3.政策評価の結果の政策への反映状況


1.実績評価結果の政策への反映状況

施策目標4−1 基礎研究の推進   【主管課】   研究振興局基礎基盤研究課
【関係課】 研究振興局学術研究助成課・学術機関課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
研究者の自由な発想に基づく基礎研究を幅広く、着実に、かつ持続的に推進し、人拡充に貢献するとともに、世界最高水準の研究成果や、新たなブレークスルーをもたらす優れた研究成果を生み出す。 第2期科学技術基本計画の方針に沿って、基礎研究について一定の資源を確保する。 ・大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的基礎研究の推進  大学・大学共同利用機関等における基礎研究関連予算(競争的資金は含まない)は、平成16年度予算においても所要額を運営費交付金として適切に措置しており、想定どおり達成と判断。  大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的な基礎研究を着実に推進するため、平成18年度予算案において所要額を運営費交付金として計上。
平成17年度までに、第2期科学技術基本計画の競争的資金の倍増を目指すとの方針に沿って、基礎研究を推進するための競争的資金(科学研究費補助金及び戦略的創造研究推進事業)の拡充に努める。 ・基礎研究を推進するための競争的資金(科学研究費補助金及び戦略的創造研究推進事業)  競争的資金拡充の指標については、現在の厳しい財政状況等により大幅な拡充は困難となったが、対前年度比4.0パーセント増、平成12年度比1.3倍の拡充となったことから、一定の成果があがっており、想定どおり達成と判断。  現在の厳しい財政状況等により大幅な拡充は困難な中、対前年度比0.8パーセント増の競争的資金(科学研究費補助金及び戦略的創造研究推進事業)を計上。(18年度予算案237,476百万円)
優れた研究成果が生み出され活用されるよう、間接経費の拡充等、競争的資金の制度改革を進める。    科学研究費補助金については、第一線の研究者によるピア・レビューの仕組みを導入し、公正な審査・評価を実施しており、また中間・事後評価の結果を一般に公開するなど、透明性を確保している。なお、間接経費の拡充については、平成13年度以降、規模の大きな研究種目から順次導入を図ってきているが、未だに全研究種目に導入されるまでに至っていない。戦略的創造研究推進事業では、研究機関への委託研究費30パーセントの間接経費に加え、間接経費に準ずる研究環境経費の拡充に努めるとともに、研究評価においても、国内外の科学技術動向の調査・分析等を行う研究開発動向センターが研究領域の事前評価等に加わることでより一層の透明性確保に努めている。
 以上を総合的に判断すると、一定の成果は上がっているが、一部については達成できなかったと判断。
 科学研究費補助金においては、間接経費の拡充、プログラムオフィサーの充実を図るとともに、計画的な日本学術振興会への移管、独立した配分機関におけるよりきめ細かな審査・評価体制の構築にそれぞれ引き続き努めている。

 科学技術振興機構が実施する戦略的創造研究推進事業では、研究機関への委託研究費30パーセントの間接経費に加え、間接経費に準ずる研究環境経費の拡充に努めるとともに、研究評価においても、国内外の科学技術動向の調査・分析等を行う研究開発動向センターが研究領域の事前評価等に加わることでより一層の透明性確保に引き続き努めている。

