1.我が国における産学官連携施策 産学の連携・協力の在り方に関する調査研究協力者会議まとめ(概要)

平成9年3月31日

新しい産学協働の構築を目指して

 産学の連携・協力の在り方に関する調査研究協力者会議(座長:鈴木基之東京大学生産技術研究所長)では、平成8年2月以来、大学と産業界との連携・協力を見直し、その連携・協力を一層推進するための方策について検討を進めてきたが、この度、昨年12月に公表した中間まとめに対する各方面からの意見等を踏まえ、まとめを作成した。概要以下のとおり。

1 産学の連携・協力についての基本的考え方

○ 今日、大学における学術研究に関し、産業界等との連携・協力を求める声はこれまでになく強まっており、例えば、平成7年度に国立大学等が企業等と実施した共同研究の件数は、昭和58年度の制度発足時に比して約30倍となっている。

○ 産学各々の社会的責任と役割を踏まえつつ、産学の連携・協力を進めることが、産学のそれぞれにとっても、社会にとっても有益である。

○ 我が国が「科学技術創造立国」を目指す上で、産学の連携・協力は不可欠の前提であり、大学の今日的使命として、また、大学の社会貢献の一形態として、産学の連携・協力を一層推進することが求められる。

○ 産学の連携・協力は、これを行おうとする研究者が、それを円滑に実施できるシステムを構築することにより推進することが求められる。

2 産学の連携・協力の今日的課題と改革の基本的方向

(1)産学間の対話の促進

 ⇒ 産学双方の意識改革と対話のための努力が必要。

(2)研究者交流の新しい方向性

○ 企業における研究者交流の導入
 ⇒ 従来、研究協力活動は大学において主に行われてきたが、大学教員が企業において研究、指導等の活動に円滑に従事できるように諸制度・運用の改善を図ることが必要。

○ 各種制度等の改善の在り方
 ⇒ 人的交流を妨げるおそれのある規制は必要最小限にとどめることが求められる。
 知的財産の取扱いや研究成果等の公表時期など適切なルールを明示する必要。

○ 企業における研究活動への大学教員の関わり方
 ⇒ 産学の研究協力活動が、社会的な疑惑を招くことのないよう、透明性の高い制度とその運用が求められる。

(3)地域における産学の連携・協力の推進

 ⇒ 地域における大学の研究機能は地域振興にとって重要であり、共同研究センター等の地域との交流拠点の整備を進展させることが必要。

(4)研究成果の活用

 ⇒ 多様な形態による技術移転を促進するとともに、大学教員の発明等に関するサポート体制の在り方等について検討する必要。

3 新たな産学の連携・協力の推進のための具体的方策

(1)大学から産業界への働きかけ

 ⇒ 大学の主体的な取組とともに、企業への積極的な対応が必要。このため諸手続・事務組織等の改善・整備が必要。

(2)企業に対する研究協力の拡充

○ 分担型の共同研究、ベンチャーを含む中小企業への研究協力、企業における若手研究者の養成、複数企業と複数大学による共同研究やコンソーシアム型の大規模な共同研究等、多様な研究協力の要請。
 ⇒ 新たな共同研究等の仕組みを整備。

○ 共同研究等の場の企業への拡大
 ⇒ 従来大学において行われていた共同研究の場を拡大し、大学の教員が企業において共同研究できるようにする。
 ⇒ 大学の教員が企業との共同研究や国から企業への委託研究のため休職した場合に、退職手当算定上の不利益を被らないようにする。

○ 兼業の範囲の拡大
 ⇒ 勤務時間外における企業での研究、指導等への従事に係る兼業の許可については、原則として認められるようにする。

○ 透明性の確保
 ⇒ 勤務時間の厳正な管理に留意し、学内に審査会を設ける等適切な手続を経るとともに、大学として共同研究等の実態を個人情報の保護等に配慮しつつ開示する工夫が必要。また、外部から受け入れた資金は公金として適切に経理する。

(3)共同研究センター等の拠点施設の充実

 ⇒ 共同研究センターの整備・充実や機能強化、中小企業への協力、ネットワークの整備と地域振興プロジェクトへの積極的な参加が重要。

(4)研究成果活用の円滑化

○ 大学からの情報発信の強化

○ 研究成果の公表に当たっての留意
 ⇒ 相手方企業のノウハウ等の取扱いや、成果公表と特許出願の時期などについては、研究着手時に十分相談し合意に達しておく必要がある。

○ 共同研究等に伴う特許の優先的実施機関の延長

○ ケーススタディの促進

○ 教育面での産学の連携・協力の推進

(5)公私立大学等における産学の連携・協力の促進

○ 公立大学及び地方公共団体における取組の強化

○ 私立大学に対する支援等の充実

○ 高等専門学校における取組の強化

○ 産業界のアプローチの転換

(6)学内における産学協働推進体制の整備に向けて

○ 特許取得に向けてのインセンティブと支援方策

○ 大学における種々の知的所有権の保護

○ 学内評価システムの整備

○ 発明委員会の運営の改善等

○ 知的財産の運用収入の還元方策

○ 競争的研究環境の整備

(7)総合的・戦略的な産学協働推進体制の整備に向けて

○ リエゾン機能の整備

○ ベンチャー企業等への協力の場の整備

○ 学外における支援組織の整備

○ 研究コーディネーターの育成等

○ 産学の連携・協力促進のための税制の整備
 ⇒ 共同試験研究促進税制(租税特別措置)相の延長・拡充。

○ 総合的な推進体制の整備
 ⇒ 引き続き具体的方策の実施に向けて検討。

産学の連携・協力の在り方に関する調査研究協力者会議の提言に基づく主な制度改善等の状況

(平成9年3月現在)

1 企業に対する研究協力の拡充

(1)共同研究等の場の企業への拡大

1 国立大学等の教員が、企業において共同研究できる場合を拡大する。
 ⇒ 平成9年3月通知改正、平成9年度から実施。

2 国立大学等の教員が、企業との共同研究等に休職により参画した場合に、退職手当算定上の不利益を被らないように措置を講ずる。
 ⇒ 第140回通常国会(平成9年)に法律案提出、4月3日成立、4月9日公布。

(2)兼業の範囲の拡大

○ 国立大学等の教員が、勤務時間外に企業において、研究開発又は研究開発に関する技術指導に従事する場合の兼業については原則として許可する。
 ⇒ 平成8年12月に通知改正、平成9年度から実施。

2 研究成果活用の円滑化

○ 共同研究等による特許等の相手方企業等への優先的実施期間の延長を図る。
 ⇒ 平成9年3月通知改正、平成9年度から実施。

3 産学の連携・協力推進のための税制措置

○ 大学と企業との共同研究を促進するため税制の拡充を図る。
 ⇒ 平成9年度税制改正において、共同試験研究促進税制の延長及び拡充を措置。

4 諸手続の改善

○ 受託研究や奨学寄附金の受入協議手続の簡素化を図る。
 ⇒ 平成9年3月通知等改正、平成9年度から実施。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)

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