3.評価結果の政策への反映状況

1.実績評価結果の政策への反映状況

施策目標2−1 確かな学力の育成   【主管課】   初等中等教育局教育課程課
【関係課】 初等中等教育局初等中等教育企画課・財務課・児童生徒課・幼児教育課・特別支援教育課・国際教育課・教科書課・参事官

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−1)
 基礎・基本を徹底し、自ら学び自ら考える力などまで含めた「確かな学力」を身に付けさせる。
学習指導要領の目標・内容に照らした児童生徒の学習状況の改善を図り、知識・技能はもとより、学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力等まで含めた「確かな学力」を育成する。
少人数指導・習熟度別指導の実施など、個に応じた指導の充実を図る。
教員一人あたりの児童生徒数をOECD諸国並の水準(小:16.5人、中:14.3人)へ改善を進める。
英語教育の改善の目標や方向性を明らかにし、その実現のために国として取り組むべき施策を盛り込んだ「英語が使える日本人」の育成のための行動計画を策定(平成15年3月)し、計画に基づいた施策を実施することにより、平成19年度末までに「英語が使える日本人」を育成する体制を確立する。
学校での朝読書等の読書活動を充実するとともに、平成14年度からの5年間で、学校図書館の蔵書について、新たに4千万冊を整備する。
幼稚園への就園を推進するため、公私立幼稚園の格差を是正すべく、私立幼稚園における減免単価の引き上げ及び第2子以降の減免率の引き下げを推進する。
幼稚園と保育所の連携を一層促進し、「認定こども園」(就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設)の設置を可能とするとともに、幼児期から「生きる力」の育成を図る。
地域にあける関係機関と連携しながら、各学校における支援体制の整備を図ることにより、LD・ADHD・高機能自閉症等を含め、障害のある子ども一人一人のニーズに応じ、適切な指導及び必要な支援の充実を図る。
  • 国内外の学力調査等の結果
  • 習熟度別指導の実施率
  • 国からの加配定数を活用して少人数指導等を実施している学校数
  • 教員一人あたりの児童生徒数
  • 「『英語が使える日本人』育成のための行動計画」関連施策の達成割合
  • 学校図書館の蔵書数
  • 全校一斉読書活動の実施率
  • 幼稚園就園奨励費補助金制度における減免単価の改定率
  • 幼稚園就園奨励費補助金制度における第2子以降の負担率
  • 幼稚園における3歳児(満3歳児を含む)の就園率の増減
  • 校内委員会設置率
  • 特別支援教育コーディネーター指名率
  • 個別の教育支援計画の策定状況
 「確かな学力」を身に付けさせるため、1学習指導要領の目標・内容に照らした児童生徒の学力・学習状況の把握・検証・改善、2個に応じた指導の充実、3教員一人あたりの児童生徒数の改善、4「英語が使える日本人」育成のための施策の実施、5学校における読書活動の充実および学校図書館図書の整備、6幼稚園への就園の奨励、7幼児教育の充実、8特別支援教育の充実を図っているところである。
 平成17年度においては、2478は想定どおりないしは想定以上に達成しているが、3については進捗が見られるものの想定どおり達成できなかったことから、全体として一定の成果が上がっているものの一部については想定どおり達成できなかったと判断。
 また、基本目標期間全体を通し、少人数指導・習熟度別指導の実施など、個に応じた指導の充実(2)については想定どおり達成したが、教員一人あたりの児童生徒数の改善(3)、学校図書館図書の整備(5)、私立幼稚園における減免単価の引き上げ及び第2子以降の減免率の引き下げ(6)については進捗が見られるものの想定どおり達成できなかった。
 今後の課題として、特に以下の施策を推進する必要があるとされている。
  • 国内外の学力調査等で明らかになった指導上の改善点を踏まえ、個に応じた指導を一層充実させるとともに、学習意欲、学習習慣等を児童生徒に身に付けさせることが重要であり、そのために、学習指導要領全体の見直しを図るとともに学校や教育委員会の取組を支援すること。また、全国的な児童生徒の学力の調査検証を継続的に行っていくこと。
  • 平成19年度末までに「英語が使える日本人」を育成する体制を確立するため、引き続き関係施策を実施すること。
  • 「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」に基づき、子どもの読書活動の推進等の関係施策を着実に推進すること。
  • 学校図書館図書の計画的な整備を図るよう引き続き指導するとともに、学校図書館及び子どもの読書の重要性について広く周知すること。
  • 幼稚園への就園の推進を図るため、引き続き幼稚園就園奨励費補助金制度の充実に努めること。
  • 「認定こども園」制度の内容を含め、幼児教育の重要性について理解が得られるよう、周知を図る必要があること。
  • 平成17年4月に施行された発達障害者支援法において、発達障害の早期発見及び早期支援について規定されていることを踏まえ、厚生労働省及びその関係機関との連携により、発達障害の早期発見・支援に資する取組を進めること。
【概算要求】
○個に応じた指導を一層充実させるとともに、学習意欲、学習習慣等を児童生徒に身に付けさせること等を着実に実施するため、18,400百万円を概算要求(平成19年度予算額:9,834百万円)。
○全国学力・学習状況調査関連予算として、11,553百万円を概算要求(平成19年度予算額:6,590百万円)。
○「英語が使える日本人」を育成する体制の整備を着実に進める観点から、4,298百万円を概算要求(平成19年度予算額:1,094百万円)。
○学校図書館の機能の充実・強化を図り、児童生徒の読書活動を推進するため、「学校図書館支援センター推進事業」として390百万円を概算要求(平成19年度予算額:395百万円)。
○「幼稚園就園奨励費補助金」においては、公・私立幼稚園間における保護者負担の格差の是正等を図るため、私立幼稚園の減免単価の引き上げ及び第2子以降の減免率の引き下げを概算要求(平成19年度予算額:18,453百万円)。
○平成19年度においては新たに「幼稚園における学校評価ガイドライン作成事業」の実施を予定(平成19年度予算額:6百万円)。
○「保護者負担の軽減策の充実に資する調査研究」を実施するため、22百万円を概算要求(平成19年度予算額:—)。
○障害のある子ども一人一人のニーズに応じ適切な指導及び必要な支援の一層の充実を図るため、新たに、学生支援員を活用し障害のある児童生徒に対する支援を行う経費として302百万円を概算要求(「特別支援教育体制推進事業」、平成19年度予算額:194百万円)。

