「新時代の産学官連携の構築に向けて ~大学発の連鎖的な新産業の創出を加速するために~」 おわりに

 以上の本委員会の中間的な取りまとめを受けて、文部科学省は、緊急に推進すべき施策に関して、9月までにアクション・プログラムを策定するとともに、関係省庁とも連携しつつ、法令改正の可能性も含め、必要な制度改正を早急に検討することが望ましい。その際、過去の施策等の反省に立って、特に「個人」の能力が最大限発揮される環境整備と組織体としての「大学等」における経営の充実に留意する必要がある。また、産学官におけるこれまでの個人的連携の在り方から組織レベルの連携への進展に留意しつつ、具体的な目標としての「大学等発ベンチャー育成」等が達成できるよう、関連施策を整理した上で、戦略的な「パッケージ型」の施策を実施することが望まれる。また、本委員会としては、今後の大学改革の方向性を踏まえつつ、緊急に必要とされる関連施策の実施状況等についてフォローすることとしたい。
 また、今後の産学官連携の構築に当たっての六つの観点においても述べたように、国立大学の法人化の議論を踏まえつつ、TLOやリエゾン活動、産学官連携における利益相反問題への対応など今後の大学等の産学官連携の在り方については一層の検討を行なう必要がある。さらにこれらに加えて、より総合的には、大学等を核とする産学官連携を推進する観点から我が国の産業政策(環境立地政策を含む。)等の問題点・課題や活用の在り方をも今後取り上げるべきであろう。要するに、多様な議論を踏まえつつ産学官が連携し、力を合せて、我が国の未来を拓く新しいコンセプトを生み出していくことが望まれているのである。

 最後に、冒頭に述べたように、産学官連携において大学等の公的教育・研究機関、特に「大学」の果たす役割には大きなものがある。さらに、長期的かつ継続的発展を目指す視野から言えば、国家、社会の発展につながる画期的なイノベーションの芽は、幅広い分野にわたる多様な研究や「知」の創発の中から生み出されることが多い。同時に、技術やビジネスのイノベーションを担う人材の育成も重要である。研究者個人の自由な発想と意欲に基づく多様な創造的活動や個性を重視した人材の育成こそが社会のあらゆる分野の発展の基盤となるべきものである。個人の意欲的かつ多様な学習活動、競争原理を基礎とする優れた個人の自主的な創造活動、そしてこうした活動の「場」を提供する大学等を今後とも国家政策上重視するとともに、長期的観点に立った資源配分を行なうことが必要であり、この報告書の前提であることを強調したい。

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研究振興局研究環境・産業連携課

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