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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 宇宙開発委員会 > ALOSの総点検に関する審議結果 > 2−3


3. 課題抽出の手法と抽出された課題の対処の方向性
 JAXA(ジャクサ)は、衛星及び地上システム全体にわたって課題を抽出するために、ALOSプロジェクトチーム及び点検チームによる、JAXA(ジャクサ)内文書、メーカ内文書の点検や、現品確認、さらに以下の13の重点的視点に基づいた点検を実施した。その結果、最終的に抽出した課題の総数は298件であった。
 このうち、よりALOSシステムの信頼性を向上するために対策が必要であるとしてJAXA(ジャクサ)が選別した事項は283件であった。抽出された課題と実施すべき対策の件数を表2に、実施すべき対策の代表例を表3に示す。
 なお、JAXA(ジャクサ)は、上記により抽出された課題の対処方法の妥当性を確認するため、必要に応じ、設計解析、評価試験、FTA、FMEA、信頼度解析等を追加で実施している。

1 衛星不具合等の反映の視点に基づいた点検
 「みどり2」の運用異常等の一連の事故原因を踏まえ、課題抽出・評価を実施した。これまでの衛星不具合に対応した点検及び評価の例を以下に示す。

(a) 「みどり2」の運用異常からの反映事項
衛星の全電力ハーネスの熱、電気設計の再確認及び追加要素試験
太陽電池パドルに関する帯電・放電試験
図面、PFM現品に対するMLIの接地状況確認

(b) 「のぞみ」の火星周回軌道への投入失敗からの反映事項
故障分離機能の妥当性確認を目的としたインタフェースFMEA等の実施
ヒューズ健全性確認

2 信頼性・サバイバル性向上の視点に基づいた点検
 システム全体に対し、以下の(a)〜(k)の項目に関する評価を行い、衛星全損に繋がる可能性のある課題を抽出・評価するとともに、措置が必要な課題に対する対策の妥当性を確認した。
(a) 新規の技術及び設計の識別及びその解析結果、試験結果は妥当か。
(b) 単一故障点の識別と信頼度は妥当か。
(c) 故障モードに対する冗長構成は妥当か。
(d) 異常が発生した場合のシステム、サブシステムのサバイバル性は確保されているか。
(e) システム異常発生時を想定し、原因究明を目的としたモニタ用センサの数と配置、通信確保を考慮した運用モード等は十分考慮されているか。
(f) サブシステム故障モードの衛星システムへの波及性は十分考慮されているか。また、主系機器故障の冗長系機器への故障の連鎖性に関する検討は十分か。
(g) 設計・製造・運用過誤の起こりやすい部位の識別と処置は妥当か。
(h) 各機器間のインタフェース条件及びその確認試験の内容は妥当か。
(i) 寿命劣化の可能性のある部位の識別と評価結果は妥当か。
(j) 各サブシステムの機能及び性能のEnd-to-End試験での実施結果は妥当か。また、実施できない場合の対策、リスク評価は妥当か。
(k) 地上試験ができない、または宇宙環境が十分に模擬できない部位に対する評価は妥当か。

3 PFMの健全性確認の視点に基づいた点検
 PFMの健全性を再確認するため、以下の評価を実施した。
(a) トレンド評価
 コンポーネント製造時から、システム試験までに得られたデータのトレンド評価を行い、特性値管理の妥当性について再確認する。
(b) 不具合評価
 処置済みの不具合について、その妥当性について再確認を行う。
(c) 可動物評価
 回転・展開機構等の可動物に関する設計・試験の条件及び結果の妥当性について再確認を行う。
(d) ソフトウェア評価
 ソフトウェアの設計・試験の条件及び結果の妥当性について再確認を行う。

  表2 抽出された課題と実施すべき対策の件数
表

  表3 実施すべき対策の代表例(1PFMの改修)
表

  表3 実施すべき対策の代表例(2追加評価試験)
表
拡大図

  表3 実施すべき対策の代表例(3追加点検評価解析)
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  表3 実施すべき対策の代表例(4地上システムに対する評価試験・解析等)
表
拡大図


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