【地財要望】
○学校図書館図書の整備のため、平成19年〜平成23年までの新学校図書館図書整備5か年計画を策定した。

【機構・定員要求】
○全国的な学力調査に係る事務体制強化を図るため、専門官(1名)、学力調査推進係員(1名)の新設を要求(措置済み)。
○小学校段階における英語教育の充実を図るため、専門官(1名)の新設を要求(措置無)。
  • 認定こども園制度の本格実施に係る事務体制強化を図るため、連携調査係(2名)の新設を要求(措置1名)。
○発達障害支援体制の強化を図るため、発達障害支援係長(1名)、発達障害支援係員(1名)の新設を要求(措置済み)。

【施策状況】
○簡素で効率的な政府を実現するため、教員も含めた公務員の総人件費改革など、行政改革の推進が必要であり、新たな定数改善計画の策定は見送っているところ。

【制度改正】
○「認定こども園」については、第164回通常国会において「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立し、平成18年10月に認定こども園制度が始まった。また、認定こども園制度の活用促進を図るため、平成18年7月に幼保連携推進室を設けるとともに、幼児教育の振興に資する調査研究の拡充に努め、その成果の周知・普及に努める。

施策目標2−2 豊かな心の育成   【主管課】   初等中等教育局児童生徒課・教育課程課
【関係課】 初等中等教育局幼児教育課・特別支援教育課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−2)
 他人を思いやる心、生命や人権を尊重する心、自然や美しいものに感動する心、正義観や公正さを重んじる心、勤労観・職業観など、子どもたちに豊かな人間性と社会性を育むための教育を実現する。
幼稚園から高等学校までの全ての学校種において、体験活動をいかした道徳教育や地域人材の積極的活用など特色ある充実した道徳教育を実施する。
全国の小・中・高校における7日間以上のまとまった体験活動や、人権感覚を身につける教育を推進する。
職場体験やインターンシップ(就業体験)の取組等を通じ、児童生徒が望ましい勤労観・職業観を身に付け、個々の能力・適性に応じて主体的に進路を選択することができるようにするなど、キャリア教育の推進を図る。
専門高校等において地域社会との連携の強化等により、将来の専門的職業人の育成を促進し、専門高校等の活性化を図る。
地域における関係機関と連携しながら、各学校における支援体制の整備を図ることにより、LD・ADHD・高機能自閉症等を含め、障害のある子ども一人一人のニーズに応じ、適切な指導及び必要な支援の充実を図る。
  • 児童生徒の心に響く道徳教育推進事業の指定校数
  • 道徳の時間の年間実施時数
  • 学校において体験活動を実施している平均日数
  • 豊かな体験活動推進事業の指定校数
  • 人権教育総合推進地域、人権研究指定校の成果のうち、教育委員会が研修や協議会等で普及を図った割合
  • 職場体験の実施状況(公立中学校)
  • インターンシップの実施状況(公立全日制高等学校)
  • 目指せスペシャリスト「スーパー専門高校」の指定校数
  • 専門高校等における「日本版デュアルシステム」推進事業指定地域数
  • 小・中学校における校内委員会設置率
  • 小・中学校における特別支援教育コーディネーター指名率
  • 個別の教育支援計画の策定状況
 子どもたちに豊かな人間性と社会性を育むための教育を実現するため、1道徳教育の充実、2体験活動の充実、3キャリア教育の推進、4専門高校等の活性化、5特別支援教育の充実を図ることとしている。
