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資料3−4

認証評価に関する各種提言(抜粋)

○我が国の高等教育の将来像(答申)

第2章  新時代における高等教育の全体像
4  高等教育の質の保証
(1)  保証されるべき「高等教育の質」
 
 本来、保証されるべき「高等教育の質」とは、教育課程の内容・水準、学生の質、教員の質、研究者の質、教育・研究環境の整備状況、管理運営方式等の総体を指すものと考えられる。したがって、高等教育の質の保証は、行政機関による設置審査や認証評価機関による評価(「認証評価」とは、すべての国公私立の大学等が、文部科学大臣の認証を受けた第三者評価機関による評価を受ける制度をいう。以下同じ。)のみならず、カリキュラムの策定、入学者選抜、教員や研究者の養成・処遇、各種の公的支援、教育・研究活動や組織・財務運営の状況に関する情報開示等のすべての活動を通して実現されるべきものである。
 高等教育の質に着目する場合、事前評価としての行政による設置認可と事後評価としての評価機関による第三者評価を言わば両輪とした、質の保証が必要である。
 高等教育の質の保証の一環としての事前・事後の評価の関係については、双方の適切な役割分担と協調を確保することが重要である。特に、一定の事前評価は必要であるとの観点から、設置認可制度について、我が国の高等教育の質の保証の仕組み全体の中での位置付けを一層明確化し、的確に運用すべきである。また、事後評価に関しては、認証機関による評価のシステムを速やかに整え、社会の負託に十分にこたえる効果的なものとなるよう発展・充実させていくべきである。

(3)  認証評価制度の導入と充実
 
(ア)  機関別、専門職大学院評価及び分野別評価
 
 認証評価制度は、大学等の事後評価の中核として極めて重要であり、その質の維持・向上のため、社会に早期に定着し活用されることが望ましい。
 事後評価に関しては、社会的要請を踏まえれば、機関別評価と専門職大学院評価のみでなく分野別評価についても積極的に採り入れられることが期待される。その際、分野の特性に応じて学協会等関係団体の参画・協力を得ることが考えられる。また、教育に関する分野別評価に関連して、他の参考となるべき特色ある取組を促進する方策を講ずることも必要である。
 評価結果に関する情報については、適時適切に社会や学習者に提供されるなど、高等教育の質の維持・向上のために活用されることが必要である。

(イ)  評価の質の向上
 
 高等教育行政の機能・役割の変化に際しては、多元的な評価機関が形成されることが不可欠の前提となる。機関別や専門職大学院の評価に加えて分野別評価が、分野の特性に応じて学協会等関係団体の協力を得ながら発展することが期待される。各種評価機関の形成のための国の支援も必要である。
 認証評価制度をはじめとした評価の仕組みが社会に定着して活用されるに伴い、評価の質の向上を図るため、評価方法や評価基準等の不断の見直しと改善、評価する側の質の高さや適正さを担保するための仕組みを整えること等が、今後の重要な課題となろう。

(5)  評価結果等に関する情報の積極的な開示及び活用
 
 教育内容・方法、財務・経営状況等に関する情報や設置審査等の過程、認証評価や自己点検・評価の結果等により明らかとなった課題や情報を当該機関が積極的に学習者に提供するなど、社会に対する説明責任を果たし、当該機関自身による質の保証に努めていくことが求められる。
 具体的には、例えば、ホームページ等を活用して、自らが選択する機能や果たすべき社会的使命、社会に対する「約束」とも言える設置認可申請書や学部・学科等の設置届出書、学則、自己点検・評価の結果等の基本的な情報を開示することが求められる。
 また、当該機関による情報開示だけでなく外部からの評価結果も併せて提供されることが学習者の便宜のために重要であることから、認証評価機関による評価の結果も開示することとされており、当該機関の質の確保・向上のために積極的に活用される必要がある。
 評価結果等に関する情報については、大学等の個性・特色を伸ばし、質を高めるための競争を促進する観点から、公的財源等各種の資源の効果的な配分に適切に反映するなど、積極的に活用されることが重要である。