施策目標4−2 ライフサイエンス分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究振興局ライフサイエンス課
【関係課】 研究振興局基礎基盤研究課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
ライフサイエンス研究を戦略的・重点的に推進することにより、革新的な創薬・医や環境問題への対応のための基盤技術を開発し、ゲノム情報を活用した創薬や個人にあった医療等を実現し、活力ある経済社会の創造に資する。 タンパク質の全基本構造の1/3(約3,000種)以上の構造及び機能を解析し、解析結果の特許化を図る。 ・タンパク質構造解析数 平成14年度に「タンパク3,000プロジェクト」を創設。本プロジェクトにおけるタンパク質の構造解析は平成17年10月までで、2,738個(うちタンパク質の公的なデータベースであるPDBへの登録数は2,071個)にのぼっており、年度当初想定していた構造解析数2,194個という目標に照らし、想定した以上に達成している。また生命活動に関する数々の重要なタンパク質の機能解析を実施し、科学的にも優れた成果を上げており、国内外で341(平成17年10月時点)の特許出願がなされるとともに、合計3,006報(平成17年10月時点)のプロジェクトの成果に関わる論文が発表されていることから、想定した以上に順調に進捗している。
 今後はそれらの得られた優れた成果を創薬等に応用し、国民の健康を通じて社会への貢献を行うためのより具体的な施策の実施が必要となる。
 タンパク3,000プロジェクトにおける研究開発は順調に成果を創出していることから、引き続き研究開発を推進する。タンパク質の構造解析による成果の特許化だけにとどまらず、構造解析結果の創薬への応用を追求するために、疾患に関連したタンパク質を選定し、その構造機能解析に取り組んでいる。成果の産業移転を促進するために、各年度に全国の4箇所で産学連携フォーラムを開催する。構造解析の進捗状況等をとりまとめ、成果を外部に発信するために、データベースを構築した。
ライフサイエンス研究の基盤となる生物遺伝資源(バイオリソース)及びそのゲノム情報について、戦略的に開発・収集・保存・提供を行う体制を確立する。    平成16年度においては、「ナショナルバイオリソースプロジェクト」の実施機関における体制の整備も進んでいる。また、平成16年度にナショナルバイオリソースプロジェクトの評価委員会において実施された評価では、全25リソース中S評価が5件、A評価が6件、B評価が8件、C評価が5件、D評価が1件であり、S、A、Bが全体に占める割合が76パーセントであったことから、生物遺伝資源の収集・提供は着実に実施されており、想定どおり達成している。
 リソースの収集については順調に進捗しているが、さらに系統的、体系的に収集するとともに、利用者からの意見の反映等を通じて、ニーズに合った高品質のリソースの収集提供を目指すことが必要。また、ライフサイエンス研究に必要な研究基盤としての位置づけを踏まえ、5年間のプロジェクト期間終了後の体制についても検討が必要。
 平成17年度順調に事業は進捗しており、引き続き評価結果を踏まえた予算措置を実施した。なお、C評価、D評価を受けたリソースについては、評価指摘事項に対応するために業務計画の見直しを図るなど改善を図った。また、利用者からの意見等を通じて、ニーズに合った高品質のリソースの収集・提供を目指すために各リソースの運営委員会において外部利用者側の意見を反映できるように委員会の半数以上を外部利用者とし、目標設定などの検討を行った。また、プロジェクト終了後の対応についても検討の場としてナショナルバイオリソースプロジェクト推進委員会や各リソース中核機関全体会合において今後のバイオリソース事業のあり方に関する検討を重ねた。また、本プロジェクトより提供されたリソースを利用した成果の追跡調査を行うなど事業の改善・発展を図っている。
基礎研究の成果を実用化につなげていくための実施体制や支援体制を整備し、基礎研究成果の臨床応用への橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)や最先端の解析機器開発を推進するなどにより、革新的な成果を創出する。    平成14年度に「21世紀型革新的ライフサイエンス技術開発プロジェクト」を創設。ポストゲノム研究の基礎的な研究成果について、実用化を図ること等を目標として公募を行い、採択した研究課題を、引き続き推進してきた。
 平成16年度に、実施している課題のうち、実用に向けた成果が出ているもので、方向性、手法等が近いプロジェクトが存在するものについては、進捗状況を適切に評価した上で他の関連プロジェクトと一体的に研究を進めることが望ましい。また、成果が見込まれない研究課題については中止も視野に入れて見直しを進めるべきとされた。
 これらの整理を進め、本目標については平成16年度をもって終了させることが望ましい。
 本目標については、新たな領域を切り開く課題を先導的に進める研究課題等を推進することにより、一定の成果をあげたと評価を受けたため、平成16年度において終了している。
対象とする疾患について30万人規模のサンプル及び臨床情報を収集するとともに、SNP(一塩基多型)の解析を実施し、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療の実現に資するための基盤を整備する。 ・サンプル数(疾患症例数)  平成15年度に「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト」を創設。血液サンプル及び臨床情報の収集・保管・管理のための設備整備を完了し、サンプル等の収集に係るインフォームド・コンセント(IC)の取得を実施し、大学や研究機関へのサンプル提供にむけた申請の募集も開始した。平成16年度末までにおいては、サンプル提供同意(インフォームド・コンセント)取得数は約10万弱であり、当初設定した目標数には達していないが、サンプル数では、約13万に達しており、今後のサンプル収集の努力が期待される。
 一方、SNP解析については、順調に進捗しており、疾患関連遺伝子研究においても、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と強く関連する遺伝子を複数同定するなど、成果を上げている。
 目標より遅れているIC取得を加速するため、引き続き医療機関との連携強化、人材の育成、スキル向上を図るとともに、バイオバンク事業、SNP解析に基づく疾患関連遺伝子研究を本格的に推進していく必要がある。
 平成17年度においても、引き続き、適正なインフォームドコンセント(IC)の取得に基づき、サンプル及び臨床情報を収集・蓄積している。なお、既に収集された研究資材の提供に着手しており、プロジェクト内における審査等を経た上で、大学や研究機関へサンプルの配付を実施している。
 なお、これまでの当初目標は、IC取得数としていたが、プロジェクトの性質上、サンプル数が重要であり、そのサンプルを活用した疾患関連遺伝子研究の成果が最も重要なものと考えることから、指標としては、サンプル数を用いるのが適切と考える。
 サンプル収集のための人材育成、スキルの向上については、交流会、勉強会等を開催し、主治医との協力体制の強化を図ってきたところである。平成17年12月現在のサンプル数は、約18万強となっている。
 また、平成17年度より、収集されたサンプル及びSNP解析技術を活用した疾患関連遺伝子研究を本格的に着手したところであり、公募等により12機関との共同研究を実施している。
 平成18年度も着実にサンプル等を収集・蓄積していくとともに、未着手の疾患についても、疾患関連遺伝子研究を実施する予定。
再生医療の実現のために必要な幹細胞利用技術等を世界に先駆けて確立し、その実用化を図る。    平成15年度創設の「再生医療の実現化プロジェクト」により整備した研究用幹細胞バンクにおいて、研究用臍帯血の提供を開始している。(平成16年度実績:7機関48件)また、同プロジェクトにおいては、幹細胞の分離・培養技術や細胞分化に関する操作技術等の研究開発を進めるとともに、細胞移植技術の開発や細胞増殖因子の活用等、幹細胞を用いた治療法の多面的な検討を行っている。
 今後とも、研究用幹細胞バンク事業における試料の収集・提供を着実に推進し、広く研究者に幹細胞を用いた研究の機会を提供する事が重要である。また、幹細胞に関する利用技術等の研究開発を着実に進めることが必要である。
 研究用幹細胞バンクを活用した研究者支援の加速と幹細胞分離技術の向上、動物モデルで得られた細胞分化に関する操作技術等のヒト細胞における検証、及び幹細胞移植と他の治療法の併用等による幹細胞治療の多面的な検討を引き続き推進する。また、外部評価等を踏まえた効果的・効率的な研究開発を実施(厚生労働省との連携、応用への展開等)する。
実際の生体や細胞を用いて実施している薬剤応答解析等を、先端生命情報技術等によってシミュレーションするプログラムを開発する。    平成15年度に「細胞・生体機能シミュレーションプロジェクト」を創設し、これまでプロジェクト全体としては、各々のシミュレーション開発は概ね順調に推移している。また、プロジェクト自体の持つ学術的、医学的、経済的及び社会的な意義や所期の成果の大きさに何ら変更を加える必要がないことを鑑み、計画どおり国家的な重要な施策として積極的に推進すべきものである。  総合科学技術会議の評価などを踏まえ、プロジェクト全体を再構築して精選重点化を図った。まず、基幹テーマを設定し、テーマに連携した目的別の研究チーム体制に再編成した。さらに研究拠点機能の支援・強化として情報技術の導入を拡充することに加え、より効果的かつ効率的な施策として要素技術などを公募により導入したところであり、医療分野における実用化に向けたシミュレーション開発を加速化させている。
高齢者が健康で幸福な生き方を実現できることを目標に、がんなどをごく初期の段階で発見、早期治療を可能とするレーザー技術、分子バイオ技術、ポジトロンCT(PET)などの光技術を融合した診断・検診技術等を開発する。    平成15年度に「光技術を融合した生体機能計測技術の研究開発」を創設し、計画に沿って着実にトレーサー技術の開発等が実施されている。
 引き続き、トレーサー技術の開発、スクリーニング技術の開発、PET高度化技術の開発について、計画に沿って着実に実施することが必要。
 平成18年度予算政府案において、5.38億円が計上されている。
 平成17年度に実施した中間評価の結果を受け、スクリーニング技術については新たに開発することを中止し、近赤外線を利用した乳がん検査の診断技術の開発に研究資源を集中させることとしている。
国家的・社会的要請の高い脳、ゲノム、免疫・アレルギー研究やバイオインフォマティクス研究等の分野において、基礎的・先導的な研究を推進する。    国家的・社会的要請の高い脳、ゲノム、免疫・アレルギー研究やバイオインフォマティクス研究等の分野については、理化学研究所や科学技術振興機構の独立行政法人等において、中期目標のもとで重点的に研究開発が推進されており、概ね順調に進捗している。  これまでの成果や国際動向の変化をふまえつつ、外部評価等により重点化を図りながら、引き続き積極的に推進する。
転写調節領域を中心としたゲノム機能、遺伝子やタンパク質の相互作用等の集中的解析を行うとともに、これらのデータの活用により、各種疾患、生命現象システムを解明する。    平成16年に「ゲノムネットワークプロジェクト」を創設。ゲノム機能情報を有する機関(横軸機関)から生命現象の解明を行う機関(縦軸機関)へのデータ提供については順調に進展している。cDNAクローン等リソースについても、整備が着実に進み、知的財産権の整理や規則等の取り決めが整い次第、配付事業を本格的に開始できることとなった。データの一般公開の開始、シンポジウムの開催など社会への還元も進んでおり、全体として計画は順調に推移している。  成果の社会還元の一環として、平成18年1月25日に、ゲノムネットワークプラットフォームよりデータの一般公開が開始された。また、平成17年11月には、既存のプロジェクトにおける解析の強化・補完を図るため、新しい手法を用いた解析等の研究を行う協力機関を募集し、一層の研究推進のための体制を整備した。
 横軸機関の産出する基盤データが出揃ってきたため、今後はそれを活用する縦軸機関の研究との連携の強化に重点を置く。
がんに関してこれまで得られた基礎研究の成果を実用化につなげる研究を推進し、新しいがん治療法の開発につながる成果を創出する。    これまでに優れた成果が現れているがん免疫療法や分子標的療法の基礎研究の成果を臨床に応用する橋渡し研究を推進するため、平成16年度に創設した「革新的ながん治療法等の開発に向けた研究の推進」プロジェクトにおいて、研究課題を公募し、57件の応募の中から10件を採択した。平成18年度までに臨床試験を実施することとしており、年度後半からプロトコル開発など臨床試験の準備を実施している。
 トランスレーショナル・リサーチから早期の実用化に向けた研究開発を推進するため、個別課題の選定にあたっては、実現可能性について評価項目を設け、審査を行った。実施中の課題においては、遅くとも平成18年度に臨床試験を開始する予定である。
 トランスレーショナル・リサーチ専門支援機関によるプロトコル作成支援や臨床データマネジメントなどの支援、課題の進捗管理等を継続して実施する。また、「21世紀型革新的先端ライフサイエンス技術開発プロジェクト」におけるがんのトランスレーショナル・リサーチの実施課題について、一体的に進めることを検討する。平成18年度に中間評価を実施して継続する課題の選定を行うなど、効率的・効果的な研究開発を実施する。

