3.政策評価の結果の政策への反映状況(2)事業評価(新規・拡大事業)政策目標4


ナンバー 事業名 主管課及び関係課 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
上段:平成17年度予算概算要求額
下段:平成17年度予算案
(定員等を含む)
政策目標4 科学技術の戦略的重点化
37 科学研究費補助 【主管課】
研究振興局学術研究助成課
 学術研究の推進は、中長期的な観点から見れば社会経済の発展に資することが明らかであり、それを支える基幹的研究費である本事業は、幅広く、着実に、かつ持続的に推進することが必要である。
 科学研究費補助金は、人文・社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うことは「学術研究」を推進する上で、極めて効率的である。
219,600百万円
188,000百万円
38 タンパク3000プロジェクト 【主管課】
研究振興局ライフサイエンス課
 世界的に疾病関連のヒト由来タンパク質、病原体由来タンパク質へ研究が急速にシフトしようとしており、創薬ターゲットのタンパク質の早期解析着手と速やかな成果の産業移転がますます必要となっている。
 タンパク質の構造機能解析に基づく創薬の推進は、創薬の効率をあげるとともに薬の認可のスピード化をもたらす。そのため、国民がよりよい薬をより早く利用できるようにするために必須である。
10,690百万円
9,773百万円
39 個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト 【主管課】
研究振興局ライフサイエンス課
 本事業においては多型情報から機能解析への研究推進のための体制が構築されたところであり、また米国FDAにおいて薬理ゲノム学に注目した施策が実施されるなど世界的に競争が激化しており、我が国においても疾患関連遺伝子研究に着手する必要がある。本事業における疾患関連遺伝子研究は世界トップレベルのSNP解析能力及び解析効率を有する理化学研究所遺伝子多型研究センター及び国内研究者の知の集積において実施されるものであり、その成果が期待される。 3,995百万円
3,165百万円
40 革新的ながん治療法等の開発に向けた研究の推進 【主管課】
研究振興局ライフサイエンス課
 平成15年度に文部科学省と厚生労働省が共同で策定した「第3次対がん10か年総合戦略」では、基礎研究の成果を予防・診断・治療へ応用するトランスレーショナル・リサーチの推進を「重点的に研究を推進する分野」の中で掲げており、がんが依然として我が国における死亡原因の第一位である現状に鑑みれば、トランスレーショナル・リサーチをより一層推進し、我が国発の有効な治療法等の開発につなげることが急務である。我が国はゲノム科学、免疫学等の分野で国際的にも高いレベルを有しており、これらの優れた基礎研究成果を有効に活用することにより、効率的な研究成果の創出を図ることが可能と判断される。 2,167百万円
962百万円
41 社会のニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発(うち 先端的ライフサイエンス研究開発プログラム(植物生産性向上研究))(新規) 【主管課】
研究振興局ライフサイエンス課
 持続可能な社会を構築するためには、食料・エネルギー等の確保が喫緊の課題となっている。今後も増加し続ける世界人口に見合う食料の確保を目指し、植物生産性を強化した作物を創出することが必要である。食料の生産性向上等が実現すれば、その経済効果は相当規模に上がることが期待される。我が国は植物研究分野で国際的にも高いレベルを有しており、これらの優れた基礎研究成果を有効に活用することにより、効率的な研究成果の創出を図ることが可能と判断。 2,220百万円
該当なし
※予算の編成過程において廃止となった。
42 社会のニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発(うち 分子イメージング研究プログラム)(新規) 【主管課】
研究振興局量子放射線研究課
【関係課】
研究振興局基礎基盤研究課・ライフサイエンス課
 分子イメージング技術は、個体から生体分子まで各階層で生体反応を可視化することが可能で、生命の統合的理解に道を開くばかりでなく、疾患の病態解明等による国民の健康増進と医療産業の育成に大きく寄与。
