1 第5期科学技術基本計画に向けた中間取りまとめ はじめに

 科学技術イノベーションは、新たな時代を拓く「知」の資産を創出し続け、革新的な技術シーズを事業化につなげていくことによって、成長の新たな「種」を産み出し、我が国の生産性の向上や国際産業競争力の強化、地域も含めた良質な雇用の確保、そして社会や公共の変革に大きく寄与し、我が国の持続的発展を可能にすることにより、未来の世代への責務を果たし、貢献する。
 平成7年、「我が国における科学技術の水準の向上を図り、もって我が国の経済社会の発展と国民の福祉の向上に寄与するとともに世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的な発展に貢献することを目的とする」という高い理念の下に、科学技術基本法が制定された。同法に基づき、これまで4期20年間にわたって科学技術基本計画(以下、「基本計画」という。)を策定し、その実行によって、厳しい財政事情の中にあっても研究開発投資の拡充が図られ、世界をリードする研究成果や数々のイノベーションを興してきた。
 今般策定する第5期基本計画は、総合科学技術会議が総合科学技術・イノベーション会議へと改組されて、初めて策定する基本計画となる。平成28年度から始まる5か年の第5期基本計画では、科学技術がこれまでとは全く異なる次元で急速に進化し、世界が大きく変革していく中で、科学技術イノベーション政策を、我が国が科学技術のフロンティアにおいてリーダーシップを取り、我が国経済社会が今後力強く成長していくための未来への投資を誘導する、国家戦略の根幹として位置付ける。「現実」を直視しつつ、これまで以上に学術界や産業界を始めとする社会のステークホルダーと密接に連携・協力して政策を推進していくことを基本的な姿勢とし、他の重要政策とも密接に連携し、より一層政策の質を高め、科学技術イノベーションの実現による成長を目指した政策展開を行っていく。
 本中間取りまとめでは、まず、基本計画の20年間を簡単に振り返り、世界の潮流を見つつ我が国が目指していくべき国の姿を示す(第2章及び第3章)。
 次に、中間取りまとめの核となる部分である第5期基本計画の3本柱について記載する(第4章から第6章)。すなわち、我が国の科学技術がこれからの時代を先導していくべく、大変革時代を先取りする未来の産業創造と社会変革に向けた取組(第4章)、経済・社会的な課題の解決に向けて先手を打つ取組(第5章)、そして不確実な変化に対応できるよう、基盤的な力を徹底的に強化し科学技術イノベーションの底力を引き上げていくための取組(第6章)を記載する。
 さらに、これらを一体的、効果的に進めていくための仕掛けとして、人材、知、資金の好循環を誘導するイノベーションシステムの構築を取り上げる(第7章)。
 このような3つの柱と好循環の誘導を世界的な大変革時代をリードする第5期基本計画の中核として位置付けたい。
 その上で、戦略的な国際展開(第8章)、科学技術イノベーションと社会との関係(第9章)、実効性ある科学技術イノベーション政策の推進(第10章)の方向性を示し、包括的に科学技術イノベーション政策を推進する。
 なお、本中間取りまとめは、基本計画専門調査会におけるこれまで計9回にわたる調査検討を中間的に取りまとめたものであり、第5期基本計画については、同専門調査会における更なる調査検討や、関係府省を始めとする関係機関の検討状況を踏まえた上で、本年度内に閣議決定を行うべく、最終的な取りまとめを行うこととする。

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研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)