別紙2

光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))プロジェクトに関する経緯

1.宇宙開発委員会における審議の経緯

平成4年7月 平成5年度からの開発研究移行
平成5年8月 実験装置等の開発着手
平成6年7月 平成7年度からの開発移行
平成8年8月 打上げの延期(平成10年から平成12年へ)
平成11年8月 打上げの延期(平成12年から平成13年へ)
平成13年8月 当面打上げ見合わせ
平成14年8月 開発計画の妥当性等の審議継続
平成15年7月 打上げ計画変更(平成17年打上げへ)
平成16年12月 打上げロケットの決定
平成17年1月 進捗状況の確認
平成17年3月 サクセスクライテリアの設定

2.光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))プロジェクトに関する宇宙開発委員会の審議結果(抜粋)

(1)平成4年7月「宇宙開発計画」(平成4年3月25日決定)に基づき関係各機関において新規に実施する予定の施策及びその見直しに関する要望事項について

光衛星間通信実験衛星の開発研究

1.審議事項
(1)光衛星間通信実験衛星の開発研究(科学技術庁)

 将来の衛星間通信システムに有望な光通信技術について、欧州宇宙機関(ESA(イサ))との国際協力により、同機関の静止衛星ARTEMIS(アルテミス)との間で、捕捉追尾を中心とした要素技術の軌道上実験を行う光衛星間通信実験衛星を平成9年度頃にJ−1ロケットで打ち上げることを目標に開発研究に着手したい。

(2)光衛星間通信実験用研究開発衛星の開発研究(郵政省)

 周回衛星搭載の光衛星間通信機器等に関する技術を開発し宇宙空間において実験・実証を行うため、平成9年度ころにJ−Iロケットにより打ち上げることを目標に、光衛星間通信実験用研究開発衛星の開発研究を行う。

2.審議結果
  • (1)将来の宇宙活動において衛星間通信は、地球観測衛星のデータ取得、連続通信回線の確保、宇宙往還機の運用等のために不可欠である。
  • (2)特に光衛星間通信は、電波による衛星間通信に比べ、機器の小型化及び通信能力の向上が図れ、他の通信との干渉の発生が少ない等の特徴を有し、将来の衛星間通信に重要なものである。
  • (3)光衛星間通信システムの開発は技術開発要素が多いため、段階を踏んだ開発が必要であり、まず、技術的な困難さの最も高い、通信相手先の衛星を捕捉追尾する技術及び高出力半導体レーザ技術を中心とした実験を行うことは有意義である。
  • (4)また、地上においては、大気の揺らぎ、散乱光等により実験の実施に困難を伴うため、光衛星間通信の補足追尾系の検証に当たっては、軌道上における実証が必須となる。
  • (5)さらに、光衛星間通信の実験を行うためには、光衛星間通信端末を搭載した2機の衛星が同時に必要となり、実験相手側の衛星のスケジュールについても留意する必要があるところ、欧州宇宙機関(ESA(イサ))の静止通信技術衛星(ARTEMIS(アルテミス))が平成7年度に打ち上げられ、光衛星間通信について3年間の実験運用を行うこととなっている。
  • (6)したがって、衛星間通信システムに有効な光通信技術について、ESA(イサ)との国際協力により、同機関の静止衛星ARTEMIS(アルテミス)との間で補足追尾を中心とした要素技術の軌道上実験を行うため、光衛星通信実験衛星を平成9年度頃にJ−1ロケットで打ち上げることを目標に、科学技術庁及び郵政省が連携をとって開発研究に着手することは妥当である。

(2)平成5年8月「宇宙開発計画」(平成5年3月17日決定)に基づき関係各機関において新規に実施する予定の施策及びその見直しに関する要望事項について

光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の開発について

1.審議事項
(郵政省)

 周回衛星搭載の光衛星間通信の基礎的技術を宇宙で実験・実証するため、光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))をJ−1ロケットにより、平成9年度に打ち上げることを目標に実験装置等の開発に着手したい。

2.審議結果

 光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))については、引き続き開発研究が進められることになっているので、本件OICETS(オイセッツ)を用いた通信実験に関する地上実験装置等について、その整備を行うことは妥当である。

(3)平成6年7月「宇宙開発計画」(平成6年6月13日決定)に基づき関係各機関において新規に実施する予定の施策及びその見直しに関する要望事項について

光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の開発

1.審議事項
(科学技術庁)(注)

