを扱い、超高速・広帯域のネットワークを必要とする高エネルギー・核融合科学をはじめとする先端分野の研究を一層推進する。
世界最高水準の高度情報通信システム形成のための鍵となるソフトウェア開発を実現させ、いつでもどこでも誰でも安心して参加できるIT社会の構築に資する。
分散したコンピュータを高速ネットワークで結び、百テラフロップス級の計算処理能力を持つグリッド・コンピューティング環境を構築し、産学官連携の推進や、ナノ分野と情報通信分野との連携の下で行う融合領域研究を進展させることにより世界水準の高速コンピューティング環境の実現を目指す。
大学等が持つ研究ポテンシャルを最大限に活用し、教育、文化・芸術分野における知的資産の電子的な保存・活用等に必要なソフトウェア技術基盤の構築のための研究開発を推進し、人々の教育、文化・芸術に触れる機会の増大と、新たなコンテンツ作成・配信技術の創出を行う。
我が国発のスーパーコンピューティング技術が世界のトップであり続けるとともに「いつでも、どこでも」 「安全、安心」かつ「快適」なユビキタス社会を世界に先がけて実現するための基盤技術の確立を目指す。
  • スーパーSINETのノード(接続拠点)数
  • グリッドコンピューティング環境の計算処理能力(テラフロップス)
 基本目標の達成度合いについては、ITプログラムやスーパーSINETの整備など、各々の事業が計画どおり進捗しており、情報通信分野の研究開発や、情報科学技術を活用した基盤の高度化、高機能化の実現が進められていることから、概ね順調に進捗していると判断。
 基本目標全体としては第3期科学技術基本計画に定められた重点推進4分野の一つである情報通信分野の研究開発を推進するために、「分野別推進戦略」(平成18年3月総合科学技術会議決定)等に沿い、引き続き、融合領域の研究やその基盤となる技術開発、研究情報基盤の充実とその活用を推進していく必要がある。
 また、IT利活用に重点を置いて策定されたIT新改革戦略(平成18年1月IT戦略本部決定)も踏まえ、情報通信分野の研究開発を行っていく必要がある。
 研究が概ね順調に進捗していることから、今後も引き続き目標達成に向けて研究開発及び研究開発に関する情報化を推進していく。
【概算要求】
○高機能・超低消費電力コンピューティングを実現させる要素技術の開発を更に進展させるために必要な経費を、「高機能・超低消費電力コンピューティングのためのデバイス・システム基盤技術の研究開発」として600百万円概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:525百万円)
○「スーパーSINETの整備」について、最先端学術情報基盤(サイバー・サイエンス・インフラストラクチャ)の構築に向けて、大学等の学術情報基盤であるSINETと、先端的研究拠点を超高速回線で接続した先端的学術情報基盤であるスーパーSINETとを統合し、より信頼性・安定性が高く、柔軟かつ効率的な回線利用が可能な次世代学術情報ネットワーク(SINET3)を構築、運用するために必要な経費を、概算要求に盛り込んだ。(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構運営費交付金の内数)
○「先進的なストレージ技術およびWeb解析技術」において、遠隔コピー技術の更なる高度化を行い、成果の広範囲な普及を行うための経費や、「データ収集に基づくソフトウェア開発支援システム」において、データ収集ツールにソフトウェアの構築状況を評価・分析する手順を実装し、ソフトウェアツールとして公開するために必要な経費等を、815百万円概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:671百万円)
○「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」の一環として、当初のターゲットにしたがい、分子科学研究所などとの大規模実証実験の実施、運用に供することのできるグリッドミドルウェアの第1版の完成、ペタスケール計算環境に必要な大規模データを扱う機能、産業界も含めた供用のためのVO(仮想組織)、セキュリティの強化など新機能の開発を行うために必要な経費等を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」7,736百万円の内数)
○「文化財のデジタル・アーカイブ化」において、複数人物のリアルタイム追跡・撮影システム、光学特性デジタル化アルゴリズム、文化財の3次元デジタル・アーカイブ化を行うソフトウェアの研究開発を行うための経費や、「教育機関向けデジタル・アーカイブ利用システム」において、クロスメディア検索と異種メタデータ統合エンジン、音楽に関する意味的・感性的連想サーチエンジン等の研究開発と教育機関での実証実験を引続き実施するために必要な経費等を、397百万円概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:315百万円)
○「将来のスーパーコンピューティングのための要素技術の研究開発」において、一信号当たり20Gbps(ギガビットパーセカンド)超で、かつLSI当たりの光素子実装密度1000信号程度の光インターコネクションの要素技術の確立、「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」において、最終バージョンの公開に向けたソフトウェアの改良、「安全なユビキタス社会を支える基盤技術の研究開発」において、開発したセキュアチップ・セキュアOSを実装した端末を利用した実証実験等を行うために必要な経費等を2,661百万円概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:1,925百万円)

