科学技術・学術審議会測地学分科会地震部会（第18回）配付資料［資料5］

【地震・火山共通】

■　外部評価でも指摘されているとおり、地震予知と火山噴火予知の研究推進にあたっては、内陸地震の発生機構の解明や火山体の流体移動の把握など、マグマ活動と地震活動が密接に関係することから、組織的な取組みができるよう検討が必要である。また、次期計画の検討のあたっては、必要に応じて地震部会と火山部会を合同で開催するなどの調整を図る必要がある。
■　次期計画の策定にあたっては、それが着実に進められるかどうか議論すべきである。研究計画自体は純粋に学術研究としての要素が強いが、経費が具体的に措置されないと実施する上でも難しい面がある。特に大学の今後のあり方に大きく関わるものであり、今までのような形で経費が措置されて、研究が順調に進むのかどうか、検討が必要である。
■　技術系職員について、現在定年を向かえつつある人が多く、その補充はできない状況である。一部の大学では、技術系職員を全学集約して合理化を図るなどの取組みが行われているが、地震と火山の分野についても今後どのように対応していくのか検討が必要である。
■　現実的に新たに何かやろうという場合には、予算を獲得して技術系の業務をアウトソーシングする以外にはないと思う。しかし、地方では継続して雇用できるが、都市部では転職などにより長く続かない状況が考えられる。今後は気象庁OBや大学を辞めた人などが専門的な組織を作り、そこのアウトソーシングできる仕組みを作るなどが必要ではないか。
■　現在学術分科会研究環境基盤部会において、大学の共同利用研究所の見直しについて議論が進んでいる。今後は、大学の自主性を尊重し任せるものと、国として支援が必要なものとに分けて考えようというものである。国として支援が必要なものの中には、いわゆる全国共同利用を中心とした拠点が挙げられており、地震と火山についてもこのようなネットワークを持った体制が組めるのではないか。
■　大学での地震予知や火山噴火予知の研究は、予算面では特別教育研究経費を概算要求しているが、その他にも基盤的経費として施設経費分が含まれている。しかし、法人化後は施設経費分について明確な区分がないため、学内でその必要経費を要求することになっている。そのような意味で、共同利用の全国ネットワーク化などにより、各大学の執行部に理解してもらうことが重要である。
■　地震や火山の分野において大学の役割が非常に大きいと思われるが、その一方で政府全体の中での位置付けが不明確な部分がある。行政機関や地方公共団体、あるいは民間との役割分担についても考慮する必要がある。
■　地震と火山の連携を高めるという観点から、地震調査研究推進本部で整備している基盤観測網として、火山地域の地震観測点をもう少し密に配置することが必要ではないか。噴火予知研究を含めるということではなく、火山地域の微小地震などの観測点が十分ではない。
■　地震の基盤観測網に火山も含めるということであれば、データの一元化や既存の観測点の基盤化についても整理・統合が必要ではないか。なお、その場合に、地震の例で言えば、大学が設置する観測点は、准基盤としてメンテナンスなどの維持を大学が行っており、火山についても同様な問題が懸念される。
■　火山について、既存の観測点を准基盤にすることは問題ないと思われ、山頂付近などに基盤観測網ができれば、既存の観測点を見直すことは可能と考える。ただし、地震の観測点に比べ、火山の観測点の設置条件は悪く、地震予知研究への活用は難しいのではないか。また、火山の観測点については、物質化学や火山ガスなどの研究のために、現地に足を運ばなくてはいけないことが多いことから、基盤的なものに置き換えられない場合もある。
■　全ての火山観測点を基盤として位置付けることは難しいと思う。地震についても全てを基盤としているわけではないため、基盤として位置付けられるものと大学独自に整備するものを明確にした上で検討が必要である。
■　108の活火山があるが、常時観測しているのは40火山にも満たない。残りのものについては未整備であり、そういったところは基盤観測としてしっかり国が整備すべきである。大学の観測データは既に気象庁の一元化の中で使用されており、基盤観測網ができても問題ないと考える。

【地震予知関係】

■　「地震予知のための新たな観測研究計画」の次期計画の名称は「（第3次）」とするのか。前回「（第2次）」の策定作業を行った時にも名称について議論となっており、検討すべきである。

【火山噴火予知関係】

■　火山監視と学術研究の面から高精度の観測が必要という議論があるが、学術的な監視と日常的な監視は異なると考える。現在の火山監視は、大学がその一部を担っているということから検討が必要ではないか。
■　大学で設置した地震計などの観測データは、気象庁に送ることによって監視に役立てられており、直接の監視業務を大学が行っているわけではない。ただし、監視体制の中に組み込まれているため、火山噴火予知研究の観点から臨時観測を実施したくても移動し難い状況にある。
■　気象庁においては、できる限りの観測点整備を行っているが、地震基盤観測網のような高感度の機器までは十分整備されておらず、それを大学の観測点で補っている面がある。このような状態を別なところで解消できれば、もっと学術研究に専念できると考える。
■　火山監視について、気象庁には火山噴火予知連絡会があり、非常に重要な役割を担っている。火山監視体制の中で、大学の役割や位置付けについて検討していく必要がある。

測地学分科会（平成19年6月28日）における次期計画に関する主な意見

【地震・火山共通】

【地震予知関係】

【火山噴火予知関係】