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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 宇宙開発委員会 > ALOSの総点検に関する審議結果 > 2−4


4. 当専門委員会の技術的助言
(1) ALOSシステム全体に関する技術的助言
 JAXA(ジャクサ)が実施した課題抽出の手法と抽出された課題の対処の方向性に対して、当専門委員会は以下のとおり技術的助言を行った。

PFM改修後の試験スケジュールについて、確認の目的に合致した機械環境試験等が設定されているかについて確認すること。
冗長系システム内に単一故障点が存在していないかを確認するため、詳細設計情報を再確認すること。また、冗長系確認試験の妥当性について確認すること。
安全係数を適用している箇所、厳しい要求条件で設計している箇所については、それらの数値の妥当性を十分評価すること。
点検内容の実施の有無を確実に識別するため、チェックリストを用いて点検を実施すること。
発生電力異常により軽負荷モードに移行した場合の消費電力については、故障モードとの関係を十分評価すること。
プロジェクトのリスク管理手法の妥当性について評価すること。
火工品を含む分離方式については、実績と設計の妥当性について確認すること。
ハーネスについて、配線・固定方法も含め、耐振動性を確認すること。
衛星管制機能に対する単一故障点の評価及びその対策の妥当性について評価すること。
End-to-End試験における電波リンクに関する試験方法の妥当性について確認すること。
リアクションホイール等の輸入品に関する品質保証方法の妥当性について確認すること。
太陽電池パドルを含めた電源系の地上試験については、電気、熱設計の妥当性が十分検証できる試験方法、試験コンフィギュレーションになっているか確認すること。
太陽電池パドルのヨーク部(衛星構体−太陽電池パネル間結合部位)における強度設計のマージン確保が十分であるか確認すること。
太陽電池パドル長尺化に伴う新規開発要素の識別とその検証方法の妥当性を確認すること。
太陽電池パドルを含む電源系ハーネスについては、太陽光入射等に伴う軌道上熱環境、配線の集中に伴う温度上昇、最大負荷電力を考慮し、熱設計の評価を行うこと。また、ハーネスの配線については、熱設計結果及びモニタ用信号ラインへのクロストーク等を十分考慮すること。
太陽電池パドルのハーネスの取扱いについてリスクがないことを確認すること。
太陽電池パドル、PALSARアンテナ等の可動物については、展開確実性を評価すること。特に太陽電池パドルについては、パドルの構造特性を考慮し、展開解析を実施すること。
発生電力を確認する試験については、その試験の妥当性を評価すること。
デブリによるリスクを考慮し、対策の検討を行うこと。
アナログ回路の利得について、マージンを確認すること。
柔軟構造物パラメータの不確定性を考慮し、姿勢軌道制御系の航法モード、パラメータ変更等の運用の妥当性について確認すること。
定常航法モードのバックアップである地球センサを用いたモードに移行した際の観測ミッションに与える影響について評価すること。
ソフトウェアの第3者検証に関して、検証者、検証範囲、供試体の妥当性を確認すること。
質量マージンの妥当性を確認すること。
恒星センサについての実績及び精度の妥当性について確認すること。

 これらの助言に対し、JAXA(ジャクサ)からは、既に対処している、あるいは十分に考慮している旨の回答があり、当専門委員会においても、その回答内容について確認したが、JAXA(ジャクサ)は、当専門委員会の助言を踏まえ、PFMの改修、追加評価試験、追加解析等の対策、及び今後のシステム試験において、さらに適切に取り組むよう努める必要がある。
 以上より、JAXA(ジャクサ)におけるALOSの総点検においては、衛星及び地上システム全体にわたって課題を抽出し、信頼性を向上するために対策が必要な事項を選別し適切に対処している。よって、当専門委員会はJAXA(ジャクサ)におけるALOSの総点検について、課題抽出の手法及び抽出された課題の対処の方向性は妥当と考える。

(2) ALOSバス系技術に関する技術的助言
 当専門委員会においては、ミッション遂行上の懸念については、現状に引きずられることなく、助言を行う必要があると考え、特に太陽電池パドルを含めたALOSバス系技術のミッション遂行上のリスクが低減されているかについて、JAXA(ジャクサ)における総点検の結果も含めて、調査審議を実施し、以下の項目について技術的助言を行った。

1 開発方針
ミッション要求とシステム仕様の整合性について確認すること。
開発方針に無理がないことを確認すること。

2 新規・既存技術の識別と開発計画への反映
新規技術と既存技術の識別の妥当性、及び新規技術の評価が十分であるか確認すること。
既存技術の設計変更部について、熱、機械、電気的な観点から評価が十分であるか確認すること。

3 信頼性の確保
単一故障点の識別と評価の妥当性について確認すること。
サバイバル性の確保は十分か確認すること。
寿命評価は十分か確認すること。
地上システムの運用性が向上されたか確認すること。

4 地上試験の充実
軌道上環境を考慮した地上検証試験の模擬度は妥当か確認すること。
今後実施される試験における評価体制が妥当か確認すること。
試験計画に抜けはないか確認すること。
End-to-End試験における試験方法、試験コンフィギュレーションは妥当か確認すること。

5 軌道上評価
モニタ用センサ数、軌道上評価計画の妥当性について確認すること。

6 「みどり2」、「のぞみ」の不具合原因に対する対策
電力ハーネスの耐熱設計の妥当性について確認すること。
MLIの帯電・放電対策の妥当性について確認すること。
故障分離が十分考慮されているか確認すること。
設計変更管理は適切に実施されているか確認すること。

 以上の項目に対し、JAXA(ジャクサ)からは、既に対処している、或いは十分考慮している旨の回答があり、当専門委員会においても、その回答内容について調査審議を行い確認した。
 以上より、当専門委員会は、JAXA(ジャクサ)における総点検の結果も含めて考慮すると、太陽電池パドルを含めたALOSバス系技術について、ミッション遂行上のリスクが低減されており、現時点において看過できない合理的懸念は抱えていないと考える。


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