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資料1
中央教育審議会大学分科会大学院部会
理工農系WG(第2回)平成16年11月2日

大学院部会理工農系WGに係る審議について
《これまでの議論と意見募集より抄録》


1. 「審議経過の概要」で示した基本的方向性と分野別の現状

 「大学院部会における審議経過の概要」で示した大学院教育の実質化を図るための改革の基本的方向は、各学問分野別の大学院教育の現状に即して考えると、更に審議検討を深めるべき課題があるか。

(論点)学士・修士6年一貫プログラムについて

大学院の目標は一義的ではない。大学院大学の教育を学士・修士の6年一貫とし、さらに3年間の博士教育があるとする考え方と、学士4年間の上に修士・博士の5年一貫教育があるとする考え方によって、大学院教育の在り方、教育の質の向上の在り方、および研究者養成の在り方が大きく違ってくる。
高等教育全般にわたるユニバーサル化・大衆化は避け難い趨勢であり、その社会益も十分に見積もられる。これを踏まえ、工学系のかなりの部分は、【6プラス3】の構造化を促進すること、また、実質的意味を持たない博士後期課程を設置している高等教育機関を【6】の段階で明確な段差を持たせるよう政策誘導することが望ましい。
高度専門職をめざす大学においては学士・修士一貫教育体制は重要な意味を持つが、国際的視点で世界に通用する研究者育成を目指す大学においては、世界各国から優れた素養のある若手人材を集める事がより容易にでき、また学際分野の修得をも考慮した教育体制として修士・博士の5年一貫教育も議論されるべき。
学士から修士までの一貫教育というのは、外国の学生を引きつける観点からは有効なのか。
学士・修士6年一貫プログラムは、学生の流動性を促進する観点、及び大学院の一層の国際化の観点と相容れない。
修士を最終学歴とする学部一貫教育にも意義があると思うが、博士課程のある研究大学では学生の流動性を確保するために学部一貫教育は行うべきではない。


(論点)競争的資金の更なる充実について

教員が大型プロジェクト研究を獲得してくるかどうかで研究室の財政力に格差が生じている。


2.
課程制大学院の趣旨に沿った教育課程や研究指導の確立
(大学院のスクール化)

 教員の教育・研究指導能力の向上のための方策
(論点)教員の教育・研究指導の在り方について

「大学院生倍増の結果、質が低下した」などと言われる件は、大学院生を「兵隊」として使う風潮と密接に関わる。
日本の大学の工学・農学分野では、研究の場で徒弟的な指導が伝統的に行われてきたために、研究者養成・職業人養成の区分がはっきりしていない。
大学の教員自身が国際的な競争力を身に付けるべき。
国際的通用性をいうならば、まずは教員が範を示し、英語で論文を作成すべき。
教育・研究指導方法の最適解は、教員と学生の組み合わせによって変わる。教員にとってまず重要なのは、当該学生に対しどんな指導方法が最適であるかを判断する能力である。
教員は、サイエンスに対する学生の好奇心を理解し、一緒にサイエンスを楽しめることが必要。


(論点) 人材養成機能に即した教育内容・方法の確立(単位の実質化等)について

大学院の単位計算の方法を学部とは異ならせるべき。実験、実習、フィールドワーク、ホームワークによるレポート作成など、分野の現状に即した取扱いをすべき。


(論点)コースワークの充実について
(講義・演習・実験の組み合わせ方、授業の形式など)


(論点)教員の学生に対する教育・研究指導活動の評価について


(論点)組織的な大学院教育の実践について(FD)

職業人養成の修士課程においては、国際水準の組織的なカリキュラムを作成し、一定の水準を保証することが必要。研究者養成の修士課程では、修士を最終学位とする教育と博士の準備教育を区分するべき。
教育目標や学生に修得させる知識・技術体系について、各専攻において外部に公表することを見据えて関係教員で議論し、これらについて共通理解を持つことが必要。


(論点)学生の学習成果の評価について

各専攻において、教育目標や学生に修得させるべき知識・技術の体系を詳細に公表するなど、教育内容の明確化を図ることが前提。
教育の明確且つ具体的な目標設定と、それを達成する教育プログラムの構築への注力が重要。


(論点) 学修成果を効果的に測定するための観点について

大学教員組織の編成、教育カリキュラム、教育内容と研究内容の相関性、大学院で養成しようとする資質の達成度測定の仕組み、修士論文・学位論文から判断される教育効果、学生自身の達成感、学生の進路から判断される教育効果、学生の就職先等からのヒアリング結果
学修成果における客観的指標(成績評価基準の設定,学術活動の評価,実地研修実績の評価,基本技能(情報処理,発表技能)の評価及び修了者の就職等状況)の導入
学位論文の作成過程とその内容について評価すれば、学習成果は一目瞭然。