 平成17年度においては、想定以上に達成した5をはじめ、その他についても想定どおり達成しているか概ね順調に進捗しており、道徳教育や体験活動、キャリア教育の充実などによる豊かな人間性と社会性の育成が図られていると考えられるため、全体として想定した以上に達成したと判断。
 また、期間全体を通じても順調に進捗し想定どおり達成したと判断できる。今後、引き続き、道徳教育の推進や体験活動、人権教育の充実、キャリア教育の推進等を図ることにより、子どもたちに豊かな人間性と社会性を育むための教育を実現していく必要がある。
 今後の課題としては、特に以下の点が必要であるとされている。
  • 長期宿泊体験活動をはじめとする体験活動を充実するとともに、体験活動の教育的効果について把握すること。
  • 子どもの心の発達過程を踏まえた効果的な教育活動等を実施すること。
  • 普通科の高校におけるキャリア教育の改善・充実に努めること。
  • 平成17年4月に施行された発達障害者支援法において、発達障害の早期発見及び早期支援について規定されていることを踏まえ、厚生労働省及びその関係機関との連携により、発達障害の早期発見・支援に資する取組を進めること。
【概算要求】
○学校等の創意工夫を一層推進するとともに、多様な人材を生かし特色ある道徳教育を着実に推進するため、「心のノート」の作成・配付や「児童生徒の心に響く道徳教育推進事業」等を実施するとともに、新たに、「高等学校・中学校『人間としての在り方生き方を考える教育』実践研究事業」や「命の大切さを伝える講師派遣事業」を実施する経費として737百万円を概算要求(平成19年度予算額:657百万円 ※「道徳教育推進事業等」として)。
○学校における体験活動に関する施策を着実に実施するため、平成19年度においては、「豊かな体験活動推進事業」470百万円に加え、新たに「学校教育における人間力向上のための長期宿泊体験活動推進プロジェクト−仲間と学ぶ宿泊体験教室−」として、自然の中での長期宿泊体験などを推進する経費590百万円を概算要求(平成19年度予算額:「豊かな体験活動推進事業」208百万円、「学校教育における人間力向上のための長期宿泊体験活動推進プロジェクト−仲間と学ぶ宿泊体験教室−」505百万円)。
○学校教育における人権教育の取組を着実に実施するため、人権教育総合推進地域及び人権教育研究指定校を指定して実践的な研究を委嘱する「人権教育開発事業」を実施するための経費として242百万円を概算要求(平成19年度予算額:215百万円)。
○高等学校(特に普通科高校)におけるキャリア教育を推進するため、新たに「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」472百万円を概算要求(平成19年度予算額:208百万円)。また、中学生が5日間以上の職場体験を行う「キャリア・スタート・ウィーク」を実施するとともに、地域の協力体制を構築するため、「キャリア教育実践プロジェクト」466百万円を概算要求(平成19年度予算額:232百万円)。
○専門高校と地域産業界が連携(協働)したものづくり人材育成のため、新たに「ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業」1,020百万円を概算要求(平成19年度予算額:378百万円※専門高校等における「日本版デュアルシステム」推進事業を含む)。
○障害のある子ども一人一人のニーズに応じ適切な指導及び必要な支援の一層の充実を図るため、新たに、学生支援員を活用し障害のある児童生徒に対する支援を行う経費として302百万円を概算要求(「特別支援教育体制推進事業」、平成19年度予算額:194百万円)。