施策目標4−4 環境分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室
【関係課】 研究開発局海洋地球課・宇宙開発利用課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−4)
 地球温暖化、水循環、資源循環、有害化学物質等の地球環境問題は、我々人類の社会生活と密接な関連を有し、重大な影響を及ぼす恐れがあることから、総合科学技術会議の環境分野推進戦略や地球観測の推進戦略を受け、その影響を科学的に解明し、適切な対応を図るための研究開発を推進する。
地球温暖化等の地球規模の環境変動等の解明に役立つため、人工衛星、ブイ等を活用し大気、海洋、陸域における観測を行う。また、南極域における研究・観測を行う。
更に、地球観測サミットにおいて承認された「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」を推進するため、今後10年間にわたり地球観測に係る体制強化を図る。
地球温暖化の地球規模の環境変動等の予測モデルの高精度化を図るために、モデルの開発研究を推進する。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書に資する日本モデルを開発する。
「持続型経済社会」の実現に向け、都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスの無害化処理と再資源化(原料化・燃料化)に関する技術開発を行うとともに、その実用化と普及を目指して、要素技術、影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発を産学官の連携・協力により行う。
  • 打ち上げられた衛星数
  • 運用中の衛星数
  • 地球温暖化・炭素循環観測の研究課題数
  • アジアモンスーン地域水循環・気候変動観測研究課題数
  • 地球観測に関する調査研究課題数
  • ARGO計画:投入フロート数及び割合
  • 南極・ドームふじ基地における第二期氷床深層掘削計画
  • 温暖化の研究開発課題数
  • 水循環変動予測の研究開発課題数
  • 共通基盤技術開発の研究開発課題数
  • 従来方針と比べたエネルギー変換効率

 基本目標の達成度合いについては、

  • 地球環境の理解及び実態の把握に資する人工衛星の開発・運用及び海洋観測について、概ね順調に進展していること。
  • 地球シミュレータの性能を活かしたプログラム開発や全球規模の気候変動や水循環変動等のシミュレーションをするための高精度かつ統合的なモデルの開発が進展していること。
  • 資源循環や有害化学物質対策等に資する、廃棄物・バイオマスの再資源化や安全性評価等のためのシステム開発が進展していること。などから、概ね順調に進捗していると判断。
  • 引き続き、「だいち」の運用、GOSAT、GPM/DPR等の研究開発、ARGO計画における国際的な目標である3,000台のフロートによる海洋観測システムの構築、南極域での多項目の観測、「しらせ」後継船が就役する平成21年度以降の観測体制についての検討、対流圏中の物質が環境や気候に与える影響の見積もりを大幅に向上させる観測研究を行う。
  • IPCC第5次評価報告書への寄与を目指して温暖化予測の精度向上を図る「日本モデル」の開発、日本を中心としたアジア・モンスーン地域における陸水循環過程の解明に向けた高解像度の水循環モデル開発を行う。
  • 引き続き、都市・地域から排出される廃棄物の無害化処理と再資源化を図るための技術開発及び、影響・安全性評価や物流等関連する経済社会システム設計に関する研究開発を行う。
【概算要求】
○人工衛星からの地球観測について、引き続き「だいち」の運用を行い、GOSAT、GPM/DPR等の開発等を推進するため、18,114百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:12,592百万円)
○ARGO計画について、国際的な枠組みのもとに、国際的な目標の常時3,000台のフロートによる地球規模での海洋観測システムの構築に引き続き貢献する。
○南極地域観測第7期計画(平成18〜21年度)に基づき、南極域での環境変化の把握を目的とした多項目の観測を引き続き行うため、3,422百万円を概算要求に盛り込んだ。平成21年度の就役を目指し、「しらせ」後継船の建造とヘリコプター後継機の製造を着実に行うため、10,964百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:13,769百万円)
○「地球観測システム構築推進プラン」について、さらに総合的に観測システムを構築する観点から、全球規模で輸送される大気中に含まれる人為起源および自然起源の微量成分や微粒子の対流圏中の大気成分変化を観測するシステムの構築の実現に資する観測研究および技術開発を目指して、849百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:573百万円)
○21世紀及びそれ以降における確度の高い高解像度の予測情報を国内外の地球温暖化対応に関する検討の場に提供し、IPCC第5次評価報告書(2013年頃予定)への寄与をはじめ、気候変動に対する政策検討、技術的対策の立案に資する観点から、平成18年度に終了する「人・自然・地球共生プロジェクト」における「日本モデル」を発展的に継承した革新的なプログラムを平成19年度に立ち上げる必要があるため、3,613百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:2,313百万円)
○「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として、都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスの無害化処理と再資源化にむけて、そのためのプロセス技術開発や影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発を行うとともに、得られた成果を統合しながら、廃棄物・バイオマス流通・処理システムの設計、評価にかかるモデルの構築を目指すため、475百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:306百万円)

