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資料2-5
中央教育審議会大学分科会
評価機関の認証に関する審査委員会
(第2回)平成17年6月13日

日本高等教育評価機構の実施する大学の評価に関する主な論点(案)

1  試行的評価を踏まえて,今回の評価基準にどのように反映させ,また,どのような点に留意して実施していくのか。
 
(1) 試行的評価においては「評価の視点」が設定されていなかったが,申請の評価基準において設定したのはなぜか。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   試行的評価においては,「基準項目」ごとに大学設置基準等の法令を踏まえて,各大学自らが「事項」を設定し,それぞれの「事項」について1事実の説明(現状),2自己評価,3改善・向上方策(将来計画)を記述することによって,大学の自主性と自律性を保証し,各対象大学の個性や特色を表すことができるよう工夫した。しかし,各大学において「基準項目」の中で,大学設置基準等の内容を踏まえるのが困難であることが調査の結果判明したため,新たに「基準項目」を評価する上で「評価の視点」を設定し,大学設置基準等の法令を踏まえて,本評価機構で求めている具体的な内容を示した。


 (2) 試行的評価では,個々の基準については,判定を行っているが,大学全体としての状況に係る判定は行っていない。どのように実施するのか。(基準1つでも満たしていない場合は,不認定になるのか)

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   本機構の評価の判定については,まず,複数の「基準項目」の評価を踏まえて,11の「基準」ごとにその「基準」を満たしているかどうかを判断する。さらに,11の「基準」の判定を踏まえて,大学全体として「大学評価基準」を満たしているかを総合的に判断することとしている。最終的には,大学評価判定委員会で決定することとなるが,例えば,満たしていない「基準」を一定期間内に満たすことが可能と判断された場合は「保留」(ただし,大学の理念等に照らし,重要性の高い「基準」が満たされていない場合は,一定期間に基準を満たせるか否かに関わらず,「不認定」となる。)になることも想定される。


 (3) 試行的評価においては,5-1-1の評価の視点は明記されていなかったが,教員の評価は重要な事項である。具体的にどのように評価を実施するのか。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   5-1-1では,「基準.3」の「基準項目3-2」で示した「教育課程の編成方針に即して,体系的かつ適切に教育課程が設定されていること」を受けて,その教育課程を遂行するために,必要な教員が確保され,かつ適切に配置されているかどうかを評価する。必要な教員の評価は,「基準項目5-2」の「教員の採用・昇任の方針が明確に示され,かつ適切に運用されていること」における教員の資格(教授,助教授,講師)状況を踏まえて,学科目制,講座制又は大学の定めるところにより,学部,学科,研究科ごとに必要な専任の教員が確保されているかどうかを評価する。原則として,教員数やその配置状況,専任教員の業績等に基づき評価することとしている。
 なお,項目としては明記していなかったが,試行的評価においてもこの点について評価を実施したところである。

 
《参考》大学評価基準
【基準3教育課程】
  基準項目3-2  教育課程の編成方針に即して,体系的かつ適切に教育課程が設定されていること
【基準5教員】
  基準項目 5-1  教育課程を遂行するために必要な教員が適切に配置されていること。
    5-1-1  教育課程を適切に運営するために必要な教員が確保され,かつ適切に配置されているか
  基準項目 5-2  教員の採用・昇任の方針が明確に示され,かつ適切に運用されていること


2  自己評価書の作成量を原則100ページ以内としているが,分量としては少ないのではないのか。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   日本私立大学協会に附置されている私学高等教育研究所において,海外の大学評価に関する調査・研究を実施した結果,報告書の分量については,実質的に100ページ以内で充分という結果がでた。また,実施した試行調査でも両大学ともに100ページ程度で報告書を簡潔にまとめることができた。さらに,自己評価報告書に組み込む関連データについては集計結果や略図等に限定し,その具体的なデータについては,別に資料編としてまとめることとしている。


3  基準5の評価の視点5-4-2の教員の教育研究活動を活性化させるための評価体制の評価においては,教員の自己評価も含め,教員の教育活動の総合的な評価が重要だと考えられる(学生による授業評価は一面に過ぎない。)。実際に評価を行うにあたって,当該評価の視点で大学のどのような取り組みをどのように評価しようと考えているのか。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   基準5の評価の視点5-4-2では,教員の教育研究活動を活性化させるための評価体制が整備されており,適切に運用されているかどうかを評価するものである。その評価体制は,各大学独自の体制(教授会における評価体制,教員の相互評価体制など)が考えられるが,「学生による授業評価など」を行う体制はその一例として記載している。それらの評価体制が適切に整備・運用され,実際に教員の教育研究活動が活性化されているかどうかを評価するものである。
 しかしながら,指摘の点を踏まえ,当該評価の視点の例示は削除することとしたい。また,例えば,大学評価セミナー等,説明会において,当該評価の視点の意図を解説する際,特に大学としては教員の教育研究活動の総合的な評価を行う体制についての自己評価が重要である旨説明していきたいとも考えている。

