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背景・目的:近年、医学的な知見の蓄積や人の脳機能の非侵襲計測が可能になったことなどから、子ども達の情動やこころの発達等に関する科学的な知見が蓄積され始めてきている。
このため、文部科学省では、平成17年1月に「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」を設置し、既存の研究成果で科学的に判明しているものを明らかにするとともに、課題の洗い出しとその解決のための方策を検討してきた。
同検討会では、その検討成果を平成17年10月に報告書として公表し、そこにおいて、研究の一層の進展が期待される事項(例:睡眠や食事等基本的生活リズムに関する研究、親子関係をはじめとした人間関係の在り方に関する研究、多様な体験活動に関する研究、各種メディアが子どもに及ぼす影響に関する研究、児童生徒の情動等に関する客観的データの収集などの必要性)を指摘し、そのための今後の課題解決のために必要な方策(例:学際的な研究振興、研究と教育との双方向的な連携のための仕組み作り、子どもの発達を早期から前方視的、縦断的にみていく体制作りなど)を提示している。
本調査研究では、同報告書の成果を踏まえて、同報告書において課題となった事項(科学的な解明が必要なものについての研究振興の在り方の検討、学際的な研究連携の在り方の検討、学齢児童生徒に対するコホート研究の在り方の検討、及び研究と教育等との双方向的連携システムについての検討等)について具体的に検討していくことを目的としている。
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(2) |
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具体的な検討事項: |
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具体的な検討事項としては、以下のからまでの事項を3つの部会に別れて検討する。 |
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上記の報告書における「研究の一層の進展が期待される事項」について、「目標志向型(ミッション・オリエンテッド)」の研究として、諸研究を学際的に連携させ、それらを重点的に振興する方策を検討する。 |
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(研究内容の例)
ア |
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乳幼児期の保護者等との愛着などのコミュニケーションの脳機能に関する研究。 |
イ |
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睡眠や脳内代謝など脳を養う仕組みの解明のための研究。 |
ウ |
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様々な体験(自然体験、生活体験、社会体験、異年齢集団との交流、職業体験等)が子どものこころの健全な育成にもたらす影響に関する研究。 |
エ |
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メディア(テレビ・ビデオ・インターネット・携帯電話等)やゲームなどの脳の発達に与える影響を解明することなど脳と社会の関わりに関する研究。 |
オ |
: |
ADHDや自閉症等に関連する発達障害の予防法・治療法の開発のための研究、 |
カ |
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効果的な学習と感受性期の関連に関する研究、などを行う。 |
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上記の報告書における「研究の一層の進展が期待される事項」のうち「児童生徒の情動等に関する客観的データの必要性」に関して、学齢期児童生徒(幼児期から後期中等教育段階まで)を対象として追跡調査・分析するため、学齢期児童生徒に関するコホート研究の在り方を検討する。
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上記の報告書における「今後の課題解決のために必要な方策」のうち、教育と研究との双方向的な連携システムの構築のため、ア:各研究所や大学等と連携した諸科学の研究成果を集積、イ:研究成果の教育現場での応用の為に必要な作業(研究成果のスクリーニングと教育現場に向けた解説等)、ウ:研究成果の教育現場への還元、エ:教育現場の問題点の蓄積と蓄積した問題点の研究への還元などを進めるための方策を検討する。
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検討の方法 |
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別紙の委員により構成される、3つの部会において、それぞれの項目を調査研究する。 |
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必要に応じ、別紙の委員以外の者にも協力を求めるほか、関係者の意見等を聴くことができるものとする。 |
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委員の人選に際しては、脳科学や精神医学などの自然科学分野の有識者のみならず、教育学、心理学、社会学、栄養学など幅広い分野の有識者の参画を得るものとする。 |
・ |
各部会の検討のために必要な情報収集、調査、分析等については、外部機関に委託して調査研究する。 |
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実施日程(平成18年4月から平成19年3月末まで毎月1回程度開催する予定) |
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実施時期 |
計画事項 |
摘要 |
平成18年度4月 |
委員の委嘱 |
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平成18年度4月 |
第1回検討会議
(会議の趣旨や概要等の共通理解、検討スケジュール、会議の進め方に討議及び自由討議等) |
出席者は24名
以降、月1回の開催 |
平成18年度5月〜2月 |
第2回〜第7回検討会議
(各学問分野の研究者からの発表と討議等) |
各回出席者は24名 |
平成18年度3月下旬 |
第8回検討会議
(検討結果の文部科学省への報告) |
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