施策目標4−5 ナノテクノロジー・材料分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究振興局基礎基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室
【関係課】 科学技術・学術政策局計画官付、研究開発局原子力計画課核融合室

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−5)
 ナノテクノロジーに関して、我が国における産学官の英知を結集した戦略的な取組みを行うと共に、物質・材料に関して、重点的に投資を行うことにより、総合的かつ戦略的な研究開発を進め、世界に先駆け技術革新につながる成果を創出する。
分野別バーチャルラボによって10〜20年後の実用化・産業化を展望した挑戦的な研究に関して研究者の緊密な連携の下に効果的な研究を行う。
医療産業分野に適した産学官連携・医工連携研究開発体制を確立し、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合によって、ヒトの機能を代替・補助する生体適合材料の開発および細胞とナノ生体材料を複合化したナノ医療デバイス・人工臓器の研究を推進する。
2010年頃に訪れると予想されるシリコン電子デバイスの微細化の限界を打破するため、より小型、より高速、より省電力のデバイスを、バイオテクノロジーを利用した新原理プロセスを用いて世界に先駆けて開発し、IT分野において世界を先導することを目指す。
広範な科学技術分野の研究開発に資するとともに、産業の技術革新のための基盤研究として重要な、世界最先端のナノ計測、分析機器を開発する。
大型・特殊施設・設備を活用したナノテクノロジーに関する高度技術支援を行い、併せて情報収集・発信および研究者の交流促進を図り、総合的に研究活動を支援することを通じて、我国におけるナノテクノロジーを戦略的に推進する。
物質・材料研究機構において、物質・材料科学技術に関する研究開発等の業務を総合的に行うことにより、物質・材料科学技術の水準の向上を図り、国際競争力があり持続的発展が可能で、安心・安全で快適な生活ができ資源循環可能な社会の実現に貢献する。
最終的な出口である製品・サービスをはっきりと見据えた融合研究領域における研究を産学連携体制のもと行うことにより技術革新を創出し、また、優れたシーズ技術をコアとしてシナジー効果を得ることが期待される新たな融合研究領域を研究拠点において開拓する。
高性能、低コストの高温運転型次世代燃料電池を実現する革新的材料を開発する。
次世代半導体デバイスを実現する技術として期待されているEUVリソグラフィー光源の実用化に必要な基盤技術と光源設計の指針を作成し、その実用化に貢献する。
 基本目標の達成度合いについては、
  • 分野別バーチャルラボの論文掲載数が1,928件となり、想定どおり増加していること。
  • ナノテクノロジーを活用した人工臓器の開発等、実用化・産業化を展望した研究開発が推進されたこと。
  • ナノテクノロジー総合支援プロジェクトの実施により、ナノテクノロジーに関する高度技術支援や情報支援が増加したこと。
  • 物質・材料研究機構において、ナノテクノロジー・材料分野の基礎的・先導的な研究開発が着実に推進されたこと。
 などから、概ね順調に進捗していると判断。
 今後の課題として、実用化を見すえて産学官の英知を結集した戦略的な取り組みが必要である。
【概算要求】
○分野別バーチャルラボついて、引き続き、10〜20年後の実用化・産業化を展望した挑戦的な研究に関して研究者の緊密な連携の下に効果的な研究を行うため、平成19年度予算において所要額を運営費交付金として計上した。
○人工骨・人工靭帯等の生体適合材料の開発、細胞-生体適合デバイス(人工膵臓・人工肝臓)化技術の開発といった研究を着実に実施し、実用化に向けた医工連携的な取り組みを一層加速する。
○研究の視点を特定デバイスの作製技術から、微細プロセスとして広い適用性を有する技術と捉え、技術確立に向けて研究の推進を加速する。