施策目標4−3 情報通信分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究振興局情報課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
先端的な情報科学技術の研究開発及び研究開発に関する情報化を推進する。 大学等における情報通信技術のうち、実用化が期待できる技術(モバイル、光、デバイス)等について重点投資を行い、プロジェクト研究として推進し、プロジェクト研究成果の実用化・企業化を目指す。    平成16年度は、光・電子デバイス技術の開発について、世界で初めて通信波長帯における単一光子の発生に成功するなど国際的にも優位な成果を実用化への道筋をつけつつ当初計画を前倒しで実現しているプロジェクトもあり、また他のプロジェクトの大半も平成16年8月に実施した本研究開発の中間評価において高い評価を得ており、情報科学技術の研究開発が着実に推進されている。  本評価結果を受けて、平成17年度も引き続き「ITプログラム」の研究開発を推進中。左記中間評価の結果に基づき、一部の課題については進め方を見直し、成果を挙げている課題に予算を重点配分することとした。
観測実験・シミュレーション等で大容量のデータを扱い、超高速・広帯域のネットワークを必要とする高エネルギー・核融合科学をはじめとする先端分野の研究を一層推進するため、先端的研究機関を最速10Gbps(ギガビットパーセカンド)の回線で接続するスーパーSINETのノード(接続拠点)数を平成15年度までに28機関において整備し、さらに順次拡充する。 ・スーパーSINETのノード(接続拠点)数  スーパーSINETについては、平成16年度中に2機関増加して計30ノードとするなど、概ね順調に進捗しており、情報通信分野の研究開発を推進するという観点から、引き続き、スーパーSINETの整備充実とその活用を推進していく必要がある。  「スーパーSINET」において、平成17年度3月末までに最先端研究施設など更に5機関整備する予定。平成18年度も引き続き、運営体制の充実等により、活用の推進を図る。
世界最高水準の高度情報通信システム形成のための鍵となるソフトウェア開発を実現させ、いつでもどこでも誰でも安心して参加できるIT社会の構築に資する。    平成16年度は、ソフトウェア開発における開発データ自動収集・分析システムなど高い生産性を持つ高信頼ソフトウェア作成技術の開発やインターネット情報を短時間で自動的に収集・検索する技術など情報の高信頼蓄積・検索技術等の開発を行い、概ね順調に進捗しており、情報科学技術の研究開発が着実に推進されている。  本評価を受けて、平成17年度も引き続き「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」を推進中。また平成17年8月に実施した本研究開発の中間評価の結果に基づき、所期の目的を達成し得る成果を挙げるよう研究開発計画に反映させることとした。
分散したコンピュータを高速ネットワークで結び、百テラフロップス級の計算処理能力を持つグリッド・コンピューティング環境を構築し、産学官連携の推進や、ナノ分野と情報通信分野との連携の下で行う融合領域研究を進展させることにより世界水準の高速コンピューティング環境の実現を目指す。 ・グリッドコンピューティング環境の計算処理能力(テラフロップス)  平成16年度は、グリッドコンピューティング環境構築に必要なグリッド基盤ミドルウェアのプロトタイプ版(アルファ版)が完成し、ナノ分野においてナノシミュレーション用ソフトウェアの高速化及びグリッド化に向けた方法論の開発や試作化が進んだ。また、グリッドコンピューティング環境の計算処理能力が15テラフロップスを実現するなど、概ね順調に進捗しており、情報科学技術の研究開発が着実に推進されている。  本評価を受けて、平成17年度も引き続き「超高速コンピュータ網形成プロジェクト」を推進中。また平成17年8月に実施した本研究開発の中間評価の結果に基づき、100テラフロップス級からペタフロップス超級の計算環境にも対応可能とするよう目標を上方修正することとし、「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」事業の中で研究開発を実施することとした。
大学等が持つ研究ポテンシャルを最大限に活用し、教育、文化・芸術分野における知的資産の電子的な保存・活用等に必要なソフトウェア技術基盤の構築のための研究開発を推進し、人々の教育、文化・芸術に触れる機会の増大と、新たなコンテンツ作成・配信技術の創出を行う。    研究初年度の平成16年度は、「文化財のデジタル・アーカイブ化」で1センチメートル未満の解像度を達成し、計画以上に進捗したプロジェクトや、「教育機関向けデジタル・アーカイブ利用システム」でユビキタス環境下で学習支援が可能となるプロトタイプシステムの研究開発を行うプロジェクトなど、概ね順調に進捗しており、情報科学技術の研究開発が着実に推進されている。  「情報科学技術に関する研究開発の推進方策」(平成14年6月科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会決定)等に沿い、平成17年度も当初計画通りに「知的資産の電子的な保存・活用を支援するソフトウェア技術基盤の構築」の研究開発を実施。なお、平成18年の夏に中間評価を実施することとしている。

 スーパーコンピュータに係わる関係省庁や大学、国内研究機関との連絡等にあたるため、計算科学技術推進係長1名を措置。(平成18年度)