(論点)教育内容と研究内容の相関性について

1つの講義を講義と演習から構成し、学生に展開力を身に付けさせる。また、学生を研究に参加させる。
「複雑に見える現象でも、的確なモデルがあればかなりの精度でその現象を再現できる」ことを示し、「そのモデルによる予測がいかなるものか」という研究手法を理解させると、大学院の学生は自分で学び始める。


(論点)大学教員の採用について
教員が「教育」についてより自覚するような場を設ける。
博士課程での水準向上のため、国際的に開かれた組織にすることが必要。多くの場合、教員は自分の受けた教育を再生産するため、優れた教育を行う教員を確保することが大切。
大学教員の質を確保するという観点から、設置審査に当たっては、教員審査を省略すべきではない。
大学教員になるための教育実習の場として、TA制度の充実を図る。
PDが研究能力をテストする期間であるのに対し、PD経験後につく助手(講師)は教育能力をテストする段階と捉える。


 今後の研究者等として必要な高度な素養の涵養の在り方

(論点) 各大学院の人材養成機能に即した高度な素養の内容について

物理系分野の研究では、基本原理の上に立ち、複雑な現象から普遍的な法則を抽出し、新原理を確立、体系化し、新たな分野を切り開くことが理想とされる。そのためには論理的、総合的な思考能力と、変化する局面に柔軟に対応する能力が求められる。
工学分野では、国際的通用性を確保する観点からアクレディテーションの導入を念頭に、問題解決能力、語学力、倫理教育といった事項をカリキュラムに盛り込むことが重要である。
応用力学の分野では、「数学」と「力学」。「見かけの異なる現象が数学的モデルの上では同様なメカニズムで生じている」ことを理解できる「力学的世界観」を構成するための道具となるもの。
課題探求能力、論理的把握能力、行動能力、コミュニケーション能力、基礎科学的知識、高度な情報通信技術の修得、世界の多様な文化の理解
技術(技術者)リテラシー(高度な英語力、コミュニケーション力、情報リテラシー、技術者倫理、知財知識、MOT、当該技術分野の産業に関わる素養)
高度な基本技能(コミュニケーション能力,情報処理・活用力)、知識の高度な活用能力、研究活動に十分な基礎学力、国際性と地域性を融合できる知識と能力、歴史的視点を包括した専門的教養
国際人として通用する教育研究活動能力と、フィールドを重視し、自然への深い畏敬と共生を目指す豊かな人間性
新しい分野を切り開くことができる深く幅の広い視野と、他の考え方をする人たちと議論を深化させる対話力
日本においては優秀な学部生でも語学力が十分でないことが多い。ここへの対応は大きな課題である。
各分野の専門的知識とともに、論文を批判的に読む能力など基本的テクニックを身に付けることが必要。
工学倫理や工業所有権をはじめとするさまざまな法律問題などについての講義を行うようにすべき。
多様な学生の受け入れに際しても、「学校教育法第52条の定める大学の卒業資格相当の学力を持つ」という要件は厳守すべきである。この要件を「緩和」すれば学生の質の低下を招くことは必然である。


(論点) 各大学院の人材養成機能に即した高度な素養を涵養する方法について

各専攻において求められる資質や能力を育成するため、適切なコースワークを設けることを含め、専門分野毎にモデル的なカリキュラムの案を作成すべき。
大学院は、本来学生が自発的に勉強していく場であるはず。そのためには、「知的感動」を覚えるきっかけを学生に与えることが大切。
社会と科学の関わりを学ぶコースを提供することが必要
米国風のリベラルアーツ・カレッジの日本版を作ることも一案だが、高度な素養の範囲が学部の枠の中であれば、他分野の教員が関与する問題解決型の「デザイン科目」を修士レベルで設置するのが有効。
講義について、学生がその展開力を身に付けられるように改善すべき。企業が指摘する学生の実力不足の正体は、この展開力の不足である。
専門的知識,手法の展開力が重要。展開力を身につけるためには,講義においてホームワークを基本とした演習を取り入れる必要があるし、創造性喚起のためには,研究への参加,論文の執筆が不可欠である。
「ものづくりの涵養」については実験・実習に力点を置いた実践的な教育、「職業観の涵養」についてはインターンシップの充実、「外国語によるコミュニケーション能力の涵養」については英語での発表、国外での研究発表、国外大学との交流が有効。
課題発見型の人材を育成するために最もよい方法は、学生を研究に参画させることである。
広い関心と国際性を涵養するため、博士取得までには少なくとも半年位の海外研究経験を持たせる制度を導入する。