 
《参考》大学評価基準
【基準5教員】
  基準項目 5-4  教員の教育研究活動を活性化するための取組みがなされていること
    5-4-2  教員の教育研究活動を活性化するための評価体制(学生による授業評価など)が整備され,適切に運用されているか。


4  評価結果は,「認定,保留,不認定」という形で表すこととしているが,このような方法にした考え方はどうか。また,「保留」と「不認定」の判断基準をどのように考えているのか。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   本評価機構の実施する評価の結果は,対象大学の全体の状況についての総評,また,対象大学の独自の取組みなど,特筆すべき長所及び短所や問題点について記述的に行うこととしている。これに加え,本評価機構としては,評価機関として対象大学の教育研究等について責任を持って質の保証をしたということも明確にする必要があるとの認識に達し,適格認定を採用することとした。これにより一定の判断をした評価機関としての責任も明らかになるため,会員校等に配慮することなく,客観的な評価が実施できるものと考える。
 評価結果は,日本高等教育評価機構の評価基準を大学として満たしているかどうかを総合的に判断する基準評価であり,教育研究活動等の総合的な状況が大学全体として日本高等教育評価機構の定める「大学評価基準」を満たしている場合は「認定」,満たしていない場合は「不認定」と判定する。なお,評価の時点では「認定」ではないが,日本高等教育評価機構の大学評価判定委員会において,早急に改善が可能と考えられる場合は,「保留」とする。


5  将来計画を自己評価書に記述することを求める趣旨は何か。また,認証評価は基本的に現状を評価するものであるが,この将来計画を書くことによって,評価の判定にどう影響するのか。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   本機構が行う評価は,大学の自律的な改革・改善を促すよう,自己評価を踏まえて,大学自らが改善・向上方策及び今後の将来計画を具体的に示すことにより,大学の発展に資することを目的としている。評価の判定は,基本的に大学の現状を評価するものであるが,各大学が示した将来計画等を参考として最終的に判断することになる。


6  大学による自己評価及び大綱7ページの評価方法にある「評価機構が独自に調査収集する資料・データ等」の位置づけについて。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   本評価機構の評価は,本評価機構の示す「自己評価報告書作成ガイド」にそって各大学が作成した自己評価報告書の内容に縛られるものではなく,その内容を客観的に分析・評価するものである。
 また,「評価機構が独自に調査収集する資料・データ等」は,評価を実施する際,その第三者性・客観性を確保するため,対象大学を評価する過程において,大学から提出された自己評価書の記載内容に疑義が生じた場合などに,内容を分析する上で必要とされるデータ等(例えば,系統大学別における退学率の平均値など)を独自に調査収集し,評価の根拠資料の一部として活用するものである。
 なお,今回の指摘を踏まえ,「大学機関別評価実施大綱」の「自己点検評価報告書を尊重」する旨の文言を誤解のないよう,適切な表現に改めたいと考えている。

 
《参考》大学機関別評価実施大綱
2ページ「本大綱について」
   (略)評価機構の評価は,各大学の個性,特色・特性が十分に発揮できるように配慮し,各大学の向上・改善のために,評価機構の提示する『自己評価報告書作成ガイド』に従って,各大学が公的に表明した目的に依拠して実施する自己評価報告書を尊重し,評価をおこなうことを志向した本大綱および本大綱に基づいて定められた「大学評価基準」に基づいて実施します。

7ページ「5.評価の実施方法等」
 (3)評価方法
   評価は,書面調査及び実地調査により実施します。書面調査では,別に定める『自己評価報告書作成ガイド』に基づき,対象大学が作成する自己評価報告書(自己評価報告書の根拠として提出された資料,データ等を含みます)の分析および評価機構が独自に調査・収集する資料・データ等に基づく分析をおこないます。(略)


7  財源の確保についてはどのように考えているのか。
(1)会員の確保の見通し

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   本機構の会員制度は,平成17年度4月から発足後,2ヶ月を経過し,平成17年6月3日現在122大学となっている。
 本機構は,現在文部科学大臣に対し,認証評価団体となるための申請を行っており,本機構の認証取得,認証評価の本格実施により,入会が遅れている大学から多数入会があるものと考えている。
 本機構の設立は日本私立大学協会加盟大学の総意によって決定されたものであり,本機構の認証取得後,最終的には,同協会加盟大学,352大学の相当数が本機構会員となると考えている。