 本研究は欧米諸国でも国家プロジェクトとして開始されており、国際競争や我が国の知的財産確保の観点からも早急に開始することが必要。
 研究の成果は、知的財産の取得に直接的につながるため、本格的な国際競争の時代。国際競争力の強化や国民の健康寿命の延伸など、その価値は極めて高い。
 本研究は様々な分野の融合が必要な総合科学であるが、その要素である放射線科学、有機合成化学、核医学、薬理学、分子生物学、生化学等の我が国のレベルは世界的にも高い。また、世界トップの放射薬剤合成技術に基づいたPET研究や計測分析技術など、国内に重要な技術・研究基盤があり、世界をリードする先導的な研究が推進可能である。
3,010百万円
1,150百万円
43 社会のニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発(うち 新興・再興感染症研究拠点形成プログラム)(新規) 【主管課】
研究振興局ライフサイエンス課
 新興・再興感染症の世界各地での発生により、社会不安が増大する一方、国内の大学等においては主要感染症は征圧したとの認識から本分野の研究人材が減少し、研究設備や資源は規模が縮小・老朽化しており、緊急の課題への対応が困難。本事業で研究体制の整備を行うことにより、研究施設・設備や資源を複数の大学等でシェアすることが可能となるほか、多様な視野を持った若手研究者の育成、国内外の研究機関間の共同研究や海外での継続研究が容易となり、感染症研究分野の人材育成、知見の集積に相当の成果が期待される。また、関係各省と密接に連携して事業を進めることにより、これらの人材や知見を迅速な感染症対策立案実行に活用することが可能となる。 4,500百万円
2,300百万円

※新興・再興感染症研究の推進等を図るため、課長補佐及び感染症研究推進係長の2名を措置(平成17年度)
44 将来のスーパーコンピューティングのための要素技術の研究開発プロジェクト(新規) 【主管課】
研究振興局情報課
 スーパーコンピュータによる先進的シミュレーションに代表される高度な計算科学技術は、現代科学技術の発展に必要不可欠なものである。これを支えるインフラとしてのスーパーコンピューターについて、今後更なる高性能化が求められており、既存技術の壁を突破するために不可欠なハードウェアの要素技術について研究開発を推進する必要がある。
 本プロジェクトは、競争的手法により、実現の核となる知見を有する大学・研究機関と、それを製品化する技術を有する企業とが連携することにより、得ようとする効果の達成は可能と判断される。
2,000百万円
1,450百万円
45 革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発プロジェクト(新規) 【主管課】
研究振興局情報課
 シミュレーション(計算科学技術)は、理論と実験とともに、「科学技術の第3の方法」といわれており、科学技術や産業の発展に大きな役割を果たしている。シミュレーションは、広範な科学研究への適用や、産業の国際競争力の強化のみならず、ライフラインへ災害影響予測といった、安全・安心な社会を構築するための手段としても重要である。
 本プロジェクトは、競争的手法により、実現の核となる知見を有する大学・研究機関と、それを製品化する技術を有する企業とが連携することにより、得ようとする効果の達成は可能と判断される。
1,600百万円
1,160百万円
46 安全なユビキタス社会を支える基盤技術の研究開発プロジェクト(新規) 【主管課】
研究振興局情報課
 ユビキタス社会において、デジタル・コンテンツ等の安全かつ快適な利活用を実現するためには、安全かつリアルタイムに処理が可能な組み込み型基本ソフトウェアや次世代電子タグ等の開発が必要不可欠である。さらに、世界に先がけてユビキタス社会を構築し、国際的な標準化を推進していくためにも本プロジェクトの役割は大きい。
 本プロジェクトは、競争的手法により、実現の核となる知見を有する大学・研究機関と、それを製品化する技術を有する企業とが連携することにより、得ようとする効果の達成は可能と判断される。
600百万円
360百万円
47 地球観測システム構築推進プラン(新規) 【主管課】
研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室
 第2回地球観測サミット(平成16年4月)において採択された地球観測10年実施計画枠組みに基づき、我が国が地球観測システムの構築に貢献を果たすため、気候変動の理解及び水資源管理の向上などの社会経済的利益分野に取り組む必要がある。そのため,海洋二酸化炭素の観測,アジア・モンスーン地域の降水・気候変動等の課題について取り組むプログラムを実施する。