(論点)修士課程の修了要件について

修士課程においても研究活動を重要視するものの、成果の評価については柔軟性をもたせる。たとえば、学会発表あるいは論文執筆などがあれば、いわゆる修士論文を簡略化することも可能。
修士課程の修了要件としての論文作成は、博士課程に進学する学生にとっては必ずしも必要ではないので、博士課程進学の資格を得た学生はコースワークを修士論文に代えることができるものとする。また、修士課程終了後就職する学生についても論文執筆をコースワークに代えることができるものとする(就職を前提としたコースワークを準備することも一案)。
修士論文は参考論文を整理し、自分の研究動機、その考察結果をまとめる訓練をするために必須のものであり、講義、実習等のコースワークによって代替できないものである。


(論点)博士課程に進学する学生の選抜方法について

現状ではほとんどの大学院で、修士論文審査をもって博士進学試験に代えているが、博士課程学生の質を保証するためには、学科試験によるスクリーニングがより適切。


 教員・学生の流動性の拡大のための方策

(論点)教員の流動性を高めるための方策について

教員の流動性の促進については、実効的な任期制導入と内部昇進の抑制が必要。同一及び隣接学問分野において、大多数の大学等で実効的な任期制が導入されない限り、任期制は機能しない。
教員の流動性向上のため、有力大学がいわゆるインブリーディング率の上限を設定することが効果的。
全ての大学や公的研究所等において、教員や研究者に対して任期制やテニュア制度を導入するとともに、教員の構成を専攻毎に自大学出身者を50%未満とする。
テニュアトラックに乗った教員について、厳格な同一教育機関任期制をとる。
研究業績に偏重した大学教員任用資格を緩和させることによる社会人教員の採用拡大。
任期制の導入、公募原則の徹底、各大学による教育研究の相互乗り入れ


(論点) 教員の任期制を機能させるための工夫について

実効的任期制の導入促進のためには、内部昇進やテニュアをもつ教員中の自校出身者の比率に関する数値目標導入や、それを大学院評価の一項目とすることも必要。
教員や研究員として大学や公的研究所が採用する条件として、博士後期課程修了後に自出身大学以外において、ある期間、PDを行うことを義務付ける。


(論点)学生の流動性を高めるための方策について

学部教育と大学院教育を独立させることが必要。
流動性を高めるためには,単位の互換,異なった大学教員による共同研究指導など,大学の移動や研究室の移動が学生の不利にならないようにすべき。
他分野の学生について、補完的な授業科目を設定する。さらに、他大学からの学生を受け入れやすいように、他大学生の割合を大学が自主的に設定することも重要。
効果的なe-learningの積極的な導入による複数大学の授業単位の取得と多様な人材育成の推進。
教員の流動性と学生の流動性は別物。経済障壁が低くなるならば、学生については学部から大学院に進む際に、博士目的ならば学校を変わる位が適切。
特に修士課程あるいは博士前期課程修了時に、より教育・研究環境の優れた大学院に移れる可能性を高めるため、異なる大学の大学院の間で移動する場合は、入学金の徴収を免除するなどの措置が必要。
流動性を促進する施策を行うに当たっては、学生の研究の進捗を阻害するような運用がされないよう工夫することが必要。ヨーロッパの制度の参考にし、任期に縛られずにゆっくりとサイエンスを楽しみ、人材を育ててきた日本の大学院精度の良い部分については残していくべき。
研究を行ううえで重要なのは、様々な考え方があり、様々な考え方をする人がいて、様々な考え方をする世界があることを知ること。その点で多くの人との交流が大事なのであって、いわゆる流動性の低さが必ずしも悪とは限らない。


(論点) 学生の選抜方法の在り方について(「流動性」の観点から)

入学試験について、他分野、他大学からも応募し合格し易いように、入試試験科目を整備する。入学試験方法として推薦枠を拡大する方針も重要。
それぞれの課程が教育理念にもとづいて学生の構成を公表し、単なる学力試験ではなく、AO入試方式で選抜を行うことが有効。
学生の流動性を高めるため、受け入れ枠を設定することが重要。ただし、単に枠を設定するだけでは枠から漏れた学生に一種の敗北感を与える恐れがあるため、経済的な優遇策により、政策的に誘導する必要がある。