施策目標4−4 環境分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室
【関係課】 研究開発局海洋地球課・宇宙開発利用課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
地球温暖化、水循環、資源循環、有害化学物質等の地球環境問題は、我々人類の社会生活と密接な関連を有し、重大な影響を及ぼす恐れがあることから、総合科学技術会議の環境分野推進戦略や地球観測の推進戦略を受け、その影響を科学的に解明し、適切な対応を図るための研究開発を推進する。 地球温暖化等の地球規模の環境変動等の解明に役立つため、人工衛星、ブイ等を活用し大気、海洋、陸域における観測を行う。また、南極域における研究・観測を行う。
 更に、地球観測サミットにおいて承認された「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」を推進するため、今後10年間にわたり地球観測に係る体制強化を図る。
・打ち上げられた衛星数
・運用中の衛星数
・成果の外部発表
・ARGO計画:投入フロート数及び割合
・南極・ドームふじ基地における第二期氷床深層掘削計画
 人工衛星からの地球観測分野における平成16年度の進捗状況については、陸域観測技術衛星(ALOS)が、当初平成16年度の打上げを予定していたが、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗等を受け、信頼性向上の観点から、衛星の設計の基本まで遡った総点検を実施したことなどにより、平成17年度に打上げを変更し開発中である。温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)、全球降水観測/二周波降水レーダ(GPM/DPR)については、それぞれ平成19年度、21年度の打上げを目指し、引き続き順調に開発中である。米国の地球観測衛星Aquaに搭載された改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR−E)については、平成14年5月に打ち上げられ、観測データの取得や一般への配付が行われている。
 ARGO計画の平成16年度の進捗状況については、世界17カ国とEU、世界気象機関(WMO)、政府間海洋学委員会(IOC)の協力の下に、国際ARGO計画(目標投入フロート数:3,000基)の実施に参画しており、地球変動予測の実施に不可欠な海洋データを投入している。我が国において、平成16年度までのフロート投入目標は380基であったところ、374基(98パーセント)を投入し、7,346の塩分水温データを取得した。
 南極地域観測事業における平成16年度の進捗状況については、南極域での環境変化の把握を目的とした多項目の観測を引き続き行い、観測データの収集が進んだ。特に、「ドームふじ氷床深層掘削計画」においては、途中、電気系統のトラブルがあったものの、最終的には1,448メートルを掘削し、氷床下1,850メートルまでの氷床コアを採取しており、最終年度である3年目の掘削において3,000メートル(残り1,150メートル)の氷床コアの採取は十分達成可能である。
 また、地球観測に係る体制強化については、わが国は地球観測サミットにおいて共同議長として平成16年4月に東京で開催された第2回地球観測サミットで10年実施計画の枠組文書を採択、平成17年2月に開催された第3回地球観測サミットで全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画を承認し、10年実施計画の推進のための国際調整メカニズムとして、地球観測に関する政府間会合(GEO)を設置した。
 以上を踏まえ、概ね順調に進捗していると判断。
 ARGO計画については、平成17年度に評価・助言会議において実施する全体評価をもとに、ミレニアム・プロジェクト以後もARGO計画の国際的な枠組みのもとに、国際的な目標の常時3,000台のフロートによる地球規模での海洋観測システムの構築に引き続き貢献する。また、人工衛星については、これまでの施策の進捗を維持しつつ、高度な地球観測技術の確立に向けて、地球観測衛星の着実な開発、打上げ、運用を引き続き推進する。
 さらに、地球観測に関する政府間会合(GEO)への積極的な参画を通じ、GEOSS構築の推進及び我が国地球観測体制の強化を図る。地球観測の推進体制の強化を図るため、地球観測統合利用専門官1名を措置。
 また、南極地域観測については、過去100万年の地球気候変動の解明に資する南極氷床下3,000メートルの氷床コアの採取をはじめ、多項目の観測を引き続き実施する。平成18年度以降の南極地域観測第7期計画を策定するため、17年度始めに観測事業計画検討委員会を設置し審議を行う。
 また、現在の南極観測船「しらせ」が平成19年度で退役し、21年度に「しらせ」後継船が就航するまでの1年間の輸送の空白期間における輸送体制について、南極輸送問題調査会議の下に新たに設置した「輸送問題計画文科会」において、更に検討を進める。
 さらに、南極地域観測事業を統合的に推進する観点から、17年度初めに外部評価委員会を設置し、毎年度観測計画の事後評価を実施し、次年度の観測計画に反映することを目指す。
地球温暖化等の地球規模の環境変動の予測モデルの開発研究を通じてモデルの高精度化を図る。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書に資する日本モデルを開発する。 ・温暖化の研究開発課題数
・水循環変動予測の研究開発課題数
・共通基盤技術開発の研究開発課題数
 平成16年度の地球変動予測研究においては、全海洋を対象とする水平格子10キロメートル以下の渦解像世界海洋循環モデルの原型版及び水平格子5キロメートル以下の全球雲解像大気モデルの原型版を開発した。また、高解像度結合モデルについては、海洋(約20キロメートル)、大気(約100キロメートル)の高解像度の海洋・大気・陸面結合気候モデルを開発し、それを用いてIPCCランを実施した。これらの成果を生かし、更に高精度な約10キロメートルメッシュスケールの全球大気・海洋各モデルの開発、及び高解像度結合モデルの開発に向け順調に進捗している。
 また、全球大気大循環シミュレーションプログラムについて、より高度な陸面モデルの導入や雲や大気放射過程の改良を行った。また、全球海洋大循環シミュレーションプログラムについて、海氷サブ・モデルを導入する改良を行った。さらに、全球大気海洋結合プログラムについても改良を行った。
 新しい計算格子系を用いた全球・領域結合非静力学シミュレーションプログラム(大気、海洋、結合)を開発した。このプログラムを用いて行った台風の進路予測シミュレーションでは、実際の台風の進路や中心気圧の変化等を高精度に再現し、このプログラムの有効性を証明した。
 なお、地球シミュレータに最適の計算性能効率化を行うことによって、シミュレーションの高速化に成功している。
 RR2002「人・自然・地球共生プロジェクト」について、温暖化ミッションとして6件,水循環変動予測ミッションとして5件の研究開発を進めてきた。平成16年9月に科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会による中間評価を実施し、引き続き推進することが適切という評価を得た他、平成17年3月に同分科会地球科学技術委員会の委員等による講評を実施し、広域水循環モデルの開発や水資源予測の素過程のモデル化等が順調に進展しており進捗状況は良好であるという講評を得ている。
 以上の状況を踏まえ、概ね順調に進捗していると判断。
 引き続き、全球大気・海洋各モデル及び高解像度結合モデルの開発を進め、それらのモデルを用いた数値実験や計算結果の解析を行いながらクオリティを向上させる。
 各シミュレーションプログラムを用いて、実際の大気・海洋諸現象のメカニズム解明とその予測に役立てる必要があり、そのための研究を進める。
 「人・自然・地球共生プロジェクト」における温暖化ミッションとして,引き続き「日本モデル」の開発を行い,IPCC第4次評価報告書への更なる寄与を目指して,温暖化予測の精度向上を図る。水循環変動予測ミッションとして、引き続き日本を中心としたアジア・モンスーン地域における陸水循環過程の解明に向けた、高解像度の水循環モデル開発促進を図る。また、研究成果報告会の開催等により、引き続き成果の普及に努める。
「持続型経済社会」の実現に向け、都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスの無害化処理と再資源化(原料化・燃料化)に関する技術開発を行うとともに、その実用化と普及を目指して,要素技術、影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発を産学官の連携・協力により行う。 ・従来方針と比べたエネルギー変換効率  リーディングプロジェクト「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として,平成16年度には,前年度に実施した各研究機関等における研究開発のための設備・機器等の構築及びシステムの基本的な設計等をもちいて、システム開発導入を行うとともに実証実験を本格的に開始。高効率ガス化・エネルギー変換に関するプロセス技術開発では,目標としたエネルギー変換効率:従来方式比1.1倍を達成した。また平成17年3月には平成16年度研究成果報告会を開催し進捗状況の講評を行ったところであり,全体的に研究開発は概ね順調に進捗しているとの評価を得た。以上の状況を踏まえ、順調に進捗していると判断。  引き続き、「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として、都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスの無害化処理と再資源化にむけて、そのための要素技術開発や影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発行う。高効率ガス化・エネルギー変換に関するプロセス技術開発では、成果重視事業(旧:モデル事業)としての最終目標(平成18年度目標)であるエネルギー変換効率:従来方式比1.7倍を目指し実証実験行う予定である。

