用語解説

[用語解説]※1

◎ アスペリティ

 プレート境界や断層面の固着の強さが特に大きい領域のこと。この領域が地震時に滑ると、滑り量が周りよりも大きくなり、大振幅の地震波を放出する。

◎ 活構造

 活構造とは、活断層や活褶曲(かつしゅうきょく)などの、比較的新しい時代に活動したと見られる地形を指す地質学の用語。おおむね第三紀または第四紀以降に、断層運動によるずれや褶曲の形成などが発生した場所をいう。

◎ 共同利用・共同研究拠点

 文部科学省が、平成20年7月に科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会の報告を踏まえて学校教育法施行規則を改正し、国公私立大学を通じた、共同利用・共同研究を推進するシステムとして、新たに文部科学大臣によって設けられた認定制度。

◎ 古地震調査

 地震発生の長期予測を行うに当たり、過去における地震の履歴を知ることが大変重要であるが、近代的な地震観測が開始されてから100年程度であるため、計測学的な資料が得られる期間は、ごく最近に限られる。そのため、それよりも古い時代の事柄について歴史学、考古学、地形学、地質学、地球物理学など様々な方法を駆使して、過去に発生した地震を調べることをいう。

◎ サイクルの階層性

 地震の規模によってプレート境界面での地震発生間隔が異なり、大きな地震では長い間隔で発生し、小さい地震では短い間隔で発生する。そのため、同一地域においても、地震の大きさによって発生間隔が異なることがあり、地震の大きさに伴った発生間隔の階層性を形成する。このことをサイクルの階層性と呼ぶ。

◎ 沈み込み帯

 プレートの収束境界で、一方のプレートがもう1つのプレートの下へと沈み込む地帯。冷たくて密度の高い海洋プレートがより軽い大陸プレートの下へ沈み込む場所。

◎ 準備過程

 (地震準備過程)

 地震発生直後から次の地震発生に至るひずみエネルギーの蓄積と応力集中の過程。

 (火山噴火準備過程)

 火山噴火は、火口から溶岩や火山ガスが急激に地表に放出される現象である。その過程としては、地下深部で発生したマグマが、マントルや地殻内を上昇し、地殻浅部にマグマだまりとして蓄積される。さらに、内部の圧力が高まる等の理由で、マグマが地表へ移動し溶岩や火山ガスとして噴出する。このように噴火に至るまでの一連の過程のこと。

◎ 震源過程

 地震は震源域内部で、ある種の破壊が発生することにより起こる。この破壊過程のことを震源過程という。

◎ 震源断層

 地震を起こした断層のことをいい、通常は地下にあり、大きな地震では複数の断層が連動して動くこともある。また、断層面から枝分かれした断層を分岐断層という。

◎ 地震・火山噴火予知研究協議会

 地震及び火山噴火予知研究を行っている全国の大学・研究機関が、「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」(科学技術・学術審議会 平成20年7月17日建議)で立案された研究を、連携と協力関係を強化して推進するために設立された組織。

◎ 地震調査研究推進本部

行政施策に直結すべき地震に関する調査研究の責任体制を明らかにし一元的に推進するため、政府が地震防災対策特別措置法に基づき総理府に設置(現・文部科学省に設置)した機関。

◎ 実時間処理システム

 データが発生した際に、遅れることなく即座に処理を行うシステム。データが入力されたとき、通常はある処理を施し可視化など有効なデータとする必要がある。その処理に時間がかかることなく即座に有効なデータとして活用できるように処理するシステム。

◎ セグメント

 巨大な断層で地震が起こる場合には、断層全体が一遍に動くとは限らず、幾つかの区分に分かれた振る舞いをすることがある。このように、断層運動する際にまとまった振る舞いをする区分をセグメントと呼ぶ。

◎ 先行過程

 地震発生の直前に発生する物理現象や化学現象の進行・発展の過程。

◎ 素過程

 地殻・上部マントル構成物質の変形・破壊について、その基となる物理的や化学的な現象の進行・発展の過程。

◎ 大深度ボアホール

 地下深部の情報を取得するために掘削してできた円筒状の穴をボアホールという。ボアホールの直径は10~20cm程度のものが多いが、深いものほど入り口を大きくするのが普通である。ボアホールは地下の岩石を取得する目的の他、地下深部での地震計やひずみ計などの計測機器の設置、応力測定などに利用される。このボアホールのうち通常1000m以上の深いものを指す。

◎ 弾性波

 力を加えると変形するが、除荷すれば元の寸法に戻る性質を持つ媒質を弾性体と呼ぶ。弾性体の中を伝わる弾性変形の波を弾性波という。弾性波には縦波と横波とがあり、縦波は体積変化を伴う疎密波であり、横波は体積変化を伴わないずれ変形の波である。

◎ 地殻

 地球を構成する大きな成層構造のうち、一番外側の層で、地表または海底からマントルとの境界面であるモホロビチッチ不連続面までの層を指す。

◎ 超過確率

 確率的な事象がある閾値(しきいち)を超過する確率をいい、自然災害等における危険度指標としてよく用いられる。年超過確率の逆数が再現期間にほぼ等しく、再現期間とは、ある事象が平均して何年に一度起こるかを表したものである。例えば、50年における超過確率10%の事象の再現期間は475年となり、475年に一度起きるような地震であることを表す。

◎ 長期評価

 主要な活断層で発生する地震や海溝型地震を対象に、地震の規模や一定期間内に地震が発生する確率を予測したものを「地震発生可能性の長期評価」(長期評価)と呼ぶ。

◎ データ同化

 複雑な現象の高精度予測のために、数値シミュレーションの結果として得られる物理量が観測データをなるべく再現できるように、適切な初期値や境界値、各種パラメータを推定すること。

◎ 内陸地震

 プレートのぶつかり合いで生まれた力(ひずみ)は、プレート境界から離れた陸のプレートの内部である日本列島の内陸部にも働き、ひずみが蓄積して岩盤を破壊する地震が発生する。このような理由で発生した地震を内陸地震という。

◎ 噴火警戒レベル

活動的火山に関して、火山活動の状況を噴火時等の危険範囲や必要な防災対応を踏まえて5段階に区分したもの。気象庁が火山活動度レベルに代えて平成19年12月1日より導入した。

◎ マントル

 地殻の下にある深さ約2,900kmまでの固体層。その上部は、かんらん岩を主成分とする岩石で構成されている。

◎ 余効変動

 地震の後に震源域あるいはその周囲で発生する地殻変動。


※1 地震及び火山噴火予知のための観測研究計画の推進について(平成20年7月17日建議)の用語集も参照のこと。

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)