(論点)PDの流動性を高めるための方策について

PDF(Post Doctoral Fellow)制度の確立が必要。


(論点) 大学院教育の観点から必要とされる教員組織について

安定した教育・研究の観点からは全員に任期をつけるよりテニュア制が望ましい。
複数大学の連携による共同大学院教育プログラムにおける教員の位置づけ(所属)について柔軟な取扱いができることを明確化することが必要。
小規模大学や研究環境が不十分な大学の教員が、他大学における先端的な教育研究活動にも参画できる仕組みを創設することが必要。


(論点)社会における研究者市場の流動性を向上策について
(大学院修了者の就職という側面を含め)

民間企業と交流を進めるため、給与水準を確保するための弾力的な待遇を可能にする必要がある。
産業界が博士課程修了者、PD、流動研究員、元大学教員などを積極的に受け入れることが重要。


 社会のニーズと大学院教育のマッチングのための方策
(論点) 産業界等からの大学院教育に対する要望のくみ上げ方について

社会のニーズに対応していない大学院教育は、生き残り競争を通して淘汰されていくことが基本的な枠組み。ニーズの見極めはそれぞれの大学の見識による。
現在の社会ニーズにばかり囚われすぎると、将来的なニーズに応えられる人材が育たないこともありうる。
教員が社会や現場に出ることを逡巡している。教員も含め、教育研究の現場としての海外に長期滞在できるシステムを作る必要がある。
産学連携研究の推進、企業からの客員教授、非常勤講師制度の充実


(論点) 産業界からの要望を踏まえて大学院教育を改善することについて

産業界から見ると、人材育成体系がグローバルスタンダードと違いすぎることが、国際競争する上で将来的な不安要素。
量的拡大により質が低下したのではなく、入学してくる学生の裾野が広がったものであり悲観的に考えるべきではない。従来の研究者養成中心の大学院教育ではなく、学位を持つ人間が社会のいろいろな局面で活躍する時代が来ていることを踏まえた教育をなすべきではないか。
企業への長期インターンシップを組み込んだ教育課程を持つ学校を許容するなど、インターンシップ制の充実が必要
単に「実務に役立つ知識」を身に付けるのみならず、しっかりした素養を持った卒業生を送り出すことが重要。


(論点)大学の社会に対する積極的なアピール策について

大学ホームページによる研究成果や特許の出願・取得状況の紹介)
産学連携の定期的研究発表会・意見交換会の開催
工学系の学会には,大学,企業,研究機関,政府などが参加しているので、学会活動を活性化することが重要。
広報活動の専門化と高度化、試験研究機関等との定期的情報交換、就職先等との定期的情報交換、産業現場との交流拡大
産学の相互登用を含む人事交流、産業界からの教員受入れ、積極的な学外活動、産学交流事業への財政支援
各種の広報活動・啓蒙活動が極めて重要であり、このためには有能な広報担当専門スタッフが必要。このほか、各大学には法務、財務、労務等の専門スタッフも必要であり、これらのスタッフを確保するため、科学・技術普及の一環として特別の予算措置が望まれる。


(論点) 産業界から大学へのコミットメント(投資を含む)の拡大のための方策について

産業界が本当に的確な要望を持っているのであれば、もっと積極的に日本の大学に対して資金的な支援を行うべき。大学に対する寄附についての優遇税制を拡大して、社会から大学への資金の流れを増やすことが必要。


【以下の事項については、次回以降のWGにおいて審議する予定】


3. 研究者養成機能の充実
 博士課程における体系的な教育課程の確立

(論点)博士課程にコースワークによる教育を導入することについて


(論点)「論文博士」の制度について

優秀な学生が博士課程に進学してこない原因のひとつとして、論文博士の制度が背景にあるからではないか。
大学院は「教育機関」として、修了者に学位を授与するという趣旨を徹底すべき。このため、国際通用性の点からも、「単位取得満期退学」という扱いは考え直す必要がある。


(論点)博士前期課程の役割(修士課程との役割分担)について

修士課程では主に知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材の養成を目的とし、博士課程では主に研究者か大学教員の養成を目的とするが、人材の流動性を考えると、これらを区別するのは得策ではなく、学生が選べるような教育課程とすべき。
研究者養成の修士課程では、修士を最終学位とする教育と博士の準備教育を区分するべき。


(論点) 博士後期課程におけるコースワークを実効的に機能させるためにの方策について

高等教育のユニバーサル化・大衆化に対応するには、競争環境、市場原理の環境の強化が必然かつ不可欠。コースワーク主体の教育競争と高度な研究資源(設備&教員)を主体とする教育研究競争で、量と質のバランスを構築したい。


