別添1 年度評価における業務運営等の共通事項に関する観点

(1)業務運営の改善及び効率化

 戦略的な法人経営体制の確立と効果的運用が図られているか。

 教員の興味関心に基づく自発的学問的研究とそれに基づく教育を自律的に行うという大学及び大学共同利用機関の本質に留意しつつ、法人としての経営戦略を企画立案するマネジメント体制を整備することにより、学長等のリーダーシップの下、法人全体の観点に立った意思決定とその方針に沿った各部局の活動の総合調整を行い、効率的で法人全体を有機的に統合した戦略的な法人経営を行っているかどうかという観点から評価することが必要である。また、このような意思決定過程の構築にあたって、透明性・公正性の観点に留意されているかどうかという視点から評価することも必要である。

(指標例)

  • 運営のための企画立案体制の整備状況
  • 上記の企画立案部門の活動状況、具体的検討結果、実施状況
  • 法令や内部規則に基づいた手続きにしたがって意思決定されているか

法人としての総合的な観点から戦略的・効果的な資源配分が行われているか。

 法人化以前は国の組織として、国の予算会計制度や機構定員制度の制約が課されていたが、法人化により、法人の裁量による柔軟な資源配分が可能となっており、各法人の総合的な戦略や状況に応じた柔軟かつ迅速な物的・人的資源の配分が進められているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 法人の経営戦略に基づく学長・機構長裁量経費・人員枠やその他の戦略的配分経費の措置状況
  • 上記の資源配分による事業の実施状況(教育研究の専門的な観点からの評価は行わない。)

法人内における資源配分に対する中間評価・事後評価を行い、必要に応じて資源配分の修正が行われているか。

 法人の裁量による柔軟な資源配分が可能となったことに伴い、資源配分が適切かつ効果的に行われたかどうかを事後チェックし、その結果を踏まえて見直しを行う仕組みが求められており、そのような取り組みが行われているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 法人内における資源配分に関する中間評価・事後評価の実施状況
  • 評価結果を踏まえた資源配分の見直しの状況
  • 附属施設の時限の設定状況

業務運営の効率化を図っているか。

 法人化後の国立大学法人等は、法人内のコンセンサスの確保に留意しつつ、教育研究活動の進展や社会のニーズに機動的に対応するため、迅速かつ効率的な意思決定と業務執行がより一層求められており、業務運営の合理化が進められているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 事務組織の再編・合理化など、業務運営の合理化に向けた取り組み実績
  • 各種会議・全学的委員会等の見直し、簡素化による教職員の負担軽減

収容定員を適切に充足した教育活動が行われているか。

 国立大学法人にとって、教育は基幹的な業務であり、収容定員に示された学生数に対して教育を行っているかどうかは、国立大学法人が行うべき業務を十分に行ったかどうかを図る基本的な指標であるため、収容定員の充足率を一定程度以上満たしているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 学士・修士・博士・専門職学位課程ごとに収容定員の85パーセント以上を充足させているか

外部有識者の積極的活用を行っているか。

 法人化により、外部委員が半数以上を占める経営協議会が全法人に設置されるとともに、外部人材の理事への登用も必須とされたほか、人事制度の弾力化のメリットを活かした外部人材の登用も可能となっており、これらの外部有識者の活用により運営の活性化が図られているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 外部有識者の活用状況
  • 経営協議会の審議状況及び運営への活用状況

監査機能の充実が図られているか。

 国立大学法人等には役員として監事がおかれ、会計監査人による会計監査と相まって、外部の観点を取り入れた運営の自己改善サイクルを確立することが可能となっている。内部監査の組織が適切に整備され監査が実施されると共に監事や会計監査人による監査結果を適切に運営に反映させるなど、監査機能の充実が図られているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 内部監査組織の独立性の担保など監査体制の整備状況
  • 内部監査の実施状況
  • 監事監査、会計監査の実施状況及び監査結果の運営への活用状況

(2)財務内容の改善

財務内容の改善・充実が図られているか。

 国費の投入により支えられている国立大学法人等において、経費の効率的使用や自己収入の増によって財務内容を改善することは重要な課題であり、経費の節減や自己収入の増加が図られているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 経費の節減、自己収入の増加に向けた取り組み状況
  • 財務情報に基づく取り組み実績の分析

人件費等の必要額を見通した財政計画の策定や適切な人員管理計画の策定等を通じて、人件費削減に向けた取り組みが行われているか。

 「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)や国全体の公的部門の人件費削減に向けた動向もかんがみ、人件費等の必要額を見通した財政計画の策定や適切な人員管理計画の策定等を通じて、人件費削減に向けた取り組みが行われているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 財政計画や適切な人員管理計画の策定等を通じ人件費削減に向けた取り組みが行われているか

(3)自己点検・評価及び情報提供

情報公開の促進が図られているか。

 国立大学法人等が社会的使命を果たしつつ、その活動を行っていくため、教育研究等の状況について積極的な情報提供が求められており、情報公開の促進が図られているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 情報発信に向けた取り組み状況

(4)その他の業務運営に関する重要事項

施設マネジメント等が適切に行われているか。

 国立大学法人等にとって、施設・設備は予算、人員と並んで教育研究を実施していく上で不可欠な資源であり、各法人の活動を支え、活性化させる施設マネジメントや設備の有効利用が行われているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 施設マネジメント実施体制
  • キャンパスマスタープラン等の策定状況
  • 施設・設備の有効活用の促進
  • 施設維持管理の計画的実施(施設維持管理計画等の策定状況)

危機管理への対応策が適切にとられているか。

 法人化により、危機管理の責任は各法人が負うこととなり、リスクマネジメントに関する適切な対応体制がとられているかどうかという観点から評価することが必要である。また、万一、法人の管理責任に係る事項で国立大学法人等として不適切な事象が生じた際には、評価においても、当該事象に対する事後的な対応も含めて、必要に応じて取り上げる必要がある。

(指標例)

  • 危機管理マニュアルの策定など、災害、事件等に関する危機管理の態勢の整備状況

(5)各項目共通

従前の業務実績の評価結果について運営に活用しているか。

 国立大学法人評価は、各法人の自己点検・評価及び国立大学法人評価委員会の評価結果を以後の運営に活用することによって国立大学法人等の質的向上に資するものであるため、評価結果の活用が適切に行われているかどうかという観点から評価することが必要である。

(指標例)

  • 評価結果の法人内での共有や活用のための方策
  • 具体的指摘事項に関する対応状況
     なお、本観点については、具体的指摘事項に該当する項目のほか、「自己点検・評価及び情報提供」の項目にも関係する。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課

-- 登録:平成21年以前 --