3.政策評価の結果の政策への反映状況

1.実績評価結果の政策への反映状況

施策目標6−1 産業を通じた研究開発成果の社会還元の推進   【主管課】   研究振興局研究環境・産業連携課
【関係課】 科学技術・学術政策局調査調整課科学技術振興調整費室

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
産学官連携を強化するとともに、大学における知的財産の創出を刺激・活性化し、大学発の研究成果の産業化を拡充することにより、研究成果の社会還元を実現する。 大学発特許取得数を10年後に15倍に増加する。 ・国立大学における特許出願件数  科学技術振興機構による技術移転事業等の各種施策の推進に伴い、大学における特許出願件数は年々増加している状況であるが、現状の大学発特許取得件数(年間291件)は10年後に年間1,320件達成目標想定される平成16年度の目標(581件)に対して50.1パーセントであり、目標達成度に対する進捗状況は遅れている。  大学知的財産本部整備事業については、43大学を支援し、外部人材の活用の充実・強化を行い、さらに大学知的財産本部を核として、大学内の研究リソースを結集し、組織的に産学官連携を推進するための体制である「スーパー産学官連携本部」を整備(平成17年度)。
 平成18年度からは、イノベーション創出につながるような本格的な産学官共同研究への発展を目指し、大学と企業が共同で行うFS活動や、FS段階を終えて本格的な育成段階に入る研究についてマッチングファンド形式で支援するよう、平成18年度予算案に計上した。
 大学等の研究成果の特許出願関連支援、技術移転相談窓口機能など技術移転活動を総合的に支援。平成18年度においても、外国特許出願の支援をはじめとした総合的支援の充実・強化を引き続き推進する。
大学発特許実施件数(大学の機関帰属)を5年後に1,000件に増加する。 ・大学等発研究成果に基づく特許の実施件数  大学発ベンチャー創出推進事業やマッチングファンドによる共同研究推進等の研究費助成制度の推進、技術支援機関(TLO)の支援の増加等に伴い、大学発特許実施件数については、増加傾向にある。
 平成17年度の特許実施件数(477件)は、5年後に1,000件の実施を得るという達成目標のために想定される平成16年度の目標(348件)に対して割合が137パーセントであることから、目標達成度に対する進捗状況は想定した以上に順調に進捗していると判断。
 今後更に大学研究成果の技術移転を加速するため、大学シーズと企業ニーズのマッチングを促進するための施策の充実を図ることが必要である。
 大学知的財産本部整備事業については、43大学を支援し、外部人材の活用の充実・強化を行い、さらに大学知的財産本部を核として、大学内の研究リソースを結集し、組織的に産学官連携を推進するための体制である「スーパー産学官連携本部」を整備(平成17年度)。
 平成18年度からは、イノベーション創出につながるような本格的な産学官共同研究への発展を目指し、大学と企業が共同で行うFS活動や、FS段階を終えて本格的な育成段階に入る研究についてマッチングファンド形式で支援するよう、平成18年度予算案に計上した。
 大学等の研究成果の特許出願関連支援、技術移転相談窓口機能など技術移転活動を総合的に支援。平成18年度においても、外国特許出願の支援をはじめとした総合的支援の充実・強化を引き続き推進する。
大学等の産学官連携、知的財産、技術経営(MOT)に係る専門知識や経験を有する人材を5年後に5倍に増加する。 ・知的財産・産学官連携専門人材の確保・養成人数  大学等の産学官連携、知的財産等に係る専門知識や経験を有する人材数は、順調に増加していることから想定以上に達成していると判断。一方、人材数は増加しているものの、特に産学官連携等にかかる専門人材育成に関しては、一般知識の習得など教育プログラムのみにとどまっており、また、本格的に産学官連携を推進できる人材が不足していることから、本格的に産学官連携を推進する人材を育成・確保することが必要である。  平成17年度においては、目利き人材養成プラグラムについて、新たに、若手研究人材等を対象とした研修を実施し、知的財産の専門人材育成ユニットについては、継続して着実に実施した。産学官連携コーディネーターについては、前年度と同数を確保した。平成18年度においても、知的財産の専門人材育成を引き続き実施するとともに、目利き人材養成プログラムの充実を図る。産学官連携コーディネーターについては、大学等と地域との連携のためのコーディネーターを新たに設け、産学官連携のコーディネート活動の高度化に対応した人材を確保する。