施策目標4−6 原子力分野の研究・開発・利用の推進   【主管課】   研究開発局原子力計画課
【関係課】 研究開発局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室・開発企画課立地地域対策室・原子力研究開発課・原子力計画課核融合開発室

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−6)
 長期的なエネルギーの安定供給、原子力を利用する先端科学技術の発展、国民生活の質の向上に向けて、原子力の多様な可能性を最大限引き出す研究開発成果を得る。
エネルギーの長期的安定供給を実現するため、供給安定性や環境適合性に優れた原子力の特性を技術的に高める高速増殖炉サイクル技術について実用化に向けた技術確立を図るとともに、核融合技術についても実用化に向けた研究開発を進める。
国民生活の質の向上および産業の発展のため、量子ビームテクノロジー等について、科学技術・学術分野から各種産業にいたる幅広い分野での利活用の促進を図る。
長期的な原子力研究開発利用を円滑に進めるため、原子力に係る人材を育成・確保する。
わが国の原子力開発利用を円滑に進めるため、国際協力を進める。また、電源立地対策として、発電の用に供する施設の設置及び運転の円滑化に資するため等の財政上の措置を講じる。
  • 重粒子線がん治療の治療患者数
  • 重イオン加速器施設における共同実験者数
  • 中性子の利用について(JRR-3の例)
 基本目標の達成度合いについては、
  • 高速増殖原型炉「もんじゅ」の再運転に向けた改造工事の開始、日本原子力研究開発機構の発足、また、ITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)計画のサイト地決定などがなされたこと。
  • J-PARCやRIBFの整備が順調に進捗していること。
 などから、原子力の研究、利用、開発に順調な進捗があったと判断。
  • 原型炉「もんじゅ」改装工事を着実に進め、早期の運転再開を目指す。
  • ITER(イーター)建設及び幅広いアプローチに関して、18年度中に各協定案への署名を実現するとともに、できるだけ早期に協定締結手続きを完了する。
  • J-PARCやRIBFについて、今後とも着実に建設を進めるとともに、産業界や研究者コミュニティが共同利用しやすい仕組みの整備等に向けた検討が必要である。
  • 重粒子線がん治療については、高度化に向けた次世代重粒子線照射システムの開発や専門人材の育成が重要である。
  • 原子力人材の育成については、今後とも連携大学院制度の充実・拡充などによる原子力関係学科・専攻への支援に取り組む。
  • GIF等により、国際協力を進め、GNEP構想への協力について、日本原子力研究開発機構を中心として具体的な検討を進めることが必要である。
  • 電源立地対策としての財政上の措置を講じることが引き続き必要であるとともに、「原子力・エネルギーに関する教育支援事業交付金」について、交付対象の拡充を図ることが必要である。
【概算要求】
○高速増殖炉「もんじゅ」については、安全確保を図りつつ、早期運転再開のための研究開発費として8,878百万円を概算要求に盛り込み、改造工事(進捗率約92パーセント(平成19年1月末現在))を着実に進めるとともに、平成18年12月には工事確認試験を開始した。(平成19年度予算額:8,788百万円)
○平成18年11月、ITER(イーター)建設・運転の実施主体となる国際機関の設立に関する協定等に署名し、ITER(イーター)機構がITER(イーター)の建設活動を開始した。また、平成19年2月、幅広いアプローチの実施協定に署名した。
○ITER(イーター)計画及び幅広いアプローチを着実に実施するための経費として、7,722百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:5,382百万円)
J-PARCの整備を着実に推進するため、28,756百万円、RIBFの整備については614百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:J-PARC26,808百万円、RIBF276百万円)
○重粒子線がん治療研究の推進のため、難治がんの克服に向けた臨床研究や重粒子線がん治療のさらなる高度化を目指した次世代照射システムの研究開発を行うとともに、専門人材の育成等、普及のための取組みを推進するために、6,288百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:5,537百万円)
○経済産業省と連携して、原子力分野の人材養成における重要な機能を担っている高専・大学に対して支援を行い、原子力分野の研究教育の基盤整備を図るため、156百万円を概算要求した。(平成19年度予算額:150百万円)
○着実に国際協力を推進するための経費として、効率化を図りつつ15百万円を概算要求した(平成19年度予算額:15百万円)。
○電源立地対策として財政上の措置を講じるため、8,181百万円を概算要求した。(平成19年度予算額:8,181百万円)