 (2) 事務体制の整備のための財政確保の見通し

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   事務体制は,本機構設立(平成16年11月25日)時の5人(ほか非常勤2人),平成17年1月1日付けで3人増,さらに平成17年4月1日付けで3人増の計11人(ほか非常勤2人)体制で進めてきた。
 今後は,評価事業部門に3年間で9人程度(毎年度3人)の増員を図り,当面の目標として事務局20人(ほか非常勤2人)体制を実現したいと考えている。
 この体制の実現については,新規増員及び会員大学からの出向職員,及び日本私立大学協会に附置された私学高等教育研究所の研究員の協力,活用により措置したいと考えており,これにより,事務体制の整備は図れると考えている。
 また,現在,各大学に会員加入を働きかけており,本機構の認証取得,認証評価の本格実施によりこの1〜2年のうちに日本私立大学協会加盟大学352大学の相当数が本機構会員となると考えている。この会員増加による安定的財源の確保により,事務体制の整備及び評価事業の進捗が図られるものと考えている。


 (3) 評価料の改定についての考え方

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   本機構の財政は,基本的には評価料収入と会費収入の二本立てである。

 
評価料: 200万円プラス学部数かける20万円プラス研究科数かける10万円
会費: 25万円毎

   現段階では,日本私立大学協会加盟大学352大学の相当数が本機構会員となると考えている。仮に,352大学の約8割にあたる280大学が加入した場合,年間7,000万円の会費収入が見込まれる。さらに280大学の評価を6年間で評価すると平均約45校の大学を対象に評価を実施することになる。一大学の平均学部・研究科数を4学部・3研究科と想定すると,一大学平均評価料は310万円,45大学では,年間1億3,950万円の評価料収入がある。会費収入の7,000千万円とあわせて年間の収入は,2億950万円となり,運営の財源は確保できているものと考える。
 よって,この評価料の額及び会費の額は,原則として,ワンサイクル(7年間)は改訂なしで本機構を運営する予定である。しかしながら,将来,社会的事情等の変化が生じた場合は見直しを検討することもあり得ると考える。


 (4) 日本私立大学協会との財政上の関係についてはどのようになるのか

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   本機構設立の経緯は,平成12年に日本私立大学協会に私学高等教育研究所を設け,私立大学の特性に対応した評価を実施することを目指した研究をしてきたところであり,その結果を受けて本機構が設置されたものである。
 本機構は日本私立大学協会の支援のもと,基本財産1億円の拠出,その他経常経費として平成16年度9千万円,平成17年度4千万円の寄附を受けている。
 しかしながら,本機構は,同協会とは別の財団法人組織として設立した以上,運営の財源は,評価料収入と会費収入が基本であると考えている。

 
《参考》認証を行う際の基準4
   認証評価を適確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有する法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であること。


8  公正かつ適確,さらには特色ある評価を実施するためには,評価の実施状況を踏まえつつ,評価システム見直すことが重要であるが,評価システムの改善・充実にはどのような体制,方法により実施するのか。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   大学評価判定委員会のもとに,「評価システム改善検討委員会(仮称)」を設置し,評価を受けた大学や評価活動にたずさわった評価員,その他関係者の意見をアンケート等を通じて取りまとめるとともに,本機構が自らおこなう大学評価,高等教育に関する調査研究活動の成果等を踏まえて,システムの見直しを検討する予定である。さらに,日本私立大学協会や私学高等教育研究所などの関係機関の協力を得て,必要に応じて本機構に対する外部評価を依頼すると同時に,広く社会一般から評価システムに関する意見等を求め,それらを参考として改善に役立てたいと考えている。


9  信頼される公正な評価を行うためには,質の高い評価員を幅広く確保することが必要であるが,このことについて留意していることは何か。

  【日本高等教育評価機構からの回答】
 
   書面調査,実地調査等を行う「評価チーム」のメンバーについては,基本的に,各大学の教育研究分野や地域性などの現状が多様であることを勘案し,適切に評価しうる国公私立大学及びその関係団体から推薦された教職員(おおむね10年以上の大学における職務経験がある大学経営管理者,評価員としてふさわしいと思われる教員及び職員)のほか,大学関係者以外の有識者からも適任者を選任することを考えている。さらに団体から評価員としてふさわしい人材として推薦された評価員候補者に対して,評価機構が十分な研修をおこない,客観的な立場から専門的な判断を基礎とした信頼性の高い評価を行うことができる質の高い評価員を確保していきたいと考えている。

 
《参考》認証を行う際の基準2-(1)
   大学の教員及びそれ以外の者であって大学の教育研究活動等に関し識見を有するものが認証評価の業務に従事していること。ただし,法第六十九条の三第三項の認証評価(専門職大学院の評価)にあっては,これらの者のほか,当該専門職大学院の課程に係る分野に関し実務の経験を有する者が認証評価の業務に従事していること。


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