3.評価結果の政策への反映状況

1.実績評価結果の政策への反映状況

施策目標3−1 大学などにおける教育研究の質の向上   【主管課】   高等教育局高等教育企画課
【関係課】 高等教育局大学振興課・専門教育課・医学教育課・学生支援課・国立大学法人支援課・私学部私学行政課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標3−1)
 大学などの個性・特色の明確化に向けた改革の取組みなどの積極的な支援や、適切な質保証システムを育成すること等により、大学などにおける教育研究の質の向上を図る。
各大学の個性・特色を踏まえた人材の育成機能を強化するため、大学における教育内容・方法等の改善・充実を図る。
法科大学院をはじめ、各種の専門職大学院における教育内容・方法の開発・充実等を図り、高度専門職業人の養成を推進する。
国公私立大学を通じた競争的環境の下で、各大学の個性や特色を活かした世界的な研究教育拠点を形成し、国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進する。
大学が教育研究をより積極的かつ効果的に実施できるよう、教員組織の活性化を図る。
各大学が個性・特色をより明確にしていけるよう、国公私立大学それぞれにおいて、マネジメント面をはじめとした自主性・自律性の向上を図る。
各大学の継続的な教育研究の質の向上に資するよう、事前・事後の評価の適切な役割分担と協調の確保を図る。
  • ファカルティディベロップメント(FD)の取組を行っている大学数
  • 厳格な成績評価(GPA)の取組を行っている大学数
  • 「法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム」の申請対象となる専攻数に対する申請を行った専攻数の割合
  • 任期制を導入している大学数及び全体に占める割合
  • 任期を付して採用されている教員数及び全体に占める割合
  • 認証評価機関の数
  • 認証評価機関による評価実施数
 FDやGPAを行う大学数、大学設置認可件数、認証評価実施数等が前年度と比べ増加した。また、「特色ある大学教育支援プログラム」や「法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム」、「21世紀COEプログラム」など、各達成目標に係る施策の実施を通じ、各大学等における教育研究の質の向上に向けた取組や研究拠点作りを支援し、それぞれにおいて順調な進捗が見られた。
 制度面においても、国公立大学の法人化、私立学校法の改正、各大学における教員の任期制の導入などを通じ、各大学の自主性・自律性の向上及び教員組織の活性化が図られており、それぞれにおいて順調な進捗が見られた。また、各大学の継続的な教育研究の質の向上に資するための大学評価システムは、大学設置認可の弾力化と合わせて順調に機能している。以上から基本目標3−1については、想定どおり達成と判断した。
 今後も引き続きそれぞれの達成目標に係る施策を実施し、また、様々な機会を通じて各大学に制度の周知や助言等を行なうことで、大学等における教育研究の質向上を積極的に推進していくことが重要である。
【概算要求】
○国公私立大学を通じた競争的環境の下で、各大学等の優れた大学教育改革の取組を支援するとともに、広く情報提供を行う「特色ある大学教育支援プログラム」及び「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」を引き続き実施すべく、それぞれ3,477百万円と7,034百万円を概算要求に盛り込んだ。

特色ある大学教育支援プログラム
  平成19年度予算額: 3,097百万円
現代的教育ニーズ取組支援プログラム
  平成19年度予算額: 5,088百万円

○「21世紀COEプログラム」の成果を踏まえ、国際的に卓越した教育研究拠点形成をより重点的に支援する「グローバルCOEプログラム」を新たに実施すべく、23,087百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:15,758百万円)
○社会の様々な分野で幅広く活躍する高度な人材を養成するため、大学院における優れた組織的・体系的な教育の取組を支援する「大学院教育改革支援プログラム」を新たに実施すべく、10,434百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:3,501百万円)
○法曹、教員、国際的に通用する高度専門職業人などの養成のための先導的な教育方法・内容について開発・充実等を図る優れた取組を重点的に支援するため、「資質の高い教員養成推進プログラム」と「法科大学院等専門職大学院教育推進プログラム」を発展的に展開させた「専門職大学院等教育推進プログラム」を実施すべく、3,600百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:1,312百万円)
○サービスに関して高いレベルの知識と専門性をもった人材の育成を図るため、「サービス・イノベーション人材育成推進プログラム」を実施すべく、450百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:150百万円)。
○産学協同による、大学院生を対象とする、企業現場等の実践的な環境を活用した質の高い長期インターンシップの開発・実施を支援する「派遣型高度人材育成協同プラン」を引き続き実施すべく、371百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:234百万円)
○社会情勢の変化等に先見性をもって柔軟に対処し、企業等において先導的役割を担う高度IT人材を育成するための教育拠点の形成を目的とした「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムを実施すべく、1,050百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:798百万円)
○地域や産業界と連携した教育プログラムの開発・実施を通じて、高度な知識及び技術を併せ持った、ものづくり技術者の育成を支援する「ものづくり技術者育成支援事業」を実施すべく、800百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:150百万円)
○各国立大学法人における教育研究活動の活性化に向けた取組が一層促進されるよう、継続的な財政支援を図るため、国立大学法人運営費交付金として1,229,263百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成19年度予算額:1,204,377百万円)
○質の高い医療人を養成する特色ある優れた取組について財政支援を行う「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」を引き続き実施すべく、2,453百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:1,305百万円)
○がん医療の担い手となる高度な知識・技術を持つがん専門医師及びがんに携わるコメディカル等、がんに特化した医療人の養成を行うため、大学病院との有機的かつ円滑な連携のもとに行われる大学院の取組を支援する「がんプロフェッショナル養成プラン」4,000百万円を新規に概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:1,400百万円)