 本事業は、文部科学省が各プロジェクトの目標を策定し、公募により産学官を結集し、集中的、効率的に推進する。
 我が国のこれまでの観測・研究実績と研究資源・能力を生かし「全世界をカバーする地球観測システムの構築に貢献する」という効果が得られるものと判断。
1,702百万円
1,017百万円
48 人工衛星による地球観測推進のための基盤整備 【主管課】
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室
 第2回地球観測サミット(平成16年4月東京)において、「地球観測の10年実施計画枠組み文書」が合意され、災害被害の軽減、気候変動や気候変化の理解・適応、水資源管理の向上など9つの地球観測の対象及び目標が明確化された。
 衛星による地球観測は、9つの重要分野のうち、我が国がとりわけ取組を強化すると表明した「地球温暖化・炭素循環変化への対応」「気候変動・水循環変動への対応」「災害の防止・軽減」の3分野全てにおいて貢献でき、シー オー ツーの吸収・排出の推定など地上では不十分かつ偏在しているデータの取得が可能である。
 本事業は、関係府省の壁を越えて国の政策として一体的に推進できる文部科学省の補助金により実施することで効率的・効果的な研究開発の推進及び成果の利用、プロジェクトの推進が図られる。
 我が国は,従来から人工衛星からの地球観測や観測船を利用した海洋観測などを通じて数多くの実績と経験を有し,その技術的な資源や能力は国際社会からも高く評価されている。
 これらを踏まえて、地球環境問題等に対応するため、衛星による地球観測を推進し、地球観測データを継続的に提供できる体制を構築することは、国が取り組むべき重要な責務である。
6,238百万円
3,555百万円
49 南極地域観測事業の推進 【主管課】
研究開発局海洋地球課
 南極地域観測事業は、閣議決定により設置された「南極地域観測統合推進本部」(本部長:文部科学大臣)を中心に関係府省の協力を得て、気象などの定常的な観測、地球規模環境変動の解明を目的とする各種のプロジェクト観測、モニタリング(継続監視)観測を実施している。
 地球規模環境変動の観測・研究・予測に、我が国として大きな国際貢献を果たすためには、南極観測に空白を生じさせないことが重要であり、そのため、最も安全な輸送手段である「しらせ」後継船及びヘリコプター後継機を早期に就役させる必要がある。
9,874百万円
6,484百万円
50 地球環境研究開発プログラム(新規) 【主管課】
研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室
 本事業は,地球シミュレータを活用し環境分野の創造的なシナリオ・モデル開発を実施することにより,地球規模の循環・変動等の問題の解決及び自然・人類の持続性の確保に寄与する研究成果を創出する。公募により産学官を集約し,集中的,効率的に推進する。 1,020百万円
該当なし
※本事業は独立行政法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業にて実施予定。
51 ナノテクノロジー・材料を中心とした融合新興分野研究開発(新規) 【主管課】
研究振興局基礎基盤研究課
 本事業は、ナノテクノロジー・材料に関する明確な目標を設定し、今までの基礎研究の成果を生かして、革新的成果が期待できる新たな先端的融合研究領域における研究開発を強力に推進し、また、先端的融合領域を開拓するための研究拠点を形成することを目的としている。よって本事業では、成果が得られることにより国民生活への寄与が非常に大きく、効果的かつ効率的であると期待される。 6,200百万円
1,450百万円
52 大強度陽子加速器計画の推進 【主管課】
研究振興局量子放射線研究課
 本計画は、K中間子やニュートリノビームなどを用いた原子核・素粒子に関する基礎研究、中性子などを用いたタンパク質の水和構造の同定を含む構造解析、磁性材料の磁気構造解析等の物質・生命科学研究など、基礎研究から社会的・経済的に重要な研究まで、幅広い分野での最先端の研究が可能となる計画である。
 ニュートリノ研究をはじめとする原子核・素粒子物理学の分野は、人類の知のフロンティア拡大を目指すものであり、その成果は人々に新たな自然認識の道を開くものである。また、物質・生命科学研究の成果は、経済・産業の発展や新技術の創成に直結するものであることから、いずれも各国・地域が競って研究基盤の整備を図っている分野である。