 大学院の研究機能の強化(施設・設備など)

(論点)大学院の機能分化について

大学院の量的拡大により、国立と私立との間の教育条件の格差が大学院においても拡大しつつあるが、このままでよいのか。
地方大学のようなリソースの乏しい大学についても機能強化を図るべき。


(論点)施設・設備の現状把握について


(論点)大学院教育の改善を支える施設・設備の在り方について


(論点)世界水準の研究体制を組織するための方策について

グローバル視点で通用する人材育成を目指すため、大学院教育の対象を外国人にも広げて世界の優秀な若手にも魅力あるものとするための教育の在り方を考える必要がある。
ポストCOEプロジェクトとして、国際水準にあると評価されている海外の研究型大学の研究科と協働で博士課程教育を進める研究科を経済的・制度的に支援する「特区」的な「国際協働支援プロジェクト」を導入すべき(英語論文の執筆指導のできるスタッフ、学生に海外経験を積ませるための資金、優秀な人材を海外から確保するための給与水準、英語で事務のできる支援組織等)。


(論点)教員の研究を支援する仕組みの導入について


 学生に対する経済的支援と大学院修了者のキャリアパスの多様化の促進方策

(論点) 大学院に安心して進学・在学できるための経済的支援について

国として育てなくてはいけない人材を特定し、それに向けて優れた学生が経済的に安心して大学院生活を送れるようにすることが肝心。経済的な安心は良い学生を引きつけるとともに学生に心の余裕を生み、ひいては社会的ニーズにも柔軟にマッチできる。
標準在学年限を超えても、学位の取得を前提条件に学費の支援を受け続けられるようにすべきではないか。
博士課程については、修士から続く経済負担が重い上に、3年で研究成果が出るかどうか、どのような進路があるのかという不確定の部分があるので、優秀な学生が素直に進学できるシステムにしたい。
特別研究員、DC1、DC2、PDなどがあるが、これらは、実質的には博士課程進学後に採択が決まるものであり、経済的な問題を考える学生にとっては、採択されない場合などを考えると、博士課程進学の動機付けになっていない。
特別研究員は,金額的にもたいへん恵まれているが,反面,採用された学生とされなかった学生の間に格差が大きすぎる。また、選考課程も不透明である。


(論点)大学院修了者のキャリアパスの現状について


(論点) 大学院における学生のキャリアパス形成に関する指導について


(論点) 大学院の学生に対する組織的な就職支援について

博士課程修了者を受け入れることのできる受け皿が十分ではないのではないか。


4. 実効性ある大学院評価の確立

(論点)大学院評価に分野の特性を織り込むことについて

学位の評価を大学任せにせず、専門分野別の評価制度を整備すべき。
各大学院の特徴を評価に反映させられるよう、その規模や得意分野に考慮した評価基準を設定すべき。また、世界の大学との比較という観点も重要。
工学部では既にJABEEによるアクレディテーションが整備されている。


(論点)大学院評価と資源配分との関係について


(論点)評価に当たっての留意事項について
大学が評価されるのは重要だが、教員を評価疲れさせることがないよう留意すべき。


5. その他

教育部と研究部を分け、研究部が各課程の教育プログラムを提供する仕組みを構築する。
学部では、入学定員と実入学者数との乖離、修業年限と修了率などについて厳格に考えられているが、大学院においてもそうあるべきではないか。
学生数の拡大よりも、いかに質を確保するか、国際的な視点に立って魅力ある大学院教育をするかが重要。
量的拡大を先行したことによる歪みが何か。それを如何に是正するかを検証することが必要。
大学院の量的拡大により、各教員の受け持ち学生数が増えており、また、講義、アドミニストレーション、委員会、外部資金の獲得のための業務など教員が非常に忙しくなっている。
学生が大学院に進学してくるのは、大学院を修了することで名誉や富を手にすることができると考えているからではないか。
修士課程の学生が早期に就職活動を開始してしまうことに伴い、実質的な教育期間が1年に限られている現状を是正すべき。
プロジェクト研究に携わる学生が増えているが、プロジェクト研究だけでは社会性、国際性や広い視野、他分野に関するリテラシーを養うことはできない。
社会的、国際通用性のある人材を育てるためには、まず、高等教育への公財政支出を国際水準にしなければならない。
実績のある大学への投資のみならず、地方大学のようなリソースの乏しい大学に対する支援も必要ではないか。
21世紀COEプログラムの将来方針は大学院教育における優秀な若手人材育成の在り方に大きな影響を与える。


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