【機構・定員要求】
○国際社会に生きる日本人としての自覚や素養を育成するための伝統・文化に関する教育の充実を図るため、伝統文化教育調査官(1名)の新設を要求(措置済み)。
○発達障害支援体制の強化を図るため、発達障害支援係長(1名)、発達障害支援係員(1名)の新設を要求(措置済み)。

施策目標2−3 児童生徒の問題行動等への適切な対応   【主管課】   初等中等教育局児童生徒課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−3)
 学校・家庭・地域社会が一体となって、学校における暴力行為・いじめ等の問題行動及び不登校を解決する。
全国の公立中学校において、全ての生徒が専門的な教育相談を受けることができる体制を整備する。
小学校における教育相談体制の充実を図り、不登校などの未然防止や早期発見・早期対応、学校運営の課題や児童虐待への対応等について研究し、その成果の普及を図る。
不登校対策に関する中核的機能(スクーリング・サポート・センター)を充実し、学校・家庭・関係機関が連携した地域ぐるみのサポートシステムを整備する。
学校・教育委員会・関係機関からなるサポートチームの組織化など、地域における支援システムづくりについて研究し、その成果の普及を図る。
児童虐待の予防及び早期発見のための方策等について、調査研究し、その成果の普及を図る。
  • 公立中学校におけるスクールカウンセラーの配置校数
  • 不登校児童生徒数全体に占める教育センター等の学校外の機関で相談、指導、治療を受けた不登校児童生徒数の割合
  • サポートチームの結成件数、対象人数
 学校・家庭・地域が一体となって学校における問題行動及び不登校を解決するため、1教育相談体制の充実、2不登校対策に関する中核的機能の充実による地域ぐるみのサポートシステムの整備、3児童虐待の予防等を図っていくこととしている。
 平成17年度においては、2については一部想定通り達成できなかったものの、そのほかは想定通り達成しており、ある程度は児童生徒の問題行動等への適切な対応が図られていると考えられる。
 目標期間全体を通しても、一定程度は児童生徒の問題行動等への適切な対応が進められているといえるが、一方で、不登校児童生徒数、暴力行為、いじめなどの件数は依然として高水準であるなど、引き続き取り組むべき教育上の課題であり、今後とも積極的に取組を進めていく必要がある。
 今後の課題としては、引き続き公立小中学校における教育相談体制の整備を図るとともに、家庭にひきこもりがちな不登校児童生徒に対する支援の充実をさらに図っていくこと、問題行動を起こす児童生徒への対応については、問題行動等への対応だけでなく、未然防止にも取り組んでいくこと、児童虐待防止については、調査研究成果等を踏まえた研修モデルプログラムを作成・実施し、成果を教育委員会へ一層普及させることが必要である。
【概算要求】
○学校における教育相談体制を整備するため、スクールカウンセラーを配置するための予算4,323百万円及び子どもと親の相談員等を配置するための予算500百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:スクールカウンセラー活用事業補助 5,051百万円 子どもと親の相談員等500百万円)
○問題を抱える児童生徒の状況をさらに改善するため、関係機関と連携しつつ、児童生徒の問題行動の未然防止、早期発見・早期対応に関する取組を充実させるため、1,397百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:「問題を抱える子ども等の自立支援事業」1,227百万円、「不登校への対応におけるNPO等の活用に関する実践研究事業」100百万円)