第5章  「高等教育の将来像」に向けて取り組むべき施策
2  将来像に向けて具体的に取り組むべき施策
 
(2)  中期的に取り組むべき重要施策
 
3  高等教育の質の保証についての関連施策
 
 事前・事後の評価の適切な役割分担と協調による質の保証を推進する必要がある。
 
 認証評価の円滑な導入と充実
 国際的な質保証システムの構築への貢献
 自己点検・評価の充実及び情報公開の一層の促進
 認証評価以外の各種の評価活動の支援
 評価する側の適正さの担保

○新時代の大学院教育(答申)

第2章  新時代の大学院教育の展開方策
2  国際的な通用性、信頼性の向上(大学院教育の質の確保)のための方策
 
(1)  大学院評価の確立による質の確保
 
 事前評価(設置認可制度)と事後評価(認証評価制度など)の双方の適切な役割分担と協調の確保等を通じて、全体として大学の質を保証する大きな枠組みを確立していくことが重要である。とりわけ、事後評価については、大学関係者等の協力を得ながら社会に早期に定着させ、実効性ある評価へと発展・充実させていくことが急務となっている。
 今後、事後評価の制度については、
1 自己点検・評価
2 認証評価
3 評価団体の適正さを担保する仕組み
の三つの仕組みにより、大学院の特性に応じた適切な評価が多様な観点から行われる体制を整えていくことが必要である。
 さらに、将来的には、認証評価について、大学全体を組織体として評価する「機関別評価」に加え、大学院教育の専門性に沿った「専門分野別評価」を導入していくことが適当である。

【具体的取組】
 実効性ある大学院評価の展開に向けた関係機関の取組の推進
 大学院の専門分野別自己点検・評価の促進
 大学院教育の質に関する積極的かつ有用な情報の提供の促進

<大学院評価の目的と方向性>
 学習者をはじめとする社会的な信頼を保持し、国際的な通用性、信頼性のある高等教育の質を確保するための新たな高等教育システムを確立していくことが重要な課題となっており、このような観点から、これまで自己点検・評価や認証評価など、大学等の質の保証に関する各般の制度が導入されてきた。
 今後は、事前評価(設置認可制度)と事後評価(認証評価制度など)の双方の適切な役割分担と協調の確保等を通じて、全体として大学の質を保証する大きな枠組みを確立していくことが重要である。とりわけ、事後評価については、大学関係者等の協力を得ながら社会に早期に定着させ、実効性ある評価へと発展・充実させていくことが急務となっている。
 また、今後、事後評価の制度については、
1  自己点検・評価
2  認証評価
3  評価団体の適正さを担保する仕組み
の三つの仕組みにより、大学院の特性に応じた適切な評価が多様な観点から行われる体制を整えていくことが必要である。大学院評価は、大学院の教育研究水準、組織運営の一層の向上・改善に資することを目的とするものであり、各大学院におけるこれまでの教育研究活動が的確に評価され、これにより、各大学院の教育研究活動がより一層効果的・効率的な形で発展していけるようなものとする必要があり、もとより、評価自体が自己目的化することがあってはならない。
 これらを踏まえ、将来的には、認証評価について、大学全体を組織体として評価する「機関別評価」に加え、大学院教育の専門性に沿った「専門分野別評価」を導入していくことが適当である。その際、大学院の専門分野別評価は、各大学院が自主的・自律的に設定した課程の目的に即して体系的な教育内容・方法が構築、実践されているかどうかを評価・改善していく考え方が基本となる。また、専門分野別評価の発展を図るに当たっては、様々な自発的展開が期待されるが、現状に照らして、まず、主として大学評価の取組の基本である自己点検・評価において、専攻単位を基本とする専門分野別評価の促進とその定着を図りながら、専門分野別の第三者評価への基盤の確立等を図っていくことが適当である。さらに、専門分野別事後評価システムの運用に当たっては、例えば、博士課程(後期)については、設置認可申請の際に行われるような教員個人の教育・研究指導能力についての評価を行うことも有効であると考えられる。
 現在、例えば、日本技術者教育認定機構(JABEE)が工学系の学士課程を中心とした技術者教育を国際的な通用性も考慮しつつ評価・認定する活動を行っているところであるが、今後は、大学関係者や学協会等により、大学院の教育の課程を対象とした専門分野別第三者評価を行う機関が形成されていくことを強く期待する。また、特色ある大学院教育を展開する場合など、統一的な第三者評価になじまない場合も考えられる。そのような場合には、当該大学院の特色、国際水準の担保の両立を実現する観点から、当該大学院が独自に各国の大学院の教員を含めた外部評価委員会を設置することなども考えられる。さらに、既に制度的に導入されている専門職大学院を対象とした認証評価機関の展開状況や独立行政法人大学評価・学位授与機構における蓄積等も踏まえつつ、国としても専門分野別第三者評価の形成・導入に関する支援方策を講じていくことが必要である。
 なお、大学院における研究活動における評価の質の向上の観点からは、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成17年3月29日内閣総理大臣決定)の趣旨を適切に反映した評価を行うことが適当である。