施策目標6−2 地域における科学技術振興のための環境整備   【主管課】   科学技術・学術政策局基盤政策課地域科学技術振興室
【関係課】 研究振興局研究環境・産業連携課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
地域の研究開発に関する資源やポテンシャルの活用や地域における科学技術振興のための環境整備を行うことにより、地域経済の再生・活性化を推進し、我が国の科学技術の高度化・多様化、ひいては当該地域における革新技術・新産業の創出を通じた我が国経済の活性化を図る。 平成18年度までに、知的クラスターを10拠点程度育成することで地域科学技術振興のための環境整備を促進する。 ・知的クラスター創成事業実施拠点数  知的クラスター創成事業は、実施地域を15拠点から18拠点へと拡大するなか、初年度開始12拠点に対する中間評価を行い、3地域において、技術的評価、地域の取り組み・主体性、事業推進体制等に一部課題が残ったものの、残り9地域は順調にクラスター形成に向けて事業が進捗している。また15年度以降に開始した地域においても、多くの成果を創出している地域があることから、知的クラスターが10拠点以上育成され始めており、地域科学技術振興のための環境整備が概ね順調に進捗していると判断。  平成17年度より、知的クラスター創成事業において、初年度開始12地域の中間評価結果を受けた計画の見直し及び資金の傾斜配分や、産業クラスター計画との連携プロジェクト、地域における科学技術・産学官連携人材の育成を実施。
 平成18年度予算において、更なる関係府省との連携強化等のための経費を計上。
平成18年度までに、産学官連携の拠点となるエリアを15〜20ヶ所程度育成することで地域科学技術振興のための環境整備を促進する。 ・都市エリア産学官連携促進事業実施拠点数  都市エリア産学官連携促進事業は、実施地域を28拠点から37拠点へと拡大するなか、初年度開始地域19拠点に対する終了評価を行い、一部の地域において、目標達成度、事業成果、事業計画、地域の取り組み等に課題が残ったものの、多くのエリアにおいては、着実に成果をあげ、「論文」「特許出願」「新事業、新企業、新商品」のいづれにおいても成果が出ている地域は全国37地域中、18地域あった。以上より、産学官連携の拠点となるエリアは15地域以上育成されてきたことによる、地域科学技術振興のための環境整備は概ね順調に進捗していると判断。  平成17年度より、都市エリア産学官連携促進事業の実施地域として、8地域を新規に採択し事業を実施するとともに、平成14年度の都市エリア産学官連携促進事業(一般型又は成果育成型)のうち、特に優れた成果をあげ、かつ、今後の発展が見込まれる5地域において、これまでの成果を活かした産学官連携活動を展開。
平成18年度までに、各事業を通じた大学等の産学官連携による研究開発を3割程度増加させることによる地域科学技術振興のための環境整備を促進する。 ・産学官共同研究実施件数  16年度産学官共同研究数は9,378件であり、知的クラスター創成事業及び都市エリア産学官連携促進事業開始以前の、平成13年度の産学官共同研究数5,264件と比較して、約1.8倍増加しており、大学等の産学官連携による共同研究開発を通じた地域科学技術振興のための環境整備の進捗が想定した以上に達成していると判断。  各地域における大学等の産学官連携による共同研究事業として、知的クラスター創成事業や都市エリア産学官連携促進事業等を実施。平成18年度においても、産学官連携による研究開発を増加させるよう引き続き、実施。
平成18年度までに、地域施策を通じた大学等の特許権の出願件数を3割程度増加させることで、我が国の科学技術の高度化・多様化、ひいては当該地域における革新技術・新産業の創出を通じた我が国経済の活性化を図る。 ・特許出願件数  14年度開始当初の知的クラスター創成事業及び都市エリア産学官連携事業によって生じた特許件数126件と比較して、16年度の特許出願件数は695件と、約5.5倍増加しており、我が国の科学技術の高度化、多様化、我が国経済の活性化に資する革新技術、新産業の創出に向けた取組として、想定以上に達成していると判断。  今後も特許出願が促進されるよう、知的クラスター創成事業や都市エリア産学官連携促進事業を引き続き、実施。
平成18年度までに、産業クラスターとの合同成果発表会への参加等を起因とする、知的クラスター創成事業や都市エリア事業における参加企業を増加させる。 ・知的クラスター創成事業と都市エリア産学官連携促進事業における参加企業数  平成14年度における共同研究参加企業数386社に比べて、平成16年度での参加企業数は741社と、約1.9倍と増加しており、事業実施地域数の増加率においても(31地域から55地域。1.7倍)以上に増加していることから、想定以上に達成していると判断。  地域ごとの合同成果発表会のみならず、地域レベルのセミナーや、全国レベルのフォーラム・合同発表会を東京で開催。
 今後も、地域ごとに開催される産業クラスター計画との合同成果発表会や、中央でのフォーラム等を通じ、地域の産学官連携による研究開発の取組を外部に発信していく。
平成18年度までに、すべての都道府県、政令指定都市が独自の科学技術政策大綱や方針を策定するように促すことで、地域の主体的な科学技術活動による地域経済の活性化のための環境整備を促進する。 ・都道府県、政令指定都市における科学技術大綱等の策定数  平成15年度に全都道府県が策定したことに加え、多くの政令指定都市も着々と科学技術政策大綱や方針を策定し始め、平成16年度の策定割合は約92パーセントと増加しており、想定どおり達成していると判断。  国と都道府県及び政令指定都市の地域科学技術行政担当者が、地域科学技術振興の観点から、第三期科学技術基本計画に向けた意見交換を行う「地域科学技術振興会議」を開催。

施策目標6−3 国民の科学技術に対する理解の増進及び信頼の獲得   【主管課】   科学技術・学術政策局基盤政策課
【関係課】 生涯学習政策局社会教育課、初等中等教育局教育課程課