【機構・定員要求】
○産業界や研究者コミュニティが量子ビーム施設を共同利用しやすい仕組みの整備等の推進のため、量子ビーム利用推進専門官(1名)の新設を要求することとした。(平成19年度 量子ビーム利用推進専門官1名措置)

施策目標4−7 宇宙・航空分野の研究・開発・利用の推進   【主管課】   研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付
【関係課】 研究開発局宇宙開発利用課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−7)
 宇宙・航空分野の研究・開発・利用を積極的に推進することにより、安全で安心な社会の構築、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献、知的資産の拡大を目指す。
地球観測・通信・測位分野における衛星の開発、運用を行うことにより、信頼性の高い衛星開発技術を確立し、安全で安心な社会の構築、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献を目指す。
科学衛星の開発、運用を行うことにより、世界最高水準の特色ある太陽系探査科学や天文観測の技術を確立し、人類の知的資産の拡大を目指す。
我が国として重要な人工衛星とロケットを、必要な時に、独自に宇宙空間に打ち上げる能力を維持できるような宇宙輸送システムを開発することによって、安全で安心な社会の構築、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献を目指す。
国際宇宙ステーション計画等の国際協力に参加し、国際約束を果たすとともに、有人宇宙活動のための基盤的技術を効率的かつ効果的に蓄積することによって、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献、人類の知的資産の拡大を目指す。
民間企業主体の研究開発プロジェクトへの技術協力等を通じて研究開発成果の実用化を図ることによって、国産小型旅客機及びエンジン開発を実現し、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献を目指す。
  • ロケットの打上げ実績・開発中の衛星数
  • 打ち上げられた衛星数
  • 運用中の衛星数
 平成17年度に打上げを予定していたロケット、人工衛星はすべて成功裏に打ち上げられ、また、既に打ち上げられている人工衛星等の運用及び打ち上げられる予定の人工衛星等の開発も順調に行われており、宇宙分野については全体として概ね順調に進捗していると考えられる。また、航空分野についても、国産旅客機の開発等が遅滞なく進められており、概ね順調に進捗していると考えられる。以上から総合的に判断して、基本目標は概ね順調に進捗していると判断。
 宇宙分野においては国家基幹技術や、それ以外の戦略重点科学技術の研究開発を積極的に推進する中で、信頼性向上のための取組を更に充実・強化させていくとともに、各プロジェクトにおける責任と権限の明確化、見積精度の向上とコスト管理の強化、リスク管理の強化等を図り、従来以上に効果的に施策を実施していく。
 航空分野については、今後も民間企業と密接な連携を行い、研究開発を着実に推進していく必要がある。
【概算要求】
○安心で安全な社会の構築、国民生活の豊かさと質の向上を目指し、地球観測・通信・測位分野における衛星の開発、運用を着実に実施するため、295億円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:201億円)
○第25号科学衛星(ASTRO-G)の開発のため新規に予算要求を行った他、世界第一線級のサイエンス・センターを目指し、引き続き科学衛星の開発、運用を着実に実施するため、277億円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:198億円)
○我が国として重要な人工衛星とロケットを、必要な時に、独自に宇宙空間に打ち上げる能力を維持し、確実なミッション遂行を実現するため、444億円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:379億円)
○国際宇宙ステーション計画について、国際調整も含め、状況の変化に的確に対応しながら着実に実施するため、423億円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:368億円)
○官民協力による国産小型旅客機及びエンジンの開発を着実に実施するため、36億円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:27億円)