施策目標2−4 青少年の健全育成   【主管課】   スポーツ・青少年局青少年課
【関係課】 スポーツ・青少年局参事官(青少年健全育成担当)

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−4)
 青少年の心と体の健全な発展を促し、自主性・社会性や正義感・倫理観を持った豊かな人間性を育むため、青少年の自立への支援、青少年を取り巻く有害環境対策の推進、自然体験活動の充実、子どもの読書活動の推進、青少年の国際交流の促進等により、青少年の健全な育成を推進する。
青少年の自主性や社会性等を育む、青少年の自立のための支援体制の整備を推進する。
青少年を取り巻く有害環境対策を推進するため、青少年の情報活用能力の育成、問題性や注意事項等についての啓発、地域で有害環境から青少年を守る取組を推進する。
自然体験機会を得た青少年の割合を、維持し又は増加させるための取組を推進する。
子どもの読書活動に関する社会的機運の醸成を図るとともに、地域における子どもの読書活動推進体制の整備を推進する。
青少年の国際交流を通じ、我が国及び各国における青少年及び青少年育成指導者相互間の理解の向上を図るための取組を推進する。
  • 青少年の自立支援事業の委託先
  • 青少年を取り巻くメディア上の有害情報対策の推進事業委託先
  • 自然体験を得た青少年の割合
  • 自然体験活動の指導者の養成・登録制度(新規登録者数(年間))
  • 子どもの読書活動推進計画の策定状況
  • 海外に青少年を派遣・招へいした国・人数
  • 自然体験活動に資する場所の登録件数
 平成17年度においては、青少年の自立のための支援体制が整備されるとともに、地域における青少年の有害環境対策に向けたモデル事業や調査研究についても、質・量ともに充実されている。
 また、子ども読書活動推進のためのフェスティバル等を開催し、地域の子どもの読書活動計画の策定が進んでおり、読書活動の体制も充実されている。
 青少年の国際交流が進み、我が国、各国における青少年及び青少年育成指導者相互間の理解が向上するなど、青少年の健全育成のための体制整備は進んだが、実際に自然体験活動を体験した青少年の割合は減少しており、必ずしも青少年の健全育成が推進されたとは言えない。
 青少年の心と体の健全な発展を促し、自立性・社会性や正義感・倫理観を持った豊かな人間を育むため、今後とも目標の達成に向けた取組を継続的に実施していく必要がある。
 加えて、青少年健全育成大綱に記載されているように、青少年の社会的自立の遅れや少年非行等社会的不適応の増加が社会問題になっていることから、広く青少年の社会的自立や不適応に対応するため、青少年の意欲の向上をはじめとする自立支援が急務である。
【概算要求】
平成17年度の実績評価を踏まえ、青少年の健全育成に向け一層の事業の推進を図ることとする。
○青少年の自立のための支援体制を整備するため、既存モデル事業を推進し、当該成果を普及するほか、新たな課題に対応した調査研究に取り組む「青少年の意欲向上・自立支援事業」として、298百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:188百万円)。
○インターネット上の有害情報に係る問題の深刻化を踏まえ、青少年を取り巻く有害環境対策の一層推進を図り、モデル事業の更なる充実を図るとともに、全国レベル・地域レベルにおけるネットワーク体制を構築するため、110百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:86百万円)。
○国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるため、従来のキャンペーン事業を見直し、多様な地域活動と連携した「子ども読書応援団」の派遣を全国展開するとともに、読書活動への理解を深める取組の調査研究等を実施するため、325百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:152百万円)。
 さらなる国際交流の推進及び各国青少年等の派遣・受入を実施するため75百万円を概算要求に盛り込んだ(平成19年度予算額:70百万円)。

施策目標2−5 健やかな体の育成   【主管課】   スポーツ・青少年局企画・体育課
【関係課】 スポーツ・青少年局学校健康教育課・参事官(体力つくり担当)