国民の科学技術に対する関心と基礎的素養を高める。また、低い年齢段階から能力にふさわしい教育を行うことを通じ、科学技術をリードしうる人材層を厚く育む。 科学技術理解増進活動に携わる機関・者が、わかりやすく親しみやすい形で科学技術を伝える活動を進めることにより、国民の科学技術に対する関心と理解を深める。 ・サイエンスチャンネルに関するモニター調査における「知識・教養」と「実用性」、「平明性」に関する5段階評価の平均値
・日本科学未来館の入館者数
・国立科学博物館の入館者数
 サイエンスチャンネルのモニター調査において、「知識・教養」高める上での「有用性」に関する評価は4.2、「実用性」に関する評価は3.4、「平明性」に関する評価は3.8で、平均値は5段階中3.8であり、尺度基準の3より高い評価が得られた。また、日本科学未来館及び国立科学博物館の両者の入館者数は増加。これらを総合的に判断すると国民の科学技術に対する関心は高まっており、加えてサイエンスチャンネルについてはその有用性、実用性が認められ、平明性、すなわち、わかりやすいとの回答もあったことから、国民の科学技術に対する理解も進んでいると考えられ、概ね順調に進捗していると判断。
 国民の科学技術に対する関心と基礎的素養が高まっているか否かをより的確に評価できるようにするため、指標について、他の観点のものも利用していくことを検討し、開発・収集していくことが必要。
 サイエンスチャンネルについて、開発した科学技術番組をCS放送、ケーブルテレビ、インターネットを通じ全国に配信。平成16年度に実施したモニター調査の結果を踏まえ、継続番組について見直しを図り、より効果的な放送の実現を図った。また、調査結果を踏まえ制作した新規番組が国内外で国際的に評価されるなど着実に実績を得ている。
 日本科学未来館について、広報活動等を引き続き積極的に実施するとともに、平成17年度は特別企画展を実施し、入館者は既に昨年度の同時期を越える601,853人(平成17年4月〜平成18年1月)に到達。
 国立科学博物館では,広報活動等を引き続き積極的に実施するとともに、平成17年度より、大学生の科学リテラシー向上のため「大学パートナーシップ事業」を開始し,入会大学の学生の入館料を無料にしている。また,女性をターゲットとした特別展「パール展」を開催するなど,入館者層の拡大に努めている。
 国民の科学技術に対する関心と基礎的素養が高まっているか否かをより的確に評価できるようにするための指標については検討中。
学校と科学館、大学等との連携による教育活動や教員研修の推進などにより理数教育の充実を図り、子どもの科学技術に対する興味関心を高める。 ・サイエンス・パートナーシップ・プログラムに関するアンケート調査で、科学技術や理科・数学に対する興味関心が増加した又はどちらかといえば増加したと答えた児童・生徒の割合  サイエンス・パートナーシップ・プログラムに関するアンケート調査で、科学技術や理科・数学に対する興味関心が増加した又はどちらかといえば増加したと答えた児童・生徒は61.9パーセントであったことから、概ね順調に進捗していると判断。  サイエンス・パートナーシップ・プログラムについて、学校や大学等からの申請件数が着実に増加(787件(平成16年度:678件))。また、事業終了者を対象に追跡調査を行ったところ、事業終了後も約9割の学校と大学等との間で連携関係が継続されているとともに、事業参加生徒の約9割が、事業に参加したことで科学技術や理科・数学に対する興味・関心が高まったと考えていることが明らかとなった。
本事業については、これまで調査研究として、学校と学校外の機関との連携による理数教育の在り方やその支援手法の在り方を研究してきたが、それらについて一定の研究成果を得たため、平成18年度は独立行政法人科学技術振興機構に実施主体を移し、事業の仕組みや手続き等をに必要な改善を加えて普及・推進を図ることを予定している。
高校等と大学等とが連携して先進的な理数教育や高大接続の取組を進めることにより、生徒の科学技術に関する能力を高める。 ・理科と数学がどの程度わかるか、との問いに対する回答の平均値について、教育課程実施状況調査対象の一般高校生と、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の高校生が回答した数値との差(SSHの回答の高さ)  理科と数学がどの程度わかるか、との問いに対する回答の平均値が、教育課程実施状況調査対象の一般高校生に比べて、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の高校生の方が13パーセント高かったことから、概ね順調に進捗していると判断。  スーパーサイエンスハイスクール(SSH)について、平成17年度より指定期間を長期化(3年から5年)し、国際的な科学技術系人材の育成施策としての位置づけを明確化するとともに、高大の接続の在り方についての研究も推進。現在までの取り組みにおいては、大学と連携した先進的な学習活動を行うこと等を通じ、生徒の理系分野に関する勉学・進学意欲、進学実績が向上したり、教員の指導方法や学校運営の在り方の改善、教員の意識改革に繋がっているなど、様々な効果が現れている。
 平成18年度は通常の取組に加えて学校が設定した特定の研究課題に取り組むことを目指す学校に予算を充当するなど、施策としての一層の充実を図ることとしている。
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-- 登録:平成21年以前 --