 衛星間通信システムに有効な光通信技術について、捕捉追尾を中心とした要素技術の軌道上実験を欧州宇宙機関(ESA(イサ))の静止技術衛星(ARTEMIS(アルテミス))との間で行うため、平成10年度にJ−1ロケットにより高度約500キロメートルの略円軌道に打ち上げることを目標に開発に着手したい。

2.審議結果
  • (1)衛星間通信技術は、地球観測衛星によるデータの取得、宇宙ステーション等の有人宇宙システムとの連続的通信回線の確保、宇宙往還機等の運用のために必要であり、特に、光衛星間通信技術は電波による衛星間通信に比べて機器の小型化・軽量化及び通信能力の向上が可能であり、将来の大容量衛星間通信に必要である。
  • (2)光衛星間通信の開発は技術開発要素が多いため、段階を踏んだ開発が必要である。捕捉追尾系の検証に当たっては軌道上における実証を行う必要があるが、将来的に光衛星間通信においては国際的な相互運用が行われることが考えられ、OICETS(オイセッツ)を使用して欧州宇宙機関(ESA(イサ))の静止技術衛星(ARTEMIS(アルテミス))との間で光衛星間通信実験を行うことは有意義である。
  • (3)したがって、光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))について、J−1ロケットにより平成10年度に高度約500キロメートルの略円軌道に打ち上げることを目標に開発に着手することは妥当である。
  • (4)なお、開発を進めるに当たっては、関係機関との連携を密接に図っていくことが必要である。

(注)(参考)
 光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の開発については、郵政省からも要望が提出された。

(4)平成8年8月 関係各機関における新規施策の実施及び「宇宙開発計画」(平成8年4月24日決定)の見直しに関する要望事項について

8.宇宙インフラストラクチャーの分野

[支援系]

 光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の打上げ年度の変更

1.審議事項

 光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))については、J−1ロケットにより、平成10年度に打ち上げることを目標に開発を行ってきたが、実験相手となる欧州宇宙機関(ESA(イサ))の先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS(アルテミス))の打上げ時期延期を受け、打上げ年度を平成12年度に変更して、引き続き開発を進めたい。

2.審議結果

 実験相手となるESA(イサ)のARTEMIS(アルテミス)の打上げが延期されることとなったことから、打上げ年度を平成12年度に変更して、引き続き開発を進めることは妥当である。

(5)平成11年8月 関係各機関における新規施策の実施及び「宇宙開発計画」(平成11年3月10日決定)の見直しに関する要望事項について

6.3 支援系

(1)光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の打上げ年度の変更(科学技術庁)
ア.審議事項

 技術試験衛星7型(ETS−7)の軌道上の不具合を反映し、データ中継技術衛星(DRTS−W)に使用されているスラスタを打上げ前に交換する。このため、DRTS−W及び民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS−1)の打上げは約6ヶ月遅延する。これに伴い、射点整備及び追跡管制の都合等を考慮し、後続の光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の打上げを確実に行うため、J−1ロケット2号機によるOICETS(オイセッツ)の打上げ年度を平成12年度から平成13年度に変更したい。

イ.審議結果

 光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の打上げ年度の変更は、データ中継技術衛星(DRTS−W)及びミッション実証衛星1号(MDS−1)の打上げが平成12年冬期に延期されることによるものであり、射点設備整備期間や追跡管制の対応を考慮すると、本衛星の打上げ年度を平成12年度から平成13年度に変更することは妥当である

(6)平成13年8月 計画・評価部会 計画・評価部会審議結果

2.審議の結果等

2−1.宇宙開発活動全般の進捗状況
(2)個別分野における取り組み
2宇宙輸送システム

 (略)…光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))を打ち上げる計画であったが、共同で実験を行う欧州宇宙機関(ESA(イサ))の先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS(アルテミス))の軌道上機能確認遅延等のため、当面、打上げを見合わせる…(略)

(7)平成14年8月 計画・評価部会 OICETS(オイセッツ)の開発計画の変更

2−2.新規の主要な計画等

(6)光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の開発計画の変更

 衛星間通信実験の相手衛星(ESA(イサ)のARTEMIS(アルテミス))の打上げトラブルに伴い、OICETS(オイセッツ)の打上げを見合わせていたが、その後の対策処置によりARTEMIS(アルテミス)が平成15年度には所定の軌道に達する見通しが得られたため、宇宙開発事業団は、平成17年度の打上げを目指して準備を再開することを求めている。そのため、今後、当初の意義、目的が失われていないかの確認、打上げロケットを含めた計画の妥当性等について審議を継続する。

