3.OICTESプロジェクトを取り巻く状況

 光衛星間通信は、電波による衛星間通信に比べ、通信能力の向上及び通信機器の小型化が図れ、他の通信との干渉の発生が少なく、周波数の有効利用及び通信妨害に強い等の特徴を有している。OICETS(オイセッツ)プロジェクトは、光衛星間通信技術の実証プロジェクトとして位置付けられ、光衛星間通信に必要な捕捉・追尾・指向技術、双方向光通信技術などの、基盤技術を確立することを目的として、欧州宇宙機関(以下「ESA(イサ)」という。)の静止衛星である、先端型データ中継技術衛星(以下「ARTEMIS(アルテミス)」という。)との間で、光通信実験を行い、世界で初めて双方向の光衛星間通信を実施したプロジェクトである。
 このOICETS(オイセッツ)プロジェクトについては平成7年度から開発に着手したが、ARTEMIS(アルテミス)の静止衛星軌道への投入が大幅に遅延する見込みとなったことから、平成13年8月時点でOICETS(オイセッツ)の打上げを延期することとした。その後平成15年度初頭にESA(イサ)がARTEMIS(アルテミス)を静止衛星軌道へ投入する見通しを得たため、平成17年8月にロシア・ウクライナのドニエプルロケットによりOICETS(オイセッツ)を打ち上げた。
 打上げ後、ミッション期間として予定していた約一年間にわたる軌道上運用によりARTEMIS(アルテミス)との双方向光衛星間通信実験を実施し、平成18年9月に、当初計画していた実験を終了した。現在後期利用段階に移行している状況である。

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