日本学術振興会の将来ビジョン検討会 報告 はじめに

 日本学術振興会(以下、「振興会」という。)は、昭和7年に御下賜金を基金として設立された恩賜財団に由来する。その後、特殊法人を経て平成15年10月には独立行政法人へと激動の時代の中で設置形態は変化したが、その目的は一貫して我が国の学術の振興であった。現在では研究助成、学術の国際交流の推進、研究者養成を事業の柱とし、加えて大学教育(大学院教育を含む。以下同じ。)の改革の支援等各種の事業を実施することにより我が国の学術の振興を図っている。
 振興会は、創立80周年となる本年、第二期中期目標期間(平成20年4月1日~平成25年3月31日)の最終年度を迎えた。現在、第三期中期計画等の策定に向け、将来を見通しつつ、振興会の在り方を検討することが必要となっている。さらに、「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」(平成24年1月20日閣議決定)において、振興会は、大学との連携の下で大学の運営等を支援する事務・事業を行う法人類型である「大学連携型」の法人として位置付けられることとなった。この機会に、理事長の依頼によって外部者による本検討会が構成され、今後10年程度を見通した振興会の在り方について検討を行い、その結果を本報告としてとりまとめた。本報告の内容は検討会から振興会への提案であり、全て本検討会の責任に帰するものである。
 改めて述べるまでもなく、人類社会の発展に貢献する優れた知は、人文、社会、理工、生命等を含む全分野にわたる研究者の絶え間のない独創的・先端的な研究活動の積み重ねにより生み出されるものであり、学術の振興は中期目標期間の5年という期間を超えて永続的に行われるべきものである。学術研究の特性を踏まえ長期的視点に立った取組が不可欠であるとの認識は、国における第四期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)や科学技術・学術審議会学術分科会審議経過報告「学術研究の推進について」(平成23年1月17日)においても示されているが、このことは本検討会でも再三指摘され、提案の基本的立場であることを指摘しておく。
 振興会の第三期中期計画等の策定に当たっては、本報告で示した内容を踏まえるとともに、中期目標期間を超える長期的な課題についても本報告の示した内容の実現に向けて振興会が取り組むことを求めたい。
 また、本報告の内容は、振興会の在り方のみならず、我が国全体の学術振興に関わる内容を含むものである。本報告で示した内容の実現に向け、振興会をはじめ、国、各大学、研究者等の関係者の真剣な取組を期待する。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成25年05月 --