【機構定員】
○大学等における産学連携による教育モデルの開発と普及を行うなど、産学連携体制と人材育成機能の強化を図る諸施策を推進するため、「産学連携教育推進官」の新設を要求。(産学連携教育推進官1名を措置)

【制度改正】
○大学における教育内容・方法等の改善を図るため、ファカルティ・ディベロプメント(FD)実施の一層の促進や成績評価基準の明確化を図るための所要の制度改正を予定。

【税制改正】
○平成19年度税制改正において、所得税法上の寄附金控除の上限を、現行の所得の30パーセントから40パーセントに拡充することとされた。

施策目標3−2 大学などにおける教育研究基盤の整備   【主管課】   大臣官房文教施設企画部計画課
【関係課】 高等教育局国立大学法人支援課・専門教育課・医学教育課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標3−2)
 国立大学等施設を重点的・計画的に整備し、大学などにおける教育研究基盤の整備を図る。
国立大学等施設緊急整備5か年計画に基づき、平成17年度までに約600万平方メートルの国立大学等の施設整備を重点的・計画的に行う。
施設の効率的・弾力的利用を図るための施設検討委員会等の設置などの体制づくりを推進する。
施設の効率的・弾力的利用を図るための学内規定の整備を推進する。
地方公共団体等との連携やPFI等の新たな整備手法による整備を推進する。
  • 国立大学等施設緊急整備5か年計画の達成状況
  • 施設の効率的・弾力的利用を図るための体制づくりの整備状況
  • 施設の効率的・弾力的利用に関する学内規定の整備状況
  • 新たな整備手法による整備状況
 「国立大学等施設緊急整備5か年計画」に基づく整備により、計画の約7割を達成した。整備対象別に見ると、「老朽化した施設の改善」については目標を下回ったが、優先的目標とした「大学院施設の狭隘解消等」、「卓越した研究拠点等」、「先端医療に対応した大学附属病院」については、想定どおり達成しており、大学等の教育研究基盤の整備・充実は一定程度推進された。
 また、施設の有効活用に関する学内組織や学内規定の整備は想定どおり達成し、施設の効率的・弾力的な利用への取組が推進された。
 さらに、寄附や地方公共団体等との連携による整備など、新たな整備手法による整備が進捗し、教育研究スペースの確保が推進された。
 しかし、「老朽化した施設の改善」については、目標を下回り、経年による老朽改善需要とあいまって、老朽施設は増加した。また、新たな教育研究ニーズによる施設の狭隘化への対応が必要であり、今後も老朽化対策を中心として施設の整備の計画的・重点的な推進を図っていくことが必要である。
【概算要求】
○「国立大学等施設緊急整備5か年計画」に引き続き、平成18年4月に老朽化した施設の再生を最重要課題とした「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画」を策定した。
 この計画に基づき、重点的・計画的な整備を推進するために平成19年度概算要求において、113,335百万円を要求した。
(平成19年度予算額:90,621百万円)