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−5)
 児童生徒の健やかな体をはぐくむため学校体育の充実や子どもの体力の向上を図るとともに、児童生徒が健康で安全な学校生活を送れるような条件整備及び生涯にわたって健康で安全な生活を自ら営んでいくための知識や態度の育成を行う。
地域のスポーツ指導者を体育の授業や運動部活動に積極的に活用する取組を推進する。
複数の学校でチームを編成する複数校合同運動部活動など他の学校や地域との連携等、中学校や高等学校において、運動部活動を活性化する取り組みを推進する。
子どもの体力の低下傾向に歯止めをかける。
学校保健を充実し、児童生徒の健康増進を図る観点から、薬物乱用防止教育を充実するための取組を推進する。
児童生徒等の安全を守るため、学校における安全確保のための取組を推進する。
児童生徒に食に対する正しい知識や望ましい食習慣を身につけさせるため、小・中学校における食育を推進する体制の整備を行う。
  • 学校の体育の授業や運動部活動に対する地域のスポーツ指導者の活用状況
  • 中学生の運動部活動への参加率
  • 高校生の運動部活動への参加率
  • 体力・運動能力調査の結果の低下率
  • 薬物乱用防止教室の開催率
  • 防犯マニュアルの活用状況
  • 子どもの安全対応能力の向上を図るための取組の実施状況
  • 通学路の安全点検の実施状況
  • 学校栄養職員数に対する栄養教諭育成講師講習事業の受講者数の割合
 児童生徒が健康で安全な生活を送ることができるような条件整備及び生涯にわたって健康で安全な生活を自ら営んでいくための知識や態度の育成という目標については、成果が上がっているものと、達成されなかったものがある。
 体育の授業や運動部活動における外部指導者の活用は進んでおり、部活動への参加率は、中学生で高い水準を維持し、高校生でも増加傾向にある。
 子どもの体力については、体力・運動能力調査の結果が、前年度より低下している項目がある。
 以上のように、児童生徒の健やかな体をはぐくむという目標については、成果が上がっているものと、達成できなかったものがある。
  • 学校保健の分野については、薬物乱用防止教育の推進が図られており、薬物乱用防止教室の開催率が前年より上昇するとともに、薬物乱用防止教育の教材も作成・配付されている。学校安全の確保については、各種取組の実施率が前年度より上昇している。
 食育については、小中学校における食育の体制の整備が図られており、学校栄養職員が「栄養教諭育成講習事業」を受講する割合は高い。
 児童生徒の健やかな体をはぐくむこと、児童生徒が健康で安全な学校生活を送れるような条件を整備すること及び生涯にわたって健康で安全な生活を自ら営んでいくことはいずれも重要であり、引き続き学校体育の充実、学校保健、学校安全、食育等の取組みを推進していく必要がある。
【概算要求】
 平成17年度の実績評価を踏まえ、児童生徒の健やかな体の育成に向け、一層の事業の推進を図ることとする。
○運動部活動等の活性化
放課後の運動部活動等を通じて、子どもたちがスポーツの楽しさ、爽快さ、達成感などを体験する機会を豊かにすることにより、生涯にわたりスポーツに親しむ基礎を培うとともに、子どもの体力の向上に資するための諸施策として、256百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:213百万円)
○子どもの体力向上
学校・家庭・地域において、子どもの体力向上を目指した取組がなされるよう、関係団体とともに全国民にアピールする取組を推進するため、「子どもの体力向上国民運動の推進」として554百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:401百万円)
○学校保健
学校における薬物乱用防止教育の充実を図るため、薬物乱用防止教室の開催の支援等を始めとする「薬物乱用防止教育推進事業」として116百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:65百万円)
○学校安全
各学校において適切な学校安全の取組が継続して推進されるよう、危機管理マニュアルや防災教育教材の作成等を始めとした「子ども安心プロジェクト」として2,326百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:1,968百万円)
○食育
栄養教諭の資質の向上を図るため、研修プログラムモデルの作成、食育推進交流シンポジウムの開催、栄養教諭を中核とした学校・家庭・地域の連携による食育を推進するための事業を始めとした「食育推進プラン」として620百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:451百万円)

【機構・定員要求】
 子どもの安全確保に係る取組をさらに強化するため、学校安全対策室長(1名)、安全教育調査官(1名)、学校安全係員(1名)及び調整・企画係(1名)の新設を要求することとした。(安全教育調査官1名及び学校安全係員1名を措置)