<実効性ある大学院評価の展開に向けた関係機関の取組の推進>
 国、大学及び評価機関は、実効性ある大学院評価の展開に向けて、従来の取組に加えて、今後、主に以下のことに取り組むことが求められる。

【国の取組】
1  大学院教育の質を確保していくため、以下の条件整備を実施していくこと
 
 大学院の専門分野別自己点検・評価の促進
 大学関係者や学協会等により大学院の専門分野別第三者評価を行う機関の形成・導入に関する支援
 専門分野別評価を行う評価団体の適正さを担保する仕組みの検討
 教員組織の在り方について、欧米の大学の状況等も踏まえ、例えば教員の学位保有状況などを含め、事前及び事後を通じた評価の視点やルールの明確化を検討
2  国公私立大学等を対象とした競争的に配分される資金制度について、それぞれの資金制度の目指す目的に応じ、その審査・評価に当たって大学院の専門分野別自己点検・評価などの結果を活用していくこと
3  大学関係者をはじめ広く国民を対象として、大学の質の保証に関する趣旨、重要性について、より積極的に説明責任を果たしていくこと
【大学院の取組】
1  自己点検・評価や第三者評価を自らの教育研究活動の改善のサイクルの中に明確に位置付け、また、評価を行う責任体制を明確にするとともに、必要な事務体制を確立していくこと
2  評価に必要と考えられる情報(例えば、定員充足率、教育・研究指導の状況、学位授与率、学生の経済的支援の状況、就職先等)を、各大学院の自己点検・評価の項目等を踏まえ、活用しやすい形でシステム化していくこと
【評価機関の取組】
1  評価項目の不断の見直しを行うとともに、学位の国際的な通用性、信頼性を確保する観点に立って評価を行うこと
2  必要に応じて評価結果に対する大学の改善状況をフォローアップしていくこと
3  社会に対して評価結果を分かりやすくかつ積極的に公表していくこと


○人社系大学院の目的とそれに沿った教育研究の在り方について [人社系WG報告書]

5.  大学院評価の在り方

 
 各大学院の人材養成の目的に沿った教育の課程の組織的展開の強化が一層図られるよう、実効性ある大学院評価を早期に確立していくことが必要である。

 評価の実効性を高めるためには評価の客観性が不可欠であり、そのためには、各大学院において、授業の受益者である学生による授業評価と、特定課題への対応について評価する評価委員会等による評価を適切に行い、その結果を公表することが重要である。

