3.次期固体ロケットプロジェクトを取り巻く状況

 固体ロケット技術は、ペンシルロケット以来我が国で培った技術であり、「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」(平成16年、総合科学技術会議)(以下、「基本戦略」という。)、「宇宙開発に関する長期的な計画」(平成15年、宇宙開発委員会)(以下、「長期計画」という。)等においても、固体ロケットシステム技術の維持の必要性が指摘されている。また、次期長期計画の検討の一環として実施された宇宙開発委員会計画部会輸送系ワーキンググループでは、「固体ロケット固有の技術の向上を図りつつ、小型衛星へ柔軟、効率的に対応することが適切」等、小型衛星への対応の必要性が指摘されている。
 具体的には、ニーズに即した多様な規模の計画を立案していくという方向性の下に、科学の分野では、従来の中型衛星の計画に加え、迅速、高頻度、低コストでのミッションの実現を可能とする小型衛星の活用が指向されている。また技術実証の分野でも、宇宙開発利用を支える技術基盤の強化を図るため、小型衛星を活用した宇宙実証の重要性が指摘されている。また、ミューファイブロケット開発から既に十年近く経過しており、JAXA(ジャクサ)/メーカの固体ロケットシステム開発経験者が分散し始めている状況である。
 このような状況を背景に、JAXA(ジャクサ)では、小型衛星の打上げ需要に柔軟、効率的に対応するとともに、これまで培った固体ロケット技術を継承し、固体ロケットシステムの維持・発展を図るため、次期固体ロケットプロジェクトを計画している。
 本プロジェクトで開発する次期固体ロケットは、全段固体の3段式ロケットで、ミューファイブロケットの約3分の2の打上げ能力があり、低コストかつ短い運用期間で打上げることを目指している。

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