施策目標4−5 ナノテクノロジー・材料分野の研究開発の重点的推進   【主管課】   研究振興局基礎基盤研究課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
ナノテクノロジーに関して、我が国における産学官の英知を結集した戦略的な取組みを行うと共に、物質・材料に関して、重点的に投資を行うことにより、総合的かつ戦略的な研究開発を進め、世界に先駆け技術革新につながる成果を創出する。 分野別バーチャルラボによって10〜20年後の実用化・産業化を展望した挑戦的な研究に関して研究者の緊密な連携の下に効果的な研究を行う。    分野別バーチャルラボについては、平成16年度においては1,562件の論文掲載があるなど、着実にその成果が出てきており、概ね順調に進捗していると判断。  引き続き、10〜20年後の実用化・産業化を展望した挑戦的な研究に関して研究者の緊密な連携の下に効果的な研究を行うため、平成18年度予算案において所要額を運営費交付金として計上。
医療産業分野に適した産学官連携・医工連携研究開発体制を確立し、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合によって、ヒトの機能を代替・補助する生体適合材料の開発および細胞とナノ生体材料を複合化したナノ医療デバイス・人工臓器の研究を推進する。    生体適合材料の最終達成目標である臨床治験、厚労省申請に向けて、人工骨の開発では従来の1.5倍の強度を持つ多孔体の製造及び基本性能の実証、人工靭帯の開発では臨床研究で良好な治癒・経過を確認するなど、概ね順調に進捗しており、人工臓器の研究の最終達成目標である小形動物実証実験に向けて、パターン化基板上での培養に成功するなど、概ね順調に進捗していると判断。  平成17年度に実施された科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会ナノテクノロジー・材料委員会による中間評価結果を踏まえ、人工骨・人工靭帯等の生体適合材料の開発、人工臓器の実証といった研究を着実に実施し、実用化に向けた医工連携的な取り組みを一層加速する。
2010年頃に訪れると予想されるシリコン電子デバイスの微細化の限界を打破するため、より小型、より高速、より省電力のデバイスを、バイオテクノロジーを利用した新原理プロセスを用いて世界に先駆けて開発し、IT分野において世界を先導することを目指す。    新原理に基づくデバイス製作技術に関して、バイオナノドット製作効率改善、基盤吸着特性改良や配列制御性向上など、製作に必要な技術、知識の蓄積が進められた。また、デバイス化に必要な材料特性の把握として、バイオナノドットの実験的電気特性の解明が進められ、プロトタイプデバイスの実現に向け、概ね順調に進捗していると判断。  平成17年度に実施された科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会ナノテクノロジー・材料委員会による中間評価結果を反映し、研究内容の選択と集中を図ったうえで、特定デバイスの作製とその特性追及を縮小し、個々のプロセスの詳細を検討して微細プロセスとして確立することに集中する。
広範な科学技術分野の研究開発に資するとともに、産業の技術革新のための基盤研究として重要な、世界最先端のナノ計測、分析機器を開発する。    感度向上実証用の原型機(300MHz(メガヘルツ)級)は、一部で技術的困難による遅延があったものの設置・調整段階に入り、平成17年度中に計測信号取得の見通し。
 走査型マルチプローブ統合制御装置の開発では、原子間力顕微鏡装置へ高感度変異計測光学系を組み合わせた装置分解能の検証など、概ね順調に進捗していると判断。
 平成17年度に実施された科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会ナノテクノロジー・材料委員会による中間評価結果を反映し、プロジェクト後半は世界最高感度の達成と開放空間を活用したアプリケーションの開発の早期実現に向けて計画を再構築して推進する。
大型・特殊施設・設備を活用したナノテクノロジーに関する高度技術支援を行い、併せて情報収集・発信および研究者の交流促進を図り、総合的に研究活動を支援することを通じて、我国におけるナノテクノロジーを戦略的に推進する。    ナノテクノロジー総合支援プロジェクトの技術支援については、平成16年度の支援件数が1,000件を超え、関連研究発表が1,400件を超えており、概ね順調に進捗していると判断。
 情報支援に関してはナノテクノロジーに関する情報収集・発信、研究者の交流促進を強力に推進している。
 これまでの施策の効果を維持しつつ、より高度で多様な支援要請に対応するために、ウェブ利用申請システムの一層の拡充、利用者のスキルアップのための講習の実施や、これまで充分に対応できていなかったバイオ分野、分子領域における分光学的支援、放射光領域におけるナノデバイスへの展開等を図る一方、設備費等の面で合理化を図りつつ各種施策を推進している。
物質・材料研究機構において、物質・材料科学技術に関する研究開発等の業務を総合的に行うことにより、物質・材料科学技術の水準の向上を図り、国際競争力があり持続的発展が可能で、安心・安全で快適な生活ができ資源循環可能な社会の実現に貢献する。    独法評価委員による「業務の実績に関する評価」において、「現段階では、中期計画を十分達成し、今後、それを上回る成果が得られると判断される」と評価されており、概ね順調に進捗していると判断。  これまでの施策の効果を維持しつつ、平成18年度からの第2期中期目標・計画(案)において、ナノテクノロジーを活用した物質・材料研究に大幅に重点化している。

施策目標4−6 原子力分野の研究・開発・利用の推進   【主管課】   研究開発局原子力計画課
【関係課】 科学技術・学術政策局原子力安全課、研究振興局量子放射線研究課、研究開発局開発企画課立地地域対策室・原子力研究開発課・原子力計画課核融合開発室

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
エネルギーの供給安定性や環境適合性に優れた我が国の基幹電源である原子力発電の特性を向上させつつ、また、原子力の多様な可能性を引き出しながら、当該分野における研究開発を進め、その研究成果を利用することにより、社会・経済の発展や国民生活の質の向上を図る。 エネルギーの長期的安定供給を実現するという観点から、供給安定性や環境適合性に優れた原子力の特性を技術的に高める高速増殖炉サイクル技術について、実用化に向けた技術確立を図る。また、核融合技術についても、実用化に向けた研究開発を進める。    サイクル機構が電気事業者等と連携して進めている「高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究」については、現在フェーズ2(平成13〜17年度)段階であり、炉型、再処理法、及び燃料製造法に関する複数の実用化候補技術について明確化および研究開発計画等の検討を行っており、平成17年度末の最終取りまとめに向け、予定通り進捗。
 高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開に向けた準備については、国の安全審査等において改造工事の安全性が確認され、改造工事着手への地元自治体の了解も得られたことから、改造工事に向けた準備工事を進めており、順調に進捗。早期の運転再開を目指し、その後は、10年程度を目処に所期の目的(「発電プラントとしての信頼性実証」と「ナトリウム取扱技術の確立」)を達成することに優先的に取り組む。
 ITER(イーター)計画については、ITER(イーター)建設準備のための技術的な設計等の国際活動については、他極と協力して、着実に推進。建設地の合意に向けて、関係国との協議を精力的に行ってきているものの、平成16年度中には合意は得られておらず、建設着手にやや遅れあり。(※なお、平成17年6月、ITER(イーター)の欧州への設置が正式に決定された。)ITER(イーター)の建設活動開始のためには協定案の策定が課題となっており、17年度はできるだけ早期に協議を終了し、建設活動に着手する。
 以上のことから総合して、進捗にやや遅れが見られると判断。
 「高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究」は、途中段階の取りまとめであるフェーズ2の最終取りまとめに向けて、研究開発を実施。(17年度)

 高速増殖原型炉「もんじゅ」については、改造工事着手への地元自治体の了解が得られたことから、安全性を向上させるための本格的な改造工事に着手(17年度9月)。平成18年度予算案においても、220億円を措置。