(8)平成15年7月 計画・評価部会 宇宙開発に関する重要な研究開発の評価結果

4−2 中間評価

(2)光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))
(概要・意義等)

 衛星間通信実験の相手側衛星であるESA(イサ)の先端型データ中継技術衛星(以下、「ARTEMIS(アルテミス)」という)の打上げトラブルに伴い、光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の打上げを見合わせていたが、その後の対策処置によりARTEMIS(アルテミス)が静止軌道に投入されたため、NASDA(ナスダ)は、平成17年度の打上げを目指して準備を再開することを提案している。
 本プロジェクトの評価にあたっては、平成14年度の宇宙開発委員会での審議における指摘を踏まえ、当初の意義・目的が失われていないかの確認を行った。その結果、大容量衛星間通信の実現を目指して光衛星間通信技術の要素技術実証を行うことの意義は、観測衛星等のデータ伝送要求の増加の傾向にも鑑みて、現時点でも失われていないと判断される。通信機器としての大幅な小型・軽量化や低消費電力化などの技術向上は、将来の衛星システムにとっても有効であると考えられる。

(開発計画等)

 リスク管理の観点から、通信実験相手であるARTEMIS(アルテミス)の状況を適時適切に確認し、必要に応じて本プロジェクトの計画に反映することが必要である。ARTEMIS(アルテミス)の光通信機器の設計寿命が平成18年7月となっていることから、衛星間通信実験衛星を実施して目標とする成果を得るために、平成17年度に打上げを行い、必要な実験期間を確保することは適切と考えられる。一方、成果を適切に確保するためには、実験期間の確保が重要であり、想定する打上げ時期を適切に維持できるよう、プロジェクト管理及びリスク管理が着実に実施される必要がある。
 打上げロケットについては、打上げ目標年度に向けてNASDA(ナスダ)が適切なロケットを選定していくことから、選定が完了した時点で、計画・評価部会にて打上げ計画に関する確認を行う。

(審議結果)

 これらの結果、本プロジェクトについて、平成17年度の打上げを目指して準備を再開することは適切であると判断される。
 打上げロケット及び打上げ計画については、打上げ後の実験計画を明確にした上で、その適切な実施時期を確保するとともに、打上げに向けて衛星とロケットのインタフェースに係る技術検討を確実に実施するために必要な期間を確保するために、遅滞無く確定する必要がある。

(9)平成16年12月 宇宙開発委員会 OICETS(オイセッツ)の打上げについて

4.OICETS(オイセッツ)打上げロケットの決定

 以上により、OICETS(オイセッツ)については、ドニエプルロケットにより17年度夏頃打ち上げることとし、必要な準備作業を行うこととしたい
 なお、今後、推進部会にて所要の確認を受けることとする。

(10)平成17年1月 推進部会 光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の進捗状況確認結果

(2)審議結果

 上記のとおり、平成16年12月にOICETS(オイセッツ)の打上げロケットが決定したことから、平成17年夏期の打上げまでに、衛星とロケットのインタフェースに係る技術的な検討を確実に実施するために必要な期間を確保することができた。
 また、ARTEMIS(アルテミス)の光通信機器の設計寿命が平成18年7月となっていることに対して、OICETS(オイセッツ)の打上げが計画通り平成17年夏期に行われれば、少なくとも9ヶ月間の軌道上での実験期間が確保されることとなり、所期の成果を適切に確保することができると期待される。
 これらのことによって、将来の宇宙における伝送データ量の増大に対応するため、宇宙空間における光通信技術の開発を行うという本プロジェクトの目的が達成されると考えられることから、OICETS(オイセッツ)の打上げ計画は妥当と判断される。
 なお、JAXA(ジャクサ)は、ARTEMIS(アルテミス)及びドニエプルロケットを含めたプロジェクト全体の管理及びリスク管理について、今後とも引き続き十分配慮すべきである。

(11)平成17年3月 推進部会 光衛星間通信実験衛星(OICETS(オイセッツ))の今後の計画について

 以下に示すサクセスクライテリアについて了解された。