○ |
「我が国の高等教育の将来像」で言われている「21世紀型市民」や大学審議会答申で言われていた「課題探求能力」など大学と社会との関わりを強く意識した提言がされている事項について、これらを点としてだけでなく面として総合的に展開する必要がある。 |
○ |
「我が国の高等教育の将来像」でも言われている大学の機能別分化を考えるにあたり、教育と研究のバランス、さらに教育の中での教養教育と専門教育のバランスについて考えていく必要がある。特に、国立大学が法人化後に教育、特に学部教育と大学院教育をどのように強化したか、大学院重点化により、学部教育と大学院教育のバランスがどうなったか、この部会で議論する必要がある。大学院重点化により、学部教育がおろそかになっている部分があるのではないか。 |
○ |
大学のアイデンティティを高める上でも学部段階は重要であるにもかかわらず、大学院生や留学生の数が増え、教員が忙しくなり、学部教育まで手が回らない状況になっている。教員の実態を把握するとともに、教員の分業化について検討する必要があるのではないか。 |
○ |
私立大学の場合は、逆に大学院における教育まできちんと行っているかどうかを考えなければならないのではないか。 |
○ |
「我が国の高等教育の将来像」で言われている「緩やかな機能別分化」について、各大学で様々な視点から検討が進められているが、当部会では、機能別分化に加え、育成されるべき人間像が何かについても議論すべきではないか。具体的に教養教育について議論するのであれば、機能別分化に絡めた議論を進めていくことが必要だと思う。 |
○ |
企業の立場から見ると、昨今、学生に対してマナーの段階から再教育をしなければならず、年々そのウエイトが大きくなっている印象がある。本来は学校教育の中で教養を身につけ、入社後に必要な専門知識を教育するという形が理想的だが、現状では、企業がマナー等も含めた教養教育に投資しなければならない状況にある。学生に教養を身につけさせるためにはどのようなカリキュラムが必要かということについて議論する必要がある。 |
○ |
教養教育の問題は、教養を客観的に評価することが難しいという点にある。客観的に評価できないが、社会において重要なものを教育しなければならないときに、どのような方法で学生を動機づけ、どのような方法で教育をし、それを社会全体の中でどのような形で評価していくのかということを考える必要があるのではないか。特に、教養教育と専門基礎教育との関係を、学生や社会のニーズをも生かした形で考えていく必要がある。 |
○ |
コミュニケーションや人間性、人間関係についての教育は、家庭の中あるいは初等中等教育の段階で行われるべきものと考えるが、現在では、医学部のみならず、大学全体において人間性や人間関係についての教育が必要になってきている。 |
○ |
伝統的な1960〜70年代の学生像を基準にするのではなく、いわゆる大学全入時代を前にして、現在の学生像について、我々自身が意識を大きく転換させていかなければならない。 |
○ |
労働政策の立場から、現在の大学教育については危惧を抱いている。学生の現状と社会、中でも産業界が求めている人材像のギャップを埋めるのが教育のなすべきことであり、それが何かについてこの部会で十分に議論すべきである。 |
○ |
キャリア教育については、キャリア教育そのものだけではなく、本来の教育を通じて学生に対してどのような付加価値を与えることができるのかについても議論すべきである。
各大学の現状を見ていると、これまでキャリア教育は就職部やキャリアセンターの職員が中心となって取り組んできたが、最近では教育課程の中に位置付けられつつある。今後は、どのように職員と教員が連携していくか、どのように産業界の要望に対応したプログラムを作っていくのかが課題である。教育が産業界の人材需要にどのように応えていくべきかについても議論する必要がある。 |
○ |
最近の学生はソーシャルスキルが十分でないという指摘もあるが、一方ではマナーは良くなっているという見方もある。
また、最近の学生は勉強をしないという指摘があったが、何のために学ぶのかということの意味づけが必要なのではないか。 |
○ |
入学時から基礎的専門科目を学ばせることで、入学時に学問内容の意識付けをすることも重要ではないか。 |
○ |
労働界・産業界での経験を踏まえた「労働観」を学校現場に導入することが必要である。また、昨今の経済情勢により、ものづくり、特に地方の中小企業におけるものづくりの力が弱くなっている。学校と社会が連携して地方を活性化させる観点からも、実体験を学校現場に取り入れる取組を行っていくべきではないか。 |
○ |
企業との連携を深め、テーマを決めて大学のカリキュラムの中にインターンシップを位置づけるべきではないか。また、現代社会では、親の背中を見て働くことの意味を考えるという状況になっていない。働く場に触れるという教育を初等中等教育段階から体系的に実施すべきではないか。また、現代社会では、親の背中を見て働くことの意味を考えるという状況になっていない。働く場に触れるという教育を初等中等教育段階から体系的に実施すべきではないか。 |
○ |
カリキュラムの問題について、学生のニーズに合った教育、就職に対応した教育を行うとなれば、現在のカリキュラムを見直す必要があり、教員の意識改革が不可欠である。 |
○ |
学生支援の専門家養成が急務。特に、教員と職員の間を埋めるいわばグレーゾーンの立場に立つ人材が鍵を握っていると考える。 |
○ |
職員について、異動があるために、サービスの質を一定に保つことができないとの問題がある。学生サービスのレベルを低下させないためにも、学生支援を専門に行う専門職制度を導入すべきではないか。 |
○ |
2007年に迎える団塊世代の大量退職を見据え、優れた技能を持つ退職者の知恵を生かす方法を考えて、OBや地域の組織を活用することで、心のケアやマナーの問題への対応も可能となるのではないか。 |
○ |
看護系の大学では、他の分野と異なり、比較的目的意識をはっきり持った学生が多い。それは、学生の間に実際に看護の現場に出て実習を行うことが影響しているのかもしれない。しかし、明確な目的意識を持っているにもかかわらず、卒業後1年以内に離職するものが約1割程度いる。これは教育そのものにも問題があるのではないかと反省している。 |
○ |
大学が様々な学生支援方策を行ったとしても、企業が置かれた社会は厳しく、学生は大学が手厚い支援を行えば行うほど、大学と社会とのギャップに驚くのではないか。大学が企業の論理に近づいていくばかりではなく、企業を大学側の発想に引き寄せることも必要ではないか。 |
○ |
日本においては学生について現役志向が強い点が、欧米とは大きく異なる。欧米では学生の年齢構成が幅広く、人間的にも成熟してから入学してくる学生が多くいる。現役志向により、日本では学生が成熟しないまま、社会に出てしまっているのではないか。その点についても検討する必要がある。 |