 学校教育法に基づく認証評価制度においては、現在、専門職学位課程だけが、大学全体とは別に対象とされている。大学とは別の大学院だけの事後評価、あるいは分野別の大学院の事後評価については、当面、学協会が中心となって専門分野別事後評価のシステム作りに取り組むことが期待される。また、このようなシステムを構築しようとする団体に対する財政支援の検討を行うことも必要である。
 さらに、専門分野別事後評価システムの運用に当たっては、例えば、博士課程(後期)に限って、設置認可申請の際に行われるような教員個人の教育・研究指導能力についての評価を行うことも有効である。

 専門職大学院が設置されているにもかかわらず、認証評価団体が存在しない分野がある状況を解消し、全ての専門職大学院について、関係する業界や職能団体と十分に連携した認証評価団体による評価を実施できる体制を整えることが強く求められる。

 大学院の評価においては、最低水準の保証を行う評価のほかに、水準の高い取組を見付け、これを普及させるための評価を確立するとともに、教育活動、研究活動の双方にわたって多面的な評価が行われることが必要である。

○理工農系大学院の目的とそれに沿った教育研究の在り方について [理工農系WG報告書]

6.  大学院評価の在り方

 
 大学院教育の内容、水準に関する国際通用性を踏まえて、各大学院が、それぞれの人材養成の目的に沿って、その教育を充実していくことを促すため、実効性ある大学院評価を早期に確立していくことが必要である。

 学校教育法に基づく認証評価制度においては、現在、専門職学位課程だけが、大学全体とは別に対象とされている。大学とは別の大学院だけの事後評価、あるいは分野別の大学院の事後評価については、当面、学協会が中心となって専門分野別事後評価のシステム作りに取り組むことが必要である。また、このようなシステムを構築しようとする団体に対する財政支援の検討も必要である。これらを通じて大学院教育の質に関する第三者評価の普及、定着が望まれる。
 さらに、専門分野別事後評価システムの運用に当たっては、例えば、博士課程(後期)に限って、設置認可申請の際に行われるような教員個人の教育・研究指導能力についての評価を行うことも有効と考えられる。

○医療系大学院の目的とそれに沿った教育等の在り方について [医療系WG報告書]

5.  大学院評価の在り方について

 
 各大学院の人材養成の目的に沿った教育の実質化が一層図られるよう、実効性ある大学院評価を早期に確立していくことが重要である。

 学校教育法に基づく認証評価制度においては、現在、専門職学位課程だけが、大学全体とは別に対象とされている。大学とは別の大学院だけの事後評価、あるいは分野別の大学院の事後評価については、当面、学協会が中心となって専門分野別事後評価のシステム作りに取り組むことが必要である。
 さらに、専門分野別事後評価システムの運用に当たっては、例えば、博士課程(後期又は4年制一貫)に限って、設置認可申請の際に行われるような教員個人の教育・研究指導能力についての評価を行うことも有効と考えられる。

○大学院教育振興施策要綱

第四 具体的な取組施策
2  国際的な通用性、信頼性(大学院教育の質の確保)の向上
 
(1)  実効性ある大学院評価の取組の推進
 専門分野別自己点検・評価の促進を図るとともに、専門分野別第三者評価の形成・導入支援を行う。
 なお、専門職大学院の認証評価については、法科大学院以外の各分野についても適切な評価がなされるよう取り組む。
 専門分野別自己点検・評価について、その実施状況を調査・公表することなにより、各大学院の積極的な取組を促す
 試行的な専門分野別第三者評価のための調査研究を実施するとともに、その結果等も踏まえ、専門分野別第三者評価の在り方について検討する
 教員の学位の保有状況、「専任教員」の考え方等、教員組織の在り方に関する評価の視点やルールの明確化を図る
 大学院等の開設について、各課程の目的に応じた審査の観点の明確化や大学院大学に関する審査期間の確保等、設置審査の改善を図るとともに、設置後のフォローアップの充実を図る
 大学院教育に係る国際的な相対評価基準等について検討する


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