3.海洋研究船の運用方針について

(2)現状の運用体制による長所及び課題

 上記の運用体制は、各海洋研究船の建造の経緯や研究船の施設・設備の特徴、また、それまでの利用体制等を踏まえて構築されてきたものであり、国として行う必要のある研究課題と、個々の大学関係者の発想と提案に基づく研究課題のそれぞれに対応しつつ運用するという点から、これまで着実に機能してきた。
 今後は、海洋機構が運用を行う全ての海洋研究船を総合的に活用することにより、より効果的かつ効率的に研究目的の達成を図ることが期待される。また、研究課題の申請先を一元化し、評価プロセスを精査することにより、研究課題評価の透明性を向上させることが望まれる。
 我が国の海洋科学技術の水準の向上を図る観点からは、従来は困難であった複数研究船による集中観測、長期・継続的定点観測、大西洋や南大洋など遠隔地における長期運用など新しい運用方式に挑戦していく必要がある。このためには、その運用体制について常に検討し、改善を図ることが必要であり、「淡青丸」及び「白鳳丸」が海洋研究所から海洋機構へ移管され、現行の運用体制となってから3年が経過した現時点で、現在の運用体制を検討するとともに、必要に応じて更に効率的な運用体制へ改善することが必要であると考えられる。
 現在7隻の海洋研究船は、表3に示すとおり、多くの大学及び研究機関の研究者の利用に供されている。運用体制の検討に当たっては、海洋研究船の利用者の多くは大学関係者であることも踏まえて、検討を行う必要がある。

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