施策目標4−8 海洋分野の研究開発の推進   【主管課】   研究開発局海洋地球課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−8)
 地球全表面の7割を占め、多様な資源・空間を有する海洋に関する調査研究を行うことで、気候変動、地殻変動等の地球変動現象を解明し、国民生活の質の向上など経済社会への貢献を目指す。
アジア・太平洋域を中心とした地域で海面・陸面・大気の観測を実施するとともに、得られた観測データの研究者等への提供を行うことにより、地球環境変動の検証、定量化に貢献する。
自然の気候変動や人間活動に起因する地球温暖化等の地球環境変動について、その現象と過程の研究を行い予測モデルを開発する。
海域の地震・火山活動を引き起こす地球内部の動的挙動(ダイナミクス)について、調査観測等により現象と過程に関する研究を推進するとともに、海底地殻変動による災害の軽減に資するモデルを開発する。
海洋の多様な生物・生態系を把握するとともに、その機能等を解明する。また、得られた成果を基に産業応用につながる研究開発等を行い、社会への還元を目指す。
海上・海中・海底・地殻内等の多様な環境下での調査観測機器開発等、海洋に関する研究開発の進捗のために必要な基盤技術を開発する。
地球環境変動、地球内部ダイナミクス、海底地殻内微生物等の地球科学に関する研究の促進するために、最終的に水深2,500メートルの海底下から深度7,000メートル掘削し、地層からマントル物質を含む有用な試料を採取できる地球深部探査船の建造を行う。
  • アルゴフロートの投入フロート数
  • 構造イメージングの進捗状況
 基本目標の達成度合いについては、
  • 地球環境観測研究において、アルゴフロートの投入数が累計468本となり、全世界の13.2パーセントに貢献したこと。
  • 地球環境予測研究において、全球雲解像モデルにおける台風の再現に成功したこと。
  • 地球内部ダイナミクス研究において、核・マントル境界付近が新発見の鉱物から成り立っていることを世界で初めて確認したこと。
  • 海洋・極限環境生物研究においては、深海底等の極限環境が生物に与える影響と生物の機能の解明研究が進捗したこと。
  • 海洋に関する基盤技術開発においては、自律型無人探査機(AUV)が実海域潜行試験で高い解像度を有する測深図と音響イメージを取得したこと。
  • 深海地球ドリリング計画の推進においては、「ちきゅう」の建造が予定通り平成17年7月に終了したこと。
 などから、概ね順調に進捗していると判断。
 今後の課題としては、
  • AUVの性能を向上・充実させるための研究開発や水中動力源の研究開発。
  • 平成19年からの「ちきゅう」の国際運用に向けた試験運用や船上研究設備等の整備。
    などを進めることとしている。
  • アジア・太平洋域を中心とした地域における海洋・陸面・大気の観測研究。
  • 各種予測モデルの開発やクオリティの向上。
【概算要求】
○評価の結果を踏まえ、今後の課題とされた施策を中心に選択と集中によるメリハリのある概算要求を行った。特に戦略重点科学技術に位置づけられる施策について重点化を図り、合計121億円を計上した。
 このうち、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」に位置づけられる次世代海洋探査技術の開発については、
  • 次世代型深海探査技術の開発に8億円(新規)
  • 地球深部探査船「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発に71億円
を計上した。
 また、地球環境観測・予測分野については、
  • 戦略重点科学技術に合計37億円
を計上した。
 (平成19年度予算については、戦略重点科学技術として合計76億円、うち国家基幹技術として40億円を計上している。)

