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資料3
中央教育審議会大学分科会
制度部会(第13回)平成16年10月28日


遠隔教育の普及と今後の課題

吉田 文(メディア教育開発センター)

<わが国の遠隔教育の制度的矛盾>
1.  通信制の設置基準について
  通信制学部     大学通信教育設置基準
  通信制大学院     大学院設置基準の一部改正によって対処。
  通信制専門職大学院     専門職大学院設置基準のなかで対処。
  *大学院の場合は、通学制にならった教員配置

   
2.  単位修得について
a.通信制と通学制の区別に関して
  通学制学部     「遠隔授業」で60/124単位可能。
単位認定・単位互換により通信制大学の「面接授業」を60単位習得することは可能。
  通学制大学院     「遠隔授業」で30/30単位可能。
  通信制専門職大学院     「教材による授業」、「放送授業」は不可。「メディアを利用して行う授業」と「面接授業」は可。
  *通学制と通信制の区別をすることの意味は?

b.通信制内部の区別に関して
  特区における通信制     インターネットのみを利用して行う機関の校舎施設の数値基準の適用除外(本部機能のみで可)。
  既存の通信制・通学制     上記基準の適用外。
  *特区が全国区になったときは?

3.  通信制の授業の方法について
「印刷教材等による授業」、「放送授業」、「面接授業」、「メディアを利用して行う授業」

a. CD-ROMなどの電子出版による教材は?…「印刷教材等による授業」
b. 映像・音声を利用したパッケージ型メディアの視聴は?…「放送授業の1つの形態」
c. テキスト・静止画のみをインターネットで配信する授業は?…「印刷教材等による授業」
d. 衛星系・地上系の通信回線による教室の授業の配信は?…「放送授業の1つの形態」
e. 映像・音声を利用したパッケージ型メディア+メールによるQ&Aは?…「メディアを利用して行う授業」になるのか…
*配信の技術による区別の意味は何か?
*教育の配信側が学習者の学習履歴を把握する(単位制、本人認証)という視点の欠如

<日本における遠隔教育の普及状況>
  通信制
   
  学校数 学生数
大学 31

234,635

大学院 15

14,036

短大 10

24,558

56

273,229

 『平成15年度学校基本調査』
     
  通学制
   
  大学学部(学部数) 短大(機関数)
行っている 計画している 行っている 計画している
インターネットによる授業配信 166(16.5%) 227(22.6%) 23(7.7%) 43(14.4%)
単位認定しているインターネット授業 43(4.3%) 56(5.6%) 6(2.0%) 12(4.0%)
 NIME(2003)『高等教育機関におけるマルチメディア利用実態調査』

cf. アメリカにおける遠隔教育の普及状況(1997から2000)
  遠隔教育実施機関(パーセント 遠隔教育コース在籍者数(人) 学位取得プログラム数(学部パーセント
公立4年制 78から89 711,350から945,000 1,090(42)
私立4年制 19から40 222,350から589,000 1,160(51)
公立2年制 60から90 714,160から1,472,000 520(100)
私立2年制 5から16
34から56 1,661,100から3,077,000 2,810(56)

  領域(1997)
   
学部     英語・人文・社会科学・行動科学(39%)、ビジネス(18%)、健康科学(7%)、職業(6%)
大学院     教育(25%)、工学(21%)、ビジネス(13%)、健康科学(13%)
     
  配信技術(1997から2000)(MA、パーセント
   
非同期インターネット 同期インターネット 双方向テレビ会議 一方向録画ビデオ
58から90 19から43 54から51 47から41
 NCES(1999)Distance Education at Postsecondary Institutions :1997-1998
 NCES(2003)Distance Education at Degree Granting Postsecondary Institutions :200-2001

  アメリカにおける公立セクターを中心とする遠隔教育の拡大
  学部プログラムが半数、学位プログラムの半数がcertificate、職業領域に特化
  非同期インターネットの急速な拡大

<アメリカ高等教育システムの課題>
1.  組織形態
  コンソーシアム     コンソーシアム参加機関60%、種別の異なるコンソーシアム
  営利大学     古典的営利大学(eg.フェニックス、デブライ)の好調、eラーニング営利大学(eg.ジョンズ・インターナショナル大学)の不振
  非営利大学の営利部門     失敗(NYUオンライン、テンプルU、eコーネルetc.)
  *コスト削減を目的としたコンソーシアム、無条件に利潤を生み出さない。

2.  専門職
    学内IT戦略の責任者(CIO;Chief Information Officer
    eラーニング・コンテンツ開発の専門職(ID;Instructional Designer
  *教員役割の変化。
  *日本では養成機関がない。

3.  教育の機能(認知的機能と社会化機能)
    多くが有職成人対象の職業キャリア・アップのプログラム(社会化機能は不必要)
    リベラル・アーツ・カレッジのeラーニングへの抵抗(社会化と遠隔教育はなじまない?)
  *対象の明確化と特化した領域が必要。

4.  技術課題
    セキュリティ     公開性を特質とするインターネット、eラーニングの理念と矛盾
    オープン・ソース(各種のeラーニング・ソフトの大学内開発→ソース・コードの公開→ボランティアによる改良→大学間の共有)     コスト・ダウンに結びつくか?他のソフトとの親和性があるか?
  *日米共通の課題

5.  教育の質保証
    機関の質保障     地区アクレディテーション団体の共通ガイドライン
    コースの質保障     各種の調査研究(eg.Quality on the Line
  *設置基準?、認証評価?

6.  国際展開
    WTOの教育サービスの4つのモード(第2モードがeラーニング)     アジアへの進出
  *英語とインターネットによる南北間格差、日本は北か南か?



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