資料1 次期観測研究計画(20180511案)

はじめに

 我が国では,阪神・淡路大震災や東日本大震災,平成26年の御嶽山噴火災害など,地震や火山噴火による災害にたびたび見舞われてきた。地震や火山噴火による災害を軽減するためには,地震や火山についての科学的理解を進展させるとともに,これらが原因でもたらされる災害についても研究を進める必要がある。
科学技術・学術審議会では,研究者の内在的動機に基づく地震や火山に関する学術研究を推進し,この成果を活用することにより災害の軽減に貢献することを目標として,平成25年11月に「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」(平成26~30年度の5ヶ年計画)を建議し,関係機関においてこの計画に基づく観測研究が実施されている。
このたび,災害の軽減に貢献することを目標とする現行計画の考え方をさらに推し進めるべく,今後5年間(平成31~35年度)に実施する観測研究計画として「災害の軽減に貢献するための新地震火山観測研究計画」(仮称)を取りまとめた。
この計画では,地震や火山現象の解明と予測に関する理学的研究を重要項目と位置付けて引き続き発展させるとともに,災害の軽減に貢献することを意識した研究を推進するという視点をより明確にし,関連研究分野との一層の連携強化や観測研究の成果を活用して災害軽減に役立てるための方策の研究等を進めていくこととしている。計画の推進にあたっては,政府の地震調査研究推進本部など,関連する組織やプロジェクトとの連携をさらに進めて,学術研究の成果をもって社会に積極的に貢献することを目指していく。

次期観測研究計画

はじめに

一.現状の認識と長期的な方針
1.地震火山観測研究計画のこれまでの経緯と位置づけ
 1-1.地震火山観測研究計画のこれまでの経緯
 1-2.地震火山観測研究計画の位置づけ

2.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の成果と課題
 2-1.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の成果
 2-2.本計画における課題とその対応

3.地震火山観測研究の長期的な方針
 3-1.基本的方針
 3-2.中長期的な展望
 3-3.観測研究計画実施体制の整備と計画の推進
二.本計画策定の基本的な考え方と計画の概要
1.本計画策定の基本的な考え方

2.本計画の概要
 2-1.地震・火山現象の解明のための研究
 2-2.地震・火山噴火の予測のための研究
 2-3.地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究
 2-4.地震・火山噴火に対する防災リテラシー向上のための研究
 2-5.研究を推進するための体制の整備
三.計画の実施内容
1.地震・火山現象の解明のための研究
(1)地震・火山現象に関する史料,考古データ,地質データ等の収集と解析
 ア.史料の収集とデータベース化
 イ.考古データの収集・集成と分析
 ウ.地質データ等の収集・集成と分析
(2)低頻度大規模地震・火山噴火現象の解明
(3)地震発生過程の解明とモデル化
 ア.地震発生機構の解明
 イ.地震断層滑りのモデル化
(4)火山現象の解明とモデル化
 ア.火山現象の定量化と解明
 イ.マグマ溜まりと火道内過程のモデル化
(5)地震発生及び火山活動を支配する場の解明とモデル化
 ア.プレート境界地震と海洋プレート内部の地震
 イ.内陸地震
 ウ.構造共通モデルの構築
 エ.火山噴火を支配するマグマ供給系・熱水系の構造の解明
 オ.地震発生と火山活動の相互作用の理解

2.地震・火山噴火の予測のための研究
(1)地震発生の新たな長期予測
 ア.海溝型巨大地震の長期予測
 イ.内陸地震の長期予測
(2)中長期的な火山活動の評価
 ア.モニタリングによる火山活動の評価
 イ.火山噴火の長期活動評価
(3)地殻活動モニタリングに基づく地震発生予測
 ア.プレート境界滑りの時空間変化の把握に基づく予測
 イ.地震活動評価に基づく地震発生予測・検証実験
 ウ.地震活動事象系統樹の作成
(4)先行現象に基づく大地震発生確率の評価
(5)火山活動推移モデルの構築による火山噴火予測

3.地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究
(1)地震・火山噴火の災害誘因の事前評価手法の高度化
 ア.強震動の事前評価手法
 イ.津波の事前評価手法
 ウ.大地震による災害リスク評価手法
 エ.地震動や火山活動による斜面崩壊の事前評価手法
 オ.火山噴出物による災害誘因の事前評価手法
(2)地震・火山噴火の災害誘因の即時予測手法の高度化
 ア.地震動の即時予測手法
 イ.津波の即時予測手法
 ウ.火山噴出物による災害誘因の即時予測手法
(3)地震・火山噴火の災害誘因予測を災害情報につなげる研究

4.地震・火山噴火に対する防災リテラシー向上のための研究
(1)地震・火山噴火の災害事例による災害発生機構の解明
(2)地震・火山噴火災害に関する社会の共通理解醸成のための研究

5.研究を推進するための体制の整備
(1)推進体制の整備
(2)分野横断で取り組む総合的研究を推進する体制
 ア.南海トラフ沿いの巨大地震
 イ.首都直下地震
 ウ.千島海溝沿いの巨大地震
 エ.桜島大規模火山噴火
 オ.観光地の火山
(3)研究基盤の開発・整備
 ア.観測基盤の整備
 イ.観測・解析技術の開発
 ウ.地震・火山現象のデータ流通
 エ.地震・火山現象のデータベースの構築と利活用・公開
(4)関連研究分野との連携強化
(5)国際共同研究・国際協力
(6)社会との共通理解の醸成と災害教育
(7)次世代を担う研究者,技術者,防災業務・防災対応に携わる人材の育成

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)