【国際プロジェクト】
○平成19年9月から開始される地球深部探査船「ちきゅう」の統合国際深海掘削計画(IODP)の枠組みにおける国際運用を推進することとしている。
また、国際アルゴ計画への参加など、国際的な枠組みにおける研究開発も推進することとしている。

施策目標4−9 成果の社会への実装に向けた研究開発の推進   【主管課】   科学技術・学術政策局政策課安全・安心科学技術企画室
【関係課】 研究開発局地震・防災研究課・地震・防災研究課防災科学技術推進室

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−9)
 豊かで安全・安心で快適な社会を実現するために、社会の抱えている課題に的確に対応した研究開発等を行い、これらの成果を社会に還元する。
地震による被害軽減に資するため、長期評価手法及び強震動予測手法の高度化を図るとともに、調査観測から得られる情報を基に、長期評価及び強震動予測等の精度向上を図る。
地震等の自然災害による人的・物的被害を軽減化することを目指した事業を推進し、防災・減災対策に関する科学的・技術的基盤を確立する。
安全・安心に係る課題の解決に向け、文部科学省の持つ多様な科学技術的知見の現場における活用を図るための基盤となる体制を構築する。
  • 計画どおりに進捗している研究課題の割合
 地震等の自然災害による被害軽減に資する研究開発及び多様な科学技術的知見を現場において活用するための基盤となる体制の構築が計画どおり進捗している。
 今後、被害が極めて大きいと推定される地震に関する重点的調査観測等や耐震・防災技術の向上を目指した研究開発の一層の推進とともに、安全・安心の維持・確保にあたる機関のニーズに対応した研究開発を推進するための体制の構築が必要である。
 引き続き、目標達成に向けて調査観測・研究を実施する。

【概算要求】
○平成19年度概算要求において、首都直下地震による被害の大幅な軽減に資することを目的とした「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」を実施するため、3,794百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:1,450百万円)。
○地震計、津波計等を備えた稠密な海底ネットワークシステムを紀伊半島熊野灘沖に展開するための技術開発を行う「地震・津波観測監視システム」を実施するため、2,257百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:1,558百万円)。
○地震により強い揺れに見舞われる可能性が高い地域において、重点的調査観測等の「地震調査研究の推進」を実施するため、817百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:624百万円)。
○独立行政法人防災科学技術研究所において、地震観測データを利用した地殻活動の評価と予測に関する研究や、実大三次元震動破壊実験施設を利用した破壊実験等、防災分野における研究開発を実施するため、11,365百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:8,519百万円)。
○重要研究開発課題に関する研究開発の推進により、安全・安心に資する科学技術推進のための拠点の整備、関連研究者等のネットワーク構築を図る「安全・安心科学技術プロジェクト」のため、893百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:405百万円)。

施策目標4−10 新興・融合領域の研究開発の推進   【主管課】   研究振興局基礎基盤研究課
【関係課】 研究振興局情報課・基礎基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室・基礎基盤研究課量子放射線研究推進室