施策目標3−3 意欲ある学生への支援体制の整備   【主管課】   高等教育局学生支援課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標3−3)
 奨学金制度による意欲・能力のある個人に対する支援を一層推進する。
学生が経済的な面で心配することなく、安心して学べるよう、基準適格申請者に対する貸与率を高める。
学生生活費等の動向を踏まえ、学生が安心して学べるよう、貸与月額の充実に努める。
  • 基準適格申請者に対する貸与率
  • 貸与人員
  • 貸与月額の推移
 奨学金を希望する学生等に応えられるよう、貸与人員を対前年度比約7万人増員した結果、基準適格申請者に対する貸与率は着実に向上してきており、奨学金事業全体で基準を満たす希望者ほぼ全員を採用することができることから、想定どおり達成したものと判断。
 また、消費者物価指数が下落し、学生生活費が増額しない中、無利子奨学金において大学・大学院等で千円の貸与月額の増額を行った結果、学生の経済的負担を軽減するに足る貸与月額となっていることから、想定した以上に達成したものと判断。
 これらの達成目標を達成することで、近年では、基準を満たす希望者については年度内にほぼ全員を採用しており、意欲ある学生等への支援体制の整備という点で学ぶ意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく、安心して学べる環境の整備に資したと考える。
【概算要求】
○平成18年度予算において、貸与基準を満たす希望者全員に貸与できるよう無利子・有利子合わせた事業全体で対前年度比約5万7千人増の109万2千人の学生等に対し、489億円増の7,999億円の奨学金を貸与する予定。
 平成19年度概算要求においては、基準を満たす奨学金希望者が増加している状況に対応するため、事業全体で対前年度比約5万人増の115万1千人の学生等に対し、575億円増の8,574億円の奨学金を貸与できるよう概算要求を行ったところ。(平成19年度予算 貸与人員:114万3千人、事業費総額:8,503億円)

施策目標3−4 特色ある教育研究を展開する私立学校の振興   【主管課】   高等教育局私学部私学行政課
【関係課】 高等教育局私学部私学助成課・参事官

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標3−4)
 私立学校の振興に向け、教育研究条件を高めるとともに経営の健全性の維持向上を図る。
私立大学及び私立高等専門学校における教育又は研究に係る経常的経費に対する補助金の割合を高めるため、経常費補助等のより一層の充実を図る。
私立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教育に係る経常的経費に対する補助割合の向上を図るなど、経常費補助等のより一層の充実を図る。
経営基盤の強化のため、帰属収入の多様化を図り、寄付金収入等、外部資金の導入を促進する。
学校法人が公共性の高い法人としての説明責任を果たし、関係者の理解と協力を得るために、財務状況に関する情報公開を積極的に行う文部科学大臣所轄学校法人の割合を高める。
学校法人に対する経営改善支援の充実を図ることにより、社会・経済情勢の変化に伴い、厳しさを増しつつある経営環境の中、学校法人が自ら経営努力を行うことを促す。
  • 私立大学等における経常的経費に対する経常費助成の割合
  • 私立高等学校等における経常的経費に対する経常費補助の割合
  • 大学法人の帰属収入における外部資金の割合
  • 財務情報等の一般公開を行っている文部科学大臣所轄学校法人の割合
  • 文部科学大臣所轄学校法人の総負債比率
  • 帰属収入で消費支出を賄えない文部科学大臣所轄学校法人の割合
【基本目標の達成度合い】
 達成目標の中には、数値上横ばいとなっているものもあり、一部については想定どおり達成できなかったものもあるが、厳しい経済・財政状況の中にあってもなお、現状を維持できているものと分析でき、教育研究条件を支える経営基盤の安定という面で、一定の成果が上がっているものと考えられる。財務状況の公開については、説明責任を果たすことの重要性が各学校法人に認識され、管理運営面の透明性が高まった。

【今後の課題】
 想定どおり達成されていない達成目標については、税制上の特例措置の周知や予算措置の増額・効果的な配分などについて引き続き努力する必要がある。また、厳しい経営環境にあって、各学校法人の自主的な経営改善の取組を支援する等の観点から関連施策の更なる推進を図る必要がある。
【概算要求】
○平成19年度概算要求においては、私立大学等経常費補助については、対前年度50億円増の3,362億5千万円(平成19年度予算額:3,280億5千万円)を、私立高等学校等経常費助成費等補助については、対前年度30億円増の1,068億5千万円(平成19年度予算額:1,038億5千万円)を計上。

【税制要望】
○寄付金税制については、平成18年度税制改正において、個人寄付者に係る所得控除の適用下限額を引き下げ(1万円から5千円)、当該税制改正の趣旨について、各種会議等を通じて周知し、その活用を促進。また、平成19年度税制改正において、個人が寄付した場合における寄付金控除の控除限度額を引き上げ(総所得の30パーセントから40パーセント)。

【各種会議等】
○学校法人の運営等に関する協議会、学校法人監事研修会、学校法人経理事務担当者研修会等の各種会議や学校法人運営調査等を通じ、学校法人に対し、経営改善のための取組や積極的な財務情報の公開の取組を促進。
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-- 登録:平成21年以前 --