 平成17年6月にITER(イーター)の建設地が仏に決定するとともに、我が国において欧州と協力し幅広いアプローチ(ITER(イーター)と並行して補完的に取り組むべき研究開発プロジェクト)を実施することがけってした。ITER(イーター)計画に関する協定等についても協議は大きく進展したが、最終的には協議は終了しておらず(平成18年2月時点)、ITER(イーター)建設の開始にはいたっていない。幅広いアプローチについては、平成17年度10月に、その具体的プロジェクトを決定したところであり、その早期実施に向け、欧州と詳細な実施内容の調整を行っている。
 ITER(イーター)建設活動の早期開始に向け、平成18年度予算案において、国際熱核融合エネルギー機構分担金(1.6億円)と国際熱核融合実験炉研究開発費補助金(12億円)を措置。
 ITER(イーター)計画推進体制の強化のため、核融合国際協力専門官及びITER(イーター)計画係長を措置。(18年度)
量子ビームテクノロジー(加速器技術など先端科学技術の発展に伴う高度かつ多様な放射線利用技術等)について、科学技術・学術分野から各種産業にいたる幅広い分野での利活用の促進を図る。 ・重粒子線がん治療の治療患者数
・重イオン加速器施設における共同実験者数
・中性子の利用について(JRR-3の例)
 大強度陽子加速器については、世界最高レベルの中性子線強度を持つ加速器で、平成20年度のビーム利用に向け、日本原子力研究所と高エネルギー加速器研究機構が共同で整備を進めているものであり、平成16年度には、ニュートリノ実験施設の建設に着手するなど計画通り順調に進捗。今後とも着実に建設を進めるとともに、各種ビーム利用に先立って産業界や研究者コミュニティが共同利用しやすい仕組みの整備等に向けた検討が必要となる。
 RIビームファクトリーについては、水素からウランまでの全元素のRIを世界最大の強度でビームとして発生する加速器であり、理化学研究所において平成19年度のビーム利用に向け整備を進めているところ。平成16年度には、ビーム輸送系の整備を行うなど、計画通り順調に進捗。今後とも着実に建設を進めるとともに、各種ビーム利用に先立って産業界や研究者コミュニティが共同利用しやすい仕組みの整備等に向けた検討が必要。
 既存の量子ビームテクノロジー利用施設としては、特に放射線医学総合研究所における医療利用が着実に進んでおり、重粒子線がん治療について平成15年10月に厚生労働省による高度先進医療の承認を受けたところ。平成16年度末までの累計の治療患者数は2,192名。また、中枢神経、子宮に対する照射や、超短期照射による臨床試験を実施し、治療の最適化に向けデータを順調に蓄積する一方で、普及に向けた装置の小型化に関する研究開発についても順調に進捗しているところ。今後は、普及へ向けた小型加速器の要素技術開発や人材育成等が重要。
 以上のことから、概ね順調に進捗していると判断。
 所要の予算(平成18年度予算案:300億円)を確保し、大強度陽子加速器施設の建設・整備を着実に推進。また、省内に「量子ビーム研究開発・利用推進検討会」を設置して、施設の利用促進等に向けた施策・課題の検討を実施。(平成18年1月最終報告書取りまとめ)

 所要の予算を確保し(平成18年度予算案:11億円)、RIビームファクトリーの建設・整備を着実に推進。また、省内に「量子ビーム研究開発・利用推進検討会」を設置して、施設の利用促進等に向けた施策・課題の検討を実施。(平成18年1月最終報告書取りまとめ)

 所要の予算(平成18年度予算案:55億円)を確保し、がんの疾患別の最適な重粒子線照射技術の確立など治療の高度化を推進するとともに、重粒子線がん治療普及のための情報提供や人材育成等を実施。
我が国の原子力開発利用を円滑に進めるため、国際協力を進める。また、電源立地対策として、発電の用に供する施設の設置及び運転の円滑化に資する。    平成16年度は、日本原燃株式会社再処理施設のウラン試験開始前までに、必要な保障措置機器等の整備がなされた。さらに、ウラン試験開始に伴い、六ヶ所保障措置分析所が運営開始され、核燃料物質による保障措置機器の調整が進められる等、日本原燃株式会社再処理施設の操業開始までに、保障措置システムの確立に向けて想定どおりに着実に推進されており、概ね順調に進捗していると判断。
 電源立地対策として、各立地自治体等からの申請に基づく補助金・交付金の交付等を行った。引き続き、電源立地対策としての財政上の措置を講じることが必要。
 平成19年度に予定されている六ヶ所再処理施設の操業に向けて、事業の進捗に合わせて今後とも保障措置体制の整備を着実に実施。平成18年度予算案においては、2億円を措置。

 平成18年度予算案においては、事業を精査した上で所要の額(220億円)を措置した。また、電源立地地域対策交付金においては、当該交付金事業の透明性向上の観点から、平成17年度実施分より地方公共団体が行う交付金事業の概要及びその評価を地方公共団体において公表することとなったが、文部科学省においても、それらの事業の概要をインターネット等で公表することとした。
 放射性同位元素に関するセキュリティ対策の強化を図るための放射性物質セキュリティ専門官1名と放射線源管理係長1名を措置。(18年度)
 保障措置の実施の強化を図るための保障措置設計専門官1名と査察官2名を措置。(18年度)

施策目標4−7 宇宙分野の研究・開発・利用の推進   【主管課】   研究開発局参事官付
【関係課】 研究開発局宇宙開発利用課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
新たな活動領域として更なる展開が期待される宇宙において、人工衛星による地球観測等の宇宙開発利用により、安全で安心な社会の構築、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献等を目指す。 安全で安心な社会の構築、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献を目指し、信頼性の高い衛星開発技術を確立するために、地球観測・通信・測位分野における衛星の開発、運用を行う。 ・開発中の衛星数
・打ち上げられた衛星数
・運用中の衛星数
地球観測・通信・測位分野における衛星の開発については、打上げ年度を変更した衛星があるものの、信頼性の高い衛星の技術開発が着実に進められており、また、現在運用中の衛星については、引き続き順調に運用されていることから、概ね順調に進捗していると判断。  今後打上げ予定の地球観測・通信・測位の各衛星について、信頼性の一層の向上と確実なミッションの遂行を実現するために、「信頼性向上プログラム」を創設。(平成17年度)
 「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」に貢献するために、人工衛星による地球観測態勢の強化を目的とした、「地球観測衛星開発費補助金」を創設。(平成17年度)
人類の知的資産の拡大を目指し、世界最高水準の特色ある太陽系探査科学や天文観測の技術を確立するために、科学衛星の開発、運用を行う。 ・開発中の衛星数
・打ち上げられた衛星数
・運用中の衛星数
 世界最高水準の特色ある太陽系探査科学や天文観測のための科学衛星の開発については、打上げ年度を変更した衛星があるものの、信頼性の高い衛星の技術開発が着実に進められており、また、現在運用中の衛星については、引き続き順調に運用されていることから、概ね順調に進捗していると判断。  太陽系科学探査技術の確立に資するため、新たに水星探査プロジェクト(Bepi Colombo(ベッピコロンボ))の開発に着手。(平成17年度)
安全で安心な社会の構築、国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献を目指し、我が国として重要な人工衛星とロケットを、必要な時に、独自に宇宙空間に打ち上げる能力を維持することができるような宇宙輸送システムを開発する。 ・H−2Aロケット打上げ回数
・H−2Aロケット打上げ成功回数
ミューファイブロケット打上げ回数
ミューファイブロケット打上げ成功回数
我が国として重要な人工衛星とロケットを独自に宇宙空間に打ち上げる能力を維持するために必要な技術開発を概ね順調に実施し、概ねスケジュールどおりに我が国の基幹ロケットであるH−2Aロケット7号機の打上げに成功したことから概ね順調に進捗していると判断。  我が国の基幹ロケットであるH−2Aロケットの信頼性の一層の向上と確実なミッションの遂行を実現するために、「信頼性向上プログラム」を創設。(平成17年度)
 国の持続的発展の基盤であって長期的な国家戦略を持って取り組むべき技術(国家基幹技術)として、宇宙輸送システムの開発を推進。(平成18年度以降)
国民生活の豊かさと質の向上、経済社会への貢献、人類の知的資産の拡大を目指し、国際宇宙ステーション計画等の国際協力に参加し、国際約束を果たすとともに、有人宇宙活動のための基盤的技術を効率的かつ効果的に蓄積する。    国際宇宙ステーション(ISS)計画において日本が開発を担当する日本実験棟「きぼう」(JEM)の開発は概ね完了し、確実な打上げ、運用に向けた準備を実施している。また、宇宙ステーション補給機(HTV)も、順調に開発が進捗している。さらに、有人宇宙活動の基盤技術についても、「きぼう」の開発等により効率的かつ効果的に蓄積している。以上より、概ね順調に進捗していると判断。  国際宇宙ステーション計画の国際的調整も含め、状況の変化に的確に対応しながら引き続き着実に推進。