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標4−10)
 幅広い応用可能性を有する新たな先端的融合領域や人文・社会分野における融合的な研究を積極的に発掘し推進することにより、わが国の科学技術・学術の高度化・多様化、ひいては社会ニーズへの対応と経済社会の発展を図る。
最終的な出口である製品・サービスをはっきりと見据えた融合研究領域における研究を産学連携体制のもと行うことにより技術革新を創出し、また、優れたシーズ技術をコアとしてシナジー効果を得ることが期待される新たな融合研究領域を研究拠点において開拓する。
医療産業分野に適した産学官連携・医工連携研究開発体制を確立し、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合によって、ヒトの機能を代替・補助する生体適合材料の開発および細胞とナノ生体材料を複合化したナノ医療デバイス・人工臓器の研究を推進する。
2010年頃に訪れると予想されるシリコン電子デバイスの微細化の限界を打破するため、より小型、より高速、より省電力のデバイスを、バイオテクノロジーを利用した新原理プロセスを用いて世界に先駆けて開発し、IT分野において世界を先導することを目指す。
テラヘルツ光を利用した医療システム及びその基盤技術を開発するとともに、テラヘルツ光高感度検出・イメージング等の検出技術を研究開発する。
大学等における情報通信技術のうち、実用化が期待できる技術(モバイル、光、デバイス)等について重点投資を行い、プロジェクト研究として推進し、プロジェクト研究成果の実用化・企業化を目指す。
我が国発のスーパーコンピューティング技術が世界のトップであり続けるとともに「いつでも、どこでも」 「安全、安心」かつ「快適」なユビキタス社会を世界に先がけて実現するための基盤技術の確立を目指す。
ポストゲノム時代における生命の統合的理解のため、分子イメージング技術を確立し、分子動態・薬物動態の研究を行うことにより、創薬プロセス改革のための技術開発を行うとともに、疾患の早期診断法・治療法を確立し、これらを統合した世界最高水準の診断・創薬システムを構築する。これにより国民の健康増進に資するとともに、医療や製薬等の産業の国際競争力を強化する。
 基本目標の達成度合いについては、
  • ITプログラムの実施により、大学等における情報通信技術に関して、国際的にも有意な成果を実用化への道筋をつけつつ実現していること。
  • ナノテクノロジーを活用した人工臓器の開発の実施により、医工連携体制の効果が発言されていること。
  • 分子イメージング研究プログラムにおいて、研究及び拠点整備が順調に進捗していること
 などから、概ね順調に進捗していると判断。
 今後ポテンシャルを有する大学等の研究機関と更なる連携を図り、連携・融合の研究体制のもと、成果創出に向けた研究を推進する。
 また研究開発の内容について有望な要素技術に重点化し、研究成果の応用展開と相互検証を図り、社会のニーズに応える研究を目指す。
【概算要求】
○これまでの施策の効果を維持しつつ、研究開発を加速するとともに、平成18年度から産学官連携型として「ナノ環境機能触媒の開発」及び「組織制御構造体の開発」を開始した。平成19年度には産学官連携型として「元素戦略」を新たに開始し、融合新興分野における研究開発の一層の推進を図るため、2,500百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:2,140百万円)
○人工骨・人工靭帯等の生体適合材料の開発、細胞-生体適合デバイス(人工膵臓・人工肝臓)化技術の開発といった研究を着実に実施し、実用化に向けた医工連携的な取り組みを一層加速する。
引き続き、本プロジェクトを着実に実施するため、361百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:285百万円)
○研究の視点を特定デバイスの作製技術から、微細プロセスとして広い適用性を有する技術と捉え、技術確立に向けて研究の推進を加速する。
引き続き、本プロジェクトを着実に実施するため、312百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:247百万円)
○医療応用だけでなく、食品検査、工業的応用、安全管理への応用等、本プロジェクトの成果を活用することが経済活性化へ寄与することにつながることを念頭に置き、引き続き、本プロジェクトを着実に実施するため、264百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:223百万円)
○具体的な成果の事例として、垂直磁気記録方式で世界最高の記録密度を有する超小型ハードディスクドライブ(10GB相当)の試作に成功。量産化が始まった。また、磁気ランダムアクセスメモリー(MRAM)用トンネル磁気抵抗素子(TMR)で、1ギガビット級MRAM実現に必要といわれる書き込み電流密度の壁を初めて突破する等、着実に進捗している。平成19年度は、高機能・超低消費電力コンピューティングを実現させる要素技術の開発の進展に必要な経費等として600百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:525百万円)
○「将来のスーパーコンピューティングのための要素技術の研究開発」において、一信号当たり20Gbps(ギガビットパーセカンド)超で、かつLSI当たりの光素子実装密度1000信号程度の光インターコネクションの要素技術の確立、「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」において、最終バージョンの公開に向けたソフトウェアの改良、「安全なユビキタス社会を支える基盤技術の研究開発」において、開発したセキュアチップ・セキュアOSを実装した端末を利用した実証実験等を行うために必要な経費等として2,661百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:1,925百万円)
○PET疾患研究及び創薬候補物質探索研究の2拠点について、オールジャパン体制を目指し、大学との個別研究課題を提案した。引き続き、本プロジェクトを着実に実施するため必要な経費等として4,811百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:3,808百万円)(但し独法運営費交付金等含む)
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