施策目標2−6 地域住民に開かれた信頼される学校づくり   【主管課】   初等中等教育局初等中等教育企画課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−6)
 地域や子どもたちの実情に応じた教育を可能とする特色ある学校づくりや自主的・自律的な学校運営を実現するとともに、保護者や地域住民が学校運営の状況について把握し、積極的に参画できるようにする。
保護者や地域住民等が学校評価へ参画する取組を充実させる。
保護者や地域住民等に対する学校自己評価結果の公表を積極的に進める。
保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って公立学校運営に参画できる仕組みである「学校運営協議会制度」の全国的な定着及び円滑な活用を図る。
生徒が自己の興味・関心等に応じた学校を選択することが可能となるよう、中高一貫教育校が通学範囲の身近なところに数多く設置されるなど、特色ある学校づくりを促進する。
  • 平成14年から平成16年の学校評価実施状況調査における外部評価の状況
  • 自己評価結果の公表の状況
  • 推進プランの研究指定校で学校運営協議会未設置校のうち新規に学校運営協議会を設置した学校の割合
  • 各都道府県等で設置されている中高一貫教育校の学校数
  1自主的・自律的な学校運営に資する学校評価の取組や2保護者や地域住民等の学校運営参画等を目標に掲げているところであるが、このうち、1については、保護者や地域住民等の学校評価への参画は進んでいる。一方、学校が自己評価結果を公表する取組が進んでおらず、今後は、学校評価結果の積極的な公表の促進が求められる。また、2については学校運営協議会の設置率が約37パーセントにとどまっており、学校運営協議会の設置が促されるよう更なる取組の充実が必要である。なお、特色ある学校づくりに資する中高一貫教育校については増加しており、概ね順調に進捗している。以上のとおり、進捗にやや遅れが見られる目標があることから、基本目標の達成度合いについては進捗にやや遅れが見られると判断。 【概算要求】
○「学校評価システムの構築」を行うために、約760百万円を概算要求に盛り込み、そのうち、「学校評価推進のための実践研究」として約520百万円を盛り込んだ。(平成19年度予算額:約760百万円、約520百万円)
「学校評価推進のための実践研究」では、外部評価の充実と自己評価の改善を図る実践研究を62の指定地域で行うとともに、学校評価による学校運営の改善を目指した事例集の作成や、ブロック別研究協議会の開催等の情報提供を行う予定。
○学校運営協議会制度は、設置の全国的展開や保護者や地域住民の積極的な学校運営への参画など、制度の一層の定着と推進を図る必要があるため、引き続きコミュニティ・スクール推進プランを実施するための経費99百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:90百万円)また、これまで実施してきた調査研究事業やフォーラム開催に加え、優良事例を紹介するための事例集の作成やこれまでの調査研究の成果検証を実施する。

【業務改善】
○引き続き中高一貫教育校の設置促進を図るために必要な取組を推進していく。

施策目標2−7 魅力ある優れた教員の養成・確保   【主管課】   初等中等教育局教職員課
【関係課】 初等中等教育局初等中等教育企画課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−7)
 児童生徒や保護者からの尊敬と信頼を得られるような優れた資質能力を有する教員を養成・確保するとともに、能力と実績に応じた評価と処遇を行うことを通じて教員のやる気と能力を引き出す。
教員の資質向上に関しては、教員の養成・採用・研修段階を通じて教育委員会と大学との連携推進が重要であることから、各都道府県・指定都市教育委員会の8割が、教員研修の改善を目的とした大学との連携の取組を行うことを目指すとともに、中核市においてもこれらの取組が促進されることを目指す。
教員に一定以上の資質能力を保証する免許制度の下で、社会人経験者を含め、多様なバックグラウンドを持った個性豊かな人材の学校教育への活用を図るため、特別非常勤講師制度の活用を進める。
全都道府県・指定都市教育委員会における教員評価システムの改善を目指す。
  • 大学での教員研修(現職教育)の改善を目的とした大学との連携の取組を行っている都道府県・指定都市教育委員会の割合
  • 特別非常勤講師の届出件数
  • 新たな教員評価システムを導入している都道府県・指定都市教育委員会の数
 教育委員会と大学における連携、特別非常勤講師の活用、都道府県における教員評価システムの改善のすべてにおいて、概ね想定どおり達成と判断できたことから、基本目標2−7については、概ね順調に進捗していると判断。
 引き続き魅力ある優れた教員の養成・確保に向けて、各種事業の充実を図るとともに、中教審答申等を踏まえた取組が必要である。
【概算要求】
○引き続き、教員の資質向上連絡協議会等において、教育委員会と大学との連携・協力等を促進するため、6,442千円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:5,020千円)
○教員一人一人の能力や実績等に応じた適切な処遇への反映など内容の充実を図るため、平成18年度から新たに「学校の組織運営に関する調査研究」を実施。引き続き実施するための経費として61,883千円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:49,972千円)