施策目標4−8 海洋分野の研究開発の推進   【主管課】   研究開発局海洋地球課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
地球全表面の7割を占め、多様な資源・空間を有する海洋に関する調査研究を行うことで、気候変動、地殻変動等の地球変動現象を解明し、国民生活の質の向上など経済社会への貢献を目指す。 地球環境変動の検証、定量化を行うため、アジア・太平洋域を中心とした地域で海面・陸面・大気の観測を実施するとともに、得られた観測データの研究者等への提供を行う。 ・アルゴフロートの投入フロート数及び割合− ・海洋観測ブイシステムにより、海洋・大気に関するデータを得、公開している。
・国際ARGO計画(目標投入フロート数:3,000基)を実施に参画しており、我が国において、平成16年度までのフロート投入目標は380基であったところ、374基(98パーセント)投入し、7,346の塩分水温データを取得した。
・北ユーラシアから、東南アジアにかけて、陸面気象水文観測、レーダー、ウインドプロファイラー、GPS等の大気観測により、各種データを取得し、大気水循環のダイナミクスについての理解を深めた。
・海洋地球研究船「みらい」による南半球周航航海で水温、塩分等のデータを取得した。
・パラオ周辺域において、地上気象観測やウインドプロファイラー観測などを実施し、モンスーン変動に伴う降水過程の観測体制を強化した。
 以上のように、海面・陸面・大気の観測を着実に行い、データの蓄積が進み、多くの研究者の利用に資していることから概ね順調に進捗しており、引き続き、観測網の強化を通じて、観測研究を継続的に進めていくことが必要である。また、データの公開を行うにあたり、引き続きデータの精度を向上させる必要がある。
・展開している海洋観測ブイシステムを着実に運用するとともに、インド洋の海洋・大気等に関する観測網を強化していく。
・引き続き、国際ARGO計画(投入目標フロート数3,000基)に貢献する。
・データの公開を行うにあたり、引き続きデータの精度を向上させる。
自然の気候変動や人間活動に起因する地球温暖化等の地球環境変動について、その現象と過程の研究を行い予測モデルを開発する。   ・<気候変動予測研究>太平洋、インド洋、北極海、ユーラシア大陸アジア域等における気候変動および海洋・大気中に生起する関連現象についての知見を蓄積するため、モデルを開発して数値実験を行った。
・<水循環変動予測研究>流域・地域スケールから全球スケールまでの水循環モデルを開発するため、水循環変動の諸物理過程の解明研究を行った。
・<大気組成変動予測研究>温室効果ガス及び大気汚染物質の放出量の増加が気候、環境に与える影響を把握するための研究を行った。
・<生態系変動予測研究>気候・環境変動が海洋・陸域生態系の機能・構造へ与える影響等を予測・評価するモデルの開発を行った。
・<地球温暖化予測研究及び分野横断型モデル開発および総合研究>全海洋を対象とする水平格子10キロメートル以下の渦解像世界海洋循環モデルの原型版及び水平格子5キロメートル以下の全球雲解像大気モデルの原型版を開発した。
 以上のように、地球環境変動について、現象と過程に関する研究を行い各種モデルの開発を行ったことから、概ね順調に進捗しており、引き続き、実施するとともに、それらのモデルを用いた数値実験や計算結果の解析を行いながらクオリティを向上させる必要がある。
・引き続き、現象と過程に関する研究を行い、各種モデルの開発を進め、それらのモデルを用いた数値実験や計算結果の解析を行いながらクオリティを向上させる。
海域の地震・火山活動を引き起こす地球内部の動的挙動(ダイナミクス)について、調査観測等により現象と過程に関する研究を推進するとともに、海底地殻変動による災害の軽減に資するモデルを開発する。 ・構造イメージングの進捗状況(モデル対象域の範囲:広さ600キロメートルかける300キロメートルかける深さ50キロメートル) ・日本列島の地殻変動に密接に関係するフィリピン海プレート・太平洋プレートの沈み込み帯及び伊豆・小笠原・マリアナ弧に重点を置いて構造イメージングを進めた。
・マントル対流モデルと結びついた地球内部構造モデルを開発するため、観測研究を実施した。
・プレート沈み込み・マントル深部物質上層等による地球内部の物質移動についての知見を蓄積するため、地球深部起源マグマの科学的・岩石学的解析、地球内部の超高圧下での物性実験等を行った。
 以上のように、調査観測等による現象と過程に関する研究を行い、地球内部プレートの動的挙動モデルの開発が進んでいることから、概ね順調に進捗していると判断。新しいプレート挙動モデルの開発を進めるとともに、シミュレーションの高度化・信頼性向上のために、海域での地殻活動モニタリングの充実を図る必要がある。また、引き続き、地震・電磁気観測を実施し、データの解析等を行い、より精度を向上させたマントル対流モデルの開発や物性研究においては実験方法の改良を行い、より高温・高圧での物性実験法の開発を進める必要がある。
目標達成に向けて、新しいプレート挙動モデルの開発を進めるとともに、シミュレーションの高度化・信頼性向上のために、海域での地殻活動モニタリングの充実を図るなど、引き続き研究開発を推進する。
海洋の多様な生物・生態系を把握するとともにその機能等に関する研究を行う。また、得られた成果を基に社会と経済の発展に資するため、産業応用への展開に資する研究開発等を行う。    <極限環境生物展開研究>既に完了した3種の極限環境微生物のゲノム解析の結果に基づき、微生物の特性とゲノム情報との関連を解明する研究を進めている。
 <地殻内微生物研究>地殻内の微生物の生息環境・種類・量を解明する研究を進めている。
 <海洋生態・環境研究>中・深層以深の深海生態系における生物生産、食物連鎖、物質循環を解明する研究を進めている。
 以上のような研究が進んでおり、また民間企業との接点となる深海バイオフォーラムを開催するとともに、民間企業との共同研究を実施し、研究成果の還元も順調に行われていることから、概ね順調に進捗していると判断。
 引き続き、生物の多様性をゲノム科学的アプローチからさらに進め、効率的な地殻内微生物の探索・解析手法の開発を進める必要がある。
 目標達成に向けて、生物の多様性をゲノム科学的アプローチからすすめるなど、引き続き、研究開発を推進する。また、「ちきゅう」の運航が始まった際には、海底コアが採取されることから地殻内微生物の探索を始めとした新たな研究を行う。
海上・海中・海底・地殻内等の多様な環境下での調査観測機器開発等、海洋に関する研究開発の進捗のために必要な基盤技術を開発する。 ・自律型無人潜水機の航続距離  自律型無人潜水機の研究において、自律航行性能の確立ならびに航続距離の長距離化を目指して研究を実施した。動力源としてはリチウムイオン電池と、更なる航続距離の延長をねらって開発された閉鎖型燃料電池を潜水機としては世界で初めて搭載し研究を実施した。
 <次世代の総合海底観測ネットワーク>給電システム、センサーインターフェイスなどの検討を行い、試作品の作成や理論的解析を行った。
 <センサー>熱水域の地下構造解明に資するセンサーについて、化学的計測手法の中で、電気化学的な計測手法について基礎的な検討などを行った。
 <水中音響>水中音響技術の研究において、水槽実験及び海域実験を行い、伝搬特性等のデータを取得した。
 以上のように、各プロジェクトによる技術開発が進んでおり、海洋に関する研究開発の進捗のために必要な基盤技術の開発は、概ね順調に進捗しており、引き続き、自律型無人潜水機の実運用化に向けて自律性能や観測性能を向上・充実させるべく研究開発を進める。
 自律型無人潜水機の実運用化に向けて自律性能や観測性能を向上・充実させるべく研究開発を進める。
地球環境変動、地球内部ダイナミクス、海底地殻内微生物等の地球科学に関する研究を促進するために、最終的に水深2,500メートルの海底下から深度7,000メートル掘削し、地層からマントル物質を含む有用な試料を採取できる地球深部探査船の建造を行う。    地球深部探査船「ちきゅう」の建造が進み、平成17年度夏ごろの完成が見込まれることから概ね順調に進捗していると判断。完成後には、国際運用に向けた試験運用を実施する必要がある。  地球深部探査船「ちきゅう」は、平成17年度夏に完成・引渡が行われ、現在、運航に向けた試験運用を実施している。