 従って、科学技術・学術的な意義、経済的・社会的な意義及び研究の重要性、緊急性は依然極めて高いと認められる。また、ニュートリノ実験施設のように、研究の急速な進展、国際競争の激化などにより、学術的意義や緊急性が更に増してきているものもあり、このような情勢の変化も踏まえながら、計画全体について積極的に推進を図るべきである。
(原研)15,305百万円
(KEK)11,027百万円

(原研)14,127百万円
(KEK)10,555百万円
53 ITER(イーター)計画(ITER(イーター)建設段階)の推進 【主管課】
研究開発局原子力課核融合開発室
【関係課】
研究振興局量子放射線研究課
 ITER(イーター)計画は、人類究極のエネルギーといわれる核融合エネルギー実現のための重要なステップであり、重要な国際共同研究プロジェクトとして、推進していく必要がある。
 我が国においても、原子力委員会ITER(イーター)計画懇談会において「核融合エネルギーは、その特徴から将来のエネルギー源の一つとして有望な選択肢」(平成13年)と評価されたように、その研究開発の社会的意義は大きく、国が長期的展望をもって取り組むべき研究開発である。
 現在、「我が国は、ITER(イーター)計画が国家的に重要な研究開発であることに鑑み、政府全体でこれを推進する」旨結論付けた総合科学技術会議決定(平成14年5月)、それを踏まえたITER(イーター)計画への参加・誘致に関する閣議了解(平成14年5月)に基づき、ITER(イーター)を青森県六ケ所村へ誘致する提案と併せ、ITER(イーター)建設・運転・利用・廃止措置についての共同実施協定を策定する政府間協議を日米欧露中韓の6極で進めているところである。
 ITER(イーター)計画を推進することにより、核融合エネルギーの開発に成功した場合は、核融合機器の核心技術を占めることによる市場の占有が期待でき、また、環境負荷の大きな軽減に向けた貢献等も考えられる。
 また、ITER(イーター)の建設に用いられる超伝導技術、中性粒子入射技術、高周波技術、トリチウム技術等において開発した技術が確立すれば、その波及効果として、極低温高強度材料の大量生産、次世代半導体製造、大電力ミリ波及びマイクロ波によるセラミックス製作加工技術等への応用による新しい産業の創出が予想される。
3,960百万円
2,591百万円
54 大都市大震災軽減化特別プロジェクト −地震災害に負けない都市への再生− 【主管課】
研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室、地震・防災研究課、科学技術・学術政策局計画官付
 国民の生命、財産等を守り、安全・安心な生活を営むことを可能とすることは、国の基本的な責務の一つである。我が国は有史以来、数多くの地震災害を経験しており、地震災害を最小限に抑えられるよう科学技術を最大限に活用することは、国として当然行うべき施策である。加えて、我が国の中枢機能を抱える大都市圏を地震災害から守ることは、国の存立基盤に関わる。阪神・淡路大震災では、約6400名もの人命が失われ、直接被害額が約9.6兆円に上ったように、大都市圏における地震災害は極めて甚大なものとなると推定される。近い将来、東海地震、東南海・南海地震、宮城県沖地震等の大地震が発生するとされており、南関東においても地震発生の可能性が指摘されている。このため、大都市の耐震性の向上は喫緊の課題であり、このため、地震災害に負けない都市創りの基盤となる耐震技術の向上や、大都市圏における大地震による人的・物的被害の軽減化を目指した研究開発の推進、地震防災対策に関する科学的・技術的基盤の確立は必要不可欠である。 3,413百万円
2,805百万円
55 文化科学技術の推進(新規) 【主管課】
科学技術・学術政策局計画官付
 文化芸術との融合的連携のもとでの科学技術の推進、文化芸術を支える科学技術の推進のため、科学技術研究者と文化芸術関係者等の交流・連携の場を提供等することにより、新たな技術を導出し、その技術情報の拡充等を図る必要がある。 49百万円
該当なし
※予算編成過程において廃止。ただし、文化に資する科学技術の推進に係る調査に関する部分については、社会的・公共的価値の創出に向けた科学技術の検討の一環として、実施予定。

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