【その他】
○社会人経験者等を含む多様な人材の学校教育への活用は、学校教育の多様化、活性化を図る上で有意義であり、引き続き、特別非常勤講師制度の活用を推進。

施策目標2−8 安全・安心で豊かな学校施設・設備の整備推進   【主管課】   大臣官房文教施設企画部施設企画課
【関係課】 大臣官房文教施設企画部施設助成課、初等中等教育局幼児教育課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成18年度以降の取組)
(基本目標2−8)
 児童生徒が安心して学習でき、教育内容・方法の多様化や社会のニーズに対応した学校施設・設備の整備を推進する。
公立小中学校施設等の耐震補強や改築事業について、国庫補助を行うこと等により、地方公共団体の計画的な取組みに支援し、公立小中学校施設等の耐震化を重点的に推進する。
5年間で環境を考慮した学校施設(エコスクール)を200校以上整備する。
  • 公立小・中学校における耐震化率
  • 公立幼稚園における耐震化率
  • 公立学校におけるエコスクールの事業実績
 公立小中学校施設等の耐震化を推進するため、耐震補強等を行う際に必要な経費の補助を実施。なお、公立小中学校施設の平成18年4月時点の耐震化率は54.7パーセントであり、その進捗率については2.9パーセントにとどまっている(公立幼稚園施設の耐震化率は50.5パーセント、進捗率は5.0パーセント)。これは、例年と比較して同程度であり、耐震診断実施率の進捗率や、児童生徒等の安全を守るとともに災害時に地域住民の避難場所となる公立小中学校施設等の耐震化の必要性等を勘案し、進捗にやや遅れが見られると判断。耐震補強等を行う際に必要な経費の補助を行うための予算の拡充に努める等、公立小中学校施設等の耐震化対策を推進する必要がある。
 平成17年度には、環境を配慮した学校施設(エコスクール)のパイロット・モデル事業に101校を認定し、当該年度までに当初想定していた目標を大幅に上回っており、想定した以上に達成と判断。
【概算要求】
○公立学校施設整備費として平成18年度予算においては、1,137億円(うち文部科学省計上分1,039億円)を計上するとともに、地方の裁量を高め、効率的な執行に資するため、改築や補強、大規模改造等、耐震関連事業を中心に一括して交付金を交付する制度(「安全・安心な学校づくり交付金」)を創設。また、平成18年度補正予算においては、緊急に対応すべき公立学校の校舎や体育館などについて、耐震化を実施するため、1,136億円(うち文部科学省計上分1,107億円)を計上。さらに、平成19年度概算要求においては、1,579億円(うち、文部科学省計上分1,460億円)を計上。
○学校施設の耐震化推進計画策定支援事業を引き続き実施(平成17〜19年度)するための経費として114百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成19年度予算額:77百万円)

【業務改善】
○地方公共団体が、その策定する公立学校施設の耐震診断実施計画に基づき、耐震診断が着実に実施されるよう要請。(平成17、18年度)
○地方公共団体の関係者、設計実務者を対象とした講習会を引き続き実施(平成17、18年度)
○引き続き、環境を考慮した学校施設(エコスクール)のパイロット・モデル事業を実施することにより、エコスクールの整備を推進。(17、18年度)
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-- 登録:平成21年以前 --