施策目標4−9 社会基盤等の重要分野の推進や急速に発展しうる領域への対応   【主管課】   科学技術・学術政策局計画官
【関係課】 研究開発局地震・防災研究課・防災科学技術推進室、研究開発局参事官付、研究振興局基礎基盤研究課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
豊かで安心・安全で快適な社会を実現するために、社会の抱えているリスクを軽減する研究開発や国民の利便性を向上させ、質の高い生活を実現するための研究開発成果を創出する。 全国主要98断層帯の活断層調査結果等により、「全国を概観した地震動予測地図」を作成する。    地震調査研究推進本部地震調査委員会は、主要98断層帯を対象とした活断層調査の結果等を踏まえた長期評価等を基に、平成17年3月、「全国を概観した地震動予測地図」を作成・公表し、想定どおり目標を達成したと判断。なお、「地震に関する基盤的調査観測計画」において定められた、基盤的調査観測の対象となるべき基準を新たに満たすことが明らかとなった断層(帯)のうち、長期評価を行うために必要なデータが得られていないものについては、速やかに調査に着手する必要がある。
 また、長期評価を行った主要98断層帯について十分な信頼度が得られていないものについては、これまでの活断層調査を補完する調査を行うことが重要である。さらに、強い揺れに見舞われる可能性が高いことが示された地域の特定の地震については、長期的な地震発生時期及び地震規模の予測精度の向上、地殻活動の現状把握の高度化、強震動予測精度の向上等を図るため、重点的な調査観測を行う必要がある。
 平成17年度より、より効果的・効率的な地震防災対策の推進に資するため、将来強い揺れに見舞われる可能性が高い地域において特定の地震を対象により高精度の長期予測及び強震動予測を行うこととして、従来の基盤的調査観測に加えて、地域や箇所を絞った重点的調査観測を実施している。
地震災害に負けない都市を創るため、地震による被害を最小限にするための共用の研究施設「E−ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)」を完成させる。    E−ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)は、平成17年3月に完成し、想定どおり目標を達成したと判断。  平成17年度、18年度は、大都市大震災軽減化特別プロジェクトにおいて、E−ディフェンスを用いた実大実験を、鉄筋コンクリート、木造建造物、地盤基礎を対象に実施する。
大都市圏において大地震が発生した際に人的・物的被害を軽減化できることを目指した研究開発を推進し、地震防災対策に関する科学的・技術的基盤を確立する。    大都市圏における地震災害による人的・物的被害の軽減化に向け、「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」(平成14〜18年度)を継続して実施しており、それぞれのサブテーマについて年次計画どおり進捗しており、概ね順調に進捗していると判断。平成16年度に「科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会防災分野の研究開発に関する委員会」において実施された中間評価においては、所期の研究開発目標を達成しつつあるとの評価を受けており、今後とも同プロジェクトを着実に推進することが重要である。  平成16年度に引き続き「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」を着実に推進。
地震、火山噴火など自然災害発生可能性の高い地域において、最新の科学的知見・成果の普及を通じた防災力の向上に資する事業を推進し、地震防災対策に関する科学的・技術的基盤を確立する。    「防災研究成果活用による総合防災研究成果普及事業」は、平成16年度に公募を実施し、「科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会防災分野の研究開発に関する委員会」の審査結果を踏まえ、2課題選定した。平成16年度は、3ヵ年事業の初年度に当たり、それぞれの課題において、年次計画どおり事業が進捗しており、概ね順調に進捗していると判断。今後とも同プロジェクトを着実に推進することが重要である。  平成16年度に引き続き「防災研究成果活用による総合防災研究成果普及事業」を着実に推進。
地球観測等への利用が可能な成層圏プラットフォーム飛行船システムを実現するため、平成16年度までに、「成層圏滞空飛行試験」及び「定点滞空飛行試験」を通じて飛行船の成層圏到達技術及び定点滞空技術を確立する。    平成16年度は北海道大樹町において定点滞空飛行試験を実施した。要求値を十分満足し、定点滞空性能を確認できた。また、同時に搭載した機器により実施した通信・放送及び地球観測の両ミッションにも成功した。よって、平成16年度の達成度合いとしては、想定どおり達成。平成15年度の成層圏滞空飛行試験の結果とあわせ、成層圏到達技術及び定点滞空技術とも実証した。  平成16年度の定点滞空飛行試験をもって、予定していた所期の研究開発を終了し、想定どおりの成果を達成。平成17年度は、第三者機関において、これまでの成果や問題点等をとりまとめ、事後評価を実施した。今後は、成層圏プラットフォーム飛行船システムを実現するための技術実証機の開発ににあたり課題となる要素的な研究開発に注力し、その研究開発に目処が付いた段階で、将来構想についても考慮の上、研究開発のあり方を判断する。
国産小型旅客機及びエンジン開発の実現を目指して、民間企業主体の研究開発プロジェクトへの技術協力等を通じて研究開発成果の実用化を図る。    国産小型旅客機及びエンジンとも、独立行政法人宇宙航空研究開発機構が、それぞれ民間企業と共同研究契約を結び、企業が必要とする技術開発に協力するとともに、後継機への適用を目指した革新技術の研究開発を実施した。
 機体については、共同研究項目6項目のすべておいて企業の要求する成果が得られており、また、エンジンについては、16年度中に成果を出さなければならない共同研究項目3項目のすべてにおいて企業の要求する成果が得られ、機体・エンジンの設計等に反映された。よって、平成16年度の達成度合いとしては、概ね順調に進捗。
 国産小型旅客機については、計画が見直され、初飛行が平成19年度から平成23年度に変更された。そのため、変更後の計画に基づき、独立行政法人宇宙航空研究開発機構が民間企業との共同研究を実施し、企業が必要とする技術開発に協力している。
 エンジンについては、計画の変更はなく、引き続き、独立行政法人宇宙航空研究開発機構が民間企業との共同研究を推進している。
テラヘルツ光を利用した医療システム及びその基盤技術を開発するとともに、テラヘルツ光高感度検出・イメージング等の検出技術を研究開発する。    「新産業基盤「未踏光学(テラヘルツ光学)」開発・創生プロジェクト」において、計画に沿って研究を実施した。平成16年度においては、小型電子デバイス(タンネットダイオード)を用いた高感度・高分解能な小型イメージングシステム等の要素技術の構築等に成功しており、概ね順調に進捗していると判断。  平成17年8月に実施した「新産業基盤「未踏光学(テラヘルツ光学)開発・創生プロジェクト」の中間評価結果などを踏まえ、引き続き、研究を着実に実施している。
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-- 登録:平成21年以前 --