「日本食品標準成分表2010」について第3章の14

14)油脂類

 各食品ごとに成分値に関する主な留意点について述べる。

(植物油脂類)

 -14001 オリーブ油

 -14002 ごま油

 -14003 米ぬか油

 -14004 サフラワー油

 -14005 大豆油

 -14006 調合油

 -14007 とうもろこし油

 -14008 なたね油

 -14009 パーム油

 -14010 パーム核油

 -14011 ひまわり油

 -14012 綿実油

 -14013 やし油

 -14014 落花生油

 (植物油脂類)の成分値は、「調合油」以外はそれぞれ分析値、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

 植物油は、製造方法の違いにより、主としててんぷら等調理用に用いられる精製油と主としてサラダ用に用いられるサラダ油(製造過程で、低温下でも固体脂を析出しないよう脱蝋(ろう)(ウィンタリング)を行うとともに、精製度をより高めたもの)に大別される。

 「オリーブ油」は、バージンオイルと呼ばれるオリーブの果肉より採油したもので、輸入品を収載した。

 「ごま油」は、一般の植物油のように精製したものと、ゴマの種子を煎(い)った後、圧搾法により採油し、精製を行わずに濾(ろ)過した、特徴的な芳香を有する油がある。精製油を収載した。

 「米ぬか油」は、米油とも呼ばれ、米ぬかから採油したものである。精製油を収載した。

 「サフラワー油」は、べにばな油とも呼ばれ、ベニバナの種子から採油したものである。元来、脂肪酸組成はリノール酸を主要成分としていたが、原料ベニバナの品種改良により高オレイン酸含量のものの生産が可能となり、現在多く出回っている。高オレインタイプの成分値を収載し、備考欄に高リノールタイプの各脂肪酸成分値を示した。高オレインタイプのオレイン酸の割合は日本農林規格2)で定められている。

 「大豆油」は、ダイズの種子から採油したものである。精製油(調理用)とサラダ油を試料としたが、分析値にほとんど違いがみられなかったので、一括した成分値を示した。

 「調合油」には精製油とサラダ油がある。2種類以上の油を配合して調製したものである。収載した食品は、「大豆油」と「なたね油」を1:1で配合したもので、成分値は、原料油の成分値から計算に基づき決定した。

 「とうもろこし油」は、コーンオイルとも呼ばれ、とうもろこしでん粉及びコーングリッツ製造の副産物である胚(はい)芽より採油したものである。精製油を収載した。

 「なたね油」は、ナタネの種子から採油したもので、元来、脂肪酸組成において心疾患に影響があるとされるエルカ酸が約45 %含まれていた。品種改良の結果、エルカ酸をほとんど含まない種子が利用されるようになった。低エルカ酸油の精製油とサラダ油を試料としたが、分析値にほとんど違いがみられなかったので、一括した成分値を示した。

 「パーム油」は、アブラヤシ(オイルパーム)の果肉から採油したものであり、精製油を収載した。

 「パーム核油」は、アブラヤシ(オイルパーム)の種子から採油したものであり、精製油を収載した。

 「ひまわり油」は、採油用のヒマワリの種子より採油したものであり、精製油を収載した。脂肪酸組成は、登熟期の温度に影響され、一般に、リノール酸の割合が高いものが多いが、近年、品種改良された高オレインタイプのものが多く出回るようになったほか、新たにミッドオレインタイプのものも出回っている。このため、本表には高リノールタイプの成分値を収載するとともに、備考欄に高オレインタイプ及びミッドオレインタイプの脂肪酸成分値を示した。なお、高オレインタイプのオレイン酸の割合については、サフラワー油と同様、日本農林規格2)において定められている。また、ミッドオレインタイプについては日本農林規格が定められていないため、一般にミッドオレインタイプとされているものを試料とした。

 「綿実油」は、綿を採取後の種子より採油したものであり、精製油を収載した。

 「やし油」は、ココナッツオイルとも呼ばれ、ココヤシの果実から得られたコプラ(乾燥した胚(はい)乳)から圧搾法により採油したものであり、精製油を収載した。

 「落花生油」は、ラッカセイの種子から採油したものであり、精製油を収載した。

(動物脂類)

 -14015 牛脂

 -14016 ラード

 「牛脂」は、牛の脂身を煎(い)取り、又は煮取りしたものであるが、一般には食品工業用原料として利用されている。成分値は、煎取りしたものの分析値に基づき決定した。

 「ラード」は、豚の脂身を煎取り、又は蒸気加熱したものであるが、一般市場に流通している精製ラードは後者を精製したものである。日本農林規格3)では、精製ラードを純製ラードと他の油脂を一部配合した調製ラードに分類し、品質規格が定められている。品質規格では、水分が0.2 %以下としている。成分値は、純製ラードの分析値に基づき決定した。

(バター類)

 -14017 有塩バター

 -14018 無塩バター

 -14019 発酵バター

 (バター類)は、原料クリームを乳酸菌で発酵させた「発酵バター」と発酵させない未発酵バターに大別される。さらに食塩を添加したものを「有塩バター」、添加しないものを「無塩バター」と呼んでいる。我が国では、通常、家庭用として未発酵「有塩バター」が用いられている。「有塩バター」のほかに、業務用(還元牛乳用、アイスクリーム用、製菓原料用等)の未発酵の「無塩バター」及び欧米では代表的な有塩の「発酵バター」を収載した。成分値は、いずれも分析値に基づき決定した。

(マーガリン類)

 -14020 ソフトタイプマーガリン

 -14021 ファットスプレッド

 (マーガリン類)は、日本農林規格4)においてマーガリンとファットスプレッドに分類され、マーガリンは食用油脂に水等を加えて乳化した後、急冷練り合わせをし、又は急冷練り合わせをしないでつくられた可そ性のもの又は流動状のものと定義され、ファットスプレッドは、これに果実及び果実の加工品、チョコレート、ナッツ類のペースト等の風味原料(その原材料に占める重量の割合が油脂含有率を下回るものであること等が必要)を加えたものも含まれる。油脂含有率に関して品質規格では、マーガリンにあっては80 %以上、ファットスプレッドにあっては80 %未満とされている。

 日本農林規格のマーガリンに相当する「ソフトタイプマーガリン」及び風味原料を加えていない「ファットスプレッド」を収載した。成分値は関係資料5)に基づき決定した。

 なお、「ソフトタイプマーガリン」は、ビタミンAが添加されていないものの成分値を収載した。

(その他)

 -14022 ショートニング

 「ショートニング」は、日本農林規格6)では食用油脂を原料として製造した固状又は流動状のものであって、可そ性、乳化性等の加工性を付与したもの(精製ラードを除く。)としている。「ショートニング」の原料油としては、動植物油混合のものと植物油のみのものを用いる二つのケースがある。動植物油混合における動物脂肪としては魚油、ラード及び牛脂が用いられている。動物性油脂を含む「ショートニング」にあっては、当然、コレステロール含量は植物性油脂のみからなるものに比較して高い。品質規格では、水分が0.5 %以下としている。成分値は、製菓用ショートニング(植物油脂製品)を試料とし分析値に基づき決定した。

文献

 1)  日本油脂検査協会:分析結果資料(未公表)
 2)  食用植物油脂の日本農林規格:昭和44年農林省告示第523号
 3)  精製ラードの日本農林規格:平成3年農林水産省告示第988号
 4)  マーガリン類の日本農林規格:昭和60年農林水産省告示第932号
 5)  日本食品油脂検査協会:分析結果資料(未公表)
 6)  ショートニングの日本農林規格:平成